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一三
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意外に、活気のある街だ。
これが、トゥエが魔皇帝の都リーマンに足を踏み入れたときの正直な感想だった。
北側に開いた湾を利用した港から伸びる大通りは、攻め込まれた時の防御の為に所々鍵型に曲げてはあるが、それでも、通りは人馬の往来が激しい。街の大きさこそアデールの比ではないが、大通りから見える小路の両側に立っている家の多さからすると、かなりの人口を擁していることは嫌でも分かる。
だが。この町には、アデールにもウプシーラにもなかった緊張感が、確かに、ある。その理由は、トゥエには既に分かっていた。この街の入口で、ある『誓約書』を認めさせられたからだ。誓約の内容は、『この街に入るにあたり、徘徊する魔物に襲われても文句は言わない』こと。やはり、魔皇帝の都だ。その誓約を示された時、トゥエは心底そう思った。
今、ぐるりと見渡したところでは、魔物の気配などこれっぽっちも無い。リーニエにある普通の街と同じに見える。だが、この街の何処かには、残虐な魔物が潜んでいるという。自分の膝元で、そんなものを放っておくとは、やはり、残酷な人だ。背中の震えを感じ、トゥエはふっとため息をついた。
仕方無くリーニエを去ってから、どれくらいの時が経ったのだろうか? 風は確かに冷たいが、日の光は既に、微かな暖かさを運んで来ていた。
この街にきた理由は単純で、敵対する者が支配する街を見たいと思っただけ。だが、街の意外な普通さに、トゥエは内心感心して、いた。
と、その時。
「うわっ! 魔物だ!」
「逃げろっ!」
鋭い悲鳴に、思わず振り向く。トゥエの左にある小路から、人がわっとあふれ出していた。
嗅いだことのある、吐き気のするほどの生臭さが、トゥエの全身を総毛立てる。どう、するか。それを考える前に、トゥエは人波に逆らい、小路へと飛び込んだ。
小路の先、粗末な家々に囲まれた小さな広場に、魔物は居た。小山のような体をフルフルと動かしながら、広場の屋台に乗っている食い物をむしゃむしゃと食べている。
「止めなさい! 帰りなさい!」
その魔物の前で、一人の少女が腕を振り回しながら叫んでいる。魔物の大きさからみると、少女は不釣り合いなほど小さく見えた。
少女の止めるのには全く構わず(当たり前だ)、魔物はその視界に入る食い物を次々と平らげていく。
「だから、止めなさいって!」
言うことを聞かない魔物に業を煮やしたのか、少女は不意に、腰の短刀を抜くと魔物にその切っ先を向けた。
鋭い光が、その切っ先から迸る。自分の魔法と同じ種類のものだ。そう、トゥエが判断する前に、光は魔物の腹へとまっすぐに食い込んだ。しかし、その魔法の光は、太った魔物には何の効果も及ぼさなかったようだ。魔物はけろりとした表情で屋台そのものまで食い尽くすと、今度は少女の方へその大きな手を伸ばした。
「ちょ、ちょっと!」
素早く逃げる少女。だが、間に合わない。あっという間に、少女の身体は魔物の手に絡め取られてしまった。
このままでは、少女の命は無い。だが、その時には既に、トゥエは落ちていた短槍を構えてチャンスを窺っていた。
少女を飲み込もうと、魔物が大きく口を開ける。その瞬間、トゥエは魔力を込めた短槍をその口めがけて投げ込んだ。幸い、少女には当たらず、短槍は魔物の口腔内へと飲み込まれる。次の瞬間、のたうつ魔物から少女を助ける為にトゥエは魔物に向かって飛び出した。
倒れる少女を担ぎ、大急ぎで魔物から離れる。だが、小柄なトゥエには、小柄な少女でも重すぎた。しかもまだ、背中の傷が治っていない。
痺れるような痛みを背中に感じ、思わず石畳にへたりこむ。それでも。少女を魔物から遠ざける方が先だ。トゥエは歯を食い縛り、少女を肩に担いだまま立ち上がった。
と、その時。
「いたっ!」
「こっちだ!」
