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冤罪で聖女様が断罪されてから
1婚約破棄から断罪
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タイナー王立学園の本日は卒業式である。
公爵令嬢ビクトリア・ストロベリーは、病弱で休みがちなのであるが、小さい時から病弱であったため、公爵家の蔵書をほとんど読みつくした読書家である。そのため、出席日数は、ギリギリであったものの、常に試験をすればダントツ1位であるから、首席で卒業させてもらえることになったのである。
「公爵令嬢ビクトリア・ストロベリー、貴様との婚約は、本日をもち破棄させてもらうこととする。」
高らかに宣言されるのは、王太子殿下のロバート・タイナー様でいらっしゃる。そのお隣には、ピンクブロンドの庇護欲をそそるような令嬢が震えながら佇んでいらっしゃる。
ビクトリアは、来るべき日が来たと心得ている。なぜなら、5歳の頃、政略で婚約が決まったが、もうその頃から、ビクトリアは、病弱でしょっちゅう熱を出して寝込んでいたのである。それでも大きくなれば、体質が変わり丈夫になるかもしれないと言われ、固辞しているストロベリー家を尻目に強引に結ばされた婚約なのである。
王妃の仕事は過酷である。とても病弱なビクトリアに務まるものではないことをよく知っているからこそ、固辞していたのだ。
「承知いたしました。体調がすぐれぬ故、それではこれにて失礼。」
踵を返して、去ろうとするビクトリアの腕を騎士団長の息子が掴む。
「殿下の話は、まだ終わっておらぬ。」
「え?たとえそうであっても公爵令嬢のわたくしの腕を掴むなど無礼ではございませんか?」
「何を言っているのだ。ビクトリア貴様と俺との仲ではないか?」
「は?どんな仲なのですか?」
「さんざん愛し合った仲ではないか?」
「あのぉ……、あなた様のことを存じ上げませんが?わたくし病弱で学園には、試験の時しか出席して居なく、あなた様とは、初対面のはずでございますが。」
「しらばっくれるのもいい加減にしろ!貴様はそこのジェームズと浮気していたばかりか我が愛する男爵令嬢のリリアーヌを学園内でさんざん虐めぬいていたではないか?」
殿下の隣にいらっしゃる女性は、男爵令嬢のリリアーヌ嬢と仰るのか?そしてわたくしとうわきしていたとおっしゃるお相手の男性の名前がジェームズ様と言われると、初めて知ったのである。
「おそれながら、殿下、先ほども申し上げましたように、わたくしは学園にはほとんど参っておりません。そこのリリアーヌ嬢ともジェームズ様とも、初対面でございます。初対面の方相手に浮気や虐めなど、とうていできぬことでございますれば、どなたかと勘違いなさっていられるのではありませんか?」
「ひどいですわっ!ひどいっ!ひどいっ!ビクトリア様は私と殿下の仲を嫉妬して、私の教科書や制服を切り刻んだだけでなく、校庭の噴水に突き落とそうとなさったではありませんか?」
「素直に認めれば国外追放ぐらいで許してやろうと思っていたが、貴様は将来の国母を亡き者にしようとしたことから、死罪を申し渡すこととしよう。衛兵!この女を連れていけ!」
唖然とするビクトリア、そもそも抵抗する体力すら持ち合わせていないので、そのまま衛兵のされるがままに両手を拘束されて、地下牢に放り込まれたのである。
