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しおりを挟むside 縞
春菊を散らしてうどんを入れて〆まで楽しみ、デザートにプリンを楽しんだ。
「そうだ、僕、縞さんとの縁をここで終わらせたくなくて、やっぱり連絡を取り合いたいって思ってこれ、持ってきたんです。」
緊張した面持ちで何かの箱を差し出してきた。
そっとその箱を開けると中にはホワイトの携帯が入っていた。
俺が会社から支給されているパカパカ開くやつじゃなくて、全部が画面になっていて折りたたむこともできない。
「月々のお金がかからないようにしてあるし、基本的な設定もしてあります。
自由に調べ物とかしていいのでぜひ受け取ってください。」
「え、でも携帯って高いんじゃ……。
ご両親のお金で買ったの?」
ご両親が頑張って稼いだお金を知らない他人の俺に使っちゃダメだ。
「きちんと僕が稼いだお金で買ったものですしそれに知り合いが使わないって言ったものなので!
大学1年のとき幼馴染と会社を立ち上げたんですよ。
まぁ、軌道に乗ったのを確認してすぐ抜けたんですけれど、たまに手伝っているから収入はあるし、他にも色々しているんです。」
すごい大学生だな……。
大学生ってそんなものなの?
結局すき焼きを作ってと言われたときみたく流されてもらってしまった。
「縞さん、自由に使っていいんですけれど、連絡先は僕だけにしてくれませんか?
詐欺とかの電話きたら怖いでしょう?」
仕事先の連絡は仕事用の携帯があるし、友人がいるわけでもないからなんの支障もない。
「構わないけれど……でも本当にもらってしまっていいの?」
「はい!僕と連絡をとってくれたら嬉しいので!」
「……ありがとうね。」
お礼を言うと彼はまた屈託なく笑った。
それから青砥くんに携帯の操作の仕方を教えてもらって、雑談をしながら食べた食器を青砥くんが洗って、俺が洗ったそばから食器を拭いていく。
雑談してわかったことだけれど、青砥くんは俺より7歳年下で…………αだった。
俺の中のαは唯一付き合ったことのあるあの人でイメージが固まっているから律儀に手伝ってくれる青砥くんは俺の中のαとはかけ離れていて混乱してしまう。
俺を捨てた運命だって俺を蔑むように見ていた。
俺に優しい甲斐さんや翔さんだって俺を憐れむような目で見てくることがある。
まぁ運命に捨てられたことを知っているからだろう。
だけど目の前の彼はただただ俺に屈託のない笑顔を見せてくる。
それは俺をβだと思っているから。
それは俺を知らないから。
俺を知ったら彼もきっと完全なαになるのだろう。
期待をしない。
欲しがらない。
見切りをつける。
心が粉々に砕けて、そこらへんの廃材を集めてまた創り上げたこの心に入っているのはこのみっつだけ。
あとはただ日常という時の流れに逆らわずにいればいい。
彼が俺をΩだと知らない不完全なαのうちに俺は俺を隠さなきゃ。
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