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第2章 甘やかされて巣ごもり

4.甘やかされていていいのかな

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玲さんの行動は早く、翌日の午前中には実家から荷物が運び込まれた。

「い、いままでと、一緒、だ……」

ベッドがないことを除けば、実家の部屋が再現されていた。
カーペットやカーテンでさえも。

「パソコンも、ゲームも、携帯も、ある……!」

うきうきと椅子に座り、パソコンのスイッチを入れた。
これでいままでどおりのひきこもり生活ができる!
けれど嬉しいはずなのに、なぜか心の隅っこがもやっとするのはなんでだろう?

「ううん。
ゲーム、しよ」

ネトゲを立ち上げ、ひさしぶりにログインする。
そのままなにも考えずに、ゲームの世界にのめり込んでいった。

「あーや」

すぽっとヘッドホンを取られ、その先を視線が追う。
見上げた先には玲さんの顔が見えた。

「ただいま」

「お、おかえりな、さい」

上を向いたまま、玲さんと目があう。
顔が近づいてきて、ちゅっと額に口付けを落とされた。

「えっ、ひゃっ!?」

バランスが崩れ、椅子がゆっくりと後ろに倒れだす。

「あぶなっ」

玲さんの手が差し出され、椅子を支えた。
元に戻して椅子を回転させ、自分の方へ向かせる。

「ただいま、あーや。
せっかくのめり込んでるからゲームを続けさせてあげたいけど、ランチを食べてないだろ。
ディナーは食べた方がいい」

「あ、うん。
そう、ですね」

子供のように脇の下に手を入れて立たされた。
手を引かれて食堂へ移動する。
パソコンのスイッチを入れてからずっとゲームをしていたが、玲さんは今日のお昼はどうしたのだろう。

今日の夕食は中華だった。

「そ、その。
玲、……さん」

「ん?」

眼鏡の下で目尻を下げ、少しだけ玲さんの首が傾く。

「も、もしかしてお昼、声をかけて、くれたの、ですか」

昨日はわざわざ、帰ってきて私と一緒に昼食を取った。
今日もそのつもりだったのかもしれない。

「んー?
あーやはゲームに集中していたからな。
邪魔をするのは悪いし、声をかけなかったが」

「……」

つい、箸を置いていた。
どうしてそこまでこの人は私を甘やかせるのだろう。
そうやって放置してくれるのは都合がいいが、私はそれに甘えていていいのかな。

「僕はあーやには、あーやが好きなように生活してほしい。
そのためだったらなんだってする」

いいのかな、本当にそれで。
父は従業員のことを真剣に考えた結果、私に悪いとわかっていながら玲さんとの見合いを押した。
私がゲームに逃げていたから、姉は好きな人ができたのに私に相談できなかった。
私は本当に、このままでいいのかな……。
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