私の愛する悪い男【R18】

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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第2章 口止め料

3.続く関係

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「ん……あっ、時任……」

ぐちゅぐちゅと自分の身体の立てる音が、さらに朝香の身体の熱を上げる。

――あれから。
何度となく時任に抱かれた。

ホテルや朝香の部屋のときもあれば、会社のときもある。
時任の気分によって即、だ。
朝香も時任がやりやすいようにパンストをガーターベルトで止めるタイプに変え、下着も紐パンに変えた。

下着を選んでいる最中、うきうきしている自分に気づき、そんなんじゃないと慌てて否定したものだ。

「なあ。
明日の式、出席するんだろ」

「ああっ」

時任の言葉で心臓にぎりりと痛みが走る。
しかし、奥深くまで突き上げられてすぐに忘れさせられた。

「おまえが見てる前で花嫁に永遠の愛を誓う、これほどおもしろいことはないよな」

なにがおもしろいのか理解できない。
自分にとっては最悪の瞬間なのに。

「なあ、神山。
おもしろいって言えよ」

「あっ、やぁっ」

言えといわれても、背中の長テーブルがガタガタと音を立てるほど責め立てられ、まともな言葉が出ようはずもない。

なのに。

「言えって、神山。
なあ!」

珍しく執拗に言えと強要してくる時任が、どこか必死な気がするのは気のせいだろうか。

「とき、とう……?」

手を伸ばしてその頬にふれると、びくっと一瞬、時任の動きが止まった。

「どうか、した?
……あっ」

問いを許さないかのようにがつがつと最奥を撞かれ、疑問は消し飛んでいく。

「ん……ぁあっ、……イっ……!」

白い喉を仰け反らせ、果てる朝香と同時に時任も果てる。

いつものように後処理をして乱れた髪と服を整える時任に、朝香もまた髪を直して服を整えていく。

「あのさ、時任。
口止め料……」

「まだ払い終わってないだろ」

「……うん」

凍るほど冷たい眼差しに、それ以上はなにも言えなかった。

「昼食、社長に呼ばれてるから。
もう行く」

「……うん」

きゅっと緩んでいたネクタイを締め直し、時任は会議室を出ていった。

ひとりになって朝香の口からはぁーっ、深いため息が落ちる。

……もういいよって言うつもりだったんだけどな。

結婚する時任といつまでもこんな関係を続けていいわけがない。
朝香としてはいい想い出を作らせてもらったと、諦めようとしていた。

……時任からみて、この口止め料っていったいなんなんだろう。

きっと、一回だけで終わると思っていた。

しかし関係は何度も続き、時任はまだ払い終わってないという。

ただ単に、時任のストレスのはけ口になっている気がしないでもない。
今日は午前中から会議室に引きずり込まれ、何事かと思った。
けれど昼食は社長に呼ばれていると聞くと、合点がいく。
義父との食事が嫌で、不満を朝香にぶつけたというところだろう。

まあ、明日妻になる女とは別の女を抱いた後に、平気で義父に会える時任の神経は疑うが。

……でも、明日は結婚式だから。

ずるずると関係を続け、今日も結局別れられなかったが、明日は絶対に終わらせようと朝香は固く誓った。
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