異世界転移したけれど、今までの世界と比べて平和でした。

犬宰要

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 俺はドラゴンでの飛行移動は思っていたよりも疲れると感じていた。都市に入るのにですら、ちょっとした面倒ごとになったり、そもそもドラゴンを停留させておく場所の問題を考えると早く車が欲しいと思った。車を手に入れたらこのウェルダンテステーシはどうするのだろうか・・・?
 
 俺は城内で朝食をナミと一緒に食べながらウェルダンテステーシについて今後どうするか確認することにした。
 
「ほら、私たちが最初に立ち寄った集落? 村? みたいなところあったじゃない。あそこに住んでもらえばいいんじゃないかしら?」
 
「いいのかそれで」
 
「だって面倒見切れないじゃない、それに面倒を見るというよりも、誰かの面倒を見てそうな感じしない? このミディアンデステーシの城を見る限り、ウェルダンテステーシも城持ってそうじゃない?」
 
「まあ、そうだな・・・ちょっと聞いておくか」
 
「うん、よろしくね」
 
 朝食がすますと、俺はウェルダンテステーシがいる場所に向かった。城にいる人にどこにいるか聞き、庭にいることを教えてもらった。
 
 城の庭は広く、発着場のような手入れされているというよりも、あたりが石畳になっていた。
 
「ウェルダンテステーシ、ちょっと聞いておきたい事があるんだが」
 
「なんだろうか」
 
「俺たちが車を得た後にどうするか、という話だ。どうしたいとかあるか?」
 
 一応希望を確認する。
 
「我は敗者、勝者に従う」
 
 希望ではなく言いなりだった。
 
「怠惰の森について知っているか?」
 
「認識はしている」
 
「そこに近くに集まりがあるのは知っているか?」
 
「無論だ」
 
「ひと段落したらそこに行き、そこの人たちと生活を共にしていってもらいたい。角を斬った手前、生きていく場所は俺たちが知っているのはそこくらいしかないと思っている」
 
「わかった、問題ない。我も知ってる場所だとあそこくらいしかないとわかっている」
 
 これでウェルダンテステーシの今後についても問題は多分ないだろう。
 
「そういえば、大都市ルシファーまで今のペースだとどのくらいで着きそうだ?」
 
「山を越える必要があるが、迂回するとなると五日かかる。途中途中でどこかで泊るとなるともう少しばかりかかる」
 
「最短だとどれくらいだ?」
 
「三日は必要になってくるだろうな」
 
 俺はゆっくり行くか、早く行くか、ナミに確認することにした。どのみち急いでるわけでもないのでゆっくりでいいと思ったりしていた。
 
「わかった、ありがとう。ナミにどうするか確認してくる」
 
 俺は話を切り上げ、ナミのいる場所を探した。そういえば、朝食ととった後にどこにいったんだろう?
 
 ナビ、ナミの場所をサーチ。
 
 反応あり、大浴場付近にいます。
 
 朝から大浴場?
 
 俺は大浴場に向かい、中に入ると湯気でナミがどこにいるかわからない状態だったので視覚センサーを切り替えて場所を特定させた。
 
「ナミ、空路についてなんだが――」
 
「ちょ、レンツ!? 入ってくるなら服を脱ぎなさいよ」
 
「ん、ああ・・・え?」
 
「ここ浴場よ?」
 
「ああ、すまない」
 
 俺は腑に落ちなかった。別に湯舟につかるわけでもないので服を脱ぐ必要はない。
 
「じゃあ、出たら話すよ」
 
「一緒に入りましょ、ドラゴンもいないし、ゆっくり落ち着いて入れるわ」
 
「いや、俺はいいよ」
 
「そ、残念。じゃあ、またあとで」
 
「ああ、後でな」
 
 俺はナミが大浴場から出るのを待ち、出てきた後に話し合いをして次の都市に行くルートはゆっくり行くことになった。その日は、都市で必要なものを買い足して、コンテナボックスに詰め込んだりして一日を終えた。都市内を出歩くと角がないことが目立ったりしたが、支障はなかった。
 
 途中、角無しがと言われて突っかかってきた人もいたが、魔力の放出量を上げていくと引いてくれたりした。
 
 それでも見かけ倒しだと突っかかってくる者もいたが、ナミがサイキックで飛ばしたりして、一瞬で片が付いた。面白かったのは、ナミが持つ浮遊している卵型の武具を奪おうとした人が卵型の武具にボコボコにされていたことだった。
 
「一応これ自律型よ、レンツに内蔵されてるナビみたいなものよ」
 
 そうなってくると普段は念話で意思疎通でもとっているのかと疑問に思って卵型の武具を見たら、ナミの後ろにさっと隠れられた。
 
「なに気になるの?」
 
「まあ、少しはな」
 
「ふふふ、秘密~」
 
 俺たちは他愛のない会話をしながら、買い物をして準備した。

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