同じ色の上着に身を包んだ男が三人、トゥエの横をすり抜ける。振り返ると、丁度、三人のうちの一人が懐から紙のようなものを出したところだった。あれは、魔力を持つ者が作ることのできる『札』。そう、トゥエが思う前に、飛び上がった男が魔物の額にその札を置く。次の瞬間、先ほどまで小路を占領していた魔物はきれいさっぱりかき消えた。どうやら、あの札は『魔物を消すことができる』特別な札のようだ。トゥエがそう考えるより早く。
「ちょっと、下ろして!」
いきなり耳元で、女の声が響く。
そう言えば、まだ少女を担いだままだった。トゥエは静かにしゃがみ込むと、掴んでいた少女の腰をそっと放した。
その、次の瞬間。
「……あっ!」
急に、視界が薄れる。
大慌てで背中の傷に手を置くまでもなく、ぬるっとした血が背中を流れ落ちているのがはっきりと感じられた。しかも、多分、放っておいて良い量ではない。
傷が開いた。早く、手当てしないと……。
しかし、トゥエの思考はそこでぷちんと切れて、しまった。
目を開けると、灰色の天井が見えた。
「……目覚めた? おバカさん」
聞いたことのある声に、けだるく首を動かす。
街の小路で魔物に襲われかけていた少女が、トゥエの顔をまじまじと見つめていた。
「おい、命の恩人に向かってその言葉はないだろう」
少し遠くから、男の声も聞こえてくる。辺りを見回すまでもなく、トゥエは、自分が清潔なベッドの上に寝かされていることにすぐに気が付いた。今いる部屋の方も、狭いがこざっぱりしている。短槍が、トゥエ自身のものの他に二、三本立てかけてあるところからすると、多分声の男は(少女も、ということもあり得るが)武人なのだろう。
「第一、あの子普段は大人しいのよ。おなかがすいたら手が付けられなくなるだけで」
男の声に、少女の反論する声が被さる。
「……食べられそうになったヤツが言う台詞か、それ?」
だが、男の言葉の方が優位に立っていることは、トゥエでも分かった。
「第一、魔物が出たっていうのに『札』を忘れていくヤツがいるか?」
「うるさいわねっ!」
とうとう少女は怒り出す。
少女はトゥエをフンと一瞥すると、肩を尖らせて部屋を去った。代わりに現れたのは、大柄で色白な男性。少し見ただけで、少女と兄弟だと分かった。……あの時に魔物に『札』を貼り付けた男だ、ということも。
「ごめんな」
男は少女の代わりに、トゥエの傍らにあった椅子に腰掛けて頭を下げた。
「悪いヤツじゃないんだけどな。……ちょっと生意気なだけで」
「悪かったわね、生意気で」
不意に再び、少女の声が部屋に響く。
少女は持って来た水差しを部屋のテーブルに音を立てて置くと、男の方をきっと睨んだ。
「俺の名はノイマン。あいつはリベット」
そんな少女を無視して、男が自己紹介をする。
「あ、トゥエと言います」
それにつられて、トゥエも自分の名を名乗った。
「妹を助けてくれてありがとう」
「あ、いえ……」
「全く、バカよね」
トゥエとノイマンの会話を再び遮ったのは、またまた少女。
「自分も怪我してるのに。お人好し」
少女リベットの侮蔑に近い言葉に、少し凹む。自分でも、あの時リベットを助けようとしたことは無謀だったと思っているのだ。
「そう言えば」
再び、ノイマンが口を開く。その口から出てきた言葉は、驚くべきものだった。
「『御館様』が、事件にえらく興味持ってさ。夜になったら連れて来いってさ、リベット」
「えー! 私がー!」
ノイマンの言葉に、リベットの言葉がワントーン上がる。
「何で?」
「昼間の事件の顛末も訊きたいそうだ」
「えー! やだぁー!」
だが。渋るリベットの大声も、今のトゥエには遠く聞こえた。
「え……」
『御館様』とは誰だ? ……まさか! トゥエの推論は、次の男の言葉によって正しいと証明された。
「外じゃ『魔皇帝』なんて言われてるけど、故郷を無くした俺達を拾ってくれた優しいお方だぜ」
ノイマンは心底魔皇帝を尊敬しているらしい。その声には力と信頼感が確かに、あった。
「おまえ、故郷も職もないんだろ? うまくいけば雇ってもらえるぜ」
