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ある夜、夢を見た。誰かがシクシク泣いている。よく見てみると、前世の我が子ユリウスだった。
「ママ、僕は要らない子?」
「そんなことないわ。でも、ママはもう生まれ変わってしまって、別の人生を歩んでいるのよ。だから、もう会えないわ」
「イヤだ。また、ママの子として産んでよ」
「パパと会えなくなってもいいの?」
「いいよ。パパは家族のことを顧みなかったもの。いつもリリアーヌ叔母さんのことばかり、気にかけていたから、あんなパパならいらない」
「……」
ユリウスのことを思い出していたら、自然と涙が零れ落ちた。生意気な子供だったけど、可愛いところも確かにあった。あのリリアーヌという聖なる乙女が現れるまでは。
でも、もう何もかも遅い。遅すぎる。過ぎ去った過去は、元に戻せない。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
学園の期末試験が終わり、後は、夏休みが来るのが待ち遠しい。
アンドリューは、あれから毎日、違う女の子を腕にぶら下げて、いちいち偶然だと言いながら、ティアラベルローゼの前を横切る。
花束攻撃がなくなっただけでも、よしとする。
マクシミリアンは、誰にでも愛想がいい。愛嬌を振りまく、八方美人なタイプだということがわかった。それが、三男坊の良いところなのかもしれないと思う。少なくとも仏頂面されているよりは、マシだと思う。
その仏頂面をしているのが、クリストファー殿下。花園事件以来、冷戦状態が続いている。
そんなんだから、婚約者に浮気されてしまうのよ。と言いたいけど、言えない。そんな関係がずっと続いている。そして、週末になると、ティアラベルローゼは、クリストファーを無視して、置いてけぼりを食らわせ、さっさと転移して旅行に行ってしまう。
夏休みの予定を決めかねていると、突如として、第2王子様が帰国された。
ある夜会で、突然声をかけられ、困惑して返事に窮した。前世を思い出しても、何ひとつ接点がなく、全く記憶に残っていないから。
確か、王位に就かれたことだけしか、覚えていない。
「そう身構えることないよ。いつも兄貴と弟がお世話になっているみたいだから、ちょっと挨拶でもしようかと思って、帰国しただけだから」
そんなこと言われてもね。高嶺の花的な存在に違いはない。ティアラベルローゼは頭の中が真っ白になっていき、一言も言葉を紡げない。そんなティアラベルローゼの心の中を見透かしたように、第2王子殿下は、話を続ける。
「夏休み、よければ、僕が留学している国へ来ない?案内するよ。聖女様は、国内のいろんな場所に行っておられるみたいだから、アトランティスもいいけど、世界は広いから、もっと検分を広げた方がいいと思うのだけどね」
「この申し出は、とてもありがたく存じます」
やっとのことで、絞り出した言葉は、第2王子殿下への感謝の言葉だった。
「そうか。じゃあ、決まったね。夏休み、迎えに行くよ」
「ありがとうございます」
新しい世界を見られるなんて、本当にラッキーだと思う。しかも王子様の案内付きなんて、夢みたい。
ユリウスやアンドリューの夢は見たくないけど、こういう夢なら大歓迎だわ。
そして、終業式の日が来た。なぜか、3人の王子様が雁首をそろえている。3人というのは、クリストファー殿下、アンドリュー殿下、そしてマクシミリアン殿下の御三方である。
「ティアラ!」(クリストファー殿下)
「ベル!」(アンドリュー殿下)
「ローゼ!」(マクシミリアン殿下)
お三方、それぞれがティアラベルローゼの名前を短縮して呼び掛けてくる。
「何か、ご用?」
「「「決まっているだろ?夏休みの予定は立てたか???」」」
「ああ、それね。第2王子殿下の留学先へ遊びに行くことになりましたわ」
「「「えっ!いつの間に!?」」」
「見聞を広げに行きますの」
「ママ、僕は要らない子?」
「そんなことないわ。でも、ママはもう生まれ変わってしまって、別の人生を歩んでいるのよ。だから、もう会えないわ」
「イヤだ。また、ママの子として産んでよ」
「パパと会えなくなってもいいの?」
「いいよ。パパは家族のことを顧みなかったもの。いつもリリアーヌ叔母さんのことばかり、気にかけていたから、あんなパパならいらない」
「……」
ユリウスのことを思い出していたら、自然と涙が零れ落ちた。生意気な子供だったけど、可愛いところも確かにあった。あのリリアーヌという聖なる乙女が現れるまでは。
でも、もう何もかも遅い。遅すぎる。過ぎ去った過去は、元に戻せない。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
学園の期末試験が終わり、後は、夏休みが来るのが待ち遠しい。
アンドリューは、あれから毎日、違う女の子を腕にぶら下げて、いちいち偶然だと言いながら、ティアラベルローゼの前を横切る。
花束攻撃がなくなっただけでも、よしとする。
マクシミリアンは、誰にでも愛想がいい。愛嬌を振りまく、八方美人なタイプだということがわかった。それが、三男坊の良いところなのかもしれないと思う。少なくとも仏頂面されているよりは、マシだと思う。
その仏頂面をしているのが、クリストファー殿下。花園事件以来、冷戦状態が続いている。
そんなんだから、婚約者に浮気されてしまうのよ。と言いたいけど、言えない。そんな関係がずっと続いている。そして、週末になると、ティアラベルローゼは、クリストファーを無視して、置いてけぼりを食らわせ、さっさと転移して旅行に行ってしまう。
夏休みの予定を決めかねていると、突如として、第2王子様が帰国された。
ある夜会で、突然声をかけられ、困惑して返事に窮した。前世を思い出しても、何ひとつ接点がなく、全く記憶に残っていないから。
確か、王位に就かれたことだけしか、覚えていない。
「そう身構えることないよ。いつも兄貴と弟がお世話になっているみたいだから、ちょっと挨拶でもしようかと思って、帰国しただけだから」
そんなこと言われてもね。高嶺の花的な存在に違いはない。ティアラベルローゼは頭の中が真っ白になっていき、一言も言葉を紡げない。そんなティアラベルローゼの心の中を見透かしたように、第2王子殿下は、話を続ける。
「夏休み、よければ、僕が留学している国へ来ない?案内するよ。聖女様は、国内のいろんな場所に行っておられるみたいだから、アトランティスもいいけど、世界は広いから、もっと検分を広げた方がいいと思うのだけどね」
「この申し出は、とてもありがたく存じます」
やっとのことで、絞り出した言葉は、第2王子殿下への感謝の言葉だった。
「そうか。じゃあ、決まったね。夏休み、迎えに行くよ」
「ありがとうございます」
新しい世界を見られるなんて、本当にラッキーだと思う。しかも王子様の案内付きなんて、夢みたい。
ユリウスやアンドリューの夢は見たくないけど、こういう夢なら大歓迎だわ。
そして、終業式の日が来た。なぜか、3人の王子様が雁首をそろえている。3人というのは、クリストファー殿下、アンドリュー殿下、そしてマクシミリアン殿下の御三方である。
「ティアラ!」(クリストファー殿下)
「ベル!」(アンドリュー殿下)
「ローゼ!」(マクシミリアン殿下)
お三方、それぞれがティアラベルローゼの名前を短縮して呼び掛けてくる。
「何か、ご用?」
「「「決まっているだろ?夏休みの予定は立てたか???」」」
「ああ、それね。第2王子殿下の留学先へ遊びに行くことになりましたわ」
「「「えっ!いつの間に!?」」」
「見聞を広げに行きますの」
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