8 / 13
8.大居夫妻視点
しおりを挟む
大居明彦・恵理子23歳、大居宣伝社社長の息子夫妻でともに、早稲田義塾大学卒業であるが、就職経験がなく、親の会社を手伝っている。
明彦は最近、ことごとく仕事を失っていて、なぜかと首をひねっている。
明彦の会社はいわゆる下請けで、大手広告代理店や中規模広告代理店が請け負った仕事の一部または全部を製作し、それを納品するという仕事をしている。
大手が5000万円だとしたら、大居宣伝社は、その10分の1ぐらいが手取りとしてになる。
大手ほど、他に経費がいるわけでもなく、人件費など限られているから。大居宣伝社のような会社は小回りがよく効率よく稼げるのである。
それが恵理子と結婚してから、相次いで契約を打ち切られている。恵理子は下げマンだったのかもしれない。
今までなら、ひなのの親父の新聞社から直に広告依頼が来ていた。だが、明彦が恵理子と浮気して、ひなのを捨てたからか、あれ以来一切の依頼がなくなったのだ。まぁ、それは致し方ないとして、明彦も今更、ひなのの親父さんに頭を下げることではないと思っているから。
でも、他のところまで追随しているとは、どういうことだ。
親父は、昔、大手の広告代理店に勤務していた。そのころのツテを頼って、今回の下請け切りを調べてくれたら、衝撃の事実がそこにはあったことがわかる。
親父の知り合いが言うには、百万年企画の社長の息子の嫁が、明彦に弄ばれ捨てられたことへの報復措置だと説明を受けたらしい。
え?
いやいや、明彦は身に覚えがない!と必死に訴えるものの。親父は、あんな大手から睨まれたら、うちはもうおしまいだと半ば諦め状態。
親父は会社をたたむから、明彦もこの業界以外のところで仕事を探せ。もうじき、子供も生まれてくるのだから。と念を押される。
うそだろ?
明彦に広告以外の仕事は考えられない。恥を忍んで、ひなのの親父さんに頭を下げ新聞広告の仕事をもらおうと思って、出向く。
「ひなのの大学時代のお友達だったよね?ごめん。悪いのだけど、ひなのの嫁ぎ先が広告代理店なもので、これからはすべてそこの代理店になったのだよ。すまないね。」
「え⁉ ひなのさん、ご結婚されたのですか?おめでとうございます。どちらの代理店でしょうか?差し支えなければ、お教え願えませんか?」
「え……とね。大久保さんと結婚したのだよ。」
大久保?聞いたことがない?
アイツ、俺が恵理子と結婚したことがよっぽどショックだったのか?アイツの実家に招待状を送ったけど、結局なしのつぶてだったよな。
明彦は祝福してもらおうと思って、招待状を出したのではない。アイツの実家が金持ちだったから、祝儀を当て込んでのこと。
帰宅して、親父に「大久保」という代理店を知っているかと聞くと、親父はみるみる顔色が悪くなっていき、
「明彦、その名前をどこで聞いた?」
「大学の同級生が大久保という代理店の奴と結婚したって、聞いたからさ。」
「バカ者!大久保さんが経営している広告代理店が百万年企画だよ。明彦、やっぱり、お前って奴は……!その同級生の女性を弄んで捨てたのだな!お前など、勘当だ!今すぐこの家から出ていけ!」
えっえっえー!
ひなのが百万年企画の御曹司と結婚!?
そんなバカな……。
明彦は、間違いなく、ひなののことが好きだった。ひなのの屈託がない笑顔が好きで、ひなのの大きくて柔らかいおっぱいが好きで、ひなのと付き合っていることが自慢できて、それなのに、どこで間違えてしまったのだろう。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
恵理子は妊娠5か月で、専業主婦をしているのだが、いつまで経っても帰ってこない夫を心配して、夫の実家に電話をして、事の子細をすべて聞いた。
これは、もう……帰ってこないだろうという予感がある。
恵理子は、ひなののことがうらやましくてしょうがなかった。ひなののお父さんが新聞社の局長をしていることも、腹立たしい原因の一つで、ひなのは明るく、誰からも好かれる性格で、恵理子は根暗で、嫉妬深いから、最初は付き合ってくれる人がいても、そのうち捨てられる。会話が続かないことが原因なのだ。
就活も失敗して、家に帰ると毎日、朝から晩までグチグチと愚痴を言われる。
それで気晴らしに入ったパチンコ屋で、明彦と再会したのだ。明彦は仕事とひなのの自慢ばかりしていて、ムカついたけど、そのうち、ひなのから明彦を奪ってやることを思いつき、実行に移す。
ただ寝るだけでは、明彦を奪えない。だから安全日だと嘘をついて寝たのだ。
結果、就活は失敗したけど、永久就職はすることができ、親の愚痴から解放されることに成功した。
でも、またひなのに負け、何もかも失うことになってしまうとは……。自業自得と言えば、それまでだが、お腹の子供をどうしようか迷っている。
せっかく授かった命だから、せめて後5か月、無事に生まれてきてほしい。
明彦は最近、ことごとく仕事を失っていて、なぜかと首をひねっている。
明彦の会社はいわゆる下請けで、大手広告代理店や中規模広告代理店が請け負った仕事の一部または全部を製作し、それを納品するという仕事をしている。
大手が5000万円だとしたら、大居宣伝社は、その10分の1ぐらいが手取りとしてになる。
大手ほど、他に経費がいるわけでもなく、人件費など限られているから。大居宣伝社のような会社は小回りがよく効率よく稼げるのである。
それが恵理子と結婚してから、相次いで契約を打ち切られている。恵理子は下げマンだったのかもしれない。
今までなら、ひなのの親父の新聞社から直に広告依頼が来ていた。だが、明彦が恵理子と浮気して、ひなのを捨てたからか、あれ以来一切の依頼がなくなったのだ。まぁ、それは致し方ないとして、明彦も今更、ひなのの親父さんに頭を下げることではないと思っているから。
でも、他のところまで追随しているとは、どういうことだ。
親父は、昔、大手の広告代理店に勤務していた。そのころのツテを頼って、今回の下請け切りを調べてくれたら、衝撃の事実がそこにはあったことがわかる。
親父の知り合いが言うには、百万年企画の社長の息子の嫁が、明彦に弄ばれ捨てられたことへの報復措置だと説明を受けたらしい。
え?
