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ムッツーの後に続き歩き始め、瓦礫の山はどれも建物の残骸っぽく見えた。家具や生活品などは瓦礫の山の中には存在しなかった。僕たちは何か手がかりとなるようなものが見つけられないまま、瓦礫の山を避けながら進んでいくことになった。
三十分ほど歩き、休憩しようとした所、奇妙な嗅いだことがないような臭いがした。
「なんか臭わない?」
僕は異臭に気づいたことを口に出し、マナチに話しかけると他の人たちも同意していった。そして、休憩せずにその臭いの元を辿る事にし、異臭がする方向へと向かうのだった。
「うーん、何の臭いだ?」
「なんか気持ち悪い感じするわね」
「うう~」
先頭を歩くムッツー、タッツー、ハルミンは臭いの元を辿っていった。次第に臭いの元に近づくにつれて、段々と臭いがきつくなっていき、瓦礫の山を縫うように進んでいく事になった。この先に何があるのかあまりいい予感がしなかった。
ムッツー、タッツー、ハルミンが急に立ち止まった。丁度、瓦礫の山が影になって見えなく、僕は気になって小走りで何を見たのか確かめに行った。
そこには大量のネズミの死体が腐乱していた。
ムッツーは思わず口で手を抑え、後ろからついてきてる人たちにもう片方の手で来るなとジェスチャーした。タッツーとハルミンはムッツーとその光景を見てしまっており、二人とも青白い顔をしていた。
「ひっ」
「ひ、ひぐっ」
タッツーとハルミンは小さな悲鳴を上げ、ハルミンは口を押えながら一番後ろからついてきてるツバサとジュリより下がり、吐いた。
「み、みんな落ち着いて聞いて、この先にネズミの死体が大量にあるわ・・・うっ」
タッツーがなんとか言葉にしつつ、吐き気を抑え込んで情報を共有した。ムッツーはその有様を口を抑えながら大量のネズミの死体を見て、なぜ死んでいるのか知ろうとしていた。
「いったん、ここから離れましょう?」
タッツーに話しかけられても険しい表情でどういう状況なのか、ムッツーは目の前に広がる状況を見ていた。
「ムッツー、大丈夫?」
タッツーがムッツーの肩に手を置き、心配した。
「あ、ああ・・・いったん、離れよう」
僕はその大量のネズミの死体の中にある一匹と目が合ったような気がした。
動物の死体、生きている中で動物の死体を目にする機会というのはあった。しかし、大量のネズミの死体というのは彼女たちには無かった。もちろん、僕にもそんな経験はない。
その状況を目撃したのはムッツー、タッツー、ハルミン、そして僕だ、他の三人は見ていなかった。
ハルミンは吐いて、その場から離れた後も気分が悪そうにしていた。臭いもあまり感じられない所まで戻る事にし、一旦休憩をすることにした。
「ハルミン、大丈夫?」
マナチが声をかけ、ぐったりした様子で頷いた。
「ありがとう、ちょっと・・・うっ」
そういって、口を押さえながら簡易トイレに駆け込み、吐いてしまっていた。
僕はなぜあんな所に大量のネズミの死体があったのか、疑問に感じた。ただ何を疑問に感じたのか、よくわからなかった。なんとなく、おかしいという気がしただけだった。
それぞれが椅子を出し、休憩している中でムッツーとタッツーはあのネズミの死体がどうしてあるのか、これからどうするのか、話し合っていた。
「まだ、悲鳴を上げなかったのが幸いだったなと思うんだ。もし生き残ってるネズミがいたとして、あの大量のネズミの死体は共食いをしていたのかもしれない。私たちの声を聞いて、生き残っていたネズミがやってきたとしてどうなるかと思うと怖い。それにだ、あのネズミの死体はおかしかった……全部こちらを見ているようだった。あれは何が起きたんだ……」
祈るような形をとりながら、震えていた。言葉にすることで落ち着かせようとムッツーはしているようだった。
「な、なあ……タッツーあれは何が起きたんだと思う?」
「わからないわ、だけど、あの先に何があるのか……とても嫌だけど確かめないとここで夜を過ごすのは危険だわ」
二人が話をしている所で僕はアビリティ・スキルの自衛から防具を選び、防護マスクを装着した。ここはかっこつけるシチュエーションだとわかった。
