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スカーレットは公爵家の人々と司祭様に、転移魔法をかけ、国境近くまで一気に飛んだ。
「聖女様というのは、便利なものだな」
「やめて、聖女であることを隠しての幸せ探しの旅よ。今後一切、わたくしのことを聖女様呼びすることを禁止しますわね。」
国境を越えて、右に行くとストラック王国、あのブサメンとの結婚だけは勘弁願いたいところ、左に行くと若き国王陛下がスカーレットを探しているそうだから、できれば、そういう政略的なものに関わりたくないから、左もやめる。となれば、まっすぐ行くとどうなるの?とりあえず、選択肢はまっすぐ進むしかないので、まっすぐ行くことにする。
しばらく進むと集落が見えてきたのである。良かった人間が住んでいる。
執事が、その集落の長に会い、今日、宿泊できるかどうか聞いてくれる。
集落に宿はあるものの全員は、無理だと言われて、使用人だけは野宿すると言い出すものだから、
「泊るところがないの?ここなら、どう?」
スカーレットは、異空間から、公爵邸をポンっと出す。
「せ、せい……っお嬢様!素晴らしい!ありがとうございます。これでも野宿しなくてもいい。」
「いつの間にか、出来るようになってたのよね。」
聖女と呼ばれなかったことが嬉しい。
結局、宿には泊まらず、みんなで公爵邸の中で泊まることになったのだが、集落は収入にならないから、けっこうムスっとされたので、司祭様だけが宿に泊まることになったのだ。だって、公爵家と関係ない人だから。公爵邸にお部屋はあるけど、そこまでもてなす必要ある?
公爵邸丸ごと持ってきたので、食材はたくさんあるので、料理長が集落の人に無償でもてなし料理を作った。ので、少し機嫌は直ったようだ。
この国は、マンターチェスという名前で、皇帝陛下が治められている国だそうです。
なんとなく、この国はパスだな。まぁ帝都ぐらいは、行ってもいいけど。これから世界各地を回るのだから、隣国は、なるべくささっと通るだけのほうがよさそう。ウィリス王国に連絡入れられても困るからね。やはり、隣り合っている国同士は、それなりに交流があるから。だから、司祭様の最初に赴任先の国王が縁談を持ってくるぐらいだから。若き国王って、いったいいくつぐらいなの?情報がないから、断るしかないだろうけど、とにかく今度は政略結婚でない方がいい。
マンターチェスでは、急ぎ通り過ぎるだけにしたのである。マンターチェスの先にある国では、出来れば、逗留したい。
そう思っていたら、ウィリス王国から、追手が差し向けられていたのだ。やはり、なんとなくの勘は当たるのだ。
スカーレット捜索隊が急遽、ブラームス公爵家隊にすり替わっていて、ウィリスもストラックへは、行かないと踏んだのであろう。
そして、ついに!ウィリスの追っ手に取り囲まれてしまったのである。
「聖女様は生け捕りにし、残りは全員、皆殺しで構わないと陛下からのご命令である。」
「な、なんだとぉ!陛下は、この私さえも邪魔だと言われるのか!」
ブラームス公爵家の男たちは、武器を手にしたが、スカーレットが前面に出て、何やら祈ると
スカーレットのいる公爵家側と追っ手の間にダイヤモンドスクリーンがオーロラのように幕を張り、少しでもそのカーテンの中に踏み込もうとすると、弾き飛ばされてしまうのである。
これで追っ手は、スカーレットたちに一歩も近づけなくなったのだ。
スカーレットは、というと追っ手が前方にいようと、そのままずんずん、進むと追っ手は、左右に分かれ、道を開ける。
スカーレットのスクリーンの前では、ただ無力で、そのスクリーンを押し戻せないからである。
ウィリス王国も、ただ聖女様が欲しかっただけ、聖女の両親がどうなろうと知ったことではなかったのだ。
ただスティーヴンが婚約破棄してしまったことは、誤算であったのだろう。スカーレットを生け捕りにして、どうするつもりなのだ?スティーヴンとはもう結婚できない。そういえば、第2王子と婚約してくれという話があったな。
だけど、もしも両親が殺されるようなことがあれば、聖女様はウィリスのために力を遣わないであろう。ということがわからないのか?
