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第3話
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遊園地でのお仕事から1週間。
その間トライエレメンツにはバイト含め一切の仕事の依頼なし。
才能があるからといって人気が出るとは限らない。
彼女達はこのまま鍛錬を重ねればゆくゆくはトップヒーローになるだけの素質はある。
だって夢と希望の魔法少女だし。
しかし、いかんせんまだ結成して半年のひよっこヒーロー。
知名度なんてものある筈がなかった。
そのため、彼女達は今日も1日事務所でのんびりと過ごしている。
「ひ~~~~ま~~~~。」
「41、42、43……」
「えーと、xの値が6だから……」
由那はお菓子をかじりつつソファーに寝転び、火乃香はあいも変わらず筋トレ中。
今はバーベルスクワットをしている。
女子中学生が? と思うかもしれないが、魔法少女は総じて身体能力が高い。
それは体内に宿す魔力が作用しているとされているが詳しいことはまだ分かっていない。
似たようなヒーローの能力に超能力があるが、あちらは基本的には身体能力は普通の人間と変わらない。
そして湊は2週間後に控えた中間試験の勉強中。
火乃香は実家が実家なので成績は超優秀。
大富豪万歳! ハーバード卒家庭教師万歳! な状態だ。
由那は……まあ、うん。
もっと頑張りましょう。といったところ。
多分3日前くらいに湊に泣きつく。
そんな感じでおもいおもいの時間を過ごしていたところ、メイガストヒロインに来訪者が。
漫画でもデカすぎだろと突っ込まれそうなお胸をした女性と配管工界のホープがやって来たのだ。
「こんにちは。この前のお礼を言いたくて……それと、約束のケーキを持って来ました。」
大きなお胸様の名前は雨野霞というらしい。
自己紹介をして頭を下げるお胸さ……霞さん。
その際におっきなお胸がゆっさゆっさ。
そのお胸に同性であるはずの由那、湊、火乃香の視線を集める。
その事に全く気づいていない霞はにこやかに笑ったままだ。
自身のスタイルに自信のある火乃香、成長途中だが既に十分な胸部装甲を持つ湊でさえも釘付けになっている。
由那は……その乳捥ぎ取ってカラスの餌にしてやろうか、ああん? って表情をしている。
女の子がしていい顔じゃない。
「改めまして、お礼を申し上げさせていただきます。あの時はありがとうございました。」
「いえ。ヒーローとして当然のことをしたまでですから。」
先日の暴漢達は常習犯ではなかった。
彼等は霞の大き過ぎる胸に理性が保たず、ついあのような事をしてしまったのだ。
親に借りた車で、顔を隠さずに行うという稚拙すぎる犯行が突発性なものだという事を物語っている。
しかし童顔で清楚な雰囲気、それでいて人妻属性を持ち圧倒的な破壊力の胸まであるのだからそれも仕方ないのかもしれない。
霞と真理雄をソファーへ座るように促すと、即座に『メイガストヒロイン』社長、鋼日小夜がすすっと紅茶と甘くて飲みやすいアップルティーを出す。
火乃香が実家から持って来た超高級アールグレイと子供向けのアップルティーだ。
その味もまた格別だ。
何故なら火乃香の熱心な指導によって日小夜のお茶淹れスキルがカンストしているのだから。
…………ヒーロー事務所社長が何をしているのやら。
「あ、美味しい……。」
「ありがとうございます。」
心の中でガッツポーズを取る日小夜。
思い出されるのは辛く険しい鍛錬の道。
ヒーロー事務所をここにはいないもう1人のヒーローと共に興し、その後にやって来た火乃香。
今のメンバーが来るまで1人でいた火乃香に毎日扱かれていた日々。
しかし、それも無駄ではなかった。
こうして美味しいと喜んでくれる人がいるのだから。
………………いや、だから社長が何やってるって話なんだけどね。
ヒーロー3人、特に仕事もないということもあり、のんびりと談笑をする。
そんな中、真理雄からどうすればヒーローになれるかという質問を受ける。
こういう時、普通ならば善悪を判断する心や、護るための力をつけるなどと答えたり、誰かを守りたいと思った時点で既にヒーローなどと言い誤魔化したりするのだろう。
しかし、火乃香は違った。
生まれた時から魔法の力を持ち、財閥の娘として権力と共にあった存在。
故に、力が周りに影響を及ぼす怖さというものを知っている。
だから、火乃香はこう言うのだ。
