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ヴィーヴルの卵のふ化のため1か月近く足止めをされたスカーレットたち
無事、ふ化した子供は男の子で、名前をリヴァイアサンと名付けられることになったのである。
それでは、とヴィーヴルに暇乞いをして、さっさと次の集落を目指すことにしたのだが、どうして、そんなに急ぐのかと聞かれ、ウィリス国であったこと、ストラック国での聖女認定の話、ウィリスの追っ手のことなどをかいつまんで話したところ、ヴイーヴルは、我々と行動を共にしてくれると申し出てきたのである。
いくらなんでも、ドラゴンとともに行動していたら、追っ手も尻尾を巻いて逃げ出すだろう。とは、思ったけれど、まだ幼い子(リヴァイアサン)がいるのに、いいのだろうか?
行き先はあるのか?と聞かれるも、実際のところは、宛てのない旅である。どこでもいいのよ。聖女であると言うだけで、いろいろ巻き込まれてしまうから、平安に暮らせるところであれば、どこでもいい。と言えば、ヴィーヴルおすすめの国があるから、そこへ行こうと言われたの。ここからこの星の反対側、180度行ったところなら、スカーレットが聖女だということは、誰も知らない。それに、そこまでの遠方なら追っ手もかからないはず。
でもそこまで、どうやって行くの?という疑問がある。
なんと!ヴィーヴルが背中に乗せて運んでくれるらしい。スカーレットは一度でも行ったことがあるところは、イメージができるので、転移魔法が使えるが、行ったことがないところには使えない。イメージできないからである。
最初に、スカーレットだけを乗せて、この惑星の反対側まで、行き、転移魔法を使って戻ってきた後、全員に転移魔法をかけて、再び反対側に飛ぶことになったのだ。
スカーレットがヴィーヴルの背中に乗ろうとすると、両親と執事のセバスチャンと護衛の騎士何名かが一緒に行くと言ってきかない。
「大丈夫よ。わたくしは、ヴィーヴルちゃんを信じていますから、女同士なんだもんね。」
こんなにたくさん乗れるのだろうか?ヴィーヴルちゃんは、
「そうね30名ぐらいなら、乗れるけど、落ちても知らないわよ。」
落ちる、と聞いて、お母様は転移魔法で行くと言い出す始末。やっぱり落ちるのはイヤか?
それでもお父様と騎士、執事は付いていくと言っている。お父様は、お母様の側に一緒にいれば?
だいたいお父様なんて、何の役にも立たない。司祭様と変わらないぐらいだ。
でも公爵だと言うだけで、付いてきたがる?司祭様なんて、震えて乗ろうともなさらない。
結局、執事と騎士とイヤだけどお父様も乗ることになり、いざ、出発であるが、ドラゴンでも1日ぐらいたっぷりかかる距離?半日ぐらい?暗くなってから、飛ぶのは危険だから、明日、日の出とともに飛ぶことにしたのである。スカーレットがヴィーヴルに乗って飛んでいる間は、おチビちゃんは、他の公爵家の人、使用人などが、面倒見てくれるみたい。だから、ヴィーヴルも安心して出かけられる。
翌朝、日の出とともに、いざ出発!
空の上は、風が強くてしっかり掴まっていないと飛ばされそうになる。スカーレットは風魔法を使って、うまく風の抵抗がなくなるようにする。それでも少しは風が吹いているので、せっかくセットしてもらった髪の毛はぐちゃぐちゃになる。
6時間ほど、飛んだら、急にお腹がすいてきた。適当な小高い山の上に着陸して、お昼休憩をとる。お弁当は、料理長が腕によりをかけて作ってくれたBLTサンド。
「これこれ待ってました。」
ヴィーヴルは、すっかり料理長の料理の虜になっている。だから、同行したいと言った?まさかね。
昼食後、また飛んでおやつタイムの頃には、反対側の国に着いた。父と執事が率先して、この国の陛下に会いにいき、居住許可を取っている間に、転移魔法でヴィーヴルとともに、いったん転移魔法で、マンターチェスの隣国の集落まで飛び、みんなを連れて、再び反対側の国へ戻ったのである。
反対側の国は、リオジルブラという国であった。反対側でも気候風土はウィリスとよく似ている。
父が国王陛下の許可を取ってくれて、今日はリオジルブラの王都で公爵邸を出すことにしたのである。
そうだ。そろそろ何か稼がないと、公爵家の貯えには、まだまだ余裕はあるが、明日はドレスや宝石類を売って、少しはお金に替えよう。それから、これから何をすべきかみんなで話し合いをしなければ。
今までは、ウィリスから逃げることばかりを考えていて、ロクすっぽ今後のことを考えていなかった。成り行き任せにしていたのである。
話し合いの結果、司祭様は、スカーレットが聖女なのだから、聖女の仕事を進めるべきだと言われ、少々むかつく。聖女の仕事をして、これだから。聖女の素性を隠す意味がない。
司祭様にうまいこと言って、この人だけ、どこかへ追放してやろうか?聖女らしからぬことを思う。
だいたい、ウチの父以上に役立たずが司祭様である。いったい、この人何のためについて来ているのよ?