地下牢は、暗くじめじめとしていて、みるからに体に悪そうなところであった。冤罪で死罪なんて、あんまりだと思ったけど、もともと体が弱く、どうせ長くはない命このまま死んでも仕方がないとあきらめるビクトリア。
ビクトリアは地下牢の中にいる。
食事で出されたものは、カビの生えた固いパンと冷たいスープだけ、病弱なので普通の令嬢よりは、食が細いのであるが、ここの食事は、こんなもの人間が食べるものとは思えないほど、質素で腐っているものとしか言いようがないほど悪かったのである。
事の発端は、本日の卒業式で王太子殿下のロバート様より、婚約破棄を言い渡されたことに始まる。
ビクトリアが騎士団長の息子のジェームズと浮気していたと言われ、さらに男爵令嬢のリリアーヌ嬢を学園内で虐めぬいたなんて、冤罪をでっちあげられたことである。
どちらも身に覚えがないことを言われ、ひどく悲しいし、疲れたのである。
なぜ、そんなこと言われなきゃなんないのかしらね。腐った食事のほとんどを残し、今夜はさっさと寝ることにしよう。明日、考えればいい。ビクトリアに与えられたのは、毛布一枚。地下牢の床は、堅く冷え切っている。
そこへ毛布を敷いても、上に掛けても寒いものは寒い。寝返りを何度か打ち、気が付いたら明け方になっていたのである。
牢番が来て、今日、処刑だと告げられる。
ずいぶん早いのね。どっちにしても死ぬ運命だから、今日死のうが、明日死のうがそう変わらないのである。
身支度、といっても大したものはないが、少し髪形を整えて、牢から出て、囚人用の馬車に揺られる。断頭台の広場へ着くと、民衆の敵意が少々痛かったのである。
別にビクトリアの知り合いがいて、ビクトリアに対する悪意や敵意ではないことがわかっていても、胸が痛む。民衆は重税にあえぎ、貴族や王家に対して悪意を持っているのである。だから、今日処刑される貴族の娘がどうとか何も思っていないのである。
銅鑼の音が響き渡る。
ビクトリアは、断頭台に引きずり出される。今にも石を投げつけられそうになった時、ふと神様に何のために、わたくしはこの世に生を受けたのか、聞いてみたくなったのである。
いよいよ、ビクトリアが引きずり出される。固唾を飲み、その時が来るのを待つ。
ビクトリアは、昨日、家を出た時よりもさらに顔色が悪くなっていたのである。
処刑執行官に、最後の祈りをしても良いかと聞くと、
「懺悔か!? 手短にな。」
断頭台の手前にしゃがみ込み、神様に問う。
「生まれつき身体が弱いということは、罪なのでしょうか?だから、見ず知らずの人から愛し合ったなどと辱めを言われて、男爵令嬢からは虐めを受けたと嘘を吐かれなければならないのですか?神様、死に行く前に何卒、お教えくださいませ。」
突然、ビクトリアの身体が軽くなったように感じたのだ。
敵意むき出しだった民衆の顔がほころんで、
あれだけ王家や貴族に対し、苛立っていた民衆の頭上にどこから飛んできたのか花びらが大量に花吹雪のように舞い降りてくる。
花びらの香りか、何とも言えない甘いイイ匂いがあたり一面に立ち込める。
民衆のうちの誰か一人が
「せ、せい、聖女様だっ!」
「聖女様を助けろっ!」
「聖女様を処刑するなど、バカなことを言い出した王家をやっつけろっ!」
「聖女様を早く、お助けせぬか!」
聖女様の光を一瞬でも浴びた民衆は皆、持病が治ったのだ。薄毛、水虫、打撲、切り傷、やけどなどが、なぜか跡形もなく治っている!
断頭台の広場は騒然となったのである。
その時、間一髪のタイミングで重いギロチンの刃が落ちて、ビクトリアは亡くなる。
「これで邪魔者がいなくなり、せいせいしたわ。」
リリアーヌがニッコリ微笑むのと同時に大地が揺らぎ始める。
現れたのは、マグマ太子?真っ赤な炎を身に包んだ巨人が突如として現れる。
「聖女様を殺してしまったのは、誰だ?」
断頭台広場で、民衆は逃げ惑う。
ロバートとリリアーヌもそそくさと脱出を試みるが、民衆に取り囲まれて身動きが取れない。
「聖女様に嘘を吐いたのは、誰だ。」
民衆の一人が、リリアーヌを指さし叫んでいる。
「この女は、さっき『邪魔者がいなくなりせいせいした。』と喜んでいました。」
リリアーヌは誰かに聞かれていたことがわかり、ギョっとして、逃げ出そうにも民衆に取り囲まれている。
「お前か?お前が人間のクズか?聖女様の仇だ、こうしてやる。」
「何よ!玉の輿を狙って、何が悪いのよ!」
そこへ、巨人の真っ赤な手が伸びると、周りにいた民衆は慌てて、リリアーヌから離れる。
巨人は、真っ赤な手でリリアーヌを握りつぶすと、リリアーヌは、真っ黒の灰の塊となって、崩れ落ちていく。
そして、ロバート・タイナーに向き直り、
「お前が聖女様を処刑するように命じたのだな?」
「ひっ!わ、わ、私は、何も、ただ、ビクトリアがリリアーヌを虐めていたから、それに浮気をしていたからだ。」
「聖女様は、処女の証だが?純潔でなければ、聖女様になれないことを知らないのか?」
「ひっ!どうかお許しを。私は、リリアーヌとジェームズに騙されていただけなんだ。」
「許さん!聖女様の無念を思い知れ!」
ロバートも、リリアーヌと同様に握りつぶされ、あっという間に灰となって零れ落ちるのである。
マグマ太子は、そのまま王都の王城へ向かう。
「聖女様を陥れたのは、誰だ?ジェームズ出てこい!お前が出てこなければ、まずは、王城を火の海にしてやろう。」
マグマ太子は、口から火を吹き、城は真っ赤な炎に包まれている。
タイナー国王陛下は、慌てて城から出て、マグマ太子に懇願するも
「バカ息子が間違った判断をしたら、止めるのが親と言うものだろう。お前も聖女様を見殺しにした同罪人だ。聖女様の無念を思い知れ!」
「へ?ビクトリアが聖女様だとは、知らなかったのだ。頼む、助けてくれ。」
「うるさい!黙れ!」
こうして、タイナー国は亡ぶが、マグマ太子の復讐はまだだ。まだ、ジェームズを仕留めないと終われない。
その頃、ジェームズは必死に馬を走らせ、国境越を目指している。
断頭台で、ビクトリアが聖女様に覚醒したという知らせを受けてから、ヤバイと思い、逃げているが、ロバートもリリアーヌもすでにこの世にいないことを知らない。
王国自体が滅んでしまったとも、知らずに逃げているのだ。王国の騎士も、巨人相手では歯が立たず、みんな国を捨て逃げ出しているというのに。そうはさせじと、マグマ太子は、地面のあちこちからマグマを噴出させ、皆殺しをしているのだが、ストロベリー公爵家とその領地だけは、無傷である。
ストロベリー家に災いが降りかかることをビクトリアは、望んでいないから。今まで、育ててくださり、ありがとう存じます。と言って、死んでいったのだから。
ジェームズの父親の騎士団長も戦死した。バカ息子が大ウソを吐いたため、早々とその責任を取り、辞任したのだが、マグマ太子は許さなかったのである。
嘘つきのバカ息子に育てたことは、親に責任がある。
その論法から言うとリリアーヌの親も同罪で、すでに両親とも、リリアーヌの元へ送っている。
そして、ジェームズもマグマ太子の掌の上にいることに気づいていない。
目の前に突如現れた巨人の姿にビックリしているのだ。
「なんだ?あの化け物は?」
