1 / 43
印鑑紛失(珍)事件
画になる美男子は印鑑を紛失する
しおりを挟む
ある高校の放課後。
生徒会室では四人の役員が作業をしていた。
扉から見て一番右手前の机で昨日の会議の議事録をまとめているのは生徒会庶務の朝比奈 新兎。
淡い青紫の髪を短く切り、真青の瞳を持つ男子生徒だ。
新兎と向かい合うようにして左手前で帳簿を確認しているのは生徒会会計の舞薔薇 しづき。
長い金髪を緩くまとめ、丸く黒い小動物のような瞳を持つ女子生徒だ。
しづきの一つ奥で各部活からの書類を一枚ずつ確認しているのは生徒会副会長の修羅 朱雀。
艶のある茶髪を二つに束ね、恋する乙女のような桃色の瞳を持つ女子生徒だ。
そして最奥の机で一枚の書類を微動だにせず見つめているのは朱雀の兄であり生徒会長の修羅 白虎。
透明感のある青色の髪を短く切り揃え、名に恥じない青く鋭い眼光を持つ男子生徒だ。
白虎が見つめているのは、理学研究部が物品購入の承認を求める書類だ。
彼は既に書類には目を通し終わっている。
書類を机に置き、考え込むように軽く頬杖をつく。
その所作だけで画になりそうな美男子だ。
白虎が頬杖をついたまま、十分が経過した。
「…………なぁ……」
彼が意見を求めるように全員に話しかける。
新兎はゆっくり手を止め、しづきはすぐに手を膝に置き、朱雀は作業を止めずに「ん~?」と相槌をうつ。
「これ……」
白虎がゆっくりと紡ぐ言葉に一同は耳を傾ける。
新兎は、承認するか否かを相談するのだと思い、白虎が軽く持ち上げた書類に目を凝らす。
「これ、承認したいんだが……」
「ん」と新兎は疑問を持つ。
この学校では、生徒会長は他の役員の賛同なくほとんどの案件を可決できる権限を持っているはずだ。
他の二人も同じようで、しづきは不思議そうに白虎を見つめ、朱雀は作業の手を止めて「どしたの?」と白虎に疑問を呈する。
あとは生徒会長だけが持つ印鑑を所定の場所に押すだけだが。
「……印鑑が、ない…………」
「……はい?」
いつものクールな無表情から少し眉を下げて白虎が告げた言葉に新兎は困惑の声を漏らした。
「びゃーくんてばドジ~♡」
日常茶飯事なのか、白虎の妹の朱雀はけらけらと笑っている。
「印鑑を失くす会長……素敵です」
大真面目な顔で白虎に尊敬の眼差しを向け、しづきは頷いている。
新兎は改めて、尋常な人間が自分一人しかいないことを思い知った。
生徒会室では四人の役員が作業をしていた。
扉から見て一番右手前の机で昨日の会議の議事録をまとめているのは生徒会庶務の朝比奈 新兎。
淡い青紫の髪を短く切り、真青の瞳を持つ男子生徒だ。
新兎と向かい合うようにして左手前で帳簿を確認しているのは生徒会会計の舞薔薇 しづき。
長い金髪を緩くまとめ、丸く黒い小動物のような瞳を持つ女子生徒だ。
しづきの一つ奥で各部活からの書類を一枚ずつ確認しているのは生徒会副会長の修羅 朱雀。
艶のある茶髪を二つに束ね、恋する乙女のような桃色の瞳を持つ女子生徒だ。
そして最奥の机で一枚の書類を微動だにせず見つめているのは朱雀の兄であり生徒会長の修羅 白虎。
透明感のある青色の髪を短く切り揃え、名に恥じない青く鋭い眼光を持つ男子生徒だ。
白虎が見つめているのは、理学研究部が物品購入の承認を求める書類だ。
彼は既に書類には目を通し終わっている。
書類を机に置き、考え込むように軽く頬杖をつく。
その所作だけで画になりそうな美男子だ。
白虎が頬杖をついたまま、十分が経過した。
「…………なぁ……」
彼が意見を求めるように全員に話しかける。
新兎はゆっくり手を止め、しづきはすぐに手を膝に置き、朱雀は作業を止めずに「ん~?」と相槌をうつ。
「これ……」
白虎がゆっくりと紡ぐ言葉に一同は耳を傾ける。
新兎は、承認するか否かを相談するのだと思い、白虎が軽く持ち上げた書類に目を凝らす。
「これ、承認したいんだが……」
「ん」と新兎は疑問を持つ。
この学校では、生徒会長は他の役員の賛同なくほとんどの案件を可決できる権限を持っているはずだ。
他の二人も同じようで、しづきは不思議そうに白虎を見つめ、朱雀は作業の手を止めて「どしたの?」と白虎に疑問を呈する。
あとは生徒会長だけが持つ印鑑を所定の場所に押すだけだが。
「……印鑑が、ない…………」
「……はい?」
いつものクールな無表情から少し眉を下げて白虎が告げた言葉に新兎は困惑の声を漏らした。
「びゃーくんてばドジ~♡」
日常茶飯事なのか、白虎の妹の朱雀はけらけらと笑っている。
「印鑑を失くす会長……素敵です」
大真面目な顔で白虎に尊敬の眼差しを向け、しづきは頷いている。
新兎は改めて、尋常な人間が自分一人しかいないことを思い知った。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ
みずがめ
ライト文芸
俺、室井和也。高校二年生。ぼっちで陰キャだけど、自由な一人暮らしで高校生活を穏やかに過ごしていた。
そんなある日、何気なく訪れた深夜のコンビニでクラスの美少女二人に目をつけられてしまう。
渡会アスカ。金髪にピアスというギャル系美少女。そして巨乳。
桐生紗良。黒髪に色白の清楚系美少女。こちらも巨乳。
俺が一人暮らしをしていると知った二人は、ちょっと甘えれば家を自由に使えるとでも考えたのだろう。過激なアプローチをしてくるが、紳士な俺は美少女の誘惑に屈しなかった。
……でも、アスカさんも紗良さんも、ただ遊び場所が欲しいだけで俺を頼ってくるわけではなかった。
これは問題を抱えた俺達三人が、互いを支えたくてしょうがなくなった関係の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる