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20.マクシミリアン視点2

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 父は、俺のことを本気で男色だと心配していたみたいで

 「好きな令嬢がいる。つきあっているが、婚約したいと思っている。」

 話すと、手放しで喜んでくれたのだ。

 「相手の気が変わらないうちに、一度、その令嬢と会ってみたいな。して、その令嬢とは?」

 「ミッシェル・アインシュタイン侯爵令嬢だよ。」

 「ああ、先ごろブラウン家から婚約を白紙撤回された令嬢だな。いいではないか。家柄も申し分がない。どこが気に入ったのだ?」

 え!キズモノ令嬢ではなかったのか?学園のうわさ話など、あてにならないものだとつくづく思った。

 「全部だよ。甘い匂いがミッシェルからするんだ。それに優しいし、可愛いし。従順なところが一番好きかな。」

 「コラコラ、まさかとは思うが、もう……、その……抱いたのか?」

 マクシミリアンは正直に頷く。

 「ハァー。それなら、嫁にもらわないわけにはいかないだろう。大急ぎで婚約の書類を作るから、明日にでも、それを持ってアインシュタイン家に挨拶に行かなくてはな。」

 婚約の契約書類を作成するのに、時間がかかり、翌朝、いつも通りには、起きられなかった。結果的にそのことが幸いしたのだが、またクリストファーに先を越されると思って、地団駄を踏んだものだ。

 その日、あの男爵令嬢のリリアーヌが、クリストファーの頭上めがけて、植木鉢を落としたと聞く。当たってくれれば、よかったものを。

その騒ぎで、ミッシェル嬢とは、あまり接触がなかったようだ。

 放課後、すぐに父とともに、アインシュタイン家へ行くと、すぐにミッシェル嬢は蹴ってきたみたいだったから。クリストファーの魔の手から逃れたみたいで,本当にホッとしたし、よかったと思っている。

 父もミッシェルに会って、あのカラダつきを気に入り、「あれなら、何人でも跡継ぎが産める。それにあのかぐわしい匂いは、そそられる。」と帰りの馬車の中で、しきりに言っていた。

 クリストファーに一応、俺の婚約者になったのだからと釘を刺しても、完全にふてくされられ、コイツはどこまで外道だと蔑む。

 それにまだアイリスを正妃にして、ミッシェル嬢までも側妃にする魂胆を聞き、反吐が出る思いがした。

 どこまでも欲張りなのだ。ミッシェルは、もう書類上、シャルパンティア家の持ち物だということがわかっていない。くるくるパーなのだ。

 念のために、クリストファー除けに結界を張ることと、魔道具を着けさせてもらうことにして、ドワーフの師匠に頼む。魔道具はすぐに出来上がったが、なかなかミッシェルに渡す機会がない。

 昨日の様子から、本当にミッシェルは幸せかどうかわからない。

 それにマクシミリアンのことをどこまで愛してくれているのかも不明だから。今すぐにでも、つけさせたいけど、なかなか難しい。

 何度か、愛の交歓をし、我が家に花嫁修業に来てくれるようになってから渡そうと思っても、最近は、すっかり殿下はやけにおとなしい。

 でも、学園では、渡しにくい。ということで、思い切って金のリングを2つ見せてみることにしたのだ。

 リングには、それぞれシャルパンティアの紋章が彫り込んである。

 一つは男性用、もう一つは女性用だが、女性用の方が大きく伸びるだけで、機能的には変わらない。

 これは貞操帯の役目を果たしているもので、リングを着けあったもの同士しか、受け入れないという愛の証でもある。

 無理に奪おうとすれば、ペニスがリングのところで切れるか、折れる仕組みになっている。

 マクシミリアンのリングがカギの役目を果たしていて、もし、マクシミリアンが、他の女性と浮気するようなことがあれば、勃っても、挿入できない。

 リスクはあるが、あのクリストファーを阻止するためには、これぐらいの魔道具が必要となる。

 でも、実際に魔道具が発動する日が来るとは、アノ時まで夢にも思っていなかったことなのは事実だ。
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