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社長からすれば、自分の連れ合いの姪っ子は、自分にとっても姪っ子という理屈だろうが、血縁者でない人から、「姪っ子」呼ばわりされても気疲れするのは変わらない。
現に伯母様は、秀介さんのことを「甥っ子」とは呼ばないし、その扱いもないのだというのに。
フレンドリーに接しているつもりでいらっしゃるみたいだけど、全然知らない人が見れば、「美和ちゃん」呼びは、愛人かと思われ、誤解を生じかねない。だから、やめてほしいのだけど、面と向かうと、言えなくなってしまう。
その心配は、美和子だけが持っているもので、業界では、社長の甥っ子と姪っ子が結婚するが、姪っ子の方は、夫人と血縁関係があるため、近親相姦ではないという話で通っている。
だから何も心配いらないのだけど、美和子の心配は空回りするばかり。
そうこうしている間に、結婚式の日が近づく、取引関係者に招待状を出し、美和子は加奈子以外の同期入社に招待状を送る。
招待状を送る前から、社長の血のつながった甥っ子と血のつながらない姪っ子が結婚するという話でもちきりだったから、招待状を送り、美和子がその姪っ子だと知った同期の反応は様々なものだった。
「森岡さんて、出戻りだったのに!?また、イイ男と結婚するのね。うらやましい」
「男好きする顔やカラダ付きしているものなぁ。あれは、案外淫乱で、男を咥えこんだら放さないタイプかもしれないよ」
「森岡さんが姪御さんだということを知っていたら、出世狙いでもっと早くチョッカイ出しておけばよかった」
けっこう好き放題言われている。だいたい、会社というところは、こんなものだけど。
自分と直接接点がない場合は、どうでもいい。聞いても、「あ、そう」の世界だから、真美和子もなんとも思っていない。
一方、秀介は、同僚からうまくやったと言われているらしい。もう、これで田所商事の社長の椅子は約束されたようなものと言われているらしい。
その言葉に秀介は、不快感をあらわにしている。美和子を愛しているからこそ、結婚をするのだ。決して、出世のために選んだ女性ではないと言いたいところを我慢している。
こういった噂は、熱くなった方が負けだから、どう頑張って説明しても真意は伝わらないもの。
真意を伝える方法は、ただ一つ。それは添い遂げることでしか伝わらない。
だから揶揄されて思うことは、絶対に美和子を幸せにしてやる!としか、心に誓うことはない。
いよいよ結婚式の日が来た。ここの所、美和子とのエッチはお預けを食らったままだ。なぜなら、キスマークのせい。純白のウエディングドレスの下から、キスマークが浮かび上がっては、格好が悪いと美和子がヤらせてくれない。
それに一彦が折れに嫉妬するかのように、美和子との仲を邪魔してくる。前は7時に就寝していたくせに、このごろは7時半を回っても、
「まだ、眠くないもん!」
言い張り、邪魔をしてくる。
当日は、一彦がリングボーイをしてくれることになり、一彦は緊張しているのかと思っていたら、ケロっとした顔で、美和子に蝶ネクタイを結んでもらっている姿は愛らしい。
そして、「じいじ、ばぁば」と言って、森岡の両親の元へ歩みよっていく。それを親父とおふくろは、悲しそうな?寂しそうな?顔で見ている。
いくら一彦が「お祖父ちゃん、お祖母ちゃん」と呼んでくれても、血縁関係はない。
でも、将来、俺が一彦のことを蔑ろにする日が来たら、俺は迷わず一彦の味方をするつもりでいる。だから、美和子との間に子供は望んでいない。
でも、もし授かったら、その時はその時のこと。
結婚式は、厳粛に進行していき、披露宴の後、俺たちは新婚旅行に旅立っていく。もちろん、一彦も一緒にだけど、ママを取られたくない一彦は、それはもう必死に抵抗しているところが可愛くて仕方がない。
現に伯母様は、秀介さんのことを「甥っ子」とは呼ばないし、その扱いもないのだというのに。
フレンドリーに接しているつもりでいらっしゃるみたいだけど、全然知らない人が見れば、「美和ちゃん」呼びは、愛人かと思われ、誤解を生じかねない。だから、やめてほしいのだけど、面と向かうと、言えなくなってしまう。
その心配は、美和子だけが持っているもので、業界では、社長の甥っ子と姪っ子が結婚するが、姪っ子の方は、夫人と血縁関係があるため、近親相姦ではないという話で通っている。
だから何も心配いらないのだけど、美和子の心配は空回りするばかり。
そうこうしている間に、結婚式の日が近づく、取引関係者に招待状を出し、美和子は加奈子以外の同期入社に招待状を送る。
招待状を送る前から、社長の血のつながった甥っ子と血のつながらない姪っ子が結婚するという話でもちきりだったから、招待状を送り、美和子がその姪っ子だと知った同期の反応は様々なものだった。
「森岡さんて、出戻りだったのに!?また、イイ男と結婚するのね。うらやましい」
「男好きする顔やカラダ付きしているものなぁ。あれは、案外淫乱で、男を咥えこんだら放さないタイプかもしれないよ」
「森岡さんが姪御さんだということを知っていたら、出世狙いでもっと早くチョッカイ出しておけばよかった」
けっこう好き放題言われている。だいたい、会社というところは、こんなものだけど。
自分と直接接点がない場合は、どうでもいい。聞いても、「あ、そう」の世界だから、真美和子もなんとも思っていない。
一方、秀介は、同僚からうまくやったと言われているらしい。もう、これで田所商事の社長の椅子は約束されたようなものと言われているらしい。
その言葉に秀介は、不快感をあらわにしている。美和子を愛しているからこそ、結婚をするのだ。決して、出世のために選んだ女性ではないと言いたいところを我慢している。
こういった噂は、熱くなった方が負けだから、どう頑張って説明しても真意は伝わらないもの。
真意を伝える方法は、ただ一つ。それは添い遂げることでしか伝わらない。
だから揶揄されて思うことは、絶対に美和子を幸せにしてやる!としか、心に誓うことはない。
いよいよ結婚式の日が来た。ここの所、美和子とのエッチはお預けを食らったままだ。なぜなら、キスマークのせい。純白のウエディングドレスの下から、キスマークが浮かび上がっては、格好が悪いと美和子がヤらせてくれない。
それに一彦が折れに嫉妬するかのように、美和子との仲を邪魔してくる。前は7時に就寝していたくせに、このごろは7時半を回っても、
「まだ、眠くないもん!」
言い張り、邪魔をしてくる。
当日は、一彦がリングボーイをしてくれることになり、一彦は緊張しているのかと思っていたら、ケロっとした顔で、美和子に蝶ネクタイを結んでもらっている姿は愛らしい。
そして、「じいじ、ばぁば」と言って、森岡の両親の元へ歩みよっていく。それを親父とおふくろは、悲しそうな?寂しそうな?顔で見ている。
いくら一彦が「お祖父ちゃん、お祖母ちゃん」と呼んでくれても、血縁関係はない。
でも、将来、俺が一彦のことを蔑ろにする日が来たら、俺は迷わず一彦の味方をするつもりでいる。だから、美和子との間に子供は望んでいない。
でも、もし授かったら、その時はその時のこと。
結婚式は、厳粛に進行していき、披露宴の後、俺たちは新婚旅行に旅立っていく。もちろん、一彦も一緒にだけど、ママを取られたくない一彦は、それはもう必死に抵抗しているところが可愛くて仕方がない。
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