【二日に一度更新】とある学校の珍事件簿〜奇人:常人=3:1〜

華凛

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印鑑紛失(珍)事件

画になる美男子は印鑑を紛失する

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ある高校の放課後。
生徒会室では四人の役員が作業をしていた。

扉から見て一番右手前の机で昨日の会議の議事録をまとめているのは生徒会庶務の朝比奈あさひな 新兎にう
淡い青紫の髪を短く切り、真青の瞳を持つ男子生徒だ。

新兎と向かい合うようにして左手前で帳簿を確認しているのは生徒会会計の舞薔薇まいばら しづき。
長い金髪を緩くまとめ、丸く黒い小動物のような瞳を持つ女子生徒だ。

しづきの一つ奥で各部活からの書類を一枚ずつ確認しているのは生徒会副会長の修羅しゅら 朱雀すざく
艶のある茶髪を二つに束ね、恋する乙女のような桃色の瞳を持つ女子生徒だ。

そして最奥の机で一枚の書類を微動だにせず見つめているのは朱雀の兄であり生徒会長の修羅しゅら 白虎びゃっこ
透明感のある青色の髪を短く切り揃え、名に恥じない青く鋭い眼光を持つ男子生徒だ。


白虎が見つめているのは、理学研究部が物品購入の承認を求める書類だ。
彼は既に書類には目を通し終わっている。
書類を机に置き、考え込むように軽く頬杖をつく。
その所作だけで画になりそうな美男子だ。

白虎が頬杖をついたまま、十分が経過した。

「…………なぁ……」

彼が意見を求めるように全員に話しかける。
新兎はゆっくり手を止め、しづきはすぐに手を膝に置き、朱雀は作業を止めずに「ん~?」と相槌をうつ。

「これ……」

白虎がゆっくりと紡ぐ言葉に一同は耳を傾ける。
新兎は、承認するか否かを相談するのだと思い、白虎が軽く持ち上げた書類に目を凝らす。

「これ、承認したいんだが……」

「ん」と新兎は疑問を持つ。
この学校では、生徒会長は他の役員の賛同なくほとんどの案件を可決できる権限を持っているはずだ。
他の二人も同じようで、しづきは不思議そうに白虎を見つめ、朱雀は作業の手を止めて「どしたの?」と白虎に疑問を呈する。
あとは生徒会長だけが持つ印鑑を所定の場所に押すだけだが。


「……印鑑が、ない…………」


「……はい?」
いつものクールな無表情から少し眉を下げて白虎が告げた言葉に新兎は困惑の声を漏らした。

「びゃーくんてばドジ~♡」
日常茶飯事なのか、白虎の妹の朱雀はけらけらと笑っている。

「印鑑を失くす会長……素敵です」
大真面目な顔で白虎に尊敬の眼差しを向け、しづきは頷いている。

新兎は改めて、尋常な人間が自分一人しかいないことを思い知った。
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