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『風の日』に
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土間に設えたふかふかの寝床で、妹の禎羅が安らかな寝息をたてている。
その横で珮理は、襲ってくる眠気と必死に戦っていた。
高い所にある空気入れの隙間から微かに見える外は、確かに吹雪いてみえる。しかし、石造りの分厚い壁に囲まれたこの部屋は、珮理のすぐ傍で燃えている暖炉の火もあってか、とても暖かかった。だが、もし、この火が消えてしまったらどうなるか。部屋はたちまち冷えてしまい、珮理も、妹の禎羅も凍え死んでしまうに違いない。だから、この暖かさを保つ為に、眠ってはいけない。その瞳を擦りながら、もう何度目かの決心を、珮理は心の中で繰り返した。父と母が帰ってくるまでは、珮理だけが禎羅を守れるのだから。
珮理達が今棲みついているのは、マース大陸東部のとある中流貴族の城。
漂泊を重ね、定住の地を持たないのが『流浪の民』一族のモットーであるが、それではさすがに寒い冬は越しにくい。そこで、冬の間だけ、退屈な日々を自分たちの芸能で慰めるのと引き替えに、貴族の城や館に住居と食事を確保することが彼らの『処世術』となっていた。珮理の父母、風理と朧嵐も、この城の主人達の徒然を慰める吟遊詩人としてここに雇われている。
戸口の物音に、珮理はふっと目を醒ました。
〈……あ、いけない!〉
どうやら少し眠ってしまっていたようだ。
あれだけ何度も『眠ってはいけない』を繰り返していたのに。大慌てで、禎羅と暖炉の火を確かめる。禎羅の寝息は相変わらず静かだったし、暖炉の火はちゃんと燃えていた。
〈よかったぁ〉
まだ、父と母は、この城の広間で城主の家族達に囲まれて歌を披露しているはずだ。それが終わって二人が帰ってくるまでは、眠ってはいけない。まだ幼いながらも、珮理はきちんと『責任』というものを感じていた。
だから、眠って、は……。
「……珮理、珮理」
優しい声に、再び目を開ける。
〈あ……!〉
どうやら、又眠ってしまったようだ。珮理はまたまた大慌てで暖炉と禎羅の様子を確かめようとした。が。
「起きたかい、珮理」
珮理の目の前に、父風理の笑い顔が、確かにあった。
「疲れたんでしょ。今日も走り回ってたものね」
母朧嵐の冷たい手が、珮理の額に優しく触れる。その光景の確かさに、珮理は目をぱちくりさせた。だって、まだ、帰って来る時間じゃ、ないのに……!
「珮理はまだ夢の中にいるんじゃないか?」
からかいを含んだ風理の笑い声が珮理の耳に響く。
「じゃあ、明日にした方がいいかしらね」
間違いない。これは『夢』ではない。珮理は勢いよく起き上がった。
「父さんも、母さんも、今日は、早くない、の?」
そして何とかこれだけ訊ねる。
「早いって、珮理……」
珮理の質問に、二人は顔を見合わせ、揃って笑った。
「珮理は、私達が早く帰ってきたら、嬉しくないのかい?」
「ううん、そうじゃないの」
風理の言葉に、珮理は大慌てで首を振った。
「ただ、不思議だな、って思っただけ」
「今日は何の日か知ってるかい、珮理?」
そんな珮理に、風理のいたずらっぽい視線が注がれる。
「え……? あ」
父の問いに、珮理の頭にある言葉が閃いた。
今日は『風の日』だ。
マース大陸で大昔から使われている嶺家暦は、春分の日を年の初めとし、一年三六五日を一週十三日×二十八週+初日(春分の日)としている太陽暦であるが、週内のそれぞれの日には『この世界』の神々の名前がついており、その日を守護しているといわれている。しかし、『この世界』の古い神である『風神』だけは、昔はいたが今は「いない」ことになっており、この神の名前が付いた『風の日』は、神の守護のない、何をやってもうまくいかない日とされていた。だからこの日だけは、行う仕事を最小限にして、夜になると普通の人はさっさと眠ってしまう。それで今日は二人とも早く帰ってきたのか。珮理ははたと納得した。
「……それに、今日は『特別の日』だしね」
珮理の横に夕食を並べながら、朧嵐が軽く笑う。
今日の夕食はいつもよりかなり豪華だ。固いパンと具の少ないスープだけではなく、どう見たってパイとしか思えないものやタルトにしか見えないものが珮理の目の前に並んでいる。しかし珮理には、夕食が豪勢になる理由が思い当たらなかった。
「え、何の、日?」
だから、小首を傾げて二人にそう問う。
「やっぱり忘れてる」
そんな珮理を見て、両親は再び朗らかな笑い声を上げた。
「君の誕生日、なのに」
思い出した。今日で七歳になるのだ。
珮理は、自分の心がきゅっと持ち上がり、そしてすとんと落ちるのを感じた。
誕生日が来るのは嬉しい。しかし、七つになると話が違う。今まではまだ『子供』だったのだが、これからは、『大人』と同じ『ふるまい』と『責任』を課せられるのだ。そう思うと、胸がドキドキする。『大人』になるのは嬉しいことである。だが、これから、立派な『大人』としてやっていけるのだろうか?
