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第04章 禁じられた恋
第056話 幸福と隠れた気持ち
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リアム国王がエリー王女に女王が君臨している国について説明している中、ハルやアランなどの四人は食事の準備を進めていた。レイは何も感じていないかのように笑い、ハルとの会話に花を咲かせながら手を動かしている。
「うん、準備完了! じゃあ俺、お二人を呼んできますね」
自ら進んで二人がいる水辺へとレイは軽やかに走りだした。声をかけられたリアム国王とエリー王女は嬉しそうに応え、仲良く会話をしながら戻ってくる。その姿は誰から見てもおかしなところはない。
レイの本当の気持ちを知っているアランは、明るく振る舞うレイの姿に複雑な思いが込み上げた。これから先、レイはずっと苦しむのだろうか。
「なんて素敵なのかしら!」
エリー王女の声にアランは我に返る。準備された食事を見て、エリー王女は高揚し頬を仄かに赤らめていた。
「このようなものを本の挿絵で見たことがございます! ピクニックというものですよね? ああ、私、前からしてみたかったのです」
エリー王女は瞳を輝かせ、大輪の花のような笑顔を咲かせる。
大きな木の下に藍色の敷き布が敷かれ、その上にパンやサラダ、スープ、お肉などが奇麗に並べられていた。
お城で食べる食事よりは質素ではあったが、エリー王女にとってはとても豪華なご馳走に見えた。それは、後宮ではいつも一人で食事をし、食事をする場所も毎日同じ。食事に楽しさを感じたことがなかったからだった。
「陛下、このようなおもてなしをありがとうございます! それに、大きな荷物はこのためでしたのですね。ハルやアランにレイ、マーサもありがとう」
輝く笑顔は皆に向けられた。素晴らしい景色を見ながら、心許せる人たちと一緒に美味しい食事や楽しい会話。エリー王女にとっては、とても幸せな時を感じていた。
◇
城に戻る頃にはすでに日が落ちており、すぐに食事の時間となった。エリー王女は心地よい疲労感に襲われ食事中にも拘らず、ついうとうととしてしまう。
「今日はゆっくり休むといい。私も溜まった仕事を片付けるとしよう」
リアム国王の提案をありがたく頂戴し、エリー王女はレイを共につけ、部屋に戻った。
「部屋に異常なし。マーサさんを呼んでくるからソファーで待ってて……っ!」
室内の点検を終えると、レイはいつものように立ち去ろうとした。するとエリー王女がドアノブに手をかけた腕を掴み、甘えるように胸の中に入ってくる。
「あの……もう少しだけ一緒にいたいです……」
頬を赤く染めたエリー王女に上目使いでお願いをされたのなら、断れるわけもなかった。
「えっと……。あー……うん。じゃあ、お言葉に甘えて……」
レイは扉にエリー王女を押し付け、額に唇を乗せた。頬や耳、首筋を順番に口づけを落とせば、甘い息が聞こえてくる。
それなのに脳裏にはリアム国王とエリー王女の仲良く微笑み合っている姿がちらついた。
抑えていた嫉妬からか、そんなことをするつもりもなかったのにそのままエリー王女を求めてしまう。優しさなどなかったかもしれない。それでもエリー王女は自分を受け入れてくれた。
ことを終えると自己嫌悪がレイを襲う。アランも巻き込んでいるというのに何をやっているのか……。
「……ごめん。好きすぎて夢中になっちゃった」
「いえ……あの……嬉しいです……」
それでも、はにかむエリー王女の笑顔に救われた。
◇
「今日は凄く楽しかったね。初めての乗馬だからお尻とか痛いんじゃない? 赤くなっていたし」
二人はソファーに座り、恋人同士のように手を絡ませていた。
「実は……少しだけ。ですが、レイが言っていたようにとても気持ち良かったので、今度はレイに乗せて貰いたいです。良いですか?」
瞳をキラキラと耀かせたエリー王女はとても可愛いくて、そんなエリー王女が自分のことを好きでいてくれることが嬉しかった。
「もちろん。アトラスにも素敵な場所はあるから今度一緒に行こう」
笑顔で答えるとエリー王女も嬉しそうに笑う。
「あー、エリー。もっと一緒にいたいんだけど、さすがにそろそろ行かなくちゃ。マーサさんに薬を渡しておくからお風呂から出たらお尻に塗ってもらってね」
レイが額に口付けをしてから名残惜しそうに部屋を出て行った。
残された一人の空間は少し寂しい。しかし、レイに求められた疲労感は心地よかった。そのままソファーに横たわり目を閉じる。
エリー王女はあっという間に眠りに落ちた。
「うん、準備完了! じゃあ俺、お二人を呼んできますね」
自ら進んで二人がいる水辺へとレイは軽やかに走りだした。声をかけられたリアム国王とエリー王女は嬉しそうに応え、仲良く会話をしながら戻ってくる。その姿は誰から見てもおかしなところはない。
レイの本当の気持ちを知っているアランは、明るく振る舞うレイの姿に複雑な思いが込み上げた。これから先、レイはずっと苦しむのだろうか。
「なんて素敵なのかしら!」
エリー王女の声にアランは我に返る。準備された食事を見て、エリー王女は高揚し頬を仄かに赤らめていた。
「このようなものを本の挿絵で見たことがございます! ピクニックというものですよね? ああ、私、前からしてみたかったのです」
エリー王女は瞳を輝かせ、大輪の花のような笑顔を咲かせる。
大きな木の下に藍色の敷き布が敷かれ、その上にパンやサラダ、スープ、お肉などが奇麗に並べられていた。
お城で食べる食事よりは質素ではあったが、エリー王女にとってはとても豪華なご馳走に見えた。それは、後宮ではいつも一人で食事をし、食事をする場所も毎日同じ。食事に楽しさを感じたことがなかったからだった。
「陛下、このようなおもてなしをありがとうございます! それに、大きな荷物はこのためでしたのですね。ハルやアランにレイ、マーサもありがとう」
輝く笑顔は皆に向けられた。素晴らしい景色を見ながら、心許せる人たちと一緒に美味しい食事や楽しい会話。エリー王女にとっては、とても幸せな時を感じていた。
◇
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「今日はゆっくり休むといい。私も溜まった仕事を片付けるとしよう」
リアム国王の提案をありがたく頂戴し、エリー王女はレイを共につけ、部屋に戻った。
「部屋に異常なし。マーサさんを呼んでくるからソファーで待ってて……っ!」
室内の点検を終えると、レイはいつものように立ち去ろうとした。するとエリー王女がドアノブに手をかけた腕を掴み、甘えるように胸の中に入ってくる。
「あの……もう少しだけ一緒にいたいです……」
頬を赤く染めたエリー王女に上目使いでお願いをされたのなら、断れるわけもなかった。
「えっと……。あー……うん。じゃあ、お言葉に甘えて……」
レイは扉にエリー王女を押し付け、額に唇を乗せた。頬や耳、首筋を順番に口づけを落とせば、甘い息が聞こえてくる。
それなのに脳裏にはリアム国王とエリー王女の仲良く微笑み合っている姿がちらついた。
抑えていた嫉妬からか、そんなことをするつもりもなかったのにそのままエリー王女を求めてしまう。優しさなどなかったかもしれない。それでもエリー王女は自分を受け入れてくれた。
ことを終えると自己嫌悪がレイを襲う。アランも巻き込んでいるというのに何をやっているのか……。
「……ごめん。好きすぎて夢中になっちゃった」
「いえ……あの……嬉しいです……」
それでも、はにかむエリー王女の笑顔に救われた。
◇
「今日は凄く楽しかったね。初めての乗馬だからお尻とか痛いんじゃない? 赤くなっていたし」
二人はソファーに座り、恋人同士のように手を絡ませていた。
「実は……少しだけ。ですが、レイが言っていたようにとても気持ち良かったので、今度はレイに乗せて貰いたいです。良いですか?」
瞳をキラキラと耀かせたエリー王女はとても可愛いくて、そんなエリー王女が自分のことを好きでいてくれることが嬉しかった。
「もちろん。アトラスにも素敵な場所はあるから今度一緒に行こう」
笑顔で答えるとエリー王女も嬉しそうに笑う。
「あー、エリー。もっと一緒にいたいんだけど、さすがにそろそろ行かなくちゃ。マーサさんに薬を渡しておくからお風呂から出たらお尻に塗ってもらってね」
レイが額に口付けをしてから名残惜しそうに部屋を出て行った。
残された一人の空間は少し寂しい。しかし、レイに求められた疲労感は心地よかった。そのままソファーに横たわり目を閉じる。
エリー王女はあっという間に眠りに落ちた。
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