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main story
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しおりを挟むside 京弥
コンコン……
「縞さん、入るよ。」
縞さんが壊れてしまってから半年、2人だけの世界で過ごす。
ひと時だけ縞さんがこちらの世界へ戻ってきたときに愛の言葉という甘い毒をじわじわとゆっくり流し込んだ。
目を閉じて眠る縞さんの瞼を撫で、この半年でだいぶ伸びた髪を梳く。
「ん……。」
「おはよう、おかえり。
今日も綺麗だね、縞さん。」
瞼がまるで縞さんの瞳を隠したいというようになかなか動いてくれなさそうだった。
縞さんは面倒そうに目を開け視線を彷徨わせる。
そして僕と目を合わせた瞬間獲物をロックオンしたような狙う者の目になる。
……来た、待ち望んだときが。
さぁ、僕を求めて。
「あお、とくん……ぼくを、もらって……。」
定期的に水を飲んでいたとはいえ、少し苦しそうにか細く言葉を紡いだ縞さん。
「もちろん。
縞さんのすべてをもらって、僕のすべてをあげるよ。」
僕はそれよりも歓喜に胸を高鳴らせて縞さんを抱きしめた。
待っていたよ、縞さん。
自ら僕を求めてくれるのを。
うっとりと笑みが零れ……
グイッ
……?
「っ……縞さん、痛いよ?」
抱き込んだと同時に縞さんにすごい力で僕は髪の毛を後ろに引っ張られた…
予期せぬ事態に思わず顔を歪めて縞さんの顔を見たときゾクゾクと言い表せない狂喜が這い上がる。
以前の縞さんは優しさの中に哀愁を織り交ぜた雰囲気を纏っていた。
今目の前にいる彼はどうだ。
一見前と同じように優しさと色気を醸し出す哀愁さで覆い隠しているがその中は狂気という仄暗さが支配していた。
「京弥、俺以外に気持ちを向けないで。
ずっと俺を見ていて。
運命なんかに心を奪われたときには……絶対に許さないから。」
縞さん、貴方を少し侮っていた。
これは満点どころじゃないね。
「僕は縞さんだけを見ているよ。」
ねぇ、縞さん。
なんで僕が縞さんがシェリーがすきだって知っていたと思う?
なんで入院なんてさせないでこの部屋で誰にも会わせずにしていると思う?
なんでもう僕の運命はいないことを伝えていないと思う?
それはね?
縞さんのすべてを見ていたから。
いや、見ているから。
宝物は宝箱に大事にしまっておかないとね?
運命のことを知らせなければいずれくるかも知れない運命に怯えて縞さんは僕をずっと縛り続けてくれるでしょう?
この真実にあなたは気づくのかな?
玉響の純愛から久遠の狂愛へ
ようこそ、僕の運命。
玉響から久遠へ END.
→next episode……?
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