「そんなに気張らなくてもいいのよ」
そんな珮理の思いを察したのか、朧嵐の手が優しく珮理の頭を撫でてくれる。
「七歳になっても、あなたは私たちの『子供』であることに変わりないんだから」
それなら、問題ない。母の言葉に、珮理はこくんと頷くと、目の前に差し出されたパイにぱくりとかぶりついた。
肉の甘い味が口の中に広がる。それだけで、珮理の心は満ち足りた気分になった。
「プレゼントもあるよ」
そんな珮理の膝に、風理が細長い布包みを置く。パイの味の付いた指をきれいに舐めてから包みを解くと、銀色に輝く短剣が転がり出てきた。
「うわっ、きれい!」
珮理は思わず大声を上げた。
そっと持ち上げてみると、羽のように軽い。
「ポリノミアルの短剣さ」
大陸の貴重金属の名を上げて、風理が笑う。
「私のお古だが、それでもいいかい?」
「うん、嬉しい。ありがとう、父さん!」
珮理は風理に飛びつくと、風理の膝の上で短剣を鞘から抜こうとした。が。何故か短剣は鞘から抜けない。
「珮理ももう七つなんだから、短剣を差してもいいと思ったんだよ」
それでも何とか抜こうと四苦八苦する珮理から短剣を取り上げると、風理はいとも簡単に鞘から短剣を抜いてみせた。
「珮理はもう、力を使って良い時と悪い時の区別くらいつくと思うから。でもね」
暖炉の光にきらめく鋭い刀身を珮理に見せてから、風理は再び短剣を鞘にしまう。
「この短剣は、短剣自身が『正しい』と思ったときにしか鞘から抜けない」
その言葉に、一度静まっていた珮理のドキドキが再び始まる。そう、もう『大人』なのだから、しっかりしないといけない。風理から短剣を手渡された珮理は、父の言葉を心にしっかりと留めておくように短剣をしっかりと握った。
「プレゼントはもう一つあるのよ」
今度は朧嵐が、ふわっとしたものを珮理の首に巻いてくれる。
「珮理も、『女の子』だから」
俯いて首の周りを見ると、下の服の色が透けて見えるほど薄い白布のスカーフが見えた。恐る恐る触ってみると、つるつるふわふわと柔らかい手触りが珮理をほっとさせた。そして布の端から少しだけ覗いたレースのふち飾り。こんなに可愛らしい物を、珮理は今までもらったことがなかった。
「ありがとう、母さん」
珮理はぴょんと父の膝から下りると、今度は母に抱きついた。
短剣とスカーフ。使い方も、そこに込められた『願い』も違うが、誕生日にそれをくれた父母の暖かさが、珮理にはとても嬉しかった。
その次の日。
吹雪が止んだ屋外は、雪のきらめきが眩しかった。
そのきらめきの中を、珮理はいつも通り禎羅をつれて歩いていた。いや、昨日と違うところが二つある。首にはあの可愛いスカーフを巻いているし、腰のベルトには雪と同じくらいきらきら光る短剣を挟んでいるのだから。
珮理はとても幸せだった。
母屋の裏口から日向を求めて、中庭の方へと歩く。
井戸の傍では、何人かの女中達が洗濯をしていた。珮理のよく見える目は一瞬にして、その中から母親の姿を捉える。
「ほら、禎羅、あそこに母さんがいるよ」
そしてそれを妹の禎羅にも教えた。しかし、朧嵐の髪は他の人にはない銀髪だし、服装も他の女中達とは微妙に違っているから、禎羅にもきっと区別がついているだろう。そう考えた珮理は、今度は城門脇の別棟の方へと禎羅の手を引いて行った。
一つの窓の下にある石に禎羅を乗せ、一緒に建物の中を窺う。風理がこの城の主人と一緒に机に向かっているのが見えた。東方語と大陸共通語の読み書きができる風理は、昼間は城主の事務仕事を手伝っているのだ。
珮理と禎羅が窓から覗いているのを認めて、風理が手を振ってくれる。それだけで、珮理はとても嬉しかった。
しかしあまり仕事の邪魔をしてはいけない。珮理は再び禎羅の手を取り、今度は野菜畑のほうへ行こうと歩き出した。
「やーい、のろま~」
「汚い浮浪者~」
不意に、汚い言葉と共に雪球が珮理に向かって飛んでくる。
禎羅に当たると嫌なので、珮理はその玉を避けずに身体に当てた。
その雪球には石が入っていたらしく、当たったところが少し痺れる。それでも珮理は黙ったまま禎羅の手を引いて歩いた。