その言葉に、トゥエの心は正直揺れた。
これが、トゥエが魔皇帝の都リーマンに足を踏み入れたときの正直な感想だった。
北側に開いた湾を利用した港から伸びる大通りは、攻め込まれた時の防御の為に所々鍵型に曲げてはあるが、それでも、通りは人馬の往来が激しい。街の大きさこそアデールの比ではないが、大通りから見える小路の両側に立っている家の多さからすると、かなりの人口を擁していることは嫌でも分かる。
だが。この町には、アデールにもウプシーラにもなかった緊張感が、確かに、ある。その理由は、トゥエには既に分かっていた。この街の入口で、ある『誓約書』を認めさせられたからだ。誓約の内容は、『この街に入るにあたり、徘徊する魔物に襲われても文句は言わない』こと。やはり、魔皇帝の都だ。その誓約を示された時、トゥエは心底そう思った。
今、ぐるりと見渡したところでは、魔物の気配などこれっぽっちも無い。リーニエにある普通の街と同じに見える。だが、この街の何処かには、残虐な魔物が潜んでいるという。自分の膝元で、そんなものを放っておくとは、やはり、残酷な人だ。背中の震えを感じ、トゥエはふっとため息をついた。
仕方無くリーニエを去ってから、どれくらいの時が経ったのだろうか? 風は確かに冷たいが、日の光は既に、微かな暖かさを運んで来ていた。
この街にきた理由は単純で、敵対する者が支配する街を見たいと思っただけ。だが、街の意外な普通さに、トゥエは内心感心して、いた。
と、その時。
「うわっ! 魔物だ!」
「逃げろっ!」
鋭い悲鳴に、思わず振り向く。トゥエの左にある小路から、人がわっとあふれ出していた。
嗅いだことのある、吐き気のするほどの生臭さが、トゥエの全身を総毛立てる。どう、するか。それを考える前に、トゥエは人波に逆らい、小路へと飛び込んだ。
小路の先、粗末な家々に囲まれた小さな広場に、魔物は居た。小山のような体をフルフルと動かしながら、広場の屋台に乗っている食い物をむしゃむしゃと食べている。
「止めなさい! 帰りなさい!」
その魔物の前で、一人の少女が腕を振り回しながら叫んでいる。魔物の大きさからみると、少女は不釣り合いなほど小さく見えた。
少女の止めるのには全く構わず(当たり前だ)、魔物はその視界に入る食い物を次々と平らげていく。
「だから、止めなさいって!」
言うことを聞かない魔物に業を煮やしたのか、少女は不意に、腰の短刀を抜くと魔物にその切っ先を向けた。
鋭い光が、その切っ先から迸る。自分の魔法と同じ種類のものだ。そう、トゥエが判断する前に、光は魔物の腹へとまっすぐに食い込んだ。しかし、その魔法の光は、太った魔物には何の効果も及ぼさなかったようだ。魔物はけろりとした表情で屋台そのものまで食い尽くすと、今度は少女の方へその大きな手を伸ばした。
「ちょ、ちょっと!」
素早く逃げる少女。だが、間に合わない。あっという間に、少女の身体は魔物の手に絡め取られてしまった。
このままでは、少女の命は無い。だが、その時には既に、トゥエは落ちていた短槍を構えてチャンスを窺っていた。
少女を飲み込もうと、魔物が大きく口を開ける。その瞬間、トゥエは魔力を込めた短槍をその口めがけて投げ込んだ。幸い、少女には当たらず、短槍は魔物の口腔内へと飲み込まれる。次の瞬間、のたうつ魔物から少女を助ける為にトゥエは魔物に向かって飛び出した。
倒れる少女を担ぎ、大急ぎで魔物から離れる。だが、小柄なトゥエには、小柄な少女でも重すぎた。しかもまだ、背中の傷が治っていない。
痺れるような痛みを背中に感じ、思わず石畳にへたりこむ。それでも。少女を魔物から遠ざける方が先だ。トゥエは歯を食い縛り、少女を肩に担いだまま立ち上がった。
と、その時。
「いたっ!」
「こっちだ!」
同じ色の上着に身を包んだ男が三人、トゥエの横をすり抜ける。振り返ると、丁度、三人のうちの一人が懐から紙のようなものを出したところだった。あれは、魔力を持つ者が作ることのできる『札』。そう、トゥエが思う前に、飛び上がった男が魔物の額にその札を置く。次の瞬間、先ほどまで小路を占領していた魔物はきれいさっぱりかき消えた。どうやら、あの札は『魔物を消すことができる』特別な札のようだ。トゥエがそう考えるより早く。
「ちょっと、下ろして!」
いきなり耳元で、女の声が響く。
そう言えば、まだ少女を担いだままだった。トゥエは静かにしゃがみ込むと、掴んでいた少女の腰をそっと放した。
その、次の瞬間。
「……あっ!」
急に、視界が薄れる。
大慌てで背中の傷に手を置くまでもなく、ぬるっとした血が背中を流れ落ちているのがはっきりと感じられた。しかも、多分、放っておいて良い量ではない。
傷が開いた。早く、手当てしないと……。
しかし、トゥエの思考はそこでぷちんと切れて、しまった。
目を開けると、灰色の天井が見えた。
「……目覚めた? おバカさん」
聞いたことのある声に、けだるく首を動かす。
街の小路で魔物に襲われかけていた少女が、トゥエの顔をまじまじと見つめていた。
「おい、命の恩人に向かってその言葉はないだろう」
少し遠くから、男の声も聞こえてくる。辺りを見回すまでもなく、トゥエは、自分が清潔なベッドの上に寝かされていることにすぐに気が付いた。今いる部屋の方も、狭いがこざっぱりしている。短槍が、トゥエ自身のものの他に二、三本立てかけてあるところからすると、多分声の男は(少女も、ということもあり得るが)武人なのだろう。
「第一、あの子普段は大人しいのよ。おなかがすいたら手が付けられなくなるだけで」
男の声に、少女の反論する声が被さる。
「……食べられそうになったヤツが言う台詞か、それ?」
だが、男の言葉の方が優位に立っていることは、トゥエでも分かった。
「第一、魔物が出たっていうのに『札』を忘れていくヤツがいるか?」
「うるさいわねっ!」
とうとう少女は怒り出す。
少女はトゥエをフンと一瞥すると、肩を尖らせて部屋を去った。代わりに現れたのは、大柄で色白な男性。少し見ただけで、少女と兄弟だと分かった。……あの時に魔物に『札』を貼り付けた男だ、ということも。
「ごめんな」
男は少女の代わりに、トゥエの傍らにあった椅子に腰掛けて頭を下げた。
「悪いヤツじゃないんだけどな。……ちょっと生意気なだけで」
「悪かったわね、生意気で」
不意に再び、少女の声が部屋に響く。
少女は持って来た水差しを部屋のテーブルに音を立てて置くと、男の方をきっと睨んだ。
「俺の名はノイマン。あいつはリベット」
そんな少女を無視して、男が自己紹介をする。
「あ、トゥエと言います」
それにつられて、トゥエも自分の名を名乗った。
「妹を助けてくれてありがとう」
「あ、いえ……」
「全く、バカよね」
トゥエとノイマンの会話を再び遮ったのは、またまた少女。
「自分も怪我してるのに。お人好し」
少女リベットの侮蔑に近い言葉に、少し凹む。自分でも、あの時リベットを助けようとしたことは無謀だったと思っているのだ。
「そう言えば」
再び、ノイマンが口を開く。その口から出てきた言葉は、驚くべきものだった。
「『御館様』が、事件にえらく興味持ってさ。夜になったら連れて来いってさ、リベット」
「えー! 私がー!」
ノイマンの言葉に、リベットの言葉がワントーン上がる。
「何で?」
「昼間の事件の顛末も訊きたいそうだ」
「えー! やだぁー!」
だが。渋るリベットの大声も、今のトゥエには遠く聞こえた。
「え……」
『御館様』とは誰だ? ……まさか! トゥエの推論は、次の男の言葉によって正しいと証明された。
「外じゃ『魔皇帝』なんて言われてるけど、故郷を無くした俺達を拾ってくれた優しいお方だぜ」
ノイマンは心底魔皇帝を尊敬しているらしい。その声には力と信頼感が確かに、あった。
「おまえ、故郷も職もないんだろ? うまくいけば雇ってもらえるぜ」
その言葉に、トゥエの心は正直揺れた。
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