スカーレットの後ろを追っ手がぞろぞろと付いてくる。珍妙なスタイルである。どこかで撒かなければ、このままマンターチェスを通り過ぎてしまう。
スカーレットは、ダイヤモンドスクリーンの中にいる全員に、転移魔法をかけ、いったんウィリスの領地へ飛んだ。ウィリスの情報を収集するためにである。
目の前でダイヤモンドスクリーンごと、聖女様ご一行が突然、掻き消え、追っ手は大騒ぎをしている。
「聖女様は、いずこへ?」
「ブラームス公爵もいないぞ!」
あたりを探すも見当たらない。そうこうしている間に、騒ぎを聞きつけてマンターチェスの警備の兵が到着する。
追っ手は、事情説明を兼ね、連行されることになったのである。
いったん、領地へ飛んだ、聖女様ご一行は、領地では、平穏であることを知る。ということは、どうなの?ブラームス家皆殺しという話は嘘?いや、いずれ領地にも処分が下るかもしれない。ふつう、公爵まで皆殺しなんて、考えられない所業。
領地の執事などに説明したら、一緒にスカーレットの幸せ探しのたびに出ることになったのだ。
用意をさせて、領地の公爵邸を異空間に放り込み、先ほどのマンターチェスまで戻ってみると、もう追手の姿はなく、警備に連れ去られた後のようです。
こうして、無事、マンターチェスを脱出した一行は、さらなる旅を進めるのです。
「聖女様というのは、便利なものだな」
「やめて、聖女であることを隠しての幸せ探しの旅よ。今後一切、わたくしのことを聖女様呼びすることを禁止しますわね。」
国境を越えて、右に行くとストラック王国、あのブサメンとの結婚だけは勘弁願いたいところ、左に行くと若き国王陛下がスカーレットを探しているそうだから、できれば、そういう政略的なものに関わりたくないから、左もやめる。となれば、まっすぐ行くとどうなるの?とりあえず、選択肢はまっすぐ進むしかないので、まっすぐ行くことにする。
しばらく進むと集落が見えてきたのである。良かった人間が住んでいる。
執事が、その集落の長に会い、今日、宿泊できるかどうか聞いてくれる。
集落に宿はあるものの全員は、無理だと言われて、使用人だけは野宿すると言い出すものだから、
「泊るところがないの?ここなら、どう?」
スカーレットは、異空間から、公爵邸をポンっと出す。
「せ、せい……っお嬢様!素晴らしい!ありがとうございます。これでも野宿しなくてもいい。」
「いつの間にか、出来るようになってたのよね。」
聖女と呼ばれなかったことが嬉しい。
結局、宿には泊まらず、みんなで公爵邸の中で泊まることになったのだが、集落は収入にならないから、けっこうムスっとされたので、司祭様だけが宿に泊まることになったのだ。だって、公爵家と関係ない人だから。公爵邸にお部屋はあるけど、そこまでもてなす必要ある?
公爵邸丸ごと持ってきたので、食材はたくさんあるので、料理長が集落の人に無償でもてなし料理を作った。ので、少し機嫌は直ったようだ。
この国は、マンターチェスという名前で、皇帝陛下が治められている国だそうです。
なんとなく、この国はパスだな。まぁ帝都ぐらいは、行ってもいいけど。これから世界各地を回るのだから、隣国は、なるべくささっと通るだけのほうがよさそう。ウィリス王国に連絡入れられても困るからね。やはり、隣り合っている国同士は、それなりに交流があるから。だから、司祭様の最初に赴任先の国王が縁談を持ってくるぐらいだから。若き国王って、いったいいくつぐらいなの?情報がないから、断るしかないだろうけど、とにかく今度は政略結婚でない方がいい。
マンターチェスでは、急ぎ通り過ぎるだけにしたのである。マンターチェスの先にある国では、出来れば、逗留したい。
そう思っていたら、ウィリス王国から、追手が差し向けられていたのだ。やはり、なんとなくの勘は当たるのだ。
スカーレット捜索隊が急遽、ブラームス公爵家隊にすり替わっていて、ウィリスもストラックへは、行かないと踏んだのであろう。
そして、ついに!ウィリスの追っ手に取り囲まれてしまったのである。
「聖女様は生け捕りにし、残りは全員、皆殺しで構わないと陛下からのご命令である。」
「な、なんだとぉ!陛下は、この私さえも邪魔だと言われるのか!」
ブラームス公爵家の男たちは、武器を手にしたが、スカーレットが前面に出て、何やら祈ると
スカーレットのいる公爵家側と追っ手の間にダイヤモンドスクリーンがオーロラのように幕を張り、少しでもそのカーテンの中に踏み込もうとすると、弾き飛ばされてしまうのである。
これで追っ手は、スカーレットたちに一歩も近づけなくなったのだ。
スカーレットは、というと追っ手が前方にいようと、そのままずんずん、進むと追っ手は、左右に分かれ、道を開ける。
スカーレットのスクリーンの前では、ただ無力で、そのスクリーンを押し戻せないからである。
ウィリス王国も、ただ聖女様が欲しかっただけ、聖女の両親がどうなろうと知ったことではなかったのだ。
ただスティーヴンが婚約破棄してしまったことは、誤算であったのだろう。スカーレットを生け捕りにして、どうするつもりなのだ?スティーヴンとはもう結婚できない。そういえば、第2王子と婚約してくれという話があったな。
だけど、もしも両親が殺されるようなことがあれば、聖女様はウィリスのために力を遣わないであろう。ということがわからないのか?
スカーレットの後ろを追っ手がぞろぞろと付いてくる。珍妙なスタイルである。どこかで撒かなければ、このままマンターチェスを通り過ぎてしまう。
スカーレットは、ダイヤモンドスクリーンの中にいる全員に、転移魔法をかけ、いったんウィリスの領地へ飛んだ。ウィリスの情報を収集するためにである。
目の前でダイヤモンドスクリーンごと、聖女様ご一行が突然、掻き消え、追っ手は大騒ぎをしている。
「聖女様は、いずこへ?」
「ブラームス公爵もいないぞ!」
あたりを探すも見当たらない。そうこうしている間に、騒ぎを聞きつけてマンターチェスの警備の兵が到着する。
追っ手は、事情説明を兼ね、連行されることになったのである。
いったん、領地へ飛んだ、聖女様ご一行は、領地では、平穏であることを知る。ということは、どうなの?ブラームス家皆殺しという話は嘘?いや、いずれ領地にも処分が下るかもしれない。ふつう、公爵まで皆殺しなんて、考えられない所業。
領地の執事などに説明したら、一緒にスカーレットの幸せ探しのたびに出ることになったのだ。
用意をさせて、領地の公爵邸を異空間に放り込み、先ほどのマンターチェスまで戻ってみると、もう追手の姿はなく、警備に連れ去られた後のようです。
こうして、無事、マンターチェスを脱出した一行は、さらなる旅を進めるのです。
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