誰が雪球を投げたのかは分かっている。城主夫妻の一人息子とその取り巻きたちだ。いつもなら珮理も雪球を投げ返すところだが、今日からは違う。もう七つになったのだから。もし揉め事を起こしてしまい、そのことが城主夫妻の耳に入ったら、珮理達はここから追い出されるかもしれない。こんなに寒い時にこの暖かい場所から追い出されたら、禎羅はどうなる。だから珮理は、怒りをぐっとこらえて、とにかくここから離れようと足を速めた。
だが。
「やーい、意気地なし~!」
「のろま、のろま!」
たちまちのうちに、二人は背の高い少年達に囲まれてしまう。
「逃げたって無駄だぞ」
胸の悪くなるような顔が、珮理の前に並んだ。
こいつらは何故、私なんかに絡んでくるのだろうか? 何だか哀しくなってくる。しかし、禎羅だけは守らなければ。珮理は禎羅を背後に隠し、少年達をきっと睨みつけた。
そんな珮理の気持ちなど露知らず、少年達はいつも通り珮理をからかい始める。
「おい、こいつ、スカーフなんかしてるぞ」
少年の一人が、珮理のスカーフに手をかける。
「なっまいき~」
珮理が抵抗する間もなく、スカーフは少年達の手に渡ってしまった。
「返して!」
少年達に向かって勢いよく手を伸ばす。しかし背の高い少年達がその腕を高く掲げてしまった為、珮理の手はスカーフに全く届かなかった。
「へへっ。悔しかったら取ってみな!」
スカーフは珮理の間で少年から少年の手へとわたり、終に城主の一人息子の手に渡る。
「お前みたいな浮浪者が、こんなもんつけてどうするんだよ」
彼の手で、スカーフはあっという間に布切れになってしまった。
「そんな……」
雪の上に落ちたスカーフの残骸に、うなだれる珮理。
しかし珮理の受難はこれで終わったわけではなかった。
「おっ、こいつ、生意気に短剣なんか持ってるぞ」
目敏い少年が、珮理の腰に下げた短剣を取り上げる。
「ほんっと、なっまいき~」
「そ、それは!」
スカーフの上に短剣まで取り上げられてはたまらない。珮理は思わず少年に飛び掛った。
「うわっ!」
不意を突かれた少年が雪の上に転がる。だが、珮理の抵抗もここまで。あっという間に羽交い絞めにされた珮理は次の瞬間、庭に生えていた大木の傍に乱暴に投げ落とされていた。
「ほんっと、ムカつくよな、こいつ」
木の幹で打った背中の痛みに呻く珮理の上に、少年達の影が立つ。顔を上げると、城主の息子の顔が殆ど目の前にあった。
「この短剣の切れ味、こいつで確かめよう」
微妙に落ち着き払った声が、怖すぎる。やんやと囃し立てる少年達の間で、彼はにやりと口の端を上げると、珮理から奪った短剣の鞘を抜こうとした。だが、昨夜珮理が試したときと同じように、短剣は鞘から抜けない。
「何だ、飾りか」
城主の息子は珮理に向かってけっと唾を吐くと、短剣を雪の中に放り投げた。
助かった。思わず胸を撫で下ろす。
「でも、昨日はこんなもの持ってなかったぜ、こいつ」
その珮理の耳に、少年達の中から上がった声が響く。
その声に、珮理は思わず反論した。
「だって、昨日が私の誕生日だったんだもん」
「なにっ!」
珮理のその言葉で、少年達の間に動揺が走る。
「……こいつって、まさか」
声にならない叫びが少年達の間から漏れた。
「うわっ!」
あっという間に、彼らはくるりと珮理に背を向け、逃れるように去って行く。まるで、珮理に何か『悪いもの』がついているかのように。
〈……何? 何で?〉
後に残ったのは、呆然とする珮理と、木の後ろに逃げ込んでいた禎羅だけ。
〈一体、何がどうなっているの?〉
どう考えても、彼らが逃げ出していった理由が分からない。珮理は首を傾げる外、なかった。
しかし、禎羅には怪我はなかったんだし、これで良いのだろう。そう自分に言い聞かせ、自分の気持ちを何とか納得させると、珮理は彼らが投げ出した短剣を拾う為に立ち上がり、服についた雪を払い落とした。
お腹が空いたので、禎羅と一緒に自分達の部屋に戻ることにする。
だが。
「……あなたね、『風の日生まれの子』は」
城の裏口で、珮理と禎羅は城主夫人にその行く手を阻まれた。
彼女から発せられる異様な雰囲気に、思わずたじろぐ。何故? 心の中で首を傾げた珮理の脳裏に、ある言葉が閃いた。……『風の日』だ。これしかない。
父母も、珮理が接する『流浪の民』一族の大人達も全く気にしていなかったので今まで忘れていたのだが、『風の日』に生まれた子は皆、災いをもたらす子供であるという言い伝えがあることを、このとき珮理ははっきりと思い出した。
