灰かぶり姫と月の魔法使い

星 佑紀

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第参譚

0028:最後の審判

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 【side ツクヨミ】



『これより、アデル皇国伝統のを執り行う――っ! エリック・クラウド、前へ。』


「――――はい。(微笑)」



 みんなー、状況に全く追いつけていないツクヨミだよー! …………お師匠様が、謎の魔法を発動した途端、不思議な濃霧が現れて、第零魔法省ナターシャ内はまるで真っ白なカーテンに包まれ、そして、上部から甲高い女性の声が響き渡っているところなのだ! お師匠様に質問したいのだけれど、何故か僕はお師匠様から口を塞がれており、全身をホールドされている! いつも思うけど、お師匠様は、口下手なコミュ障なのではないのだろうか?(汗)



『エリック・クラウド。…………第三魔法省に入省後、数々の功績を収め、第二魔法省をすっ飛ばして第一魔法省イリアルテへと異動する。そこで、平の魔法使いから上級魔法使いへと昇格後、トルネード王国第一王子マーズ・サイフォンを大火事の中から救出したことで上司からの推薦状を獲得し、第零魔法省ナターシャへと異動。監察魔法使いとして、魔法省全体の検閲を取り仕切る。……昨年、全魔法省総選挙に立候補後、百を超える立候補者の中から選ばれて、最高管理職に就任。…………経歴は、これでよいか?』


「間違いありません。(微笑)」


『………………これがであるのだな? もう一度聞くが、誓えるな?(念を押す)』


「はい、真実であることを誓います。(自信満々)」


『よかろう。……では、ナターシャの見たおもてに現す。』



 ドドドドーーン‼



 またまた大きな地響きが鳴り響き、第零魔法省ナターシャ内が大きく揺れる!

 そして、深くて視界を遮っていた濃霧が一瞬で消えてしまったのだった‼


『エリック・クラウド…………これが、お前の本性だ。』


「――――っ‼」



 目の前には、驚きで顔を歪めるエリック元帥と、巨大な鏡(?)が置かれていて、その鏡の中で、何かが動いてる⁉

 僕は鏡の中を覗こうとしたけれど、お師匠様に阻止されて、全貌を把握することはできない。ただ、さっきまで余裕綽々だったエリック元帥は、次第に狼狽えて激しく取り乱している。(どうしてなのかな?)



『……マテリア帝国で出生、五歳でトルネード王国魔術兵部隊に売られ、スパイ教育を受ける。十七歳、として魔法学校に入学、二十歳に卒業後、魔法省に入省。……上官の記憶を操作して第一魔法省イリアルテへと異動後、教育係の上官達を自殺に見せかけて殺害しまくり、自動的に上級魔法使いへと昇格する。その後、トルネード王国第一王子を離宮独房に幽閉、マーキュリーの大火を離宮へと延焼させて、マーズ・サイフォンの暗殺を謀る。マーキュリーには、嘘の予知夢を流し込み、将来有望な若者達の縁を断ち切った。そして、嘘の報告書を提出し、第零魔法省ナターシャへ異動後、主要魔法使いを次々に殺害。元帥の総選挙も裏で不正を行い、異議を唱える者達を辺境の地へと追いやった。……まだあるな。賓客であるルナ・ロックの滞在中、第一魔法省イリアルテ内に、刃物を所持した危険人物三名を招き入れ、省内の盗聴・盗撮を指示し、同時にルナ・ロックの身を危険に晒した。…………これが、ナターシャが見てきたである。』



「そんなバカな。…………ちゃんとデータを改竄していたはずなのに。(床に膝をつき頭を抱える)」


『我にお主らの常識は通用せん。……いくら第零魔法省ナターシャの設計データをいじくったとしても、我のが写したもの全ては消えることはない。…………残念だったな。』


「………………。(意気消沈)」


『では、判決を出す。…………エリック・クラウド、先ほど述べた事実からみて、お主のやったことは、アデル皇国に災いをもたらす火種となるであろう。よって、お主から元帥職と魔力及びアデル皇国の永住権を剥奪、と同じように、アデル皇国への入国を禁じ、強制追放の刑に処する。…………異論は誰からも認めない。』



 シュパパパパッ‼



 すると白い竜巻(?)が、エリック元帥の周りを取り囲んで、エリック元帥は上へ上へと登っていくではないか!



「おのれーっ! 穢れたのくせに! もうじきユエ様がお前ら全てを焼き滅ぼしてくれるわ‼(鬼の様な形相)」



 シュパパパパッ‼



 呪い言霊を叫んだエリック元帥は、白い竜巻(?)と共にどこかへと消えてしまうのであった。(びっくり)



『…………エド、これで良いのだな。』


「ああ、ありがとう。(大きい鏡に向かって)」


『ついでに侵入者三名も、記憶と盗聴・盗撮データを消した状態で、エリックと一緒に強制追放させたけど、異論は無いな?』


「ああ、それでいい。」


『よし、それじゃあ、大いに遊ぶわよー!』


「………………めんどくせぇから、ツクヨミ、後は任せた。(死んだ魚の目)」


「ええええええええ⁉ お師匠様、僕、展開についていけてないです! エリック元帥は何処に行ってしまわれたのですか⁉」


「………………月かな?(疑問)」


「つ、月ですか⁉」


『少年、世の中にはね、知らない方が良いこともあるのよー!』


「………………だとよ。(めんどくせぇ)」


「イヤでもですね、目の前で元帥クラスの人がいきなり追放(?)されたところを見てしまったら、気になって仕方がないですよ⁉」


『それもそうね。エド、簡単に説明してあげたら?』


「チッ、ダリィな。…………エリックアイツがやったことは国家を転覆させるに値することだ。だから、軽い処分で終わらせることはできない。」


「そうですね。」



 端で聞いていたけれど、エリック元帥のやったことがあまりにも重罪だと、馬鹿な僕でも理解できる。



「……しかし、アデル皇国ここでの法律上、はできない。」



『だから、ナターシャの出番なのだ!』


第零魔法省ナターシャは、アデルの最後の砦。魔力の源。……俺達の常識から逸脱した生命体のようなもの(?)だ。………………ナターシャの心はな、アデル皇国ここで起こった全ての出来事を見て覚えている。」


『少年、お主がエドの娘とイチャイチャしてるところも見ておったぞ!』


「――――っ‼(赤面)」


「(コイツ、後で絞めよう。)…………ちなみに、第一魔法省イリアルテも、第二、第三魔法省も同様に、を持っている。……………………魔法使いは、時に人を欺き、騙して、自分の有利になるように動くことがある。俺達は、が使えるが故、過ちを起こしやすい。歴史的にも、大勢の魔法省所属の魔法使い達が一般市民を殺戮し、皇族にも楯突いた事件が、後を立たない。…………だから、が必要なんだ。」


ナターシャが見てきた本当の事実を元に、暴走した魔法使いどもを見極め、貸していた魔力を没収し、国外に放りだせば、それ以上、魔法使い同士で争うことは無くなるからの!』


「……ツクヨミ、…………人間って、本当に生き物なんだ。一つで、国なんて簡単に滅ぶからな。(疲れた顔)」


「お師匠様――。(困り眉)」



 哀愁に満ちたお師匠様の表情は、どこか寂しさもはらんでいて、それ以上、僕は聞くことはできなかった。



――『』とは、アデル皇国をとして存続させるために、とても必要なものなのであった。――
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