「ふぉっふぉっふぉ。見つけたぞ、貴様が大ウソつきのジェームズか!ずいぶん小男だな。」
ジェームズは、身長178センチの決して小男ではない。
巨人の言葉に憤慨しているジェームズ。
「小男とは、肝心なところが小さいという意味だ。聖女様を抱いたなどと嘘を吐くから、もう少し巨根の持ち主かと思えば、実に矮小な……。がはは。その程度の大きさでよくあんな大風呂敷を広げたものだな。さらに、その方にふさわしい大きさにしてやろう。」
ジェームズのイチモツに激痛が走り、見ると、イチモツが小指程度の大きさしかない。え?コレ、俺の?何度、見ても大きくならない。
「貴様には、死ぬより辛い罰を与える、それで辛抱してもらおう。一生、女を抱けない身体となったのだ。がはは。ざまぁみろ。」
その後、前タイナー国に悲哀に満ちたジェームズの泣き声が響くことになったのだ。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「いらっしゃいませ。肉体ブティックへようこそ。」
「え?」
「おや?これは珍しい聖女様のお越しとは?聖女様の仇は、異世界の神が必ず、取ってくださっているから安心して、成仏……、いやいや、三途の川など渡ってはダメよ。あなたは、非業の死を遂げたのだから、もう一度別人のカラダを買って、人生やり直さなければね。」
「……、あの……ここどこですか?」
「ここは、肉体ブティックよ。あなたは異世界で聖女様に覚醒されて、その後幸せな人生を送るはずが、第3者の手によりゆがめられた人生、というか死を選ばされてしまったのよ。だから、このブティックで別人のカラダを買い、その人の人生を歩むのよ。」
「はぁ、そんなことできるものですか?」
「できるわよ。あなたは処刑される直前、自分は何のために生きてきたのか?体が弱いことは罪ですか?と神に問うたではありませんか?神の答えがこの店なのです。」
「どうして、それを……。あ!ひょっとして、あなた様は女神様なのですか?」
「そうよ。私は女神。このブティックを任されているオーナーよ。もちろん、あなたは聖女様だから、それをそのまま持ち込んでもOKよ。聖女様と言うのは、おおむね100年に一度しか現れない貴重な存在で、前世、前々世で功徳を積んだ人がなる資格?職業?特性だから、それはそのまま来世でももっていけるものなのよ。」
「……。」
「で、何がいいかしらね?希望ある?やっぱり前と同じで公爵令嬢あたりがいいかしらね?」
「それは、まったく違う世界でも行けるのでしょうか?」
「ええ、もちろんよ。」
「同じ世界で、また、あの方たちと顔を合わせるのが辛いです。」
「それはそうだと思うけど、……だったら、ニッポンというのはどう?かなり平べったい顔をした民族なんだけど、一応建前としては、男女平等だから、元居た世界よりは住みやすいし、治安もいいわよ。文明も発達しているし、慣れたら気に入ると思うわ。」
「男女平等というのは、いいですわね。」
「政略で結婚させられることもない死、一応憲法と言う法律があってね、男女同権、職業選択の自由、言論の自由、結婚は両性の合意のみ成立するとか、元いた異世界よりは、個人の権利を主張できるわ。」
「そこでお願いします。」
「そうね……あなたは美人さんだから、お嬢さん育ちで、華やかな世界にいた人だから、……あった、あった。これなんかどうかしらね?」
それは女性ばかりで構成される歌劇団で、宝山歌劇団のトップ娘役の苺いちえのカラダだった。苺いちえは、舞台が暗転したとき、相手役の男役と手を繋いで入ろうとしたら、相手役のトップ男役スターさんが転んだ拍子に奈落に落ちてしまい、意識不明の重体となってしまったカラダです。
「大丈夫よ、歌って踊る歌劇団の生徒さんのカラダだから、丈夫よ。少々のことでは、病気にならないことを保証するわ。それに人気者だから、あなたにピッタリだと思うわ。」