「辞めておきなさい。ヒーローは憧れだけでなるものではないわ。」
「え……?」
「あの……。」
火乃香の言葉に、真理雄だけでなく、霞も呆気にとられている。
霞は良くあるような言葉を言うのだろうと思っていた。
しかし、それを裏切られ、それどころか辞めるように勧めるのだからそれも仕方がないだろう。
「確かにヒーローはかっこよく見えるのかもしれないわ。」
「う、うん。だから僕もヒーローに…」
「ですが、かっこよく見える……ただそれだけのために危険な事をするのは良くない事よ。」
ソファーから立ち上がり、真理雄の側まで行くと膝を曲げ、目線を合わせる火乃香。
そして言葉を続ける。
「真理雄。貴方は霞さんにとって、お腹を痛めて産んだ掛け替えのない宝物なの。それが、ただかっこいいというだけで危険なことに近づき、怪我をしたら、とても悲しむことになるのよ。この間もそうでしたでしょう?」
「あ……。」
「だから今はヒーローは遠くから見ているだけにして、大好きなお母さんと一緒に、毎日を幸せに暮らすのよ。それでもしも大きくなった時に、正義の心を持っていたのなら、困っている誰かを助けたいと思ったのなら、その時はヒーローを目指しなさい。」
「うん!」
ヒーローとは人々を護り、夢と希望を与える存在。
だからこそ、ありきたりな言葉ではなく、無責任な言葉ではなく、子供だからと侮ることなく真摯に向き合う必要があるのだ。
真摯でないものに、自分の命を任せられないのだから。
もっとも、由那であれば夢に向かって頑張るだけなどと言っていたのだろうが……。
子供扱いせずに真面目に答えてくれは火乃香に真理雄が懐き、膝の上でアップルティーを飲んでいる以外は変化もなく穏やかに談笑の時間は進む。
そんな穏やかな時間はとある電話の音によって終わりを告げる。
事務所への仕事の依頼の電話だ。
緊急要請ではないが、先方はこれから打ち合わせをしたいので伺うと言ってきている。
であるならば、ヒーローではない霞達がいるわけにはいかない。
そう考えた霞は真理雄の手を取り、最後にもう一度先日の件のお礼を言ってから帰っていった。
それを見送った『トライエレメンツ』は即座に意識を切り替える。
のんびり超暇な女子中学生モードからお仕事モードへ。
さてさて。
次はどんなお仕事が来ることやら。
その間トライエレメンツにはバイト含め一切の仕事の依頼なし。
才能があるからといって人気が出るとは限らない。
彼女達はこのまま鍛錬を重ねればゆくゆくはトップヒーローになるだけの素質はある。
だって夢と希望の魔法少女だし。
しかし、いかんせんまだ結成して半年のひよっこヒーロー。
知名度なんてものある筈がなかった。
そのため、彼女達は今日も1日事務所でのんびりと過ごしている。
「ひ~~~~ま~~~~。」
「41、42、43……」
「えーと、xの値が6だから……」
由那はお菓子をかじりつつソファーに寝転び、火乃香はあいも変わらず筋トレ中。
今はバーベルスクワットをしている。
女子中学生が? と思うかもしれないが、魔法少女は総じて身体能力が高い。
それは体内に宿す魔力が作用しているとされているが詳しいことはまだ分かっていない。
似たようなヒーローの能力に超能力があるが、あちらは基本的には身体能力は普通の人間と変わらない。
そして湊は2週間後に控えた中間試験の勉強中。
火乃香は実家が実家なので成績は超優秀。
大富豪万歳! ハーバード卒家庭教師万歳! な状態だ。
由那は……まあ、うん。
もっと頑張りましょう。といったところ。
多分3日前くらいに湊に泣きつく。
そんな感じでおもいおもいの時間を過ごしていたところ、メイガストヒロインに来訪者が。
漫画でもデカすぎだろと突っ込まれそうなお胸をした女性と配管工界のホープがやって来たのだ。
「こんにちは。この前のお礼を言いたくて……それと、約束のケーキを持って来ました。」
大きなお胸様の名前は雨野霞というらしい。
自己紹介をして頭を下げるお胸さ……霞さん。
その際におっきなお胸がゆっさゆっさ。
そのお胸に同性であるはずの由那、湊、火乃香の視線を集める。
その事に全く気づいていない霞はにこやかに笑ったままだ。
自身のスタイルに自信のある火乃香、成長途中だが既に十分な胸部装甲を持つ湊でさえも釘付けになっている。
由那は……その乳捥ぎ取ってカラスの餌にしてやろうか、ああん? って表情をしている。
女の子がしていい顔じゃない。
「改めまして、お礼を申し上げさせていただきます。あの時はありがとうございました。」
