フェアリー・フェロウ~追い出されたフーテン野郎だが、拾い物でまぁなんとか上手くいく~

マッサン

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2章

24 人の世に外れた物 2

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 レジスタンス【リバーサル】部隊長のミシェル。彼女の率いる先導隊は、崖沿いの道で突然爆発に襲われた。崖とは反対側の道沿いで、いくつもの爆発が起こったのである。
「敵襲だ! 落ち着け、わかっていた事だ! 態勢を整えろ!」
 実際、事前に警告はされていたのだ。先導隊は素早く陣形を組み、崖を背に爆発へ向かって攻撃態勢をとった。

 だがそれは間違いだった。のである。
 いきなり頭上から射撃を食らわす魔王軍残党。先導隊は慌てて攻撃目標を変える。
(しまった! 罠との二段構えだったか)
 焦るミシェル。
 爆発で混乱した所を撃たれるよりはマシだったが、先制攻撃を許してしまったのは痛手だ。戦いは明らかに不利な状況から始まった。


 一方、後ろを守っていたグスタの部隊も敵襲を受けていた。
 こちらは単純に後ろから敵軍が追いかける形である。前衛を混乱しておいて挟み撃ちにする段取りだったのだが……
「前は前に任せろ! こっちは奴らを迎え撃つ!」
 警告されていた事と、これまで踏んだ場数もあり、グスタは全く動揺せずに迎撃を指示した。


 前でも後ろでも戦闘が始まり、ガイ達はゾウムシ型運搬機で様子をうかが
う。
「言っていいのかどうか迷うが……【リバーサル】がいたおかげで、前後の罠を両方引き受けてもらえたのではないか?」
「あー……結果的に私達は助かっているな」
 言い難そうに切り出したレレンに、戸惑いながらも同意するユーガン。
 タリンがなぜか嬉しそうに叫んだ。
「よーし! こいつらを放っておいて前進だ! 大将首はオレらのもんだぜえ!」

「一応、確認しましょう」
 そう言ってスティーナは通信機の音量を上げる。
『前の事は気にするな! まず自分達の相手を倒しきれ!』
 グスタは戦闘に集中しているようだった。

 忙しいグスタの様子にスティーナが溜息一つ。
「こっちに指示は来そうにありませんね」
「罠や待ち伏せがあった以上、敵の拠点がこの先にあるのはほぼ確実と見たが……」
 ユーガンが前方を睨んで呟く。
 そんな二人の言い分を聞き、タリンが意気揚々と大声をあげた。
「よっしゃあ! 強行突破じゃあ!」
「いっちゃえー!」
 ガイの肩でイムまでが握り拳を振り上げる。

「仕方ありませんね。では……」
 淡々とそう呟くと、スティーナはゾウムシ型運搬機を全力で走らせた!
 崖の上と下からの激しい撃ちあいの中へ躊躇ためらう事なく頭から突撃!
「ちょ、ちょっと待て!」
 レレンは怒鳴り、慌てて格納庫へ走る。
 彼女が操縦席から消えた途端、矢と砲弾の雨が周囲に着弾して運搬機が激しく揺さぶられた。

 爆煙にまみれる中、運搬機のハッチが開きSレディバグが姿を現した。それは運搬機の背に上がり、飛んでくる弾丸を代わりに食らって防ぐ。
 だがレディバグの装甲は敵量産機の攻撃などではビクともしない。
「ブレイズプラズマーー!!」
 レレンの反撃が炸裂し、崖の上へ幾条もの熱線が放たれた。高低差で優位に立っていた筈の魔王軍残党の量産機が何体か、それを食らって炎に包まれる!
『い、いまだ! 徹底的に撃ち返せ!』
 ミシェルの命令が飛び、崖の上と下での撃ち合いは激しさを増した。

 もちろん運搬機はそんな事にかまわず戦場を突っ切る。
 泥沼のごとく続く射撃合戦を尻目に走り去り、単機で山間の道を駆け抜けた。
(本当にいいのか、これ……)
 ガイはそう思ったが、もちろん運搬機は止まらないのだ。


――ひときわ高い岩山――


 この地域で最も高く大きな岩山のふもとまで来たガイ達。
 それを睨みながらユーガンが呟く。
「おそらくあの山だろうな、ラヴァフロウの本体がいるのは」

 それが合図だったかのように、周囲の岩陰から姿を現す機体が多数!
「お、魔王軍の残党どもか。今さらオレらを止められるわけじゃあるめぇに」
 タリンがニヤリと笑った。
 すると地響きをたて、山の裏側から回り込むかのように改造古竜ジュエラドンが姿を見せる。それも3体も、だ!
「向こうもそう思っていたようだな……」
 レレンが顔をしかめた。

 そこで通信が入る。
『『もう我々の居場所をつきとめたのですか、マスターボウガス殿』』
 一同が聞いた事のある声……それはホン侯爵領にあった魔物村の、ダブルヘッドオーガーの村長。
 相手から映像も送られてきた。ケイオス・ウォリアーの操縦席が映り、そこに村長の凶悪な顔があった。
 どの機体かはわからないが、間違いなく敵側にいるのだ。

「村長か。逃げるなら今のうちだ。エイシンだけではこれ以上太刀打ちできまい」
 ユーガンが忠告すると、村長は「ケッ!」と毒づく。
『『ええ、ええ、あんたやマスターキメラが恥知らずにも裏切ってそちらにいますしな。しかしどうにもならんとは決めつけが過ぎますぞ、この若造が』』
 村長の言葉に応えるかのように、ジュエラドンどもが咆哮した。
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