婚約破棄された悪役令嬢は女神様!? 開国の祖を追放した国は滅びの道まっしぐら

青の雀

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5 閑話グレジオラ公国

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 あの卒業記念祝賀パーティの日、グレジオラ公国の国王陛下をはじめとした重鎮は、皆、臨席していたのだ。

 にもかかわらず、誰もレオナルド13世の暴走を止められなかったのである。婚約破棄の断罪劇は、かなり時間を要していたはずなのに。自称聖女と呼ばれる?自分で呼んでいる男爵令嬢リリアーヌ、その実態は巨大化けヒキガエルなのだが、ゴールデニアが魅了魔法を解くまでの間、皆、その場にいた全員が自称聖女の言い分に納得していたのだから。

 だいたいゴールデニアの名前の由来を考えれば、もっと早く気づくべきものなのに、まんまと化けヒキガエルにみんな騙されるなんて、あってはならないことである。

 レオナルド13世は、ヒキガエルとともに山へ連れ去られ、その後、ヒキガエル討伐隊が結成されるも、皆、氷像となったのだ。

 そして、女神への崇拝を忘れ、信心を捨て私利私欲に走り、やがて氷土と化すのである。

 グレジオラ国王は

 「なぜだ?なぜだ?よりによってゴールデニア嬢が初代女神様だとは?レオナルド13世の暴走を誰も止めることができなかったなど、あってはならないことである。」

 「どうすれば?女神様を取り戻すことができる?女神様を取り戻し、もう一度結界を張り巡らさなければ、1000年続いたグレジオラ公国が滅んでしまう。ご先祖様に申し訳が立たない!」

 ゴールデニアも、そのご先祖様の一員なのだが……。当のゴールデニアをはじめとする初代グレジオラ夫妻の魂を持つアンダルシア国王夫妻は、どこ吹く風である。

 「もうグレジオラ公国は滅んだ方がいいのだ。」

 「もし、凍ってしまって、人っ子一人いなくなればあの土地をどうするの?」

 「元は、公爵領を持ってきたものだから、もう別にいいよね。いらないから、白熊やペンギンたちにあげるわ。また1000年経てば、あの公爵領は、海になるかもしれないわね。凍った土地がどんどん太陽の熱で溶けていって、最後には海へと還るでしょう。そうなればポセイドンが喜ぶわ。」

 その日が来るのに、1000年もかからなかった。グレジオラ公国の人間は、国土が凍り付く前にみんな逃げ出したが、国境を越えた途端に、氷像へと姿を変えていく。よその国に行っても凍らずに済んだのは、敬虔な信者と善良な民だけであり、貴族はことごとく凍り付いたのである。

 ゴールデニアは、生きている生き物が人っ子一人いないグレジオラ国の上空まで行き、温かいお湯の雨を降らせて、みんな海に還すことにしたのだ。

 1000年間お騒がせしてごめんなさいの気持ちを込めて。

 それなのに、ポセイドンは自身の凍った体をお湯の雨に浴びせた。ばか!そんなことしたら、溶けちゃうのに、溶けてもいいから気持ちよくなりたかったそうだ。溶けていない部分は、気持ちよかったらしく「極楽、極楽。」と言ったかどうかは不明です。

 結局、グレジオラがあった人工島は1000年だけで、幻の島となってしまったのである。女神様が作られた国なのに、女神様の存在を疎かにしたことで天罰が下った国として、後世まで語り継がれることになったのである。

 うまく凍る難を逃れた人たちは、もう二度とグレジオラの土を踏むことは許されなかったのである。
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