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僕は見えていることをムッツーに伝える事にした。
「見えるか、あそこに人が倒れている。おそらく……信じたくないが……信じたくない、が……多分……」
「ヨーちゃん、言わなくてもわかる。ここは思った以上にヤバイ」
「せめて、何があったのか……わかれば」
僕は瓦礫の山を歩き、下には降りないようにし、別の角度から何かわかるかもしれないと思い移動した。
「おい、待て、私も行く」
僕たちは、より奥の方へ向かっていくと、集落のような簡易テントや野営の道具が置かれた広場を見つけた。人間がどのような状態でどんな風に倒れているのか、遠目からでもなんとなく表情がわかる程度まで近づいた。
どれも苦悶な表情を浮かべ、胸や首などに手で何か苦しんだ状態で倒れていた。いや死んでいた。そして、近くには直前に食べていたと思われるものが落ちていた。食器などが散乱し、さらには、大量ではないもののネズミの死体が散乱していた。そして、人間がネズミにかじられた痕があるように見えた。
「食中毒か?」
「ネズミは食中毒になった人間を食って、死んだ……? いやそれじゃあ、あの大量のネズミの死体は……?」
僕たちは見渡す景色の中で憶測でしか語れなかった。
「くっ……降りて確かめるしかないか……」
勇気を出し、確かめる事にした。ここまで来て、怖気づいてしまうのはかっこわるい。正直、ちょっと震えているけれど、さすがにゾンビものの映画ならすでに襲われていてもおかしくないし、多分何もおきないはずだと言い聞かせた。
でもやっぱり人間の死体は怖い。
僕は一度目をそむけそうになったが、ひどい惨状をまた目にしながらも死体が散乱している広場に降りる事にした。確かめなければ前に進めない、元の世界に戻るにはここで死ぬわけにはいかない。今ここで苦しんで死んだ人たちに何か手がかりがあるかもしれないし、僕たちはそれを回避できるかもしれない。何度も自分の中で勇気づけるように言い聞かせた。
「お、おい、待て……私も行く」
僕たちは、瓦礫の山から降りて、広場を改めて見渡した。
「うっ……、これはひどい」
ムッツーはマスクをしているものの、口元を手で押さえていた。肌が露出している場所はところどころネズミにより食い散らかされた後があり、骨がむき出しになってる箇所や臓腑など露出している死体があった。
「ぐっ……」
思わず吐きそうになるが、歯を食いしばって我慢した。防護マスクの中で吐きたくない。
僕は死体を見ながら、おかしいことに気づいた。それはネズミの死体を見た時に感じたものだった。近寄りたくなかったが、しゃがみ込んで死体に触れずに目視で確かめる。
「ムッツー……虫がいない。ネズミの死体の所もそうだったがハエや蛆虫がいない」
「どういうことだ……」
僕も知りたい、ゾンビものとかそういうのってハエや蛆虫がこれでもか気持ち悪く出る。どういう原理で蛆虫とかハエがが出てくるのかわからないけれど、ここにはそれがいない。
僕は立ち上がると周りのテントやキャンプ道具など自分たちが持っていない物がないか、何か変わったことや違いがないか確かめる事にした。瓦礫の山の上から見ただけでも一クラス分の人数が倒れていた、そうなってくると仮にこの人たちにもアビリティ・スキルがあったとしたら、僕たちが持っていなかった物を持っているかもしれない。
電子機器類、携帯電話やタブレットなどそういった物を召喚できる人がいてほしいと思った。それがあれば、マナチを映像に残せる。
「今、ここで見える死体の数だけで一クラス分はいる。もし、もしもかしたら……誰かがアビリティ・スキルで電子機器を持ってる人がいるかもしれない」
途中噛んでしまった。思惑がバレないでしてくれ。
「ここにいる人たちも私たちと同じ不思議なアーミーナイフを持っていたという事か?」
「さすがに僕たちだけ、というわけじゃない気がする。もしかしたら別の何かかもしれない、わからないけれど、ただそうじゃないとこの道具とか私たちが使っていたものと似たようなのは説明つかないし……」
「そうだな、手分けして探してみよう。ただ、あまり死体には触れないでおこう」
僕たちは死体の周りで見たことがないものがあるか、手分けして探すことにした。
しかし、電子機器といったものが発見できず、わかったのは男はおらず、女だけであり、自分たちと同年代しかいないこと、テントの数と死体の数が一致しない事から、ここはすでに百合カップルが出来上がっていた可能性が高いという事だった。
「もしかしたら、この中で生き残りがいるのか?」
僕はふと、痴情のもつれやカップル同士の雰囲気に当てられて去った人がいるかもしれないと考えた。
「ヨーちゃんもそう思ったか、瓦礫の山を登らない限りは、出入口はあの大量のネズミの死体があった場所だけだったが、こうなる前に逃げた人もいるかもしれないな。とりあえず、そろそろ戻ろうか」
「そうだな、戻るときは来た時と同じ道順で帰ろう。あの大量のネズミの死体の前は通りたくない」
「確かに」
「見えるか、あそこに人が倒れている。おそらく……信じたくないが……信じたくない、が……多分……」
「ヨーちゃん、言わなくてもわかる。ここは思った以上にヤバイ」
「せめて、何があったのか……わかれば」
僕は瓦礫の山を歩き、下には降りないようにし、別の角度から何かわかるかもしれないと思い移動した。
「おい、待て、私も行く」
僕たちは、より奥の方へ向かっていくと、集落のような簡易テントや野営の道具が置かれた広場を見つけた。人間がどのような状態でどんな風に倒れているのか、遠目からでもなんとなく表情がわかる程度まで近づいた。
どれも苦悶な表情を浮かべ、胸や首などに手で何か苦しんだ状態で倒れていた。いや死んでいた。そして、近くには直前に食べていたと思われるものが落ちていた。食器などが散乱し、さらには、大量ではないもののネズミの死体が散乱していた。そして、人間がネズミにかじられた痕があるように見えた。
「食中毒か?」
「ネズミは食中毒になった人間を食って、死んだ……? いやそれじゃあ、あの大量のネズミの死体は……?」
僕たちは見渡す景色の中で憶測でしか語れなかった。
「くっ……降りて確かめるしかないか……」
勇気を出し、確かめる事にした。ここまで来て、怖気づいてしまうのはかっこわるい。正直、ちょっと震えているけれど、さすがにゾンビものの映画ならすでに襲われていてもおかしくないし、多分何もおきないはずだと言い聞かせた。
でもやっぱり人間の死体は怖い。
僕は一度目をそむけそうになったが、ひどい惨状をまた目にしながらも死体が散乱している広場に降りる事にした。確かめなければ前に進めない、元の世界に戻るにはここで死ぬわけにはいかない。今ここで苦しんで死んだ人たちに何か手がかりがあるかもしれないし、僕たちはそれを回避できるかもしれない。何度も自分の中で勇気づけるように言い聞かせた。
「お、おい、待て……私も行く」
僕たちは、瓦礫の山から降りて、広場を改めて見渡した。
「うっ……、これはひどい」
ムッツーはマスクをしているものの、口元を手で押さえていた。肌が露出している場所はところどころネズミにより食い散らかされた後があり、骨がむき出しになってる箇所や臓腑など露出している死体があった。
「ぐっ……」
思わず吐きそうになるが、歯を食いしばって我慢した。防護マスクの中で吐きたくない。
僕は死体を見ながら、おかしいことに気づいた。それはネズミの死体を見た時に感じたものだった。近寄りたくなかったが、しゃがみ込んで死体に触れずに目視で確かめる。
「ムッツー……虫がいない。ネズミの死体の所もそうだったがハエや蛆虫がいない」
「どういうことだ……」
僕も知りたい、ゾンビものとかそういうのってハエや蛆虫がこれでもか気持ち悪く出る。どういう原理で蛆虫とかハエがが出てくるのかわからないけれど、ここにはそれがいない。
僕は立ち上がると周りのテントやキャンプ道具など自分たちが持っていない物がないか、何か変わったことや違いがないか確かめる事にした。瓦礫の山の上から見ただけでも一クラス分の人数が倒れていた、そうなってくると仮にこの人たちにもアビリティ・スキルがあったとしたら、僕たちが持っていなかった物を持っているかもしれない。
電子機器類、携帯電話やタブレットなどそういった物を召喚できる人がいてほしいと思った。それがあれば、マナチを映像に残せる。
「今、ここで見える死体の数だけで一クラス分はいる。もし、もしもかしたら……誰かがアビリティ・スキルで電子機器を持ってる人がいるかもしれない」
途中噛んでしまった。思惑がバレないでしてくれ。
「ここにいる人たちも私たちと同じ不思議なアーミーナイフを持っていたという事か?」
「さすがに僕たちだけ、というわけじゃない気がする。もしかしたら別の何かかもしれない、わからないけれど、ただそうじゃないとこの道具とか私たちが使っていたものと似たようなのは説明つかないし……」
「そうだな、手分けして探してみよう。ただ、あまり死体には触れないでおこう」
僕たちは死体の周りで見たことがないものがあるか、手分けして探すことにした。
しかし、電子機器といったものが発見できず、わかったのは男はおらず、女だけであり、自分たちと同年代しかいないこと、テントの数と死体の数が一致しない事から、ここはすでに百合カップルが出来上がっていた可能性が高いという事だった。
「もしかしたら、この中で生き残りがいるのか?」
僕はふと、痴情のもつれやカップル同士の雰囲気に当てられて去った人がいるかもしれないと考えた。
「ヨーちゃんもそう思ったか、瓦礫の山を登らない限りは、出入口はあの大量のネズミの死体があった場所だけだったが、こうなる前に逃げた人もいるかもしれないな。とりあえず、そろそろ戻ろうか」
「そうだな、戻るときは来た時と同じ道順で帰ろう。あの大量のネズミの死体の前は通りたくない」
「確かに」
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