いやいや、明彦は身に覚えがない!と必死に訴えるものの。親父は、あんな大手から睨まれたら、うちはもうおしまいだと半ば諦め状態。
親父は会社をたたむから、明彦もこの業界以外のところで仕事を探せ。もうじき、子供も生まれてくるのだから。と念を押される。
うそだろ?
明彦に広告以外の仕事は考えられない。恥を忍んで、ひなのの親父さんに頭を下げ新聞広告の仕事をもらおうと思って、出向く。
「ひなのの大学時代のお友達だったよね?ごめん。悪いのだけど、ひなのの嫁ぎ先が広告代理店なもので、これからはすべてそこの代理店になったのだよ。すまないね。」
「え⁉ ひなのさん、ご結婚されたのですか?おめでとうございます。どちらの代理店でしょうか?差し支えなければ、お教え願えませんか?」
「え……とね。大久保さんと結婚したのだよ。」
大久保?聞いたことがない?
アイツ、俺が恵理子と結婚したことがよっぽどショックだったのか?アイツの実家に招待状を送ったけど、結局なしのつぶてだったよな。
明彦は祝福してもらおうと思って、招待状を出したのではない。アイツの実家が金持ちだったから、祝儀を当て込んでのこと。
帰宅して、親父に「大久保」という代理店を知っているかと聞くと、親父はみるみる顔色が悪くなっていき、
「明彦、その名前をどこで聞いた?」
「大学の同級生が大久保という代理店の奴と結婚したって、聞いたからさ。」
「バカ者!大久保さんが経営している広告代理店が百万年企画だよ。明彦、やっぱり、お前って奴は……!その同級生の女性を弄んで捨てたのだな!お前など、勘当だ!今すぐこの家から出ていけ!」
えっえっえー!
ひなのが百万年企画の御曹司と結婚!?
そんなバカな……。
明彦は、間違いなく、ひなののことが好きだった。ひなのの屈託がない笑顔が好きで、ひなのの大きくて柔らかいおっぱいが好きで、ひなのと付き合っていることが自慢できて、それなのに、どこで間違えてしまったのだろう。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
恵理子は妊娠5か月で、専業主婦をしているのだが、いつまで経っても帰ってこない夫を心配して、夫の実家に電話をして、事の子細をすべて聞いた。
これは、もう……帰ってこないだろうという予感がある。
恵理子は、ひなののことがうらやましくてしょうがなかった。ひなののお父さんが新聞社の局長をしていることも、腹立たしい原因の一つで、ひなのは明るく、誰からも好かれる性格で、恵理子は根暗で、嫉妬深いから、最初は付き合ってくれる人がいても、そのうち捨てられる。会話が続かないことが原因なのだ。
就活も失敗して、家に帰ると毎日、朝から晩までグチグチと愚痴を言われる。
それで気晴らしに入ったパチンコ屋で、明彦と再会したのだ。明彦は仕事とひなのの自慢ばかりしていて、ムカついたけど、そのうち、ひなのから明彦を奪ってやることを思いつき、実行に移す。
ただ寝るだけでは、明彦を奪えない。だから安全日だと嘘をついて寝たのだ。
結果、就活は失敗したけど、永久就職はすることができ、親の愚痴から解放されることに成功した。
でも、またひなのに負け、何もかも失うことになってしまうとは……。自業自得と言えば、それまでだが、お腹の子供をどうしようか迷っている。
せっかく授かった命だから、せめて後5か月、無事に生まれてきてほしい。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」
突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。
冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。
仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。
「お前を、誰にも渡すつもりはない」
冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。
これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?
割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。
不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。
これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる