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「公爵令嬢セレンティー、王太子暗殺未遂容疑で、貴様との婚約を破棄する。」
「ちがう!わたくしは、そんなことしてないわ!」
ザルツブルグ王国王太子ゲラン・ザルツブルグに宣言された直後、王宮の地下牢に放り込まれた。まさに青天の霹靂でした。
幼いころからの婚約者で、学園も大学も同級生で、卒業間近い頃だった。政略結婚と雖も、セレンティーたち二人は、愛し合う関係で、つい3日前まで、関係は続いていた。
それが、今日王宮へ行ったら、いきなりの婚約破棄宣言と逮捕、投獄。
3日前に、王宮へ行ったときに手土産にした紅茶が原因だったようだが、愛し合った後、私たちは、その紅茶を飲んでいるのに、そのときは、どうもなかった。
昨日、王太子が一人で、その紅茶を淹れて飲もうとした時、毒が入っていて、泡を吹いて倒れた。
3日前、一緒に飲んでいるのだから、といくら無実を訴えても取り合ってもらえなかった。
冷たく汚い牢の中で、一晩過ごした。食欲もなく、食べたものを全部もどしてしまった。
スープも冷たくなったものしか与えられなく、カビの生えたパンと共に飲み込んだ。結局、証拠不十分で釈放されたが、何か新しい証拠が見つかれば、すぐまた収監されるということだった。
幼い時からの付き合いで、愛し合ったにもかかわらず、セレンティーの言葉に耳を貸さなかった王太子を恨んだ。
公爵家を除籍されて、行く宛てなどなかった。そこを偶然、通りかかった王弟殿下がセレンティーを家まで連れ帰り、温かいスープでもてなしてくださった。
王弟殿下の奥様は10年前に他界されていて、以後、ずっと独り身を通していらっしゃった。奥様との間に子供がいないので、セレンティーを娘のように可愛がってくださいました。
王弟殿下は、公爵身分で領地を持っていらっしゃった。
王太子暗殺の罪人を匿うようなことをして大丈夫か?と心配しました。
しかし、王弟殿下は、笑いながら、「セレンティーは犯人じゃない。」と言ってくださいました。
しばらくして、体調が悪くなり、倒れてしまいました。
医者は、王弟殿下に「おめでとうございます。」と言った。
そう、ゲランの子供を身籠っていたのだ。もう4か月になっていた。
逆算すると、牢に放り込まれたときは、すでに3か月の身重だったことになる。
王太子は、セレンティーばかりでなくお腹の子供まで殺そうとしたのだ。許せない!
身体の中で怒りがふつふつと沸き上がるのを感じた。
王弟殿下は、ゲランに身籠ったことを伝えるべきだと、言ったがセレンティーを信じられないゲランに言う必要はないと、また、兄王にも行ってくれるな、と口止めをして一人で産む覚悟をした。
王弟殿下サバンドル様は、それならと、セレンティーを妻の座に入れてくださいました。
生まれてくる子供に父親が必要だからという理由で、セレンティーとサバンドルは、白い結婚だった。セレンティーを娘だと思っていたから、そういうことはできないと頑なに拒否されてしまいました。
約半年後、金髪金眼の王子が誕生しました。サバンドル様は、銀髪銀眼です。
金髪金眼は、王家特有の容姿で、誰が見ても王太子の種であることは明白でした。名前はアラン、と名付けられました。
3年が経ったころ、再び王太子ゲランが命を狙われました。何者かに毎日少量の毒を盛られていたようです。余命僅かになった時、サバンドル様は、アランを連れて、王宮に行きました。セレンティーは、サバンドル様の意図に気づきましたが、黙って二人を送り出しました。
サバンドル様は、まず国王陛下のところへ行き、アランを見せました。
国王陛下は、自分の息子とそっくりのアランを見て大変驚かれ、
「この子は?」
アランは、「父上、どなたですか?」
「アランのお爺ちゃんだよ。」
「え!僕のおじいさまですか?初めまして、アラン・ザルツブルグと申します。」
国王陛下は、すべてを察して、優しくアランを抱きました。
つづいて、ゲランの病室に向かいました。
ゲランは、初めて見る我が子の姿に驚いて、
「この子は、ひょっとして……?セレンティーの…?」
「母上をご存知なのですか?」
「ああ、昔からのなじみだよ。母上は、お元気にしておられるか?」
「はい。」
ゲランは、この子のためにも生きなければと思うが、セレンティーが許してくれるだろうか?答えはたぶんNOだ。もし、セレンティーが許してくれていたのなら、息子と一緒に会いに来てくれているはずであるから。
ゲランは、己の過ちに気づいたが、もう手遅れだった。一番信用しなければならなかったセレンティーに対して、婚約破棄し、酷いことを言い、断罪して牢に放りこみ、お腹の子供ともども殺そうとしたのだから、「なぜ、黙っていたんだ。」「言ってくれればいいのに。」後悔してもしきれなかった。
ゲランは、サバンドル様に対し、アランとセレンティーを宜しく頼むと頭を下げた。
「早く元気になられて、セレンティー本人に、直接言ってください。セレンティーは私にとって、妻であって、娘同然です。妻があなた様の子供を身籠ってから、ずっと苦しんでいます。妻の、いえ娘の苦しみを取り除いてやってください。」
