結婚式前日に婚約破棄された公爵令嬢は、聖女であることを隠し幸せ探しの旅に出る

青の雀

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 スカーレットと司祭様は、王都にあるブラームス公爵邸で暇乞いをしている。

 それを父ブラームス公爵は何を勘違いしたのか、司祭様をスカーレットの結婚相手と思ったらしく

 「嫁入り前の娘を連れ出すなんざ、きちんと責任を取ってくれるんでしょうね?」

 「あの、お父様、わたくしと司祭様は、そんなふしだらな関係ではございません。」

 「お前は、黙っていなさい。」

 「はい、わかりました。お父上のお許しが出たのなら、妻に娶ります。」

 「は?イヤでございます。どうして、わたくしがこんなお年を召した方と結婚しなければなりませんの?まだ嫁き遅れと決まったわけではございませんでしょう?」

 「聖女様……、確かに年上でございますが……。」

 「あら、失礼。お父様が余計なこと勘繰るからですわ。とにかく、司祭様とは、そのような関係ではございませんし、考えたこともございませんわ。」

 「ただ、領地にいても、どこにいても聖女様と傅かれ、注目の的になるのがイヤなだけですの。好きでもない殿方と結婚させられるのなんて、イヤです。」

 スカーレットは気づかず、暗に司祭様のことを嫌いと言っている。実際のところは、嫌いというわけではなく、ただ恋愛対象ではないということなのだが、言われた本人は、ひどく落ち込んでいる。

 「そういうことなら、二人だけで行くのは許さない。スカーレットにその気はなくても、司祭様といえども男だ。何、不埒なことを仕出かすかわからないからな。」

 「信じてください。私は聖女様に指一本触れたり致しません。」

 「さっきは、お父上のお許しが出たのであれば、と申しておったではないか?舌の根も乾かぬうちに言うことを変えるとは信じられない男だ。」

 「だから、司祭様のことは男性として見ていないって言っているでしょう?」

 「お前は、黙っていなさい。」

 堂々巡りである。そこへ執事が横から口をはさむ。

 「それでは、私がお嬢様のお目付け役として共に参りましょうぞ。」

 「セバスチャン、何を言っている?お前は、家を守れ、スカーレットの付き添いは俺が行く。」

 「は?なんで、わたくしの幸せ探しにお父様やセバスチャンが付いてこられることになるの?」

 「「お嬢様(お前)が心配だからだ!」」

 「なんで?オジサン3人と一緒に行かなければいけないの?」

 「スカーレットちゃんが言うのも、もっともですわ。わたくしが付いて行ってあげますわ。」

 「お、お、お母様まで!」

 「奥様がご一緒に行かれるのでしたら、私も一緒に参らねば。」

 なぜか、侍女長に数人の侍女までが口をそろえる。

 「それでは、私も一緒に進ぜよう。」料理長まで行く気満々になっている。

 結局、公爵家の使用人全員で行くことになったのである。スカーレットは一度、家出をしているから、ダメだとは言いづらい。

 留守番を誰かおこうかという話になったが、司祭様が一番適任だと言うことになったのだが、さすがにそれは申し訳ない。
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