1 / 15
1
しおりを挟む
気持ちよく目覚めた朝、なぜかわたくしは生まれたままの格好で寝ていた。え?前夜、婚約破棄されてヤケ酒を呷って、……その後の記憶が一切ない。
ベッドの横に眠っている男に心当たりがない。まさか!?見知らぬ男にお持ち帰りされた?
前世から考えても、……その……男性経験が少ないわたくしが襲われた!?
何を隠そう、このわたくしは前世ニッポンのおばちゃん喪女なのだ。なんで死んだのかわからないけど、とにかく気づいたらこのカラダに入ってたってわけ。
前世、一度だけ結婚して、初夜の時にたった1回だけ夫に抱かれ、その後は死ぬまで一度もなかったというのに。
そうだ前世は会社社長の令嬢で、夫は次期社長の座を狙いわたくしを欲しただけ。父は私たちが結婚して、あっという間に癌で死去。
会社は夫のものになり、私は形式上の妻で夫には外に愛人が何人もいたんだっけ。
前世の記憶をいくら思い出そうとしても、そこまでしか思い出せない。初夜の1回だけでは懐妊できないから、子供も産まずに死んだのだろう。
いや、欲求不満すぎて、襲ってたりして……据え膳だから、食べただけかもしれないし、とにかくこの場から逃げよう。
それにしても隣で寝ている男は、綺麗な顔をしている。いわゆるイケメンでカラダも腹筋が割れている美しく逞しいカラダ、さぞかし昨夜は燃えただろうね。なんて考えている場合ではない!
急いで着替えて、もうコルセットもつけないままハイヒールを持ち、抜き足差し足で部屋から出て行く。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
昨夜のパーティでのこと
「伯爵令嬢バーバラ・メルセデス!貴様との婚約は今宵をもって破棄するものとする。」
高らかに宣言されたお相手、わたくしの元婚約者はハーバネス公爵様で、わたくしはハーバネス様のお屋敷に行儀見習いに行ったときに、ハーバネス様から一目惚れをされて、婚約者に収まったというわけです。
決まり文句が「バーバラ嬢のことを一生大切にします。」だったから、前世より大切にしてもらえるならと婚約を承知したのだ。
「わかりましたわ。そう致しましょう。ハーバネス公爵様。」
「やはり何もお聞きにならないのですね。今、改めてバーバラ嬢のお気持ちが思い知らされました。バーバラ嬢は、私のことなど一度も愛してくださらないということを、これからは別の女性を愛したいと思います。」
「ハーバネス様は、わたくしのことを愛してくださったのでございますか?」
「もちろんです。ですが、バーバラ嬢は私とは……私の愛を受け入れてくださらなかった。」
「そうでございますか……、では将来出会うであろう別の女性と末永くお幸せに。」
「バーバラ嬢もどうかお幸せに。」
踵を返し、バルコニーへ出たら、ウエイターがお盆いっぱいにアルコールのグラスを持っていたので、お盆ごとここに置くように指示を出し、そこからはヤケ酒を煽りまくったのだ。
「冗談じゃねぇや!ばかやろう。何が愛だ、恋だ!?そんなものでメシが食えるか?」
「な~にが幸せにだ!ハナから婚約破棄したいだけで勝手なことをベラベラ言いやがって。男ってのは、ったく!生意気な!」
お盆一杯並んでいたグラスがあっという間に空っぽになり、またウエイターを呼び寄せ、お盆を置いてもらったのだ。
「あ~♪極楽、極楽。やっぱイヤなことがあった時は、お酒を飲むのが一番だわ。」
「早く家に帰って、寝るとするか……。」
そこでグラグラと急に酔いが回ってきて、地震?ってことないわな?
誰かにお姫様抱っこされていたような気がする?暖かくて広い胸だった……。
ベッドの横に眠っている男に心当たりがない。まさか!?見知らぬ男にお持ち帰りされた?
前世から考えても、……その……男性経験が少ないわたくしが襲われた!?
何を隠そう、このわたくしは前世ニッポンのおばちゃん喪女なのだ。なんで死んだのかわからないけど、とにかく気づいたらこのカラダに入ってたってわけ。
前世、一度だけ結婚して、初夜の時にたった1回だけ夫に抱かれ、その後は死ぬまで一度もなかったというのに。
そうだ前世は会社社長の令嬢で、夫は次期社長の座を狙いわたくしを欲しただけ。父は私たちが結婚して、あっという間に癌で死去。
会社は夫のものになり、私は形式上の妻で夫には外に愛人が何人もいたんだっけ。
前世の記憶をいくら思い出そうとしても、そこまでしか思い出せない。初夜の1回だけでは懐妊できないから、子供も産まずに死んだのだろう。
いや、欲求不満すぎて、襲ってたりして……据え膳だから、食べただけかもしれないし、とにかくこの場から逃げよう。
それにしても隣で寝ている男は、綺麗な顔をしている。いわゆるイケメンでカラダも腹筋が割れている美しく逞しいカラダ、さぞかし昨夜は燃えただろうね。なんて考えている場合ではない!