僕はが二人で話している所に、防護マスクをした装備で立って二人を安心させるように言った。
「僕が見てくるよ。防具の中にこれがあったし、瓦礫をよじ登って確かめるくらいなら行ける」
「私も行く、タッツーはここに残って何かあった時は頼む」
ムッツーは立ち上がり、僕と同じように防護マスクを装着した。僕がつけているものとデザインが違うが、性能は一緒そうなので大丈夫だろうと思った。
「よし・・・私とヨーちゃんはもう一度あのネズミの死体があった場所に行ってくる。何があったのか調べてくるからその間は、タッツーと一緒にいてくれ、暗くなる前までには戻ってくる」
他のメンバーは頷き、ムッツーと僕はネズミの死体がある場所へ向かった。さすがにこれはデートではと思うほど自分は花畑じゃなかった。
お互い無言のまま、さっき見た大量のネズミの死体がある場所まで戻ってきた。何か会話でもしようと思ったのだけど、特に何か話のネタとなるようなものが思いつかなかった。頭の中にあったのはぴっちりしたその服装がとてもエロいですねで頭がいっぱいだったからだ。
下手な視線でもムッツーに向けようものならば即座に気づかれてしまうので、常に平静を装うしかない。
妄想していると、気が付いたらさっきの場所に到着していた。防護マスクをしているので、さっき来た時よりは異臭は緩和され、ひどくはなかった。僕は辺りを見ながら、瓦礫の山を登る事にした。一歩ずつ、足場が崩れないか気にしながらゆっくりと登っていった。ムッツーも一緒に登り、瓦礫の山を登りきることができた。
瓦礫の山を登らないと大量のネズミの死体がどの程度大量なのか、わからないのもあった。
登るときに足元が崩れたりしないかちょっと怖かったが思いのほか、ケガをすることなく登れた。大量のネズミの死体が一山だけではなく、他にもあり、どうやってこんなに積み上げたのかと思うような状態だった。もしかしたら、中身は瓦礫の山で、それに死体が覆いかぶさってるだけかもしれないと思った。
そして、見晴らしがよくなった事によってそこから見えたのはネズミの死体だけではなく、自分たちと同じような年齢の人たちが複数人倒れていたのだった。
三十分ほど歩き、休憩しようとした所、奇妙な嗅いだことがないような臭いがした。
「なんか臭わない?」
僕は異臭に気づいたことを口に出し、マナチに話しかけると他の人たちも同意していった。そして、休憩せずにその臭いの元を辿る事にし、異臭がする方向へと向かうのだった。
「うーん、何の臭いだ?」
「なんか気持ち悪い感じするわね」
「うう~」
先頭を歩くムッツー、タッツー、ハルミンは臭いの元を辿っていった。次第に臭いの元に近づくにつれて、段々と臭いがきつくなっていき、瓦礫の山を縫うように進んでいく事になった。この先に何があるのかあまりいい予感がしなかった。
ムッツー、タッツー、ハルミンが急に立ち止まった。丁度、瓦礫の山が影になって見えなく、僕は気になって小走りで何を見たのか確かめに行った。
そこには大量のネズミの死体が腐乱していた。
ムッツーは思わず口で手を抑え、後ろからついてきてる人たちにもう片方の手で来るなとジェスチャーした。タッツーとハルミンはムッツーとその光景を見てしまっており、二人とも青白い顔をしていた。
「ひっ」
「ひ、ひぐっ」
タッツーとハルミンは小さな悲鳴を上げ、ハルミンは口を押えながら一番後ろからついてきてるツバサとジュリより下がり、吐いた。
「み、みんな落ち着いて聞いて、この先にネズミの死体が大量にあるわ・・・うっ」
タッツーがなんとか言葉にしつつ、吐き気を抑え込んで情報を共有した。ムッツーはその有様を口を抑えながら大量のネズミの死体を見て、なぜ死んでいるのか知ろうとしていた。
「いったん、ここから離れましょう?」
タッツーに話しかけられても険しい表情でどういう状況なのか、ムッツーは目の前に広がる状況を見ていた。
「ムッツー、大丈夫?」
タッツーがムッツーの肩に手を置き、心配した。
「あ、ああ・・・いったん、離れよう」
僕はその大量のネズミの死体の中にある一匹と目が合ったような気がした。
動物の死体、生きている中で動物の死体を目にする機会というのはあった。しかし、大量のネズミの死体というのは彼女たちには無かった。もちろん、僕にもそんな経験はない。
その状況を目撃したのはムッツー、タッツー、ハルミン、そして僕だ、他の三人は見ていなかった。
ハルミンは吐いて、その場から離れた後も気分が悪そうにしていた。臭いもあまり感じられない所まで戻る事にし、一旦休憩をすることにした。
「ハルミン、大丈夫?」
マナチが声をかけ、ぐったりした様子で頷いた。
「ありがとう、ちょっと・・・うっ」
そういって、口を押さえながら簡易トイレに駆け込み、吐いてしまっていた。
僕はなぜあんな所に大量のネズミの死体があったのか、疑問に感じた。ただ何を疑問に感じたのか、よくわからなかった。なんとなく、おかしいという気がしただけだった。
それぞれが椅子を出し、休憩している中でムッツーとタッツーはあのネズミの死体がどうしてあるのか、これからどうするのか、話し合っていた。
「まだ、悲鳴を上げなかったのが幸いだったなと思うんだ。もし生き残ってるネズミがいたとして、あの大量のネズミの死体は共食いをしていたのかもしれない。私たちの声を聞いて、生き残っていたネズミがやってきたとしてどうなるかと思うと怖い。それにだ、あのネズミの死体はおかしかった……全部こちらを見ているようだった。あれは何が起きたんだ……」
祈るような形をとりながら、震えていた。言葉にすることで落ち着かせようとムッツーはしているようだった。
「な、なあ……タッツーあれは何が起きたんだと思う?」
「わからないわ、だけど、あの先に何があるのか……とても嫌だけど確かめないとここで夜を過ごすのは危険だわ」
二人が話をしている所で僕はアビリティ・スキルの自衛から防具を選び、防護マスクを装着した。ここはかっこつけるシチュエーションだとわかった。
僕はが二人で話している所に、防護マスクをした装備で立って二人を安心させるように言った。
「僕が見てくるよ。防具の中にこれがあったし、瓦礫をよじ登って確かめるくらいなら行ける」
「私も行く、タッツーはここに残って何かあった時は頼む」
ムッツーは立ち上がり、僕と同じように防護マスクを装着した。僕がつけているものとデザインが違うが、性能は一緒そうなので大丈夫だろうと思った。
「よし・・・私とヨーちゃんはもう一度あのネズミの死体があった場所に行ってくる。何があったのか調べてくるからその間は、タッツーと一緒にいてくれ、暗くなる前までには戻ってくる」
他のメンバーは頷き、ムッツーと僕はネズミの死体がある場所へ向かった。さすがにこれはデートではと思うほど自分は花畑じゃなかった。
お互い無言のまま、さっき見た大量のネズミの死体がある場所まで戻ってきた。何か会話でもしようと思ったのだけど、特に何か話のネタとなるようなものが思いつかなかった。頭の中にあったのはぴっちりしたその服装がとてもエロいですねで頭がいっぱいだったからだ。
下手な視線でもムッツーに向けようものならば即座に気づかれてしまうので、常に平静を装うしかない。
妄想していると、気が付いたらさっきの場所に到着していた。防護マスクをしているので、さっき来た時よりは異臭は緩和され、ひどくはなかった。僕は辺りを見ながら、瓦礫の山を登る事にした。一歩ずつ、足場が崩れないか気にしながらゆっくりと登っていった。ムッツーも一緒に登り、瓦礫の山を登りきることができた。
瓦礫の山を登らないと大量のネズミの死体がどの程度大量なのか、わからないのもあった。
登るときに足元が崩れたりしないかちょっと怖かったが思いのほか、ケガをすることなく登れた。大量のネズミの死体が一山だけではなく、他にもあり、どうやってこんなに積み上げたのかと思うような状態だった。もしかしたら、中身は瓦礫の山で、それに死体が覆いかぶさってるだけかもしれないと思った。
そして、見晴らしがよくなった事によってそこから見えたのはネズミの死体だけではなく、自分たちと同じような年齢の人たちが複数人倒れていたのだった。
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