天才魔導師と秀才魔法剣士を(いろんな意味で)癒すのがお仕事です

うづきなな

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カイの姉 1

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 昨日テハノが王都に出現したので、カイとシエルにはしばらく王都に留まってほしいと記された書状を王宮の使者が昼前にアジトへ持ってきた。身だしなみを整えきれていなかったシエルが玄関で受け取る。
「しばらく王都から動くなって、王宮からの依頼。どうする?」
 手紙を読んだシエルが寝室に戻ってカイに問いかけた。日当はカイとシエルを雇った場合の適正価格が支払われるらしい。提示された金額に、シエルとしては文句はなかった。
「ゼリンダをおばあに鍛えてもらう間、一緒にいられるから好都合」
 カイは飼い猫を撫でるように、ベッドで動けなくなっているゼリンダの髪を撫でていた。とても優しい眼差しで恋人を見つめているが、全身にふたりからのキスマークを刻まれたゼリンダは少し拗ねている。理由はもちろん、カイとシエルのせいだ。
 昨夜、風呂に入る前に三人でが、ふたりの美しい獣の欲望はそれでは満たしきれなかった。バスルームでカイとシエルは息の合ったところを存分に