ビクトリアは、前世病弱だったから、健康、丈夫と言うキーワードに弱い。
「それに、この歌劇団出身者は、みんないいところにお嫁に行くのよ。花嫁学校的な要素もある歌劇団なのよ。もし、アナタが前世の異世界での慣習を引きずっていたらの話なんだけどね、歌劇団の前に音楽学校と言う養成所に入っていてね、そこで基本のダンス、声楽、日舞に行儀作法を徹底して仕込まれるの。そして、卒業するときに初舞台を踏むんだけどね、その時に同期生一同が最初で最後の一緒の舞台を踏むんだけど、この時のラインダンスが壮観なのよ。一度、見て見るといいわよ。きっと、気に入るから。」
記憶喪失ということにすれば、問題ない。
「それと言い忘れたけど、一週間の無料お試し期間付きだから、イヤとか無理とか思ったら、いつでも返品可能です。では、楽しんでいってらっしゃいませ。」
聖女様は、神と同等で、当然、魔法も使える。
そのことを言わずに、女神様はビクトリアをニッポンに送り出してしまい、一波乱ありそうな予感。
公爵令嬢ビクトリア・ストロベリーは、病弱で休みがちなのであるが、小さい時から病弱であったため、公爵家の蔵書をほとんど読みつくした読書家である。そのため、出席日数は、ギリギリであったものの、常に試験をすればダントツ1位であるから、首席で卒業させてもらえることになったのである。
「公爵令嬢ビクトリア・ストロベリー、貴様との婚約は、本日をもち破棄させてもらうこととする。」
高らかに宣言されるのは、王太子殿下のロバート・タイナー様でいらっしゃる。そのお隣には、ピンクブロンドの庇護欲をそそるような令嬢が震えながら佇んでいらっしゃる。
ビクトリアは、来るべき日が来たと心得ている。なぜなら、5歳の頃、政略で婚約が決まったが、もうその頃から、ビクトリアは、病弱でしょっちゅう熱を出して寝込んでいたのである。それでも大きくなれば、体質が変わり丈夫になるかもしれないと言われ、固辞しているストロベリー家を尻目に強引に結ばされた婚約なのである。
王妃の仕事は過酷である。とても病弱なビクトリアに務まるものではないことをよく知っているからこそ、固辞していたのだ。
「承知いたしました。体調がすぐれぬ故、それではこれにて失礼。」
踵を返して、去ろうとするビクトリアの腕を騎士団長の息子が掴む。
「殿下の話は、まだ終わっておらぬ。」
「え?たとえそうであっても公爵令嬢のわたくしの腕を掴むなど無礼ではございませんか?」
「何を言っているのだ。ビクトリア貴様と俺との仲ではないか?」
「は?どんな仲なのですか?」
「さんざん愛し合った仲ではないか?」
「あのぉ……、あなた様のことを存じ上げませんが?わたくし病弱で学園には、試験の時しか出席して居なく、あなた様とは、初対面のはずでございますが。」
「しらばっくれるのもいい加減にしろ!貴様はそこのジェームズと浮気していたばかりか我が愛する男爵令嬢のリリアーヌを学園内でさんざん虐めぬいていたではないか?」
殿下の隣にいらっしゃる女性は、男爵令嬢のリリアーヌ嬢と仰るのか?そしてわたくしとうわきしていたとおっしゃるお相手の男性の名前がジェームズ様と言われると、初めて知ったのである。
「おそれながら、殿下、先ほども申し上げましたように、わたくしは学園にはほとんど参っておりません。そこのリリアーヌ嬢ともジェームズ様とも、初対面でございます。初対面の方相手に浮気や虐めなど、とうていできぬことでございますれば、どなたかと勘違いなさっていられるのではありませんか?」
「ひどいですわっ!ひどいっ!ひどいっ!ビクトリア様は私と殿下の仲を嫉妬して、私の教科書や制服を切り刻んだだけでなく、校庭の噴水に突き落とそうとなさったではありませんか?」
「素直に認めれば国外追放ぐらいで許してやろうと思っていたが、貴様は将来の国母を亡き者にしようとしたことから、死罪を申し渡すこととしよう。衛兵!この女を連れていけ!」
唖然とするビクトリア、そもそも抵抗する体力すら持ち合わせていないので、そのまま衛兵のされるがままに両手を拘束されて、地下牢に放り込まれたのである。
地下牢は、暗くじめじめとしていて、みるからに体に悪そうなところであった。冤罪で死罪なんて、あんまりだと思ったけど、もともと体が弱く、どうせ長くはない命このまま死んでも仕方がないとあきらめるビクトリア。
ビクトリアは地下牢の中にいる。
食事で出されたものは、カビの生えた固いパンと冷たいスープだけ、病弱なので普通の令嬢よりは、食が細いのであるが、ここの食事は、こんなもの人間が食べるものとは思えないほど、質素で腐っているものとしか言いようがないほど悪かったのである。
事の発端は、本日の卒業式で王太子殿下のロバート様より、婚約破棄を言い渡されたことに始まる。
ビクトリアが騎士団長の息子のジェームズと浮気していたと言われ、さらに男爵令嬢のリリアーヌ嬢を学園内で虐めぬいたなんて、冤罪をでっちあげられたことである。
どちらも身に覚えがないことを言われ、ひどく悲しいし、疲れたのである。
なぜ、そんなこと言われなきゃなんないのかしらね。腐った食事のほとんどを残し、今夜はさっさと寝ることにしよう。明日、考えればいい。ビクトリアに与えられたのは、毛布一枚。地下牢の床は、堅く冷え切っている。
そこへ毛布を敷いても、上に掛けても寒いものは寒い。寝返りを何度か打ち、気が付いたら明け方になっていたのである。
牢番が来て、今日、処刑だと告げられる。
ずいぶん早いのね。どっちにしても死ぬ運命だから、今日死のうが、明日死のうがそう変わらないのである。
身支度、といっても大したものはないが、少し髪形を整えて、牢から出て、囚人用の馬車に揺られる。断頭台の広場へ着くと、民衆の敵意が少々痛かったのである。
別にビクトリアの知り合いがいて、ビクトリアに対する悪意や敵意ではないことがわかっていても、胸が痛む。民衆は重税にあえぎ、貴族や王家に対して悪意を持っているのである。だから、今日処刑される貴族の娘がどうとか何も思っていないのである。
銅鑼の音が響き渡る。
ビクトリアは、断頭台に引きずり出される。今にも石を投げつけられそうになった時、ふと神様に何のために、わたくしはこの世に生を受けたのか、聞いてみたくなったのである。
いよいよ、ビクトリアが引きずり出される。固唾を飲み、その時が来るのを待つ。
ビクトリアは、昨日、家を出た時よりもさらに顔色が悪くなっていたのである。
処刑執行官に、最後の祈りをしても良いかと聞くと、
「懺悔か!? 手短にな。」
断頭台の手前にしゃがみ込み、神様に問う。
「生まれつき身体が弱いということは、罪なのでしょうか?だから、見ず知らずの人から愛し合ったなどと辱めを言われて、男爵令嬢からは虐めを受けたと嘘を吐かれなければならないのですか?神様、死に行く前に何卒、お教えくださいませ。」
突然、ビクトリアの身体が軽くなったように感じたのだ。
敵意むき出しだった民衆の顔がほころんで、
あれだけ王家や貴族に対し、苛立っていた民衆の頭上にどこから飛んできたのか花びらが大量に花吹雪のように舞い降りてくる。
花びらの香りか、何とも言えない甘いイイ匂いがあたり一面に立ち込める。
民衆のうちの誰か一人が
「せ、せい、聖女様だっ!」
「聖女様を助けろっ!」
「聖女様を処刑するなど、バカなことを言い出した王家をやっつけろっ!」
「聖女様を早く、お助けせぬか!」
聖女様の光を一瞬でも浴びた民衆は皆、持病が治ったのだ。薄毛、水虫、打撲、切り傷、やけどなどが、なぜか跡形もなく治っている!
