魔法少女、派遣します!

椎茸大使

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第9話

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怒涛の日々が続いた。
学校に仕事にテスト勉強とトライエレメンツは本当に忙しい日々を過ごした。
特に忙しかったのは由那である。
トライエレメンツが受けた仕事の中には迷い猫や迷い犬といった捜索系も多くあり、風を使っての高高度高速機動が出来る上、湊や火乃香と違い移動には周囲の被害が及ばない。
その為迷い動物捜索において獅子奮迅の大活躍。
学校に行って肉体労働をしていい感じの疲労感がある状態で湊謹製テスト勉強計画表を熟さないといけないのだから。
数学の教科書何ページから何ページまでと範囲の指定で、何時間やれというものではない。
時間だけ指定したとしても、その時間内にテスト範囲が終わらなければ意味がないし、何より由那は指定時間だけやればいいと考えそうなので。
そういう理由で湊は時間指定しなかったのだ。
まあ、その結果たったの2時間とか言われたわけなのだが……。

そして長いようで短いテスト期間が終了した。

「終わった~……。」
「お疲れ様。それでどう?  手応えは?」
「……ダメかも。」
「え?」
「だってだって、あんな長文出てくるなんて思う!?  長すぎだよ!?  1ページまるまるあったじゃん!」
「あー、確かに多かったけど、ちゃんと読めば内容は理解できるはずよ。」
「私にはあれが催眠術の呪文書きにしか見えなかったよ……。いい夢見れたよ……ふふっ……。」

あ、こいつ寝たな。と湊は悟った。
だが待て!
諦めるにはまだ早い!
長文問題があったのは最後の方で、それまでに点数をちゃんと取れていれば赤点回避は出来るのではないか?
いや、出来ているはず!
と、不安を押し込めるようにして自分に言い聞かせていく。
それはもはや願望と言ってもいいだろう。
しかし、湊にはそう信じるしかないのだ。
既に賽は投げられているのだから。

テストはもう終わった事だと頭を切り替えて由那は他の事を考えることにした。
天に身を任せるともいうが、実際にテストは全て終わって残りは結果が出るのを待つのみなのは間違いない。
そんな由那が考えているのは翌日の試験休みと土日を合わせた三連休の事。
表向きは試験休みは自宅学習ということになっているが、実際には生徒達に単なる休日として認識されていて遊び歩いている姿があったりするが、先生方もテストの採点で忙しいのでお目溢しされている。

そんな三連休だが、面白い事に仕事があるのは日曜日の遊園地で行われるヒーローショーのみだ。
試験前はあんなに忙しかったのにね。
それが意味するのは、まあ、要するにフィーバータイムは終わったという事だろう。
他のヒーロー達も試験期間が終わって活動を再開し、それまで皺寄せとして由那達に集まっていた仕事が元鞘に収まったという事に他ならない。
無駄に忙しいのには困っていたが、かといって仕事が無くなるのも困る。
とはいえ、今はようやくテストが終わったばかり。
先のことに不安はあれど、今は羽を伸ばそうと思っていた。
幸い、先立つものは潤沢だ。

「湊、明日って暇?」
「自己採点するつもりだけど、何か用事?」
「いや、折角休みなんだしパーっと遊ぼうかなって。」
「何のための試験休みだと思っているのよ……大体自宅学習だから外出はNGよ。私達ヒーローが規則を率先して破るのはいただけないわ。」
「「「えー!」」」
「いや、なんで2人も一緒に?」

由那に同調したのは同じクラスの友人である桐生愛華と藤林律子。
彼女達も一般的な女子中学生として、お休みの日に友達と遊びに行きたいなと考えていたのだ。

「そりゃ、折角休みなんだし、ねぇ?」
「うんうん。一緒に遊びに行きたいなぁって思ってたんだもん。」
「ごめんね。でもそういうわけだから流石に遊びに行くことは出来ないのよ。」
「まあ、仕方ないか。」
「ヒーローだもんね。」

湊が言う事は正論なのでしつこく食い下がる事はなく、身を引く2人。
由那も、こうなった湊には何を言っても仕方ないと半分諦めて、妥協案として事務所に行く事を提案する。
愛華と律子は一般人だから招くのは出来ないけど、自分達ならば仕事が突発的に舞い込んでくる可能性もあるという大義名分があるので外出して集まる事は出来ると考えたのだ。
この意見を否定する材料は湊にはなく、目の届かない所に行かれるよりかはいいかとその提案を了承した。
しかし気付いているのだろうか?
その考え方が中学生らしくない事に。
どう考えてもオカンの考え方である。



翌日。

「おはようございます。今日は試験休みじゃありませんでしたっけ?」
「折角の休みなのに出歩けないとかつまんないじゃん!」
「とまあ、そんなわけで妥協案としてここに集まる事になりました。」
「そうですか。そういう事でしたら好きに使ってくれて構いませんよ。」
「「「ありがとうございます!」」」
「あ、でも、あんまりはしゃぎすぎないでくださいね?  お客様が来た時に驚かせてしまいますから……どうせ来ないと思いますけどね……はは。」

なんとも反応しづらいお言葉。
しかしそれも仕方ない。
何せ知名度が……ね。
【メイガストヒロイン】自体、弱小事務所で事務員すら雇えないレベルだし、【トライエレメンツ】も新人ヒーローなのだ。
知名度なんてあるはずもなく。
一応後1人、【メイガストヒロイン】には魔法少女が所属しているが、その子はその子で今は魔法のある世界に行っちゃってたりする。
なんかこう、魔法のある世界でのトラブルが地球にまでやって来てそれに巻き込まれて魔法に目覚めたとかそういう系の子なので。

【メイガストヒロイン】自体、最初はその子の為に開いた事務所である。
ヒーローが好きだった日小夜がヒーローを応援したい、手助けしたいと考えて何かしらの仕事をしたいと考えた時に出会ってしまったのだ。
運命と。
その運命の少女は雨の降る夜に1人で戦っていた。
その時の表情はとても辛そうで悲しみを堪えているようなそんな色をしていた。
その顔を見た時、日小夜は思ったのだ。
彼女を助けたいと。
小さな魔法使いを護りたいと。
そうして始まったこの事務所には新たに3人の魔法少女が仲間に加わっている。
早くあの子と会わせたいな。なんて思いながら日小夜は3人へのお茶をせっせと用意し始めた。
その顔にはどんな反応するかな?  と考えているのかどこか楽しげだ。

ちなみに今日も仕事はなかった。
3人で自己採点を行なった後は結局いつも通り、筋トレしたり漫画読んだりテストの復習をしたりと思い思いの事をして過ごしていた。
そんな3人を見た日小夜はつい先ほどDMで送られてきた仕事の話はもう少し後でもいいかな。と日小夜は思った。

そして土曜日。
【メイガストヒロイン】の事務所に3人の魔法少女の姿があった。
結局昨日は羽を伸ばしてのんびりしている3人に対してなかなか切り出せず帰るギリギリになってしまったが、ようやく仕事に関する話をする事が出来た。
その内容というのが急遽舞い込んできた護衛依頼。
迷い動物でも無ければヒーローショーの演出でもないヒーローらしいお仕事。
3人は顔を綻ばせて今か今かと依頼人がやって来るのを待っている。

そしてついに、時間となり依頼人が現れたのだった。
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