急いで着替えて、もうコルセットもつけないままハイヒールを持ち、抜き足差し足で部屋から出て行く。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
昨夜のパーティでのこと
「伯爵令嬢バーバラ・メルセデス!貴様との婚約は今宵をもって破棄するものとする。」
高らかに宣言されたお相手、わたくしの元婚約者はハーバネス公爵様で、わたくしはハーバネス様のお屋敷に行儀見習いに行ったときに、ハーバネス様から一目惚れをされて、婚約者に収まったというわけです。
決まり文句が「バーバラ嬢のことを一生大切にします。」だったから、前世より大切にしてもらえるならと婚約を承知したのだ。
「わかりましたわ。そう致しましょう。ハーバネス公爵様。」
「やはり何もお聞きにならないのですね。今、改めてバーバラ嬢のお気持ちが思い知らされました。バーバラ嬢は、私のことなど一度も愛してくださらないということを、これからは別の女性を愛したいと思います。」
「ハーバネス様は、わたくしのことを愛してくださったのでございますか?」
「もちろんです。ですが、バーバラ嬢は私とは……私の愛を受け入れてくださらなかった。」
「そうでございますか……、では将来出会うであろう別の女性と末永くお幸せに。」
「バーバラ嬢もどうかお幸せに。」
踵を返し、バルコニーへ出たら、ウエイターがお盆いっぱいにアルコールのグラスを持っていたので、お盆ごとここに置くように指示を出し、そこからはヤケ酒を煽りまくったのだ。
「冗談じゃねぇや!ばかやろう。何が愛だ、恋だ!?そんなものでメシが食えるか?」
「な~にが幸せにだ!ハナから婚約破棄したいだけで勝手なことをベラベラ言いやがって。男ってのは、ったく!生意気な!」
お盆一杯並んでいたグラスがあっという間に空っぽになり、またウエイターを呼び寄せ、お盆を置いてもらったのだ。
「あ~♪極楽、極楽。やっぱイヤなことがあった時は、お酒を飲むのが一番だわ。」
「早く家に帰って、寝るとするか……。」
そこでグラグラと急に酔いが回ってきて、地震?ってことないわな?
誰かにお姫様抱っこされていたような気がする?暖かくて広い胸だった……。
6
あなたにおすすめの小説
『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!
志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」
皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。
そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?
『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
良くある事でしょう。
r_1373
恋愛
テンプレートの様に良くある悪役令嬢に生まれ変っていた。
若い頃に死んだ記憶があれば早々に次の道を探したのか流行りのざまぁをしたのかもしれない。
けれど酸いも甘いも苦いも経験して産まれ変わっていた私に出来る事は・・。
やさしい・悪役令嬢
きぬがやあきら
恋愛
「そのようなところに立っていると、ずぶ濡れになりますわよ」
と、親切に忠告してあげただけだった。
それなのに、ずぶ濡れになったマリアナに”嫌がらせを指示した張本人はオデットだ”と、誤解を受ける。
友人もなく、気の毒な転入生を気にかけただけなのに。
あろうことか、オデットの婚約者ルシアンにまで言いつけられる始末だ。
美貌に、教養、権力、果ては将来の王太子妃の座まで持ち、何不自由なく育った箱入り娘のオデットと、庶民上がりのたくましい子爵令嬢マリアナの、静かな戦いの火蓋が切って落とされた。
【完結】謀られた令嬢は、真実の愛を知る
白雨 音
恋愛
男爵令嬢のミシェルは、十九歳。
伯爵子息ナゼールとの結婚を二月後に控えていたが、落馬し、怪我を負ってしまう。
「怪我が治っても歩く事は難しい」と聞いた伯爵家からは、婚約破棄を言い渡され、
その上、ナゼールが自分の代わりに、親友のエリーゼと結婚すると知り、打ちのめされる。
失意のミシェルに、逃げ場を与えてくれたのは、母の弟、叔父のグエンだった。
グエンの事は幼い頃から実の兄の様に慕っていたが、彼が伯爵を継いでからは疎遠になっていた。
あの頃の様に、戻れたら…、ミシェルは癒しを求め、グエンの館で世話になる事を決めた___
異世界恋愛:短編☆(全13話)
※魔法要素はありません。 ※叔姪婚の認められた世界です。 《完結しました》
お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
もしもゲーム通りになってたら?
クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが
もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら?
全てがゲーム通りに進んだとしたら?
果たしてヒロインは幸せになれるのか
※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。
※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。
※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。
※4/14「パターンその7・おまけ」を更新しました。
悪役令嬢は名女優 〜そんな小芝居で私を断罪できるとでも?〜
本見りん
恋愛
元女優のこの私は、婚約者の王子の三文芝居に我慢が出来なくてよ!
いきなり始まった婚約破棄劇の真っ最中に蘇った前世の記憶。
『婚約破棄』? 『私がそこの令嬢をいじめた』? ……何を言っているのかしら? そんな三流の小芝居でこの私を陥れようだなんて! 前世名女優と呼ばれたこの私が本物の演技というものを見せて差し上げますわ!
王宮でのパーティーでいきなり『婚約破棄』を言い出した婚約者のファビアン王子に、前世は大女優だった侯爵令嬢セシリアが演技で反撃させていただきます!
『小説家になろう』様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる