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とある二人の死神見習いが、百鬼夜行の交通整理員になった話
0002:天(転)職しました‼︎(一旦完‼︎)
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ーーこはアデル皇国とトルネード王国の国境沿い。ーー
「ラム、……ひもじいね。(ラムと抱き合うレム)」
「うん、……ひもじくてとっても寒いよ。誰か優しい人間が助けてくれないかなー?(じーっと殿下を見つめるラム)」
『…………ねえ、僕の前で悲観に暮れないでくれる?』
ーーそうなのである。諸事情で死神見習いをクビになったレムとラムは、パトリック殿下の寝床に降りて来て、ワザと悲壮感たっぷりな雰囲気を醸し出しているのであった‼︎ーー
「だって、パトリック・サイフォンのせいで、死神見習いをクビになっちゃったんだよ⁉︎ これからどうやって生きていけばいいのさ?(号泣レム)」
「……あんぱんの代償が大きかった。(ウルウルラム)」
『……へえー、君達、死神クビになっちゃったんだ?』
「そうよ! 霊界に帰ろうと試みたけれど、結局大気圏を突破できなかったわ‼︎(強い口調の割に落ち込んでるレム)」
「僕達、今まで本物の死神になる為のことだけしか、してこなかったから、本当にこれからどうすればいいんだろう?(不安で死にそうなラム)」
『うん、……なんか、ごめんね。(空気を読む殿下)』
「責任取って、私達を養いなさいよ!」
『…………別にいいけど。(きょとん殿下)』
「「ーーーーっ‼︎(目をまん丸くする二人)」」
「ほ、ほんとに?(信じられないレム)」
「め、面倒みてくれるの?(不安げラム)」
『うん。……その代わり、僕、人づかい荒いから、よろしくね。(にんまり大魔王殿下)』
「「ーーーー‼︎」」
ーーかくして二人は殿下の傘下に入ったのであった‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーーここは、通称『百鬼夜行の大通り』ーー
「レムー、そっちに行ったよー‼︎(目を細めるラム)」
「ラジャー‼︎(鎌を構えるレム)」
ーーシュパパッとレムの鎌が煌めいた‼︎ーー
「おー、やってる、やってる。(紙袋を抱えてひょこっと出てきたパトリック殿下)」
「あっ、アニキーー‼︎(ちっちゃい妖怪を捕まえつつ、殿下に手を振るレム)」
「アニキ、今日の交通整理も順調だよ‼︎(殿下に駆け寄って、紙袋を持つラム)」
「うん、いいかんじだね。(二人に微笑む殿下)」
「(ちっちゃい妖怪に向かって)獣道に入り込むと、二度と仲間には会えなくなるんだから、はぐれちゃダメだよ。(正しい道にちっちゃい妖怪を解き放つレム)」
「キュイイーン‼︎(サンキュー、ねえちゃん‼︎)」
ーーちっちゃい妖怪は、仲間の元へ駆けて行った‼︎ーー
「……ここでの仕事はどうだい?(地面に座る殿下)」
「とっても快適よ! 妖怪さん達の楽しそうな練り歩きも見れるし、なんなら時々仲間に入れてもらえるし……。アニキ、私たちにこんな天職を与えてくれて本当にありがとう‼︎(殿下の右隣に座るレム)」
「楽しそうでなによりだね。……でも、迷子の妖怪さんを見つけたら、すぐに大きい道に戻してあげるんだよ。妖怪さんが暴れる根本的な原因は、寂しさからくるものだから。」
「ラジャー‼︎(満面の笑みなレム)」
「……死神の鎌が命を狩らずに誰かの為になるだなんて、思いもしなかった。ありがとう、アニキ。(殿下の左隣に座るラム)」
「道具は使いようだからね。この世にあるものは、全て表裏一体。……命を取る道具でも、ほんの少しアレンジすると、命を守る働きをするもんだよ。……これからも、交通整理、頑張ってね。(微笑み殿下)」
「ラジャー‼︎(尊敬の眼差しを殿下に向けるラム)」
「アニキ、……今日の報酬は?(ウズウズしてるレム)」
「そうだね、晩御飯にしようか。……今日は、クリームパンだよ。(ラムに持たせていた紙袋を受け取ってクリームパンを取り出す殿下)」
「「クリームパン‼︎(涎を垂らす二人)」」
「いつも売れ残りのパンでごめんね。(困り眉殿下)」
「アニキ、気にしないでよ! 私たち、アニキのお店のパンが、大好きなんだから‼︎(殿下からパンを受け取るレム)」
「むしろ、アニキのお店のパンが食べたいです。(殿下からパンを受け取って幸せそうなラム)」
「そうかな。それなら、僕も嬉しいけど……。」
「「いっただっきまーーす‼︎(パンにかぶりつく二人)」」
モグモグ、モグモグ……。(一心不乱の二人)
「……まあ、楽しそうだから、いっか。(微笑み殿下)」
「モグモグ、アニキ、……あんぱんもいいけど、クリームも捨てがたいね‼︎(さりげなくもう一個貰うレム)」
「モグモグ、……クリームパン、美味しい。(頬を赤らめながら、黙々と食べるラム)」
「……二人とも、ジャムパンもあるけど、食べる?」
「「食べるーー‼︎(口いっぱいにパンを頬張る二人)」」
「……(小声で)はやく大きくなって、立派な守り人になるんだよ。(優しい表情の殿下)」
「「……ほえ?(殿下の言葉を聞き取れなかった二人)」」
「いや、なんでもないよ。……ほら、おかわり沢山あるから、食べて食べて‼︎(二人にパンを渡す殿下)」
「「ラジャーー‼︎(両手にパンを持つ二人)」」
ーーとある大通りの夜は、賑やかしいのであった‼︎ーー
「ラム、……ひもじいね。(ラムと抱き合うレム)」
「うん、……ひもじくてとっても寒いよ。誰か優しい人間が助けてくれないかなー?(じーっと殿下を見つめるラム)」
『…………ねえ、僕の前で悲観に暮れないでくれる?』
ーーそうなのである。諸事情で死神見習いをクビになったレムとラムは、パトリック殿下の寝床に降りて来て、ワザと悲壮感たっぷりな雰囲気を醸し出しているのであった‼︎ーー
「だって、パトリック・サイフォンのせいで、死神見習いをクビになっちゃったんだよ⁉︎ これからどうやって生きていけばいいのさ?(号泣レム)」
「……あんぱんの代償が大きかった。(ウルウルラム)」
『……へえー、君達、死神クビになっちゃったんだ?』
「そうよ! 霊界に帰ろうと試みたけれど、結局大気圏を突破できなかったわ‼︎(強い口調の割に落ち込んでるレム)」
「僕達、今まで本物の死神になる為のことだけしか、してこなかったから、本当にこれからどうすればいいんだろう?(不安で死にそうなラム)」
『うん、……なんか、ごめんね。(空気を読む殿下)』
「責任取って、私達を養いなさいよ!」
『…………別にいいけど。(きょとん殿下)』
「「ーーーーっ‼︎(目をまん丸くする二人)」」
「ほ、ほんとに?(信じられないレム)」
「め、面倒みてくれるの?(不安げラム)」
『うん。……その代わり、僕、人づかい荒いから、よろしくね。(にんまり大魔王殿下)』
「「ーーーー‼︎」」
ーーかくして二人は殿下の傘下に入ったのであった‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーーここは、通称『百鬼夜行の大通り』ーー
「レムー、そっちに行ったよー‼︎(目を細めるラム)」
「ラジャー‼︎(鎌を構えるレム)」
ーーシュパパッとレムの鎌が煌めいた‼︎ーー
「おー、やってる、やってる。(紙袋を抱えてひょこっと出てきたパトリック殿下)」
「あっ、アニキーー‼︎(ちっちゃい妖怪を捕まえつつ、殿下に手を振るレム)」
「アニキ、今日の交通整理も順調だよ‼︎(殿下に駆け寄って、紙袋を持つラム)」
「うん、いいかんじだね。(二人に微笑む殿下)」
「(ちっちゃい妖怪に向かって)獣道に入り込むと、二度と仲間には会えなくなるんだから、はぐれちゃダメだよ。(正しい道にちっちゃい妖怪を解き放つレム)」
「キュイイーン‼︎(サンキュー、ねえちゃん‼︎)」
ーーちっちゃい妖怪は、仲間の元へ駆けて行った‼︎ーー
「……ここでの仕事はどうだい?(地面に座る殿下)」
「とっても快適よ! 妖怪さん達の楽しそうな練り歩きも見れるし、なんなら時々仲間に入れてもらえるし……。アニキ、私たちにこんな天職を与えてくれて本当にありがとう‼︎(殿下の右隣に座るレム)」
「楽しそうでなによりだね。……でも、迷子の妖怪さんを見つけたら、すぐに大きい道に戻してあげるんだよ。妖怪さんが暴れる根本的な原因は、寂しさからくるものだから。」
「ラジャー‼︎(満面の笑みなレム)」
「……死神の鎌が命を狩らずに誰かの為になるだなんて、思いもしなかった。ありがとう、アニキ。(殿下の左隣に座るラム)」
「道具は使いようだからね。この世にあるものは、全て表裏一体。……命を取る道具でも、ほんの少しアレンジすると、命を守る働きをするもんだよ。……これからも、交通整理、頑張ってね。(微笑み殿下)」
「ラジャー‼︎(尊敬の眼差しを殿下に向けるラム)」
「アニキ、……今日の報酬は?(ウズウズしてるレム)」
「そうだね、晩御飯にしようか。……今日は、クリームパンだよ。(ラムに持たせていた紙袋を受け取ってクリームパンを取り出す殿下)」
「「クリームパン‼︎(涎を垂らす二人)」」
「いつも売れ残りのパンでごめんね。(困り眉殿下)」
「アニキ、気にしないでよ! 私たち、アニキのお店のパンが、大好きなんだから‼︎(殿下からパンを受け取るレム)」
「むしろ、アニキのお店のパンが食べたいです。(殿下からパンを受け取って幸せそうなラム)」
「そうかな。それなら、僕も嬉しいけど……。」
「「いっただっきまーーす‼︎(パンにかぶりつく二人)」」
モグモグ、モグモグ……。(一心不乱の二人)
「……まあ、楽しそうだから、いっか。(微笑み殿下)」
「モグモグ、アニキ、……あんぱんもいいけど、クリームも捨てがたいね‼︎(さりげなくもう一個貰うレム)」
「モグモグ、……クリームパン、美味しい。(頬を赤らめながら、黙々と食べるラム)」
「……二人とも、ジャムパンもあるけど、食べる?」
「「食べるーー‼︎(口いっぱいにパンを頬張る二人)」」
「……(小声で)はやく大きくなって、立派な守り人になるんだよ。(優しい表情の殿下)」
「「……ほえ?(殿下の言葉を聞き取れなかった二人)」」
「いや、なんでもないよ。……ほら、おかわり沢山あるから、食べて食べて‼︎(二人にパンを渡す殿下)」
「「ラジャーー‼︎(両手にパンを持つ二人)」」
ーーとある大通りの夜は、賑やかしいのであった‼︎ーー
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