夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀

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 結婚式は滞りなく終わり、ブーケを投げる時が来た。アンソロジー学園のクラスメイトが前面に出てくる。

 その時、なぜか聖なる乙女のマリアーヌも、そのクラスメイトの中に便乗したように混ざっている。

 ティアラベルローゼは、ブーケを投げるとき、わざと聖なる乙女がいるところとは反対側のクラスメイトに向かって投げた。

 当然、マリアンヌは拾えず、悔しそうな顔をしていた。マリアーヌの傍にいたクラスメイトも同様で、でも、近くに見知らぬ女がブーケを奪おうと狙っていたことを知ると、急に大声を出し、不快に糾弾をし始めた。

「アナタ誰よ?」

 気づけば、クラスメイト達は、マリアーヌを取り囲むように立ち、逃げ道がなくなってしまっている。

「私もアンソロジー学園の同級生ですの」
「そう?では、どのクラスなのかしら?わたくしたちは、聖女様から招待状を受けて、参加しているけど、アナタは、さっきまで大聖堂のどのあたりにいらしたのか教えてくださる?」

 当然、マリアーヌは招待状を持っていない。別に招待状がなくてもいい話だけど、前世、聖なる乙女に煮え湯を飲まされたティアラベルローゼからしてみれば、招かれざる客に違いはない。

 クラスメイトがマリアーヌの正体に気づいてしまう。
「アナタ、ひょっとしてマリアーヌ様?確か、聖なる乙女を名乗っていたわよね?」
「そう言えば、新郎のアレキサンドラ殿下に付きまとっている女がいたわね。本当に、聖なる乙女かどうか、疑わしいものね」
「どうせ玉の輿狙いだけでしょ?図々しいにも程があるわ」

 あっという間に、マリアーヌは、クラスメイト達により、つるし上げられていく。

「私、そんなつもりでは……」
「だったら、なぜ、ここにいるのよ?」
「アナタまさか、聖女様からアレキサンドラ殿下を奪うつもりで来たのではないでしょうね?」

 マリアーヌは、とうとう耐えられなくなり、泣き出してしまうが、いつもマリアーヌの尻を追い掛け回していたクリストファーもマクシミリアンも、知らん顔をしている。

 こういうところが、ティアラベルローゼが選ばなかった最大の理由だとも気づかない。弱いものを護れず、他人事のような顔をしているところ、状況が悪くなると他人のせいばかりするところ。何不自由ない王子様特有の性格かもしれない。

 前世は、アンドリューもまさに、その典型のような人物だったが、死に戻ってから、少しは変わったようだ。でも、もう今更遅い。

 前のままの性格なら、死に戻った意味がないというもの。

 アレキサンドラは、マリアーヌがつるし上げられているのを尻目に、ティアラベルローゼの手を取り、馬車に乗り込むように促した。

 これから、待ちに待った「初夜」の儀式で緊張を隠せない。

 今日、ティアラベルローゼを抱けば、確実に次期王位に就ける。喜びもさることながら、責任の重さに心はつぶれてしまいそうになるぐらい緊張している。

 挙式と同時に、アレキサンドラの立太子の礼が執り行われ、名実ともにティアラベルローゼは、アトランティスの王太子妃殿下となったのだ。

 結婚後、ティアラベルローゼはしばらく学園を休学することになった。それも子作りのため、休学というより、王城で家庭教師による座学に変わったといったほうが早い。

 だから、あと2年で卒業できることに変わりがないが、もうクラスメイトと会えないことは少々寂しい。

 もしかしたら、卒業式の時、妊娠していなかったら、参加できるかもしれないと、一縷の望みを抱えている。

 でも、その望みは初夜の後、すぐ断ち切られることになった。新婚旅行に行かない代わりに、少しの間も一人きりになれない日が続く。

 アレキサンドラが、3か月間にわたりティアラベルローゼを拘束し続けた。

 なんといっても、アレキサンドラの最初のミッションは、ティアラベルローゼを孕ませることの一語に尽きたのだから。

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