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32往診
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暗殺部隊は、終点の港の国に聖女様はおられないと判断して、ヤーパン国アミタを出発してからの寄港先を逆回りで探す羽目になる。
これから何年先になれば、聖女様と会えるのだろうか?
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、オリヴィアの兼診療所も順調で、領主様から往診の依頼があり、行くことにする。
「これが噂のオリヴィア聖女様か?」
「いいえ。わたくし聖女様では、ございませんわ。ただ、医学の知識があるだけで、ございますわ。」
「アハハ。冗談ですよ。ただ、スカイダウンの皆様が来て1週間ほどしたときに、ヤーパン国だったか?聖女様はおられぬか?と問い合わせがあってな。その時は、知らぬ存ぜぬで通したのだが、ひょっとしたらオリヴィア嬢のことだったかと、後で思っただけなのだ。」
「ご迷惑をおかけしました。以前、勝手に聖女様と勘違いされて、王城での舞踏会やパーティの招待状を頂いたのですが、すべてお断りしました。ヤーパン国へは、内緒でカーニバルに行っただけなのに、どうしてバレてしまったのか、皆目見当がつきません。」
「たまたまその日、雨が降らなかった?違いますか?」
「あ、はい。その通りです。」
「聖女様とお天気は、関係あると思われがちですが、聖女様がいても雨は降るときは降ります。でなければ、干ばつになりますからね。でも、そのカーニバルでは、いつも雨が降るのに、その時はたまたま降らなかった。だから、聖女様と言うことになったのでしょう。」
「はぁ……、なるほど。」
「大丈夫ですよ。もし今度また、ヤーパン国から問い合わせがあっても、知らないで押し通しますから、ご安心ください。」
「ありがとう存じます。」
「その代わりと言っては、なんだが、一度、王都へ行ってはくれぬか?あ、なに、入国税はいらないから、その心配はせずともよい。実はな、そなたの診療もそうだが、あの自動で動く扇風機を王城で導入できないかと、打診があってな。今、すぐでなくてもよいらしいのだが、気が向いたときにでも行ってほしいのだ。」
「動力源が近くにあるかどうかで、出来るかどうかが決まります。」
「は?どうりょくげんとは?」
「モノを動かすためのエネルギーとなる源でございます。」
「よく、わからん。」
オリヴィアは、扇子を出し、扇ぐ。
「たとえば、こうして扇ぐと御領主様のところに風が届きますでしょう?」
「お!なんだ?それは?折たためるのか?」
え?そこ?と思うようなところに、食らいつく!
「ええ。これは、折り畳みの団扇でございます。これで、扇いで御領主様のところに風が行くのは、人力でわたくしが扇いでいるからでございます。この人力が動力となっているものでございます。」
「ほぅ、すると、あの一見、勝手に自動で回っているものは、誰かが天井でアレを動かしている者がいるということだな?」
「いえ、アレは人力で動かしてはいません。別の動力を使っています。」
「なんだかわからないが、とにかくその動力さえあれば、この屋敷にでも、取り付けられるのか?」
「ええ、そういうことです。」
「医学に詳しいと、そういうことまでわかるものなのか?」
「人間のカラダの仲にも心の臓と言うところがあります。ここです。」
「おお!いつも動いているところだな?なるほど!わかったぞ。なんとなくだが、心の臓のようなものを外に作るか、あるかでないと動かせないということだな?」
「左様でございます。」
「では、この屋敷にそれができるかどうか、見てくれ。」
オリヴィアは、屋敷の周りをグルグル見渡す。もし、出来るとしたら、風力か?と思う。
丘の上で、風が強い、大きな風車を作って、それを動力とすれば、扇風機ぐらい回せるだろう。
オリヴィアは、その場でサラサラと絵を描き、御領主様に見せる。
これから何年先になれば、聖女様と会えるのだろうか?
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その頃、オリヴィアの兼診療所も順調で、領主様から往診の依頼があり、行くことにする。
「これが噂のオリヴィア聖女様か?」
「いいえ。わたくし聖女様では、ございませんわ。ただ、医学の知識があるだけで、ございますわ。」
「アハハ。冗談ですよ。ただ、スカイダウンの皆様が来て1週間ほどしたときに、ヤーパン国だったか?聖女様はおられぬか?と問い合わせがあってな。その時は、知らぬ存ぜぬで通したのだが、ひょっとしたらオリヴィア嬢のことだったかと、後で思っただけなのだ。」
「ご迷惑をおかけしました。以前、勝手に聖女様と勘違いされて、王城での舞踏会やパーティの招待状を頂いたのですが、すべてお断りしました。ヤーパン国へは、内緒でカーニバルに行っただけなのに、どうしてバレてしまったのか、皆目見当がつきません。」
「たまたまその日、雨が降らなかった?違いますか?」
「あ、はい。その通りです。」
「聖女様とお天気は、関係あると思われがちですが、聖女様がいても雨は降るときは降ります。でなければ、干ばつになりますからね。でも、そのカーニバルでは、いつも雨が降るのに、その時はたまたま降らなかった。だから、聖女様と言うことになったのでしょう。」
「はぁ……、なるほど。」
「大丈夫ですよ。もし今度また、ヤーパン国から問い合わせがあっても、知らないで押し通しますから、ご安心ください。」
「ありがとう存じます。」
「その代わりと言っては、なんだが、一度、王都へ行ってはくれぬか?あ、なに、入国税はいらないから、その心配はせずともよい。実はな、そなたの診療もそうだが、あの自動で動く扇風機を王城で導入できないかと、打診があってな。今、すぐでなくてもよいらしいのだが、気が向いたときにでも行ってほしいのだ。」
「動力源が近くにあるかどうかで、出来るかどうかが決まります。」
「は?どうりょくげんとは?」
「モノを動かすためのエネルギーとなる源でございます。」
「よく、わからん。」
オリヴィアは、扇子を出し、扇ぐ。
「たとえば、こうして扇ぐと御領主様のところに風が届きますでしょう?」
「お!なんだ?それは?折たためるのか?」
え?そこ?と思うようなところに、食らいつく!
「ええ。これは、折り畳みの団扇でございます。これで、扇いで御領主様のところに風が行くのは、人力でわたくしが扇いでいるからでございます。この人力が動力となっているものでございます。」
「ほぅ、すると、あの一見、勝手に自動で回っているものは、誰かが天井でアレを動かしている者がいるということだな?」
「いえ、アレは人力で動かしてはいません。別の動力を使っています。」
「なんだかわからないが、とにかくその動力さえあれば、この屋敷にでも、取り付けられるのか?」
「ええ、そういうことです。」
「医学に詳しいと、そういうことまでわかるものなのか?」
「人間のカラダの仲にも心の臓と言うところがあります。ここです。」
「おお!いつも動いているところだな?なるほど!わかったぞ。なんとなくだが、心の臓のようなものを外に作るか、あるかでないと動かせないということだな?」
「左様でございます。」
「では、この屋敷にそれができるかどうか、見てくれ。」
オリヴィアは、屋敷の周りをグルグル見渡す。もし、出来るとしたら、風力か?と思う。
丘の上で、風が強い、大きな風車を作って、それを動力とすれば、扇風機ぐらい回せるだろう。
オリヴィアは、その場でサラサラと絵を描き、御領主様に見せる。
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