転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀

文字の大きさ
27 / 79
現世:カフェレストラン

27.精霊王デイジー視点

しおりを挟む
 俺の名前は、花の精霊王デイジー。

 もう、何千年と生きているので、年齢を数える意味がなく何歳になるのか、わからないでいる。

 もっとも、女神様も似たようなもので、俺が物心ついた時には、既に女神さまが当たり前のような顔をして君臨なさっていたのだから、俺よりも年上であることは間違いなさそうなんだけど、それを言うと女神さまは怒るから口を噤んでいる。

 俺が覚えているのは、200年ぐらい前のことだったと思う。

 女神さまは、人間界と神界を行ったり来たりなさることを楽しみとして見いだされ、人間界でイイ男を見つけると、嬉しそうに親友のアフロディーテ様に自慢をしていらしたと記憶している。

 それが自慢のオトコを見つけ、いよいよというときに、その男を目の前で斬り殺され、瀕死になっているそのオトコの目の前で、他のオトコから手籠めに遭うという経験をなされてから、ご自分が女神であったことをお忘れになってしまわれ、以降、人間界の中で転生を繰り返されてしまっている。

 人間のお姿の女神さまを見つけては、ご自分が女神さまだということを思い出してくださるように、わざと、目の前に現れ、不思議な力を披露するも、自分のことが女神さまだと気づかないでいらっしゃるアイリーン様は、ただ、「きゃっきゃ」と無邪気に喜んでいらっしゃるばかりになってしまう。

 転生の神も、アイリーン様が自分で、女神さまだった頃の記憶を取り戻さなければ、輪廻転生の輪から抜け出すことは難しいと言い切られている。

 それでアイリーン様が花の近くに来られた時を見計らって、お声がけしているのだが、一向に気づいてくださらない。アイリーン様の前世も前々世も、お声がけさせてもらったのだが……。

 人間に手籠めにされると、女神さまでは受けるダメージが大きすぎるのだろうか?時々、半馬神のサファイアと、このままイイ男との出会いがなければ、荒療治で俺たちが人間に化身して、その姿で女神さまを抱くという計画をしていたのだ。

 でも、それもシンイーが来てくれたおかげで、その心配はなくなる見込み。サファイアは少し不満そうにしているが、まさか半馬神の中で、女神さまを輪姦する気でもいたのだろうか?

 神界では、よくあることだが、なんせ女神さまと言うのは、圧倒的に数が少ない。だから、いつでも、欲情した男神の餌食になられてしまう。

 そして、輪姦する気がなくても、その気にさせた男神は、次々と別の男神を招き、みんなで女神さまを輪姦してしまうことなど日常茶飯事になっている。

 女神さまも、一度カラダに点いた火を消すため、次々と男神に抱かれていく。人間は、神の世界と言うと清らかな世界と勘違いしているかもしれないが、案外、性に関しては奔放というか、淫らな世界で、ほとんどの神は裸体に布を纏っているだけの姿であるので、ポロリと見えてしまうことが多く、すぐに発情してしまうのだ。

 神の中には、妻の部屋に鍵をかけ、自分以外の男神と情交させないように気をつけている神もいるが、たいていの神は自由を好み、誰とでもすぐ寝る。

 よって、生まれてきた神の子は、誰の子かわからなくなり、神界で神の子として、大切に育てられる。それは、それでなかなかいいシステムだと思う。

 だからこそ、人間の聖女様には、純潔を求めるという説もあるほど。人間の聖女が神と同じく淫らな存在であれば、その祈りは到底、神には届かないだろう。

 アイリーンがステファニーを名乗っていた幼い頃、刺客から命を狙われることが相次いで起こったので、精霊たちに命じて、いつも女神さまの近くにフワフワと浮遊していた。ある時は女神さまを毒殺なさろうとスープに毒を仕込んでいたものを皿ごと浄化するも、間に合わず給仕の侍女の失態と見せかけて、その皿を落とさせ、女神さまの口に入らないように工夫。

 次は庭で遊んでいらした女神さまを弓で射かけようとしていることが事前に分かったので、風の神と相談し、矢が放たれたと同時に風を起こし、あらぬ方向へ飛ぶようにしたのだ。
 その後も、馬車が脱輪しかけた時、がけ下に転落しないように土の神に連絡し、ガードレールのようなものを急遽作り、転落しないように心掛けた。

 あのクズ一家の中で、健やかに育ってこられたのは、ひとえに俺のおかげだということを女神さまは気づいていらっしゃらないが、それはそれで構わない。

 今まで、さんざん神界でお世話になったのだから、少しは恩返しができたのでは?と思っている。

 でも、いい加減に疲れた。だから、女神さまには今世限りで神界に戻ってきてもらいたいと本気で思っているからこそ、今世で何が何でも幸せを掴んでもらえるように頑張る。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。 過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。 魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。 そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。 これはシナリオなのかバグなのか? その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。 【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】

巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。  〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜

トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!? 婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。 気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。 美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。 けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。 食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉! 「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」 港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。 気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。 ――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談) *AIと一緒に書いています*

【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜

光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。 それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。 自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。 隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。 それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。 私のことは私で何とかします。 ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。 魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。 もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ? これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。 表紙はPhoto AC様よりお借りしております。

その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜

みおな
ファンタジー
かつて、稀代の魔術師と呼ばれた魔女がいた。 魔王をも単独で滅ぼせるほどの力を持った彼女は、周囲に畏怖され、罠にかけて殺されてしまう。 目覚めたら、三歳の幼子に生まれ変わっていた? 国のため、民のために魔法を使っていた彼女は、今度の生は自分のために生きることを決意する。

わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた
ファンタジー
明治大正風味のファンタジー恋愛もの。 化物みたいな能力を持ったせいでいじめられていたキイロは、強引に知らない家へ嫁入りすることに。 所が嫁入り先は火事だし、なんか子供を拾ってしまうしで、友人宅へ一旦避難。 親もいなさそうだし子供は私が育てようかな、どうせすぐに離縁されるだろうし。 そう呑気に考えていたキイロ、ところが嫁ぎ先の夫はキイロが行方不明で発狂寸前。 実は夫になる『薄氷の君』と呼ばれる銀髪の軍人、やんごとなき御家柄のしかも軍でも出世頭。 おまけに超美形。その彼はキイロに夢中。どうやら過去になにかあったようなのだが。 そしてその彼は、怒ったらとんでもない存在になってしまって。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...