聖女だから、玉の輿に乗りたいとか、考えてないっちゅうの!
最初は生きる道しるべとなっていたのだが、もう今や司祭様は居候として、邪魔な存在だけになってしまったのである。
「ところで、どうしていつまでも司祭様はわたくし達と行動を共にされているんですか?」
単刀直入にイヤミを言ってやった。
「ええ?聖女様が聖女の身分を隠して、旅に出たいとおっしゃったからではありませんか?」
「ええ、ですが。そのわたくしに聖女としての役割をせよとは?何事でございましょうか?聖女として、わからないようにひっそりとした幸せを掴むために旅に出たのでございますれば、そのわたくしに聖女を名乗れとおっしゃっているのと同じことを強要されているのは、いったいどこのどなた様のことでしょうか?」
「いやはや、どう説明したらよいものか、困ってしまいましたね。聖女と名乗らなくても、聖女様が作られるレース編みは、聖なる力を持ちます。刺繍もそうです。聖女様が刺繍されたハンカチは、それだけで聖なる護符となるでしょう。聖女様がもしもスープを作られ、それを路上で売っても同じ効果が期待できます。聖女としてのお仕事は、まだまだたくさんあります。何も教会へ行き、そこで治癒魔法をかけるだけが聖女様のお仕事ではございません。」
「なるほど。そういうことでしたら、わたくしにもできるかもしれませんわね。」
そうして、ブラームス公爵家の女たちとともに、スカーレットは、刺繍にレース編み、お料理と精を出すのである。スカーレットは、ただ一針、刺しただけで効果が得られるのなら、最後に一針、一目、一味加えるだけでいいのだ。
大量生産を実現していくことになったのである。
リオジルブラでの生活基盤が安定してきたころ、若き国王陛下から、魔法鳥が飛んできて、結婚の申し込みをされたのである。ただ、居場所がわからないらしく、魔法鳥に返信してしまうと居場所を知られてしまうから、無視することにしたのである。
災難は忘れたころにやってくる。
ちょっと違うか?
まだ、ウィリス周辺国は、スカーレットのことを諦めないでいるのかと思うと、げんなりするわ。
無事、ふ化した子供は男の子で、名前をリヴァイアサンと名付けられることになったのである。
それでは、とヴィーヴルに暇乞いをして、さっさと次の集落を目指すことにしたのだが、どうして、そんなに急ぐのかと聞かれ、ウィリス国であったこと、ストラック国での聖女認定の話、ウィリスの追っ手のことなどをかいつまんで話したところ、ヴイーヴルは、我々と行動を共にしてくれると申し出てきたのである。
いくらなんでも、ドラゴンとともに行動していたら、追っ手も尻尾を巻いて逃げ出すだろう。とは、思ったけれど、まだ幼い子(リヴァイアサン)がいるのに、いいのだろうか?
行き先はあるのか?と聞かれるも、実際のところは、宛てのない旅である。どこでもいいのよ。聖女であると言うだけで、いろいろ巻き込まれてしまうから、平安に暮らせるところであれば、どこでもいい。と言えば、ヴィーヴルおすすめの国があるから、そこへ行こうと言われたの。ここからこの星の反対側、180度行ったところなら、スカーレットが聖女だということは、誰も知らない。それに、そこまでの遠方なら追っ手もかからないはず。
でもそこまで、どうやって行くの?という疑問がある。
なんと!ヴィーヴルが背中に乗せて運んでくれるらしい。スカーレットは一度でも行ったことがあるところは、イメージができるので、転移魔法が使えるが、行ったことがないところには使えない。イメージできないからである。
最初に、スカーレットだけを乗せて、この惑星の反対側まで、行き、転移魔法を使って戻ってきた後、全員に転移魔法をかけて、再び反対側に飛ぶことになったのだ。
スカーレットがヴィーヴルの背中に乗ろうとすると、両親と執事のセバスチャンと護衛の騎士何名かが一緒に行くと言ってきかない。
「大丈夫よ。わたくしは、ヴィーヴルちゃんを信じていますから、女同士なんだもんね。」
こんなにたくさん乗れるのだろうか?ヴィーヴルちゃんは、
「そうね30名ぐらいなら、乗れるけど、落ちても知らないわよ。」
落ちる、と聞いて、お母様は転移魔法で行くと言い出す始末。やっぱり落ちるのはイヤか?