「いえ。ヒーローとして当然のことをしたまでですから。」
先日の暴漢達は常習犯ではなかった。
彼等は霞の大き過ぎる胸に理性が保たず、ついあのような事をしてしまったのだ。
親に借りた車で、顔を隠さずに行うという稚拙すぎる犯行が突発性なものだという事を物語っている。
しかし童顔で清楚な雰囲気、それでいて人妻属性を持ち圧倒的な破壊力の胸まであるのだからそれも仕方ないのかもしれない。
霞と真理雄をソファーへ座るように促すと、即座に『メイガストヒロイン』社長、鋼日小夜がすすっと紅茶と甘くて飲みやすいアップルティーを出す。
火乃香が実家から持って来た超高級アールグレイと子供向けのアップルティーだ。
その味もまた格別だ。
何故なら火乃香の熱心な指導によって日小夜のお茶淹れスキルがカンストしているのだから。
…………ヒーロー事務所社長が何をしているのやら。
「あ、美味しい……。」
「ありがとうございます。」
心の中でガッツポーズを取る日小夜。
思い出されるのは辛く険しい鍛錬の道。
ヒーロー事務所をここにはいないもう1人のヒーローと共に興し、その後にやって来た火乃香。
今のメンバーが来るまで1人でいた火乃香に毎日扱かれていた日々。
しかし、それも無駄ではなかった。
こうして美味しいと喜んでくれる人がいるのだから。
………………いや、だから社長が何やってるって話なんだけどね。
ヒーロー3人、特に仕事もないということもあり、のんびりと談笑をする。
そんな中、真理雄からどうすればヒーローになれるかという質問を受ける。
こういう時、普通ならば善悪を判断する心や、護るための力をつけるなどと答えたり、誰かを守りたいと思った時点で既にヒーローなどと言い誤魔化したりするのだろう。
しかし、火乃香は違った。
生まれた時から魔法の力を持ち、財閥の娘として権力と共にあった存在。
故に、力が周りに影響を及ぼす怖さというものを知っている。
だから、火乃香はこう言うのだ。
「辞めておきなさい。ヒーローは憧れだけでなるものではないわ。」
「え……?」
「あの……。」
火乃香の言葉に、真理雄だけでなく、霞も呆気にとられている。
霞は良くあるような言葉を言うのだろうと思っていた。
しかし、それを裏切られ、それどころか辞めるように勧めるのだからそれも仕方がないだろう。
「確かにヒーローはかっこよく見えるのかもしれないわ。」
「う、うん。だから僕もヒーローに…」
「ですが、かっこよく見える……ただそれだけのために危険な事をするのは良くない事よ。」
ソファーから立ち上がり、真理雄の側まで行くと膝を曲げ、目線を合わせる火乃香。
そして言葉を続ける。
「真理雄。貴方は霞さんにとって、お腹を痛めて産んだ掛け替えのない宝物なの。それが、ただかっこいいというだけで危険なことに近づき、怪我をしたら、とても悲しむことになるのよ。この間もそうでしたでしょう?」
「あ……。」
「だから今はヒーローは遠くから見ているだけにして、大好きなお母さんと一緒に、毎日を幸せに暮らすのよ。それでもしも大きくなった時に、正義の心を持っていたのなら、困っている誰かを助けたいと思ったのなら、その時はヒーローを目指しなさい。」
「うん!」
ヒーローとは人々を護り、夢と希望を与える存在。
だからこそ、ありきたりな言葉ではなく、無責任な言葉ではなく、子供だからと侮ることなく真摯に向き合う必要があるのだ。
真摯でないものに、自分の命を任せられないのだから。
もっとも、由那であれば夢に向かって頑張るだけなどと言っていたのだろうが……。
子供扱いせずに真面目に答えてくれは火乃香に真理雄が懐き、膝の上でアップルティーを飲んでいる以外は変化もなく穏やかに談笑の時間は進む。
そんな穏やかな時間はとある電話の音によって終わりを告げる。
事務所への仕事の依頼の電話だ。
緊急要請ではないが、先方はこれから打ち合わせをしたいので伺うと言ってきている。
であるならば、ヒーローではない霞達がいるわけにはいかない。
そう考えた霞は真理雄の手を取り、最後にもう一度先日の件のお礼を言ってから帰っていった。
それを見送った『トライエレメンツ』は即座に意識を切り替える。
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さてさて。
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