「こんな子がここにいるなんて……」
きっと珮理を睨みつけた城主夫人が、後ろに待機していた作男たちに声をかける。
「とっとと追い出してしまいなさい!」
城主夫人の言葉に、棒を持った作男たちが珮理にじわりと近付いてきた。
逃げなければ。そう思うのに、城主夫人の気迫に身体がちっとも言うことを聞かない。とにかく禎羅だけは庇おうと、珮理は禎羅を再び自分の背中に隠し、しっかりと目を瞑った。
だが。予想していた打撃が来ない。珮理はそろそろと目を開け、そして瞠目した。
珮理の目の前に、風理の小柄だが力強い背中が、確かに、あった。
風理は作男たちの攻撃を軽くあしらうと、ある種緩慢な動きで城主夫人の方に向かう。
「何故止めるのです!」
城主夫人はつかつかと風理に近づくと、その腕を掴んだ。だが。
「私に触れてもいいのですか」
風理の落ち着いた声が珮理の耳に響く。その声には、いつにない『誇り』と『威厳』が、確かに、備わっていた。
「私も、『風の日生まれの子』ですよ」
「な……!」
思わぬ風理の言葉に夫人が絶句する。
次の瞬間、城中に響き渡る金切り声を上げた夫人はあっという間に風理の前から姿を消してしまった。しかしそれでも、あたりの空気は緊迫したままだ。
作男たちが自分の方をじろじろと見ているのを感じる。『恐れ』と『蔑み』が込められた視線に晒された珮理は、ただ震えることしかできなかった。
結局。珮理達はこの後すぐ城から追い出された。
止んでいた雪は城の外へ出ると同時に再び降り始め、あっという間に吹雪になる。そんな中を、珮理は風理に手を引かれ、ゆっくりと歩いた。珮理と風理の後ろには、禎羅を抱いた朧嵐が続いている。風理も朧嵐も珮理を責めなかったが、そのことが珮理にとってとても辛かった。
「……ごめんなさい」
珮理の瞳から涙がぽろぽろと零れ落ちてゆく。
「珮理の所為じゃないよ」
風理の腕が、そんな珮理を優しく抱きしめた。
「ま、あれだけの騒ぎを起こしたんじゃ、ね」
風理はそう言って諦めたような溜息をついたが、珮理には納得がいかなかった。何故『流浪の民』、『風の日生まれの子』だというだけで、蔑まれなければならないのだろうか? しかし、この騒ぎの原因が自分にあることも、珮理には痛いほど分かっていた。心だけではない。珮理の身体の方も、雪を含んだ風に晒されて、痛いほど冷たかった。
「……とりあえず、街まで行けば何とかなるかな」
風理が朧嵐にそういうのが聞こえる。
「そうね。でも、これじゃあとても進めないわ」
「分かった」
風理は珮理を優しく下ろすと、その手に息を吹きかけてから高く掲げた。
たちまちのうちに、目の前に風理の背丈ほどの雪の山が現れる。雪山の真ん中に、ぽっかりと穴が開いている。その穴の中に入ると、珮理の周りを吹き荒れていた風は無くなった。
「とにかく、吹雪が収まるまではここに居よう」
「そうね」
風理が作った焚き火のそばで、朧嵐が禎羅を抱き上げる。その間ずっと、珮理は自責の念に駆られていた。自分の所為で、父さんにも母さんにも禎羅にも迷惑をかけている……。
「はい、珮理」
不意に、珮理の首に何かが巻かれる。俯くと、白いスカーフが確かに、見えた。
「前のより可愛くないけど、それしてると暖かいでしょ」
ゆっくりと顔を上げると、朧嵐の温かい銀灰色の瞳がはっきりと見える。今にも泣きそうな珮理の心に、暖かい灯が点った。
「でも……」
しかし、私、は……。
「禎羅を庇ってよく頑張ったな」
今にも泣きそうな珮理の頭を、風理の暖かい手がゆっくりと撫でる。両親の優しさが、珮理の心を少しずつ、だが確実に癒していた。
「う、ん」
父と母、二人の温かさが、嬉しい。
珮理は僅かに頷くと、その温かさに我が身をしっかりと、預けた。
その横で珮理は、襲ってくる眠気と必死に戦っていた。
高い所にある空気入れの隙間から微かに見える外は、確かに吹雪いてみえる。しかし、石造りの分厚い壁に囲まれたこの部屋は、珮理のすぐ傍で燃えている暖炉の火もあってか、とても暖かかった。だが、もし、この火が消えてしまったらどうなるか。部屋はたちまち冷えてしまい、珮理も、妹の禎羅も凍え死んでしまうに違いない。だから、この暖かさを保つ為に、眠ってはいけない。その瞳を擦りながら、もう何度目かの決心を、珮理は心の中で繰り返した。父と母が帰ってくるまでは、珮理だけが禎羅を守れるのだから。