断頭台の広場は騒然となったのである。
その時、間一髪のタイミングで重いギロチンの刃が落ちて、ビクトリアは亡くなる。
「これで邪魔者がいなくなり、せいせいしたわ。」
リリアーヌがニッコリ微笑むのと同時に大地が揺らぎ始める。
現れたのは、マグマ太子?真っ赤な炎を身に包んだ巨人が突如として現れる。
「聖女様を殺してしまったのは、誰だ?」
断頭台広場で、民衆は逃げ惑う。
ロバートとリリアーヌもそそくさと脱出を試みるが、民衆に取り囲まれて身動きが取れない。
「聖女様に嘘を吐いたのは、誰だ。」
民衆の一人が、リリアーヌを指さし叫んでいる。
「この女は、さっき『邪魔者がいなくなりせいせいした。』と喜んでいました。」
リリアーヌは誰かに聞かれていたことがわかり、ギョっとして、逃げ出そうにも民衆に取り囲まれている。
「お前か?お前が人間のクズか?聖女様の仇だ、こうしてやる。」
「何よ!玉の輿を狙って、何が悪いのよ!」
そこへ、巨人の真っ赤な手が伸びると、周りにいた民衆は慌てて、リリアーヌから離れる。
巨人は、真っ赤な手でリリアーヌを握りつぶすと、リリアーヌは、真っ黒の灰の塊となって、崩れ落ちていく。
そして、ロバート・タイナーに向き直り、
「お前が聖女様を処刑するように命じたのだな?」
「ひっ!わ、わ、私は、何も、ただ、ビクトリアがリリアーヌを虐めていたから、それに浮気をしていたからだ。」
「聖女様は、処女の証だが?純潔でなければ、聖女様になれないことを知らないのか?」
「ひっ!どうかお許しを。私は、リリアーヌとジェームズに騙されていただけなんだ。」
「許さん!聖女様の無念を思い知れ!」
ロバートも、リリアーヌと同様に握りつぶされ、あっという間に灰となって零れ落ちるのである。
マグマ太子は、そのまま王都の王城へ向かう。
「聖女様を陥れたのは、誰だ?ジェームズ出てこい!お前が出てこなければ、まずは、王城を火の海にしてやろう。」
マグマ太子は、口から火を吹き、城は真っ赤な炎に包まれている。
タイナー国王陛下は、慌てて城から出て、マグマ太子に懇願するも
「バカ息子が間違った判断をしたら、止めるのが親と言うものだろう。お前も聖女様を見殺しにした同罪人だ。聖女様の無念を思い知れ!」
「へ?ビクトリアが聖女様だとは、知らなかったのだ。頼む、助けてくれ。」
「うるさい!黙れ!」
こうして、タイナー国は亡ぶが、マグマ太子の復讐はまだだ。まだ、ジェームズを仕留めないと終われない。
その頃、ジェームズは必死に馬を走らせ、国境越を目指している。
断頭台で、ビクトリアが聖女様に覚醒したという知らせを受けてから、ヤバイと思い、逃げているが、ロバートもリリアーヌもすでにこの世にいないことを知らない。
王国自体が滅んでしまったとも、知らずに逃げているのだ。王国の騎士も、巨人相手では歯が立たず、みんな国を捨て逃げ出しているというのに。そうはさせじと、マグマ太子は、地面のあちこちからマグマを噴出させ、皆殺しをしているのだが、ストロベリー公爵家とその領地だけは、無傷である。
ストロベリー家に災いが降りかかることをビクトリアは、望んでいないから。今まで、育ててくださり、ありがとう存じます。と言って、死んでいったのだから。
ジェームズの父親の騎士団長も戦死した。バカ息子が大ウソを吐いたため、早々とその責任を取り、辞任したのだが、マグマ太子は許さなかったのである。
嘘つきのバカ息子に育てたことは、親に責任がある。
その論法から言うとリリアーヌの親も同罪で、すでに両親とも、リリアーヌの元へ送っている。
そして、ジェームズもマグマ太子の掌の上にいることに気づいていない。
目の前に突如現れた巨人の姿にビックリしているのだ。
「なんだ?あの化け物は?」
「ふぉっふぉっふぉ。見つけたぞ、貴様が大ウソつきのジェームズか!ずいぶん小男だな。」
ジェームズは、身長178センチの決して小男ではない。
巨人の言葉に憤慨しているジェームズ。
「小男とは、肝心なところが小さいという意味だ。聖女様を抱いたなどと嘘を吐くから、もう少し巨根の持ち主かと思えば、実に矮小な……。がはは。その程度の大きさでよくあんな大風呂敷を広げたものだな。さらに、その方にふさわしい大きさにしてやろう。」
ジェームズのイチモツに激痛が走り、見ると、イチモツが小指程度の大きさしかない。え?コレ、俺の?何度、見ても大きくならない。
「貴様には、死ぬより辛い罰を与える、それで辛抱してもらおう。一生、女を抱けない身体となったのだ。がはは。ざまぁみろ。」
その後、前タイナー国に悲哀に満ちたジェームズの泣き声が響くことになったのだ。
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「いらっしゃいませ。肉体ブティックへようこそ。」
「え?」
「おや?これは珍しい聖女様のお越しとは?聖女様の仇は、異世界の神が必ず、取ってくださっているから安心して、成仏……、いやいや、三途の川など渡ってはダメよ。あなたは、非業の死を遂げたのだから、もう一度別人のカラダを買って、人生やり直さなければね。」
「……、あの……ここどこですか?」
「ここは、肉体ブティックよ。あなたは異世界で聖女様に覚醒されて、その後幸せな人生を送るはずが、第3者の手によりゆがめられた人生、というか死を選ばされてしまったのよ。だから、このブティックで別人のカラダを買い、その人の人生を歩むのよ。」
「はぁ、そんなことできるものですか?」
「できるわよ。あなたは処刑される直前、自分は何のために生きてきたのか?体が弱いことは罪ですか?と神に問うたではありませんか?神の答えがこの店なのです。」
「どうして、それを……。あ!ひょっとして、あなた様は女神様なのですか?」
「そうよ。私は女神。このブティックを任されているオーナーよ。もちろん、あなたは聖女様だから、それをそのまま持ち込んでもOKよ。聖女様と言うのは、おおむね100年に一度しか現れない貴重な存在で、前世、前々世で功徳を積んだ人がなる資格?職業?特性だから、それはそのまま来世でももっていけるものなのよ。」
「……。」
「で、何がいいかしらね?希望ある?やっぱり前と同じで公爵令嬢あたりがいいかしらね?」
「それは、まったく違う世界でも行けるのでしょうか?」
「ええ、もちろんよ。」
「同じ世界で、また、あの方たちと顔を合わせるのが辛いです。」
「それはそうだと思うけど、……だったら、ニッポンというのはどう?かなり平べったい顔をした民族なんだけど、一応建前としては、男女平等だから、元居た世界よりは住みやすいし、治安もいいわよ。文明も発達しているし、慣れたら気に入ると思うわ。」
「男女平等というのは、いいですわね。」
「政略で結婚させられることもない死、一応憲法と言う法律があってね、男女同権、職業選択の自由、言論の自由、結婚は両性の合意のみ成立するとか、元いた異世界よりは、個人の権利を主張できるわ。」
「そこでお願いします。」
「そうね……あなたは美人さんだから、お嬢さん育ちで、華やかな世界にいた人だから、……あった、あった。これなんかどうかしらね?」
それは女性ばかりで構成される歌劇団で、宝山歌劇団のトップ娘役の苺いちえのカラダだった。苺いちえは、舞台が暗転したとき、相手役の男役と手を繋いで入ろうとしたら、相手役のトップ男役スターさんが転んだ拍子に奈落に落ちてしまい、意識不明の重体となってしまったカラダです。
「大丈夫よ、歌って踊る歌劇団の生徒さんのカラダだから、丈夫よ。少々のことでは、病気にならないことを保証するわ。それに人気者だから、あなたにピッタリだと思うわ。」
ビクトリアは、前世病弱だったから、健康、丈夫と言うキーワードに弱い。
「それに、この歌劇団出身者は、みんないいところにお嫁に行くのよ。花嫁学校的な要素もある歌劇団なのよ。もし、アナタが前世の異世界での慣習を引きずっていたらの話なんだけどね、歌劇団の前に音楽学校と言う養成所に入っていてね、そこで基本のダンス、声楽、日舞に行儀作法を徹底して仕込まれるの。そして、卒業するときに初舞台を踏むんだけどね、その時に同期生一同が最初で最後の一緒の舞台を踏むんだけど、この時のラインダンスが壮観なのよ。一度、見て見るといいわよ。きっと、気に入るから。」
記憶喪失ということにすれば、問題ない。
「それと言い忘れたけど、一週間の無料お試し期間付きだから、イヤとか無理とか思ったら、いつでも返品可能です。では、楽しんでいってらっしゃいませ。」
聖女様は、神と同等で、当然、魔法も使える。
そのことを言わずに、女神様はビクトリアをニッポンに送り出してしまい、一波乱ありそうな予感。
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