君は僕の大切なおもちゃ【R18】

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

文字の大きさ
11 / 12
最終章 唯一大事なおもちゃ

3-3 初めての誕生日

しおりを挟む
――ちゃぷん。

お湯が、揺れる。

気持ちよくてうとうとしかけ、慌てて悠生の手が支えてくれる。

……悠生にお風呂に入れてもらうのが好き。

一緒に入る、じゃなくて、入れてもらう。

いつもちょっとぼんやりになっている私を、悠生は甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。

そういうのが、凄く好き。

 
お風呂からあがると、今日はごはんを作ってくれた。

下拵えしてあるから、無駄にするともったいない、だそうだ。

悠生は料理しながら、私の前につまめるものを置いていく。

器用だな、っていつも思う。

私も料理はするけど、悠生みたいに凝ったものはできないし。
だから、一緒に料理するときはお手伝いに回っている。

「……それで。
僕にプレゼントってなに?」

ミラノ風カツレツにあとは……ごめん、うまく説明できない。
とにかく、いつもお皿はテーブルいっぱい、だ。

そんなに作る必要はないと思うんだけど、悠生は料理も趣味なのと、私が美味しそうにごはんを食べているのが嬉しいみたい。

「あー、うん。
いまさらだけど、誕生日まで秘密でいいかな?」

「わかった。
楽しみにしとく。
……だいたい推測はついてるがな」

……うん。
だろうね。
でも、秘密にしていたい。



悠生の誕生日。
ちょっとだけ、早く帰らせてもらった。

いや、早退したわけじゃないよ?
いつもは悠生の仕事が終わるまで待っているだけで。

待っているあいだはちなみに、ちゃんと勉強しています。

帰ると、時間指定にしていた宅配が届きだす。

お花と、ケーキと、お酒、その他。
料理は悩んだ結果、作ることにした。

レシピは調べてあるし、何度もあたまの中でシミュレーションしたので大丈夫……な、はず。


「悠生、誕生日おめでとう」

「年を取ったって、嬉しくもないがな」

イメージ通りにできた食卓。
嬉しそうな悠生の笑顔。
頑張った甲斐があったというものです。

「それで。
誕生日プレゼント、です」

「まあ、受け取ってやる」

おずおずと差し出した、包み。

悠生は開けると……みるみる顔を曇らせた。

「……君程度の人間が、買うようなものじゃないだろ」

「ち、違うの!
無理なんてぜんぜんしてないから!
いままでの感謝と、これからもよろしくお願いします、ってそういう気持ちだから!
……だから、受け取って欲しい」

「……わかった」

そっとふれた唇。
見上げると、眼鏡の奥の目が細くなってた。
笑い返すとまた唇がふれる。

「これからはこっちを使う」

もう家だというのに、早速悠生は腕時計をつけている。
しかも、子供みたいにそれで何度も何度も時間を確認して。
よかったな、プレゼントして。

「……そういえば、これ、なんだろね?
誕生日に開けてって言われてたけど」

利香たちに結婚祝いにもらって、開けずにおいた方の箱。
シルクのパジャマの方はもう、現在使用中だ。

「……」

「……」

ふたを開けて、ふたりとも無言になった。

いや、最初はレースが詰まっているのかと思ったよ?
そんなことはないと思いながらも。

けど、さ。

所々にピンクをあしらった、白いレースのベビードール。
やっぱり白とピンクのガーターベルトとストッキング。
ショーツにいたっては……レースの紐パン。

「……着てみるか」

「いや、無理!
無理だよ!!!」

「……おもちゃに拒否権は、ない」

ニヤリ、悠生の片頬があがる。


……そして。


「……いや、できない」

「できないじゃない。
やれって言ってるんだ」

涙目で懇願したって、悠生は許してくれないどころか、反対に喜ばせるだけ。

ベビードールは着たまま、ガーターベルトもストッキングもそのまま。

……そしてショーツは片方の紐を解かれて、途中で引っかかっている。

それだけでも恥ずかしくて堪らないのに、悠生は無理を言ってくる。

恥ずかしく恥ずかしくて、火を噴きそうな顔で、……ゆっくりと悠生の上に身を沈めた。

「動けよ」

「……むり……あっ」

下から突き上げられて、身体を捩る。

「……んっ、……やっ、……だめっ」

身をくねらすたびに、悠生がいつもより昂っているのがよくわかる。
悠生の口からも漏れる、熱い吐息。

「こういうのはやっぱり、下から愛でるに、限るな」

いつもよりも早く、高みに向かっていく。
勝手に動きだした私の身体に、悠生の吐息がさらに熱くなる。

「……あっ、はっ……いやっ」

「……はっ、……もぅ、さい、こう」

私がぽろぽろと涙をこぼし始めると、両手をぎゅっと握ってくれた。
そのまま一気に登り詰める。

「……あーあ。
またこんなに泣いて」

弾けた意識にぼんやりとなっている私の頬に、そっと悠生の手がふれて、涙を拭う。

「でもまだだ。
こんないやらしい沙也加に、止められるわけないだろ」

……窓の外が明るくなり始めたころ。

沈んでいく意識のなかで

「……子供、できてたらいいな」

そう言う悠生の声を聞いた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

ドS王子の意外な真相!?

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……その日私は。 見てしまったんです。 あの、ドS王子の課長の、意外な姿を……。

契約書は婚姻届

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「契約続行はお嬢さんと私の結婚が、条件です」 突然、降って湧いた結婚の話。 しかも、父親の工場と引き替えに。 「この条件がのめない場合は当初の予定通り、契約は打ち切りということで」 突きつけられる契約書という名の婚姻届。 父親の工場を救えるのは自分ひとり。 「わかりました。 あなたと結婚します」 はじまった契約結婚生活があまー……いはずがない!? 若園朋香、26歳 ごくごく普通の、町工場の社長の娘 × 押部尚一郎、36歳 日本屈指の医療グループ、オシベの御曹司 さらに 自分もグループ会社のひとつの社長 さらに ドイツ人ハーフの金髪碧眼銀縁眼鏡 そして 極度の溺愛体質?? ****** 表紙は瀬木尚史@相沢蒼依さん(Twitter@tonaoto4)から。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

再会した御曹司は 最愛の秘書を独占溺愛する

猫とろ
恋愛
あらすじ 青樹紗凪(あおきさな)二十五歳。大手美容院『akai』クリニックの秘書という仕事にやりがいを感じていたが、赤井社長から大人の関係を求められて紗凪は断る。 しかしあらぬ噂を立てられ『akai』を退社。 次の仕事を探すものの、うまく行かず悩む日々。 そんなとき。知り合いのお爺さんから秘書の仕事を紹介され、二つ返事で飛びつく紗凪。 その仕事場なんと大手老舗化粧品会社『キセイ堂』 しかもかつて紗凪の同級生で、罰ゲームで告白してきた黄瀬薫(きせかおる)がいた。 しかも黄瀬薫は若き社長になっており、その黄瀬社長の秘書に紗凪は再就職することになった。 お互いの過去は触れず、ビジネスライクに勤める紗凪だが、黄瀬社長は紗凪を忘れてないようで!?  社長×秘書×お仕事も頑張る✨ 溺愛じれじれ物語りです!

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

処理中です...