珮理達が今棲みついているのは、マース大陸東部のとある中流貴族の城。
漂泊を重ね、定住の地を持たないのが『流浪の民』一族のモットーであるが、それではさすがに寒い冬は越しにくい。そこで、冬の間だけ、退屈な日々を自分たちの芸能で慰めるのと引き替えに、貴族の城や館に住居と食事を確保することが彼らの『処世術』となっていた。珮理の父母、風理と朧嵐も、この城の主人達の徒然を慰める吟遊詩人としてここに雇われている。
戸口の物音に、珮理はふっと目を醒ました。
〈……あ、いけない!〉
どうやら少し眠ってしまっていたようだ。
あれだけ何度も『眠ってはいけない』を繰り返していたのに。大慌てで、禎羅と暖炉の火を確かめる。禎羅の寝息は相変わらず静かだったし、暖炉の火はちゃんと燃えていた。
〈よかったぁ〉
まだ、父と母は、この城の広間で城主の家族達に囲まれて歌を披露しているはずだ。それが終わって二人が帰ってくるまでは、眠ってはいけない。まだ幼いながらも、珮理はきちんと『責任』というものを感じていた。
だから、眠って、は……。
「……珮理、珮理」
優しい声に、再び目を開ける。
〈あ……!〉
どうやら、又眠ってしまったようだ。珮理はまたまた大慌てで暖炉と禎羅の様子を確かめようとした。が。
「起きたかい、珮理」
珮理の目の前に、父風理の笑い顔が、確かにあった。
「疲れたんでしょ。今日も走り回ってたものね」
母朧嵐の冷たい手が、珮理の額に優しく触れる。その光景の確かさに、珮理は目をぱちくりさせた。だって、まだ、帰って来る時間じゃ、ないのに……!
「珮理はまだ夢の中にいるんじゃないか?」
からかいを含んだ風理の笑い声が珮理の耳に響く。
「じゃあ、明日にした方がいいかしらね」
間違いない。これは『夢』ではない。珮理は勢いよく起き上がった。
「父さんも、母さんも、今日は、早くない、の?」
そして何とかこれだけ訊ねる。
「早いって、珮理……」
珮理の質問に、二人は顔を見合わせ、揃って笑った。
「珮理は、私達が早く帰ってきたら、嬉しくないのかい?」
「ううん、そうじゃないの」
風理の言葉に、珮理は大慌てで首を振った。
「ただ、不思議だな、って思っただけ」
「今日は何の日か知ってるかい、珮理?」
そんな珮理に、風理のいたずらっぽい視線が注がれる。
「え……? あ」
父の問いに、珮理の頭にある言葉が閃いた。
今日は『風の日』だ。
マース大陸で大昔から使われている嶺家暦は、春分の日を年の初めとし、一年三六五日を一週十三日×二十八週+初日(春分の日)としている太陽暦であるが、週内のそれぞれの日には『この世界』の神々の名前がついており、その日を守護しているといわれている。しかし、『この世界』の古い神である『風神』だけは、昔はいたが今は「いない」ことになっており、この神の名前が付いた『風の日』は、神の守護のない、何をやってもうまくいかない日とされていた。だからこの日だけは、行う仕事を最小限にして、夜になると普通の人はさっさと眠ってしまう。それで今日は二人とも早く帰ってきたのか。珮理ははたと納得した。
「……それに、今日は『特別の日』だしね」
珮理の横に夕食を並べながら、朧嵐が軽く笑う。
今日の夕食はいつもよりかなり豪華だ。固いパンと具の少ないスープだけではなく、どう見たってパイとしか思えないものやタルトにしか見えないものが珮理の目の前に並んでいる。しかし珮理には、夕食が豪勢になる理由が思い当たらなかった。
「え、何の、日?」
だから、小首を傾げて二人にそう問う。
「やっぱり忘れてる」
そんな珮理を見て、両親は再び朗らかな笑い声を上げた。
「君の誕生日、なのに」
思い出した。今日で七歳になるのだ。
珮理は、自分の心がきゅっと持ち上がり、そしてすとんと落ちるのを感じた。
誕生日が来るのは嬉しい。しかし、七つになると話が違う。今まではまだ『子供』だったのだが、これからは、『大人』と同じ『ふるまい』と『責任』を課せられるのだ。そう思うと、胸がドキドキする。『大人』になるのは嬉しいことである。だが、これから、立派な『大人』としてやっていけるのだろうか?