それでもお父様と騎士、執事は付いていくと言っている。お父様は、お母様の側に一緒にいれば?
だいたいお父様なんて、何の役にも立たない。司祭様と変わらないぐらいだ。
でも公爵だと言うだけで、付いてきたがる?司祭様なんて、震えて乗ろうともなさらない。
結局、執事と騎士とイヤだけどお父様も乗ることになり、いざ、出発であるが、ドラゴンでも1日ぐらいたっぷりかかる距離?半日ぐらい?暗くなってから、飛ぶのは危険だから、明日、日の出とともに飛ぶことにしたのである。スカーレットがヴィーヴルに乗って飛んでいる間は、おチビちゃんは、他の公爵家の人、使用人などが、面倒見てくれるみたい。だから、ヴィーヴルも安心して出かけられる。
翌朝、日の出とともに、いざ出発!
空の上は、風が強くてしっかり掴まっていないと飛ばされそうになる。スカーレットは風魔法を使って、うまく風の抵抗がなくなるようにする。それでも少しは風が吹いているので、せっかくセットしてもらった髪の毛はぐちゃぐちゃになる。
6時間ほど、飛んだら、急にお腹がすいてきた。適当な小高い山の上に着陸して、お昼休憩をとる。お弁当は、料理長が腕によりをかけて作ってくれたBLTサンド。
「これこれ待ってました。」
ヴィーヴルは、すっかり料理長の料理の虜になっている。だから、同行したいと言った?まさかね。
昼食後、また飛んでおやつタイムの頃には、反対側の国に着いた。父と執事が率先して、この国の陛下に会いにいき、居住許可を取っている間に、転移魔法でヴィーヴルとともに、いったん転移魔法で、マンターチェスの隣国の集落まで飛び、みんなを連れて、再び反対側の国へ戻ったのである。
反対側の国は、リオジルブラという国であった。反対側でも気候風土はウィリスとよく似ている。
父が国王陛下の許可を取ってくれて、今日はリオジルブラの王都で公爵邸を出すことにしたのである。
そうだ。そろそろ何か稼がないと、公爵家の貯えには、まだまだ余裕はあるが、明日はドレスや宝石類を売って、少しはお金に替えよう。それから、これから何をすべきかみんなで話し合いをしなければ。
今までは、ウィリスから逃げることばかりを考えていて、ロクすっぽ今後のことを考えていなかった。成り行き任せにしていたのである。
話し合いの結果、司祭様は、スカーレットが聖女なのだから、聖女の仕事を進めるべきだと言われ、少々むかつく。聖女の仕事をして、これだから。聖女の素性を隠す意味がない。
司祭様にうまいこと言って、この人だけ、どこかへ追放してやろうか?聖女らしからぬことを思う。
だいたい、ウチの父以上に役立たずが司祭様である。いったい、この人何のためについて来ているのよ?
聖女だから、玉の輿に乗りたいとか、考えてないっちゅうの!
最初は生きる道しるべとなっていたのだが、もう今や司祭様は居候として、邪魔な存在だけになってしまったのである。
「ところで、どうしていつまでも司祭様はわたくし達と行動を共にされているんですか?」
単刀直入にイヤミを言ってやった。
「ええ?聖女様が聖女の身分を隠して、旅に出たいとおっしゃったからではありませんか?」
「ええ、ですが。そのわたくしに聖女としての役割をせよとは?何事でございましょうか?聖女として、わからないようにひっそりとした幸せを掴むために旅に出たのでございますれば、そのわたくしに聖女を名乗れとおっしゃっているのと同じことを強要されているのは、いったいどこのどなた様のことでしょうか?」
「いやはや、どう説明したらよいものか、困ってしまいましたね。聖女と名乗らなくても、聖女様が作られるレース編みは、聖なる力を持ちます。刺繍もそうです。聖女様が刺繍されたハンカチは、それだけで聖なる護符となるでしょう。聖女様がもしもスープを作られ、それを路上で売っても同じ効果が期待できます。聖女としてのお仕事は、まだまだたくさんあります。何も教会へ行き、そこで治癒魔法をかけるだけが聖女様のお仕事ではございません。」
「なるほど。そういうことでしたら、わたくしにもできるかもしれませんわね。」
そうして、ブラームス公爵家の女たちとともに、スカーレットは、刺繍にレース編み、お料理と精を出すのである。スカーレットは、ただ一針、刺しただけで効果が得られるのなら、最後に一針、一目、一味加えるだけでいいのだ。
大量生産を実現していくことになったのである。
リオジルブラでの生活基盤が安定してきたころ、若き国王陛下から、魔法鳥が飛んできて、結婚の申し込みをされたのである。ただ、居場所がわからないらしく、魔法鳥に返信してしまうと居場所を知られてしまうから、無視することにしたのである。
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