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*WEB連載版
第41話 銀髪ラフレシア
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「……お前は姉の婚約者にいきなり抱きついて……、言うことはそれだけなのかよ」
突然イリーナに抱きつかれるわ気持ち悪い笑顔を向けられるわで面食らっているらしいルベルド殿下は、低い声で妹を威嚇した。
しかしその程度でひるむようなイリーナではない。
「まあ、ルベルド殿下ったら、そんな怖い顔をして。わたくしたちって義兄弟になるんですわよ? 義兄弟の契りだと思えば抱きつくくらい安いものでしょう?」
「ごめん意味分からないんだけど」
「わたくし、おにいさまが欲しかったんですの。お姉さまもいいんですが、やっぱり男の兄弟っていうのに憧れていまして……」
イリーナ、全然人の話聞いてないし。
ていうかダドリー様はどうした、ダドリー様は。あなたにはとってダドリー様だってお義兄さまだったじゃないのよ!
しかしいま、イリーナはただただルベルド殿下しか見ていない。
「それにお義兄さまにはお姉さまという愛する方がいらっしゃいますもの。わたくしみたいな醜女よりお姉さまのほうが大切でございましょう? それならなんの問題もありませんわよね?」
それからイリーナは初めて気づいたように私を見て、突然自分の口を手で覆った。
「まあ、お姉さま! いらっしゃったのですか」
「え、いやさっき私の名前呼んでたでしょあなた」
「もうっ、いるならいると言ってくだされば……本当に意地悪な人なんですから」
「え?」
「じゃあ見てしまったのですわね、ルベルド殿下と抱き合ったところを……」
「抱き合うっていうかイリーナが抱きついたのなら見たけど」
「これはその、ほら、わたくし、昔から男兄弟が欲しくて。それで念願のお兄さまができて嬉しくなってしまったのですわ。けっしてルベルド殿下にやましい気持ちがあるわけではございませんの。ね、お義兄さま?」
あ、これ。
私のことダシにして周りの人を味方に付けるイリーナのいつものやり口だ。
もしかしてルベルドもイリーナの味方になってしまうの?
せっかく幸せになれたのに、また奪われてしまったら、私……、本当に立ち直れないかもしれない……。
「そうだぞアデライザ。俺たちにやましいところなどあるわけがない……って俺が言うとでも思ったかー! がーっ!!」
突然、ルベルド殿下がイリーナの頭を掴んで銀色の髪の毛をぐしゃぐしゃにしたのだ。
「きゃっ!? や、やめてください! お義兄さま! せっかくセットした髪がぁ!」
「アホかお前、お前の手口なんかお見通しなんだよ! そうやって男を抱き込んで来やがったなこの銀髪ラフレシア!」
殿下の言葉にきょとんとする銀髪ラフレシアもといイリーナ。
「ラフ……?」
「イリーナ、ラフレシアというのは熱帯雨林に咲く花お花の事よ。世界最大の花といわれているわ」
「ま、まあ、お義兄さま。お花に例えてくれるなんて嬉しいですわ。ラフレシア……知らないお花ですけれど、なんと可憐な名前でしょう。しかも世界最大のお花だなんて、きっと美しくも可憐、かつ豪華で私にピッタリなお花なのでしょうね」
「ラフレシアは凄まじい腐臭を発しハエを呼び寄せる花だ。くさい匂いを振りまいて男を抱き込むお前にピッタリな花じゃねえか!」
「ひ、ひどいですわお義兄さま……」
ああ、殿下ったら。いいところで中断させられて苛ついてるわね。
「……殿下、花に罪はありませんわよ。腐臭を発するのはラフレシアの生存戦略ですからね」
「そうだな。ごめんな、ラフレシア」
「それはわたくしに謝ることではありませんっ!」
…………………………あ、これ。
もしかして大丈夫なやつ?
突然イリーナに抱きつかれるわ気持ち悪い笑顔を向けられるわで面食らっているらしいルベルド殿下は、低い声で妹を威嚇した。
しかしその程度でひるむようなイリーナではない。
「まあ、ルベルド殿下ったら、そんな怖い顔をして。わたくしたちって義兄弟になるんですわよ? 義兄弟の契りだと思えば抱きつくくらい安いものでしょう?」
「ごめん意味分からないんだけど」
「わたくし、おにいさまが欲しかったんですの。お姉さまもいいんですが、やっぱり男の兄弟っていうのに憧れていまして……」
イリーナ、全然人の話聞いてないし。
ていうかダドリー様はどうした、ダドリー様は。あなたにはとってダドリー様だってお義兄さまだったじゃないのよ!
しかしいま、イリーナはただただルベルド殿下しか見ていない。
「それにお義兄さまにはお姉さまという愛する方がいらっしゃいますもの。わたくしみたいな醜女よりお姉さまのほうが大切でございましょう? それならなんの問題もありませんわよね?」
それからイリーナは初めて気づいたように私を見て、突然自分の口を手で覆った。
「まあ、お姉さま! いらっしゃったのですか」
「え、いやさっき私の名前呼んでたでしょあなた」
「もうっ、いるならいると言ってくだされば……本当に意地悪な人なんですから」
「え?」
「じゃあ見てしまったのですわね、ルベルド殿下と抱き合ったところを……」
「抱き合うっていうかイリーナが抱きついたのなら見たけど」
「これはその、ほら、わたくし、昔から男兄弟が欲しくて。それで念願のお兄さまができて嬉しくなってしまったのですわ。けっしてルベルド殿下にやましい気持ちがあるわけではございませんの。ね、お義兄さま?」
あ、これ。
私のことダシにして周りの人を味方に付けるイリーナのいつものやり口だ。
もしかしてルベルドもイリーナの味方になってしまうの?
せっかく幸せになれたのに、また奪われてしまったら、私……、本当に立ち直れないかもしれない……。
「そうだぞアデライザ。俺たちにやましいところなどあるわけがない……って俺が言うとでも思ったかー! がーっ!!」
突然、ルベルド殿下がイリーナの頭を掴んで銀色の髪の毛をぐしゃぐしゃにしたのだ。
「きゃっ!? や、やめてください! お義兄さま! せっかくセットした髪がぁ!」
「アホかお前、お前の手口なんかお見通しなんだよ! そうやって男を抱き込んで来やがったなこの銀髪ラフレシア!」
殿下の言葉にきょとんとする銀髪ラフレシアもといイリーナ。
「ラフ……?」
「イリーナ、ラフレシアというのは熱帯雨林に咲く花お花の事よ。世界最大の花といわれているわ」
「ま、まあ、お義兄さま。お花に例えてくれるなんて嬉しいですわ。ラフレシア……知らないお花ですけれど、なんと可憐な名前でしょう。しかも世界最大のお花だなんて、きっと美しくも可憐、かつ豪華で私にピッタリなお花なのでしょうね」
「ラフレシアは凄まじい腐臭を発しハエを呼び寄せる花だ。くさい匂いを振りまいて男を抱き込むお前にピッタリな花じゃねえか!」
「ひ、ひどいですわお義兄さま……」
ああ、殿下ったら。いいところで中断させられて苛ついてるわね。
「……殿下、花に罪はありませんわよ。腐臭を発するのはラフレシアの生存戦略ですからね」
「そうだな。ごめんな、ラフレシア」
「それはわたくしに謝ることではありませんっ!」
…………………………あ、これ。
もしかして大丈夫なやつ?
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