「そんなに気張らなくてもいいのよ」
そんな珮理の思いを察したのか、朧嵐の手が優しく珮理の頭を撫でてくれる。
「七歳になっても、あなたは私たちの『子供』であることに変わりないんだから」
それなら、問題ない。母の言葉に、珮理はこくんと頷くと、目の前に差し出されたパイにぱくりとかぶりついた。
肉の甘い味が口の中に広がる。それだけで、珮理の心は満ち足りた気分になった。
「プレゼントもあるよ」
そんな珮理の膝に、風理が細長い布包みを置く。パイの味の付いた指をきれいに舐めてから包みを解くと、銀色に輝く短剣が転がり出てきた。
「うわっ、きれい!」
珮理は思わず大声を上げた。
そっと持ち上げてみると、羽のように軽い。
「ポリノミアルの短剣さ」
大陸の貴重金属の名を上げて、風理が笑う。
「私のお古だが、それでもいいかい?」
「うん、嬉しい。ありがとう、父さん!」
珮理は風理に飛びつくと、風理の膝の上で短剣を鞘から抜こうとした。が。何故か短剣は鞘から抜けない。
「珮理ももう七つなんだから、短剣を差してもいいと思ったんだよ」
それでも何とか抜こうと四苦八苦する珮理から短剣を取り上げると、風理はいとも簡単に鞘から短剣を抜いてみせた。
「珮理はもう、力を使って良い時と悪い時の区別くらいつくと思うから。でもね」
暖炉の光にきらめく鋭い刀身を珮理に見せてから、風理は再び短剣を鞘にしまう。
「この短剣は、短剣自身が『正しい』と思ったときにしか鞘から抜けない」
その言葉に、一度静まっていた珮理のドキドキが再び始まる。そう、もう『大人』なのだから、しっかりしないといけない。風理から短剣を手渡された珮理は、父の言葉を心にしっかりと留めておくように短剣をしっかりと握った。
「プレゼントはもう一つあるのよ」
今度は朧嵐が、ふわっとしたものを珮理の首に巻いてくれる。
「珮理も、『女の子』だから」
俯いて首の周りを見ると、下の服の色が透けて見えるほど薄い白布のスカーフが見えた。恐る恐る触ってみると、つるつるふわふわと柔らかい手触りが珮理をほっとさせた。そして布の端から少しだけ覗いたレースのふち飾り。こんなに可愛らしい物を、珮理は今までもらったことがなかった。
「ありがとう、母さん」
珮理はぴょんと父の膝から下りると、今度は母に抱きついた。
短剣とスカーフ。使い方も、そこに込められた『願い』も違うが、誕生日にそれをくれた父母の暖かさが、珮理にはとても嬉しかった。
その次の日。
吹雪が止んだ屋外は、雪のきらめきが眩しかった。
そのきらめきの中を、珮理はいつも通り禎羅をつれて歩いていた。いや、昨日と違うところが二つある。首にはあの可愛いスカーフを巻いているし、腰のベルトには雪と同じくらいきらきら光る短剣を挟んでいるのだから。
珮理はとても幸せだった。
母屋の裏口から日向を求めて、中庭の方へと歩く。
井戸の傍では、何人かの女中達が洗濯をしていた。珮理のよく見える目は一瞬にして、その中から母親の姿を捉える。
「ほら、禎羅、あそこに母さんがいるよ」
そしてそれを妹の禎羅にも教えた。しかし、朧嵐の髪は他の人にはない銀髪だし、服装も他の女中達とは微妙に違っているから、禎羅にもきっと区別がついているだろう。そう考えた珮理は、今度は城門脇の別棟の方へと禎羅の手を引いて行った。
一つの窓の下にある石に禎羅を乗せ、一緒に建物の中を窺う。風理がこの城の主人と一緒に机に向かっているのが見えた。東方語と大陸共通語の読み書きができる風理は、昼間は城主の事務仕事を手伝っているのだ。
珮理と禎羅が窓から覗いているのを認めて、風理が手を振ってくれる。それだけで、珮理はとても嬉しかった。
しかしあまり仕事の邪魔をしてはいけない。珮理は再び禎羅の手を取り、今度は野菜畑のほうへ行こうと歩き出した。
「やーい、のろま~」
「汚い浮浪者~」
不意に、汚い言葉と共に雪球が珮理に向かって飛んでくる。
禎羅に当たると嫌なので、珮理はその玉を避けずに身体に当てた。
その雪球には石が入っていたらしく、当たったところが少し痺れる。それでも珮理は黙ったまま禎羅の手を引いて歩いた。
誰が雪球を投げたのかは分かっている。城主夫妻の一人息子とその取り巻きたちだ。いつもなら珮理も雪球を投げ返すところだが、今日からは違う。もう七つになったのだから。もし揉め事を起こしてしまい、そのことが城主夫妻の耳に入ったら、珮理達はここから追い出されるかもしれない。こんなに寒い時にこの暖かい場所から追い出されたら、禎羅はどうなる。だから珮理は、怒りをぐっとこらえて、とにかくここから離れようと足を速めた。
だが。
「やーい、意気地なし~!」
「のろま、のろま!」
たちまちのうちに、二人は背の高い少年達に囲まれてしまう。
「逃げたって無駄だぞ」
胸の悪くなるような顔が、珮理の前に並んだ。
こいつらは何故、私なんかに絡んでくるのだろうか? 何だか哀しくなってくる。しかし、禎羅だけは守らなければ。珮理は禎羅を背後に隠し、少年達をきっと睨みつけた。
そんな珮理の気持ちなど露知らず、少年達はいつも通り珮理をからかい始める。
「おい、こいつ、スカーフなんかしてるぞ」
少年の一人が、珮理のスカーフに手をかける。
「なっまいき~」
珮理が抵抗する間もなく、スカーフは少年達の手に渡ってしまった。
「返して!」
少年達に向かって勢いよく手を伸ばす。しかし背の高い少年達がその腕を高く掲げてしまった為、珮理の手はスカーフに全く届かなかった。
「へへっ。悔しかったら取ってみな!」
スカーフは珮理の間で少年から少年の手へとわたり、終に城主の一人息子の手に渡る。
「お前みたいな浮浪者が、こんなもんつけてどうするんだよ」
彼の手で、スカーフはあっという間に布切れになってしまった。
「そんな……」
雪の上に落ちたスカーフの残骸に、うなだれる珮理。
しかし珮理の受難はこれで終わったわけではなかった。
「おっ、こいつ、生意気に短剣なんか持ってるぞ」
目敏い少年が、珮理の腰に下げた短剣を取り上げる。
「ほんっと、なっまいき~」
「そ、それは!」
スカーフの上に短剣まで取り上げられてはたまらない。珮理は思わず少年に飛び掛った。
「うわっ!」
不意を突かれた少年が雪の上に転がる。だが、珮理の抵抗もここまで。あっという間に羽交い絞めにされた珮理は次の瞬間、庭に生えていた大木の傍に乱暴に投げ落とされていた。
「ほんっと、ムカつくよな、こいつ」
木の幹で打った背中の痛みに呻く珮理の上に、少年達の影が立つ。顔を上げると、城主の息子の顔が殆ど目の前にあった。
「この短剣の切れ味、こいつで確かめよう」
微妙に落ち着き払った声が、怖すぎる。やんやと囃し立てる少年達の間で、彼はにやりと口の端を上げると、珮理から奪った短剣の鞘を抜こうとした。だが、昨夜珮理が試したときと同じように、短剣は鞘から抜けない。
「何だ、飾りか」
城主の息子は珮理に向かってけっと唾を吐くと、短剣を雪の中に放り投げた。
助かった。思わず胸を撫で下ろす。
「でも、昨日はこんなもの持ってなかったぜ、こいつ」
その珮理の耳に、少年達の中から上がった声が響く。
その声に、珮理は思わず反論した。
「だって、昨日が私の誕生日だったんだもん」
「なにっ!」
珮理のその言葉で、少年達の間に動揺が走る。
「……こいつって、まさか」
声にならない叫びが少年達の間から漏れた。
「うわっ!」
あっという間に、彼らはくるりと珮理に背を向け、逃れるように去って行く。まるで、珮理に何か『悪いもの』がついているかのように。
〈……何? 何で?〉
後に残ったのは、呆然とする珮理と、木の後ろに逃げ込んでいた禎羅だけ。
〈一体、何がどうなっているの?〉
どう考えても、彼らが逃げ出していった理由が分からない。珮理は首を傾げる外、なかった。
しかし、禎羅には怪我はなかったんだし、これで良いのだろう。そう自分に言い聞かせ、自分の気持ちを何とか納得させると、珮理は彼らが投げ出した短剣を拾う為に立ち上がり、服についた雪を払い落とした。
お腹が空いたので、禎羅と一緒に自分達の部屋に戻ることにする。
だが。
「……あなたね、『風の日生まれの子』は」
城の裏口で、珮理と禎羅は城主夫人にその行く手を阻まれた。
彼女から発せられる異様な雰囲気に、思わずたじろぐ。何故? 心の中で首を傾げた珮理の脳裏に、ある言葉が閃いた。……『風の日』だ。これしかない。