ゲランは、力なく頷いた。
「ちがう!わたくしは、そんなことしてないわ!」
ザルツブルグ王国王太子ゲラン・ザルツブルグに宣言された直後、王宮の地下牢に放り込まれた。まさに青天の霹靂でした。
幼いころからの婚約者で、学園も大学も同級生で、卒業間近い頃だった。政略結婚と雖も、セレンティーたち二人は、愛し合う関係で、つい3日前まで、関係は続いていた。
それが、今日王宮へ行ったら、いきなりの婚約破棄宣言と逮捕、投獄。
3日前に、王宮へ行ったときに手土産にした紅茶が原因だったようだが、愛し合った後、私たちは、その紅茶を飲んでいるのに、そのときは、どうもなかった。
昨日、王太子が一人で、その紅茶を淹れて飲もうとした時、毒が入っていて、泡を吹いて倒れた。
3日前、一緒に飲んでいるのだから、といくら無実を訴えても取り合ってもらえなかった。
冷たく汚い牢の中で、一晩過ごした。食欲もなく、食べたものを全部もどしてしまった。
スープも冷たくなったものしか与えられなく、カビの生えたパンと共に飲み込んだ。結局、証拠不十分で釈放されたが、何か新しい証拠が見つかれば、すぐまた収監されるということだった。
幼い時からの付き合いで、愛し合ったにもかかわらず、セレンティーの言葉に耳を貸さなかった王太子を恨んだ。
公爵家を除籍されて、行く宛てなどなかった。そこを偶然、通りかかった王弟殿下がセレンティーを家まで連れ帰り、温かいスープでもてなしてくださった。
王弟殿下の奥様は10年前に他界されていて、以後、ずっと独り身を通していらっしゃった。奥様との間に子供がいないので、セレンティーを娘のように可愛がってくださいました。
王弟殿下は、公爵身分で領地を持っていらっしゃった。
王太子暗殺の罪人を匿うようなことをして大丈夫か?と心配しました。
しかし、王弟殿下は、笑いながら、「セレンティーは犯人じゃない。」と言ってくださいました。
しばらくして、体調が悪くなり、倒れてしまいました。
医者は、王弟殿下に「おめでとうございます。」と言った。
そう、ゲランの子供を身籠っていたのだ。もう4か月になっていた。
逆算すると、牢に放り込まれたときは、すでに3か月の身重だったことになる。
王太子は、セレンティーばかりでなくお腹の子供まで殺そうとしたのだ。許せない!
身体の中で怒りがふつふつと沸き上がるのを感じた。
王弟殿下は、ゲランに身籠ったことを伝えるべきだと、言ったがセレンティーを信じられないゲランに言う必要はないと、また、兄王にも行ってくれるな、と口止めをして一人で産む覚悟をした。
王弟殿下サバンドル様は、それならと、セレンティーを妻の座に入れてくださいました。
生まれてくる子供に父親が必要だからという理由で、セレンティーとサバンドルは、白い結婚だった。セレンティーを娘だと思っていたから、そういうことはできないと頑なに拒否されてしまいました。
約半年後、金髪金眼の王子が誕生しました。サバンドル様は、銀髪銀眼です。
金髪金眼は、王家特有の容姿で、誰が見ても王太子の種であることは明白でした。名前はアラン、と名付けられました。
3年が経ったころ、再び王太子ゲランが命を狙われました。何者かに毎日少量の毒を盛られていたようです。余命僅かになった時、サバンドル様は、アランを連れて、王宮に行きました。セレンティーは、サバンドル様の意図に気づきましたが、黙って二人を送り出しました。
サバンドル様は、まず国王陛下のところへ行き、アランを見せました。
国王陛下は、自分の息子とそっくりのアランを見て大変驚かれ、
「この子は?」
アランは、「父上、どなたですか?」
「アランのお爺ちゃんだよ。」
「え!僕のおじいさまですか?初めまして、アラン・ザルツブルグと申します。」
国王陛下は、すべてを察して、優しくアランを抱きました。
つづいて、ゲランの病室に向かいました。
ゲランは、初めて見る我が子の姿に驚いて、
「この子は、ひょっとして……?セレンティーの…?」
「母上をご存知なのですか?」
「ああ、昔からのなじみだよ。母上は、お元気にしておられるか?」
「はい。」
ゲランは、この子のためにも生きなければと思うが、セレンティーが許してくれるだろうか?答えはたぶんNOだ。もし、セレンティーが許してくれていたのなら、息子と一緒に会いに来てくれているはずであるから。
ゲランは、己の過ちに気づいたが、もう手遅れだった。一番信用しなければならなかったセレンティーに対して、婚約破棄し、酷いことを言い、断罪して牢に放りこみ、お腹の子供ともども殺そうとしたのだから、「なぜ、黙っていたんだ。」「言ってくれればいいのに。」後悔してもしきれなかった。
ゲランは、サバンドル様に対し、アランとセレンティーを宜しく頼むと頭を下げた。
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ゲランは、力なく頷いた。
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