ボクは名探偵？

六章 夢と現

第28話 対峙？

放課後、
教室を出ようとしたボクの前に
大きな影が立ち塞がった。

日野正義だった。

「ど、どけよ・・」
ボクは震える手を握り締めて
190cmに迫るその巨漢を見上げた。

「どけよ？
　随分と強気じゃねえか。
　ちょっと付き合えよ。
　清家のことで話があるからよ」
「ぼ、ボクには話すことなんてない」
「いいから、こっちに来いよ」
そう言って日野はボクの左腕を掴んだ。
「離せよ！」
ボクは腕を振りほどこうと足掻いたが、
日野の腕力の前では
ボクの華奢な体は無力だった。
「ひっひっひ。
　暴れるとまた痛い思いをすることになるぜ」
日野の手に力が入るのがわかった。
ボクは苦痛に顔を歪めた。

「ちょっと！何してるの！」
その時、廊下の向こうから声がして、
蘭子が駆けてきた。

「ちっ、面倒な奴が来たぜ」
日野は舌打ちをすると、
ボクの腕を離した。

「大丈夫？」
蘭子はボクに言葉をかけると
日野の方を睨み付けた。
「北条があんなことになったんだから
　あなたも少しは大人しくしたらどうなの」
「ちっ、うるせえよ、ブス！」
日野は大声で罵倒すると
中指を立ててから去っていった。
「セクハラとパワハラで訴えるよ！」
蘭子が日野の背中に向かって叫んだ。

廊下にいる生徒達が何事かとボク達を見ていた。