父母も、珮理が接する『流浪の民』一族の大人達も全く気にしていなかったので今まで忘れていたのだが、『風の日』に生まれた子は皆、災いをもたらす子供であるという言い伝えがあることを、このとき珮理ははっきりと思い出した。
「こんな子がここにいるなんて……」
きっと珮理を睨みつけた城主夫人が、後ろに待機していた作男たちに声をかける。
「とっとと追い出してしまいなさい!」
城主夫人の言葉に、棒を持った作男たちが珮理にじわりと近付いてきた。
逃げなければ。そう思うのに、城主夫人の気迫に身体がちっとも言うことを聞かない。とにかく禎羅だけは庇おうと、珮理は禎羅を再び自分の背中に隠し、しっかりと目を瞑った。
だが。予想していた打撃が来ない。珮理はそろそろと目を開け、そして瞠目した。
珮理の目の前に、風理の小柄だが力強い背中が、確かに、あった。
風理は作男たちの攻撃を軽くあしらうと、ある種緩慢な動きで城主夫人の方に向かう。
「何故止めるのです!」
城主夫人はつかつかと風理に近づくと、その腕を掴んだ。だが。
「私に触れてもいいのですか」
風理の落ち着いた声が珮理の耳に響く。その声には、いつにない『誇り』と『威厳』が、確かに、備わっていた。
「私も、『風の日生まれの子』ですよ」
「な……!」
思わぬ風理の言葉に夫人が絶句する。
次の瞬間、城中に響き渡る金切り声を上げた夫人はあっという間に風理の前から姿を消してしまった。しかしそれでも、あたりの空気は緊迫したままだ。
作男たちが自分の方をじろじろと見ているのを感じる。『恐れ』と『蔑み』が込められた視線に晒された珮理は、ただ震えることしかできなかった。
結局。珮理達はこの後すぐ城から追い出された。
止んでいた雪は城の外へ出ると同時に再び降り始め、あっという間に吹雪になる。そんな中を、珮理は風理に手を引かれ、ゆっくりと歩いた。珮理と風理の後ろには、禎羅を抱いた朧嵐が続いている。風理も朧嵐も珮理を責めなかったが、そのことが珮理にとってとても辛かった。
「……ごめんなさい」
珮理の瞳から涙がぽろぽろと零れ落ちてゆく。
「珮理の所為じゃないよ」
風理の腕が、そんな珮理を優しく抱きしめた。
「ま、あれだけの騒ぎを起こしたんじゃ、ね」
風理はそう言って諦めたような溜息をついたが、珮理には納得がいかなかった。何故『流浪の民』、『風の日生まれの子』だというだけで、蔑まれなければならないのだろうか? しかし、この騒ぎの原因が自分にあることも、珮理には痛いほど分かっていた。心だけではない。珮理の身体の方も、雪を含んだ風に晒されて、痛いほど冷たかった。
「……とりあえず、街まで行けば何とかなるかな」
風理が朧嵐にそういうのが聞こえる。
「そうね。でも、これじゃあとても進めないわ」
「分かった」
風理は珮理を優しく下ろすと、その手に息を吹きかけてから高く掲げた。
たちまちのうちに、目の前に風理の背丈ほどの雪の山が現れる。雪山の真ん中に、ぽっかりと穴が開いている。その穴の中に入ると、珮理の周りを吹き荒れていた風は無くなった。
「とにかく、吹雪が収まるまではここに居よう」
「そうね」
風理が作った焚き火のそばで、朧嵐が禎羅を抱き上げる。その間ずっと、珮理は自責の念に駆られていた。自分の所為で、父さんにも母さんにも禎羅にも迷惑をかけている……。
「はい、珮理」
不意に、珮理の首に何かが巻かれる。俯くと、白いスカーフが確かに、見えた。
「前のより可愛くないけど、それしてると暖かいでしょ」
ゆっくりと顔を上げると、朧嵐の温かい銀灰色の瞳がはっきりと見える。今にも泣きそうな珮理の心に、暖かい灯が点った。
「でも……」
しかし、私、は……。
「禎羅を庇ってよく頑張ったな」
今にも泣きそうな珮理の頭を、風理の暖かい手がゆっくりと撫でる。両親の優しさが、珮理の心を少しずつ、だが確実に癒していた。
「う、ん」
父と母、二人の温かさが、嬉しい。
珮理は僅かに頷くと、その温かさに我が身をしっかりと、預けた。
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