ようこそ肉体ブティックへ~肉体は魂の容れ物、滅んでも新しい肉体で一発逆転人生をどうぞ

青の雀

文字の大きさ
51 / 62
偽聖女様を虐めたと成敗される

9

しおりを挟む
 まりあと大輔は二人協力し合って、政治家の汚職事件、芸能人の巨額脱税事件、大企業の総会対策と称した反社会的集団との癒着などを次々と暴いていく。命の危険にさらされるが、たいてい隠蔽をかけているので、どこの誰の仕業かわからないようだ。

 将来のNリーガーを襲っている悪党のボスは、西都大学に息子を通わせている西崎洋一だということがわかった。西崎は西都大学に多額の寄付をしている理事の一人。最近、成り上がった不動産屋で、世の中金さえあれば、なんでもうまくいくものだと信じている。

 大輔が所属する東都大学のサッカー部と西都大学のサッカー部が対抗試合をすることになった。なんでもその試合でNリーグのスカウトがやってくると言うから、みんな張り切っているようだ。

 当然、その前日までにはまた大輔を狙った新たな悪党がやってくるに違いない。

 そこを狙って、二人は作戦を練る。同級生も餌食になっていることから、同い年の可能性は否定できない。西都大学のスタメンには、西崎の名前はない。

 いつもは大学から自宅まで、転移を使って移動するのだが、試合に出ることが決まってからは、徒歩で通学するようにしている。もちろん、隠蔽魔法で常に聖女様が同行している。自分が囮になれば必ず何か仕掛けてくると信じているから。

 そして、二人には内緒?のことだけど、女神様と桃太郎神様もご一緒に見張っている。若い男の子の夢を奪うなんて、鬼畜に等しい。

 悪党どもは、どんな卑怯な手を使ってくるかわからないので、不測の事態に備えるためである。

 神様の予感は的中する。大輔の両親を狙ったのだ。両親が乗っている車のブレーキオイルを細工して、ブレーキが利かないようにしていたのだ。

 両親の交通事故を囮にすれば、必ずや大輔が一人で来ると踏んでいる。

 それで神様たちは、大輔の両親のブレーキオイルはそのままにして、両親の車に細工をしたつもりが悪党の車に細工するように変更する。

 うまくいったとほくそ笑み、悪党が車に乗り込んだ。あとは、大輔が血相変えてやってくるところを捕まえ、足腰が立たないようにボコボコにする計画。

 ところが大輔の両親が車に乗り込み発車させてもブレーキに異常がないどころか、悪党が乗り込んだ車の調子が何やらおかしい。ブレーキが利かなくなり、ついには暴走の上、壁に激突して止まった。

 上空には自らの車のブレーキを細工している様子が浮かび上がっている。

 まるで映画のワンシーンかのような映像に道行く人々は足を止め見上げる。

 瀕死の重傷を負った悪党の一味は、その映像を見て、そのままこと切れる。

 「そんな……バカな……。」

 西崎洋一は地団太を踏む。





 いよいよ対抗試合が始まる。西都大学の応援はいかにも金持ち大学と言うにふさわしく金ぴかぞろい。

 対して、東都大学はというと、赤薔薇女子大学の学生が地味に応援している。赤薔薇女子大の校訓は「気高く華やかに美しく」だから、そこにいるだけで成金ではないゴージャス感が漂っている。

 奇跡の女子大生が応援に来るということもあり、マスコミが多数押しかけている。

 ますます士気が上がる両チームメンバーたち。

 いよいよキックオフである。

 安林大輔は世界のレジェンドにしかできない技を次々繰り出し、先制点を得る。芸能班でなくスポーツ班も注目する中、西都はメンバー交代で西崎洋平を指名する。

 金ぴか親父の洋一は、「あっぱれ」と書かれた扇子を取り出し、エールを送っている。

 洋平は走ってボールを追いかけ、スカウトマン、マスコミや親父にいいところを見せたいと張り切っている。

 洋平のところにパスが送られてくるも、なぜか右足が動かない?ボールは素通りしていく。

 アンフェアーだけど、まりあ聖女が魔法を使っている。自分と同い年の有望な選手を金の力で次々つぶしているのだから、どっちがアンフェアーかわからない。

 また、ボールを追いかけ走るが、そういうことが2~3度続くと、もう洋平のところへパスは送られなくなり、メンバーを交代させられてしまう。

 洋平は監督から叱られるが、なぜか蹴ろうとすると足が動かなくなったと言い訳をしている。

 試合は東都の圧勝で、大輔のところには、マスコミとスカウトのほかに西都のチームメンバーからユニフォームを交換したいとの申し出が殺到する。

 ユニフォームは一枚しかないから、じゃんけんで交換相手を選ぶことにする。

 ふと、大輔がじゃんけんしているメンバーを見ると、なんと!洋平も混じってじゃんけんしているではないか!

 もし、洋平が勝って、ユニフォームを手に入れたら、呪いをかけられるのでは?と心配する。

 結局、洋平はじゃんけんにも負け、杞憂に終わる。

 「奇跡のレジェンドの技をどうやって習得されましたか?」

 マスコミは、大輔が適当にあしらってもしつこく食い下がる。

 「昔からファンで、足さばきを研究していました。」

 大輔が心底嫌そうな顔をしているにもかかわらず、なおも食い下がる。

 「奇跡のレジェンドは、先の大戦で戦死されましたが、どう思われますか?」

 「心よりお悔やみ申し上げます。」

 奇跡のレジェンドは俺自身だ。その技を封じていても、目の前にボールが着た途端、勝手に足が動いてしまうから仕方がない。

 普段の練習では一度も使っていない。と思う。なぜか本番試合になると、潜在意識が活発になる。いじめられっ子に転生したとき、不良から絡まれたときもそうだった。

 兵役の時を思い出し、相手をねじ伏せるまで叩きのめす。そうしなければ、殺られてしまうからだ。少しも気を抜けない。

 いつも緊張状態を和らげてくれる唯一の存在が、聖女まりあ様なのである。

 いつの間にか、奇跡の女子大生花園まりあが自分の横に来てくれていた。それでマスコミはまりあのほうへ殺到し、やっと取材攻勢から逃れられる。

 まりあのボディガードのくせに、なんて情けないと思う。ただ、今日は心身ともに疲弊したので、早く帰って寝よう。ロッカールームに行き、そのまま転移で帰宅する。

 帰宅したら、もうまりあは帰っていた。

 「疲れたでしょう。栄養ドリンクを買っておいたので、飲んで。」

 手渡してくれるので、つい甘えて

 「口移しで飲ませて。」

 まりあは、俺の横へ座り、キャップを外し、一口含み、それから俺の口へ栄養ドリンクを流す。同時に俺に回復魔法をかけてくれるものだから、たちまちアソコは、ムクムクと元気が出てくる。

 そして朝まで愛し合うことになるのだが、翌日のスポーツ新聞一面に「奇跡のレジェンド、復活!」の文字が躍ることを大輔はまだ知らない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...