ようこそ肉体ブティックへ~肉体は魂の容れ物、滅んでも新しい肉体で一発逆転人生をどうぞ

青の雀

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偽聖女様を虐めたと成敗される

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 「いらっしゃいませ。ようこそ肉体ブティックへ。あら、お揃いでどうかしたの?ヤダ、まさかまた返品したいなんて言うんじゃないでしょうね?」

 女神様は二人の姿を見るなり、素っ頓狂な声を出される。

 「ちがいます。ニッポンで悪党を捕まえてきました。」

 まりあと大輔は、ニッポンで悪党を懲らしめ、氷浸けにしてここへ運んできたいきさつなどを話す。

 「なんですって!奇跡の聖女様の存在を否定して、味見して売り飛ばす?許せないわっ!聖女様の存在を否定することは、神への冒涜よ!そんなこと看過できるわけがない。わかったわ。ちょっとここで待ってて。上司の神と相談してくる。」

 まりあは待っている間、小腹が空いたので、ありあわせの材料でお好み焼きを作る。甘いモノより炭水化物が食べたくなったのだ。それになんだか大輔のお腹もさっきからうるさいほどに鳴っているから。

 ちょうど2枚焼き上がりソースを塗り、青のりと鰹節を散らしていると、そこへ上司の神様とともに女神様が戻ってこられる。

 「うーん。いい匂いがすると思ったら、お好み焼きを焼いていたの?わたくし大好きなのよ。カトレーヌにもよく焼いてもらったわ。と言っている場合じゃない!こちらはわたくしの上司の神でニッポンを担当している浦島桃太郎様です。詳しいことは、彼から聞いて。わたくしはちょっとお味見を……。」

 テーブルの前にそそくさと座り、まりあが食べようとしていたお好み焼きにパクついている。

 「ステファニー、行儀が悪かろう。」

 「だって、大好きなんだもん♪」

 「儂はニッポン国を守る神で、浦島桃太郎と申すものじゃ。昨今、ニッポンでは金のために悪行が蔓延っていると聞く。よって、安林大輔、花園まりあの両名に特別にキーハンターの称号を与え、非常のライセンスを贈呈するものとする。」

 「「?」」

 「桃太郎様、そんな説明ではおふたりとも理解されてないわよ?」

 「うむ。要するにだ。悪人を懲らしめるための力と免許を渡すということだ。懲らしめる途中で相手を殺してしまっても構わないということだ。ちなみに今、異空間に入っている悪人どもを引き渡し願おう。ここで出すのは、憚られるから、外で三途の川のところで出してくれ。」

 まりあと大輔は、言われるままに桃太郎神様に同行し、店の外の三途の川の前で、異空間から氷になった悪党どもを出す。

 「その方らは、店で待つがよい。」

 まりあと大輔は、ブティックへ戻ると女神様は一枚お好み焼きを食べ終えた後で、もう一枚大輔の分も食べようかと思案しているところだった。

 「女神様、まだまだ焼きますから、待っててくださいね。」

 まりあは台所に立ち、お好み焼きを焼いていく、桃太郎神様も食べられるかもしれないから3枚焼く。もし食べられなくても、大輔なら2枚や3枚食べてくれるだろう。

 お好み焼きを次々焼いていると、桃太郎神様が戻ってこられた。

 思ったよりは、悪党どもがまったく自分の置かれている立場が分かっていないようで、ニッポンの神様に食って掛かったそうだ。ゴキブリに転生させることも考えたが、それでは何の解決にもならないから、地獄の鬼に預けることにしたそうだ。1000年間、地獄の鬼の扱きに堪えられたら、それからゴキブリに転生させることになるとか。

 若い男の子の夢を奪ったのだから、当然の報いだ。

 しかし、これから命じた雇い主を探し出さなければならない。悪党の話によれば、息子をNリーガーにしたいからと、金を出し有望な選手を潰しに回っているらしい。

 それからは、お好み焼きパーティになって、大輔の武勇伝を、目を細めて聞いていらっしゃった。ただ女神様だけは嫌そうな顔をされていたけど、上司の手前黙って頷かれていたところを見ると現代の宮仕えとなんらかわりがないというところか。

 大輔はまりあと同じ力を手に入れ、意気揚々としている。そしていじめられっ子に転生したとき、不良をやっつけたことも今回の実績になっていることを知り、やっぱり正しい判断だったとあらためて思う。

 ただ呼び名が聖魔法ではなく、神通力となったことぐらいで、力に差はない。

 これからは政治家や企業の巨悪に立ち向かわねばならない。18歳の二人では心もとないので、逐一、女神様に報告するようにと念を押され、お開きとなったのである。

 大輔が神通力の中で一番気に入っているのが、転移魔法。ギリギリまで朝寝しても遅刻知らずになったことが一番嬉しい。

 そしてまりあ様と正式に付き合うことになったことも。あの後、お互いの気持ちを確かめ合って、付き合うことにしたのだ。

 まりあ様と付き合うようになり、より一層神通力が強くなったような気がする。やはり聖女様と愛し合う行為が強くさせているということと、守るものができたので、男として一皮むけた部分が影響しているのだろう。

 前世の嫁とも同級生の幼馴染であったから、よほど同い年に縁があるのかもしれない。同じ時間を共に生き、共に老いることは幸せなことだと思う。

 まりあと大輔は半同棲生活に入る。表向きは別々のところに暮らしていて、玄関も別にあるが中は異空間通路で行き来できる。

 家事のほとんどはまりあの担当だが、ゴミ出しや重いものを運ぶときは大輔が引き受けてくれる。

 まりあはキャサリン時代にリチャードと付き合ったことはあるが、今世のように一緒に暮らした経験はないから新婚気分が楽しい。キャサリンの時は、処女でプラトニックなラブだったから、大輔に抱かれてからはじめて女になったのだ。

 聖女の力も大輔に抱かれてから強くなったような気がする。これも相乗効果なのかもしれない。

 大輔は結婚しようと言ってくれるが、学生の身分での結婚は難しい。プロとしてデビューしてくれたらできるかもしれないが、どうやら大輔はNリーグなど目指していないらしく、本人は祖国ではレジェンド、英雄と欲しい名前をもらっていたから世界で活躍したいらしい。

 「まりあ様、俺が世界デビューをするとき一緒に来てくれ。」

 「もちろんですわ。」

 そしてまたチュッチュして、愛し合う。
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