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第3章 祖父VS三橋さん
1.2度目の訪問
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三橋さん突然の訪問の五日後、私は金沢駅で改札の向こうを睨んでいた。
「あ……」
それでなくても普通の人よりあたまひとつ背が高いうえに、着物姿の三橋さんはよく目立つ。
「鹿乃子さん……!」
しかしながらこっちだと手を上げるよりも早くあちらが私を見つけ、凄いスピードでやってくる。
「会いたかった……!」
「え……」
思いっきり抱きつかれたおかげで足が……宙に浮いた。
「えっ、ちょっ、降ろしてください!」
「あ、すみません……。
つい、嬉しくて」
足が地面に着き、そろそろと彼から離れる。
「おひさしぶりです、鹿乃子さん。
相変わらず可愛いですね」
促すようにさりげなく私の背中に回された手には、大量の紙袋類が握られていた。
そして、反対の手にも。
「あのー、その荷物は?」
「ああ。
前回、土産も持たずに来てしまいましたからね。
今回はちゃんと用意してきました」
「はぁ……」
三橋さんはドヤ顔だが、いったい幾つ買ったんだろう?
ざっと数えただけで下げられた紙袋類は六つはあった。
駐車場で、今日も母から借りた軽自動車に乗る。
「その荷物だといったん、家に寄った方がいいですよね?
不動産屋さんの時間にもまだありますし」
「お願いできますか」
「はい」
三橋さんがシートベルトを締めたのを確認し、車を出す。
今日の三橋さんはほぼ前回と同じ格好だけど、ダークブラウンの着物に黒のTシャツになっていた。
「今日の鹿乃子さんも可愛いですね。
その着物、よく似合っています」
「……ありがとうございます」
さらっと褒められ、頬が熱くなる。
今日は手芸店で買った洋尺の生地を、ミシンで縫った黒チェックの着物だ。
祖母からはそんな雑な縫い方を……って呆れられたけど、普段着だからこれでいいと私は思う。
猫柄の帯も自分で染めた。
ちなみに足下は車を運転するので、ぺったんの合皮の靴だ。
「ただいまー。
三橋さん、連れてきたよー」
「なんだと!?」
声をかけると同時に、奥から祖父が飛び出てきた。
「おひさしぶりです、おじい様」
「てめぇにおじい様とか言われるいわれはねぇ!
けぇれ、けぇれ!」
ぐいっ、と私を抱き寄せて三橋さんから離し、しっし、と祖父が手を振る。
もうそれに、苦笑いしかできない。
「いいんで、かまわずにあがっちゃってください」
「いいんですか?」
「はい」
空いた隙間からそろりと三橋さんが家に上がる。
そのあいだずっと祖父は睨んでいて、三橋さんは困惑気味に笑っていた。
「おはようございます、朝早くからすみません」
「おはようございます」
台所ではちょうど、朝食の済んだ父と母が慌てて片付けをしていた。
「すぐにお茶を淹れますので、座っていてください」
茶の間の座布団を勧め、冷蔵庫を開ける。
作り置きの麦茶をグラスに注ぎ、三橋さんの前へ置いた。
「ありがとうございます」
帽子を置き、笑った彼から白い歯が覗く。
相変わらず、爽やかだ。
父と母が微妙な距離を取って茶の間に座る。
祖父は自分の特等席である、籐の椅子に座って三橋さんの一挙手一投足を観察していた。
「ばあちゃんは?」
「山田さんとおしゃべり中」
「ああ」
山田さん、とはお隣さんのことだ。
きっと塀越しに話していて盛り上がり、お宅にお邪魔しているのだろう。
「あ……」
それでなくても普通の人よりあたまひとつ背が高いうえに、着物姿の三橋さんはよく目立つ。
「鹿乃子さん……!」
しかしながらこっちだと手を上げるよりも早くあちらが私を見つけ、凄いスピードでやってくる。
「会いたかった……!」
「え……」
思いっきり抱きつかれたおかげで足が……宙に浮いた。
「えっ、ちょっ、降ろしてください!」
「あ、すみません……。
つい、嬉しくて」
足が地面に着き、そろそろと彼から離れる。
「おひさしぶりです、鹿乃子さん。
相変わらず可愛いですね」
促すようにさりげなく私の背中に回された手には、大量の紙袋類が握られていた。
そして、反対の手にも。
「あのー、その荷物は?」
「ああ。
前回、土産も持たずに来てしまいましたからね。
今回はちゃんと用意してきました」
「はぁ……」
三橋さんはドヤ顔だが、いったい幾つ買ったんだろう?
ざっと数えただけで下げられた紙袋類は六つはあった。
駐車場で、今日も母から借りた軽自動車に乗る。
「その荷物だといったん、家に寄った方がいいですよね?
不動産屋さんの時間にもまだありますし」
「お願いできますか」
「はい」
三橋さんがシートベルトを締めたのを確認し、車を出す。
今日の三橋さんはほぼ前回と同じ格好だけど、ダークブラウンの着物に黒のTシャツになっていた。
「今日の鹿乃子さんも可愛いですね。
その着物、よく似合っています」
「……ありがとうございます」
さらっと褒められ、頬が熱くなる。
今日は手芸店で買った洋尺の生地を、ミシンで縫った黒チェックの着物だ。
祖母からはそんな雑な縫い方を……って呆れられたけど、普段着だからこれでいいと私は思う。
猫柄の帯も自分で染めた。
ちなみに足下は車を運転するので、ぺったんの合皮の靴だ。
「ただいまー。
三橋さん、連れてきたよー」
「なんだと!?」
声をかけると同時に、奥から祖父が飛び出てきた。
「おひさしぶりです、おじい様」
「てめぇにおじい様とか言われるいわれはねぇ!
けぇれ、けぇれ!」
ぐいっ、と私を抱き寄せて三橋さんから離し、しっし、と祖父が手を振る。
もうそれに、苦笑いしかできない。
「いいんで、かまわずにあがっちゃってください」
「いいんですか?」
「はい」
空いた隙間からそろりと三橋さんが家に上がる。
そのあいだずっと祖父は睨んでいて、三橋さんは困惑気味に笑っていた。
「おはようございます、朝早くからすみません」
「おはようございます」
台所ではちょうど、朝食の済んだ父と母が慌てて片付けをしていた。
「すぐにお茶を淹れますので、座っていてください」
茶の間の座布団を勧め、冷蔵庫を開ける。
作り置きの麦茶をグラスに注ぎ、三橋さんの前へ置いた。
「ありがとうございます」
帽子を置き、笑った彼から白い歯が覗く。
相変わらず、爽やかだ。
父と母が微妙な距離を取って茶の間に座る。
祖父は自分の特等席である、籐の椅子に座って三橋さんの一挙手一投足を観察していた。
「ばあちゃんは?」
「山田さんとおしゃべり中」
「ああ」
山田さん、とはお隣さんのことだ。
きっと塀越しに話していて盛り上がり、お宅にお邪魔しているのだろう。
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