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第15章 再来
第185話 迫りくる悪魔
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バフォールがアランの剣を振り下ろした瞬間、通路全体がまばゆく光り、耳鳴りのような高音が耳をつんざく。
「っ……!!」
眩しさと耳を覆いたくなるような音にアランは両手で頭を抱えた。真っ白な世界の中で意識が遠退いていくのを感じていると、誰かに腕を持ち上げられたような感覚がした。はっと身を強張らせると背中を二回叩かれる。この合図は……。
「……セイン様……?」
キーーンと鳴り響く中ではアランの声は届かなかっただろう。しかし、もう一度背中を二回叩かれ、アランは口の端を僅かに上げた。
アランはセイン王子であろう人物に体を支えてもらいながら、真っ白な世界の中を走る。一度右に曲がり、少し走った所の右にある扉を開け、階段を上り、暫く進むと風を感じた。恐らくドドドン酒場から外に出たのだろう。
「んっ!」
ほっとしたのも束の間。口の中に酷く生臭い液体を流し込まれた。凄い吐き気に襲われたが、吐いてはダメだと言わんばかりに二人がかりで押さえ付けられた。
バフォールの魔法よりたちが悪い。
暫くすると吐き気も治まり、視力と聴力が回復してきた。ぼんやりと浮かび上がる二人の人物を見て、アランが苦笑いを零した。
「セイン様と……セルダさん……ですか……やはり……」
セルダ室長は嬉しそうに手を振っている。
「どぉ~お? 薬は良い感じかしらぁ~? 後で詳しく教えて頂戴ね! うふふ。それと出口に結界を張ってみたけど、悪魔にもちゃんと効くかはわからないわ。だから急ぎここから離れたほうがいいわよ」
「ありがとうございます。それで、セイン様」
「うん、走りながら話すよ」
ドドドン酒場周辺は炎の被害はなかったが、住人たちは皆避難しているようで、街には誰もいなかった。静かな街の中を三人がかけていく。
「ホールに着いたときはジェルミア様しかいなかった。アルバートは……バフォールの手に落ちたって……」
「そうか……」
声のトーンが一段と低くなるセイン王子に、アランは慰める言葉をかけることができなかった。
「大丈夫、ギルもいるし同じように封印してしまえばいいわけだし。ジェルミア様には先に北門に向かってもらってる。あっ、封印する箱って持ってきた?」
「ああ、指示は出してある」
「そっか。ってか、エリーはどこにいるの?」
セイン王子が不安そうに眉をひそめる。
「エリー様は俺が囮になっている間、兵士と一緒に逃げている」
「良かった……」
二人が走りながら状況を伝え合っていると、進行方向先に赤いドレスを身に纏ったエリー王女の姿が見えた。
「あれは……エリー!!」
逃げている途中で目が覚めたのだろう。エリー王女は自分の足で走っている。セイン王子が声をかけると、後ろを振り返った。
「セイン様!!」
セイン王子とエリー王女が駆け寄り、強く抱き締め合う。
「無事で良かった……大丈夫だよ、俺達が陛下も城の皆も助けるから」
「はい……」
エリー王女の声は震えていた。しかし、ここにずっといるわけにもいかない。
「とにかく急ごう。ここにいつバフォールが来るかわからないから」
セイン王子はエリー王女の手をしっかりと握り、一緒に走り始めた。
後ろからアラン、セルダ室長、兵士と続く。
街の中は誰もいない。被害にあっていない地区もあれば真っ黒に焼け焦げた地区もあった。あんなに笑顔で溢れていた国が違うものに見える。エリー王女は胸は痛み、今にも泣いてしまいそうだった。城に残った者の安否も気になる。
お父様――――。
シトラル国王のことを考えるとじんわりと涙が滲んできた。片手で目を抑え、なんとか堪える。
どうすれば良いのか分からないエリー王女は目の前を走るセイン王子の背中を見つめた。
バフォールのせいでまた傷ついてしまうのだろうか。
また……。
不安を抱えたままエリー王女は必死に走り続けた。
――――逃がしてやるつもりはないぞ。
頭に響く声に、エリー王女の心臓が止まるほど驚き震えた。
「バフォール!! アラン、エリーを頼む! セルダさん! 三人にアレを!」
セイン王子は立ち止まり剣を構えバフォールを探す。
セルダ室長は背中の鞄の中から小瓶を取り出した。小瓶を三人に渡しながら走る。
「それを飲んでちょーだい! これで悪魔に操られることはないはずよ!」
三人は怪しい色をした液体を一気に流し込む。相変わらず酷い味のする魔法薬だったが、それでも誰も何も言わずに飲み込んだ。
「セイン! 上だ!」
アランがバフォールを見つけ叫んだ。セイン王子が上空を見上げると、大きな黒い翼を広げたバフォールがいた。剣を下から上に振り上げると、空を切り裂く風の魔法がバフォール目掛けて飛び出した。
バフォールは片手でそれを弾くと、ゆっくりと下へ降り立つ。
「ああ、またお前か。さっさと帰ればいいものを……。ん? あの時の人間か……。またお前と遊べると思うと嬉しいぞ。……はぁ、しかし、その二人を連れて戻らなければならない。悪いがまた後にしてもらおう」
右手を伸ばし、手の平を広げてゆっくりと近づいてくる。セイン王子は胸ポケットから魔法薬を取り出し剣に振りかけるとそのままバフォールに切りかかった。その攻撃をバフォールは難なく交わし、広げていた手の平から赤黒い妖気が空気砲のようにセイン王子を吹き飛ばした。家屋の倉庫扉を壊し、ガラガラと大きな音を立て中に消えていった。
「後でと言ったであろう。さて…………ふむ。効かないな……」
小さくなったエリー王女とアラン目掛けて手を掲げるが、バフォールの元に来る気配がない。操れないことに首をかしげる。
大きな音が聞こえ、エリー王女は後ろを振り返った。セイン王子の姿が見えず、バフォールだけが立っているのが見える。
「あっ、アラン……! セイン様が……!」
繋いだ先のアランの手を引いて止める。
「エリー様! セイン様なら大丈夫です! 逃げますよ!」
そのタイミングでまた大きな爆発音が聞こえる。セイン王子がまたバフォールに切りかかっているのが見えた。バフォールは圧倒的な強さで交わし、セイン王子をいたぶっているようだった。
「嫌っ……! セイン様!」
もう二度とレイを……セイン様を失いたくない!!
エリー王女はセイン王子の下へ駆け寄ろうと試みるが、アランに止められる。
「エリー様、いけませんっ!」
「アラン! あの方は私とアランを連れて行きたいのでしたよね? 私が行けばセイン様は――きゃあああ!!」
「なっ!? これは!?」
「っ……!!」
眩しさと耳を覆いたくなるような音にアランは両手で頭を抱えた。真っ白な世界の中で意識が遠退いていくのを感じていると、誰かに腕を持ち上げられたような感覚がした。はっと身を強張らせると背中を二回叩かれる。この合図は……。
「……セイン様……?」
キーーンと鳴り響く中ではアランの声は届かなかっただろう。しかし、もう一度背中を二回叩かれ、アランは口の端を僅かに上げた。
アランはセイン王子であろう人物に体を支えてもらいながら、真っ白な世界の中を走る。一度右に曲がり、少し走った所の右にある扉を開け、階段を上り、暫く進むと風を感じた。恐らくドドドン酒場から外に出たのだろう。
「んっ!」
ほっとしたのも束の間。口の中に酷く生臭い液体を流し込まれた。凄い吐き気に襲われたが、吐いてはダメだと言わんばかりに二人がかりで押さえ付けられた。
バフォールの魔法よりたちが悪い。
暫くすると吐き気も治まり、視力と聴力が回復してきた。ぼんやりと浮かび上がる二人の人物を見て、アランが苦笑いを零した。
「セイン様と……セルダさん……ですか……やはり……」
セルダ室長は嬉しそうに手を振っている。
「どぉ~お? 薬は良い感じかしらぁ~? 後で詳しく教えて頂戴ね! うふふ。それと出口に結界を張ってみたけど、悪魔にもちゃんと効くかはわからないわ。だから急ぎここから離れたほうがいいわよ」
「ありがとうございます。それで、セイン様」
「うん、走りながら話すよ」
ドドドン酒場周辺は炎の被害はなかったが、住人たちは皆避難しているようで、街には誰もいなかった。静かな街の中を三人がかけていく。
「ホールに着いたときはジェルミア様しかいなかった。アルバートは……バフォールの手に落ちたって……」
「そうか……」
声のトーンが一段と低くなるセイン王子に、アランは慰める言葉をかけることができなかった。
「大丈夫、ギルもいるし同じように封印してしまえばいいわけだし。ジェルミア様には先に北門に向かってもらってる。あっ、封印する箱って持ってきた?」
「ああ、指示は出してある」
「そっか。ってか、エリーはどこにいるの?」
セイン王子が不安そうに眉をひそめる。
「エリー様は俺が囮になっている間、兵士と一緒に逃げている」
「良かった……」
二人が走りながら状況を伝え合っていると、進行方向先に赤いドレスを身に纏ったエリー王女の姿が見えた。
「あれは……エリー!!」
逃げている途中で目が覚めたのだろう。エリー王女は自分の足で走っている。セイン王子が声をかけると、後ろを振り返った。
「セイン様!!」
セイン王子とエリー王女が駆け寄り、強く抱き締め合う。
「無事で良かった……大丈夫だよ、俺達が陛下も城の皆も助けるから」
「はい……」
エリー王女の声は震えていた。しかし、ここにずっといるわけにもいかない。
「とにかく急ごう。ここにいつバフォールが来るかわからないから」
セイン王子はエリー王女の手をしっかりと握り、一緒に走り始めた。
後ろからアラン、セルダ室長、兵士と続く。
街の中は誰もいない。被害にあっていない地区もあれば真っ黒に焼け焦げた地区もあった。あんなに笑顔で溢れていた国が違うものに見える。エリー王女は胸は痛み、今にも泣いてしまいそうだった。城に残った者の安否も気になる。
お父様――――。
シトラル国王のことを考えるとじんわりと涙が滲んできた。片手で目を抑え、なんとか堪える。
どうすれば良いのか分からないエリー王女は目の前を走るセイン王子の背中を見つめた。
バフォールのせいでまた傷ついてしまうのだろうか。
また……。
不安を抱えたままエリー王女は必死に走り続けた。
――――逃がしてやるつもりはないぞ。
頭に響く声に、エリー王女の心臓が止まるほど驚き震えた。
「バフォール!! アラン、エリーを頼む! セルダさん! 三人にアレを!」
セイン王子は立ち止まり剣を構えバフォールを探す。
セルダ室長は背中の鞄の中から小瓶を取り出した。小瓶を三人に渡しながら走る。
「それを飲んでちょーだい! これで悪魔に操られることはないはずよ!」
三人は怪しい色をした液体を一気に流し込む。相変わらず酷い味のする魔法薬だったが、それでも誰も何も言わずに飲み込んだ。
「セイン! 上だ!」
アランがバフォールを見つけ叫んだ。セイン王子が上空を見上げると、大きな黒い翼を広げたバフォールがいた。剣を下から上に振り上げると、空を切り裂く風の魔法がバフォール目掛けて飛び出した。
バフォールは片手でそれを弾くと、ゆっくりと下へ降り立つ。
「ああ、またお前か。さっさと帰ればいいものを……。ん? あの時の人間か……。またお前と遊べると思うと嬉しいぞ。……はぁ、しかし、その二人を連れて戻らなければならない。悪いがまた後にしてもらおう」
右手を伸ばし、手の平を広げてゆっくりと近づいてくる。セイン王子は胸ポケットから魔法薬を取り出し剣に振りかけるとそのままバフォールに切りかかった。その攻撃をバフォールは難なく交わし、広げていた手の平から赤黒い妖気が空気砲のようにセイン王子を吹き飛ばした。家屋の倉庫扉を壊し、ガラガラと大きな音を立て中に消えていった。
「後でと言ったであろう。さて…………ふむ。効かないな……」
小さくなったエリー王女とアラン目掛けて手を掲げるが、バフォールの元に来る気配がない。操れないことに首をかしげる。
大きな音が聞こえ、エリー王女は後ろを振り返った。セイン王子の姿が見えず、バフォールだけが立っているのが見える。
「あっ、アラン……! セイン様が……!」
繋いだ先のアランの手を引いて止める。
「エリー様! セイン様なら大丈夫です! 逃げますよ!」
そのタイミングでまた大きな爆発音が聞こえる。セイン王子がまたバフォールに切りかかっているのが見えた。バフォールは圧倒的な強さで交わし、セイン王子をいたぶっているようだった。
「嫌っ……! セイン様!」
もう二度とレイを……セイン様を失いたくない!!
エリー王女はセイン王子の下へ駆け寄ろうと試みるが、アランに止められる。
「エリー様、いけませんっ!」
「アラン! あの方は私とアランを連れて行きたいのでしたよね? 私が行けばセイン様は――きゃあああ!!」
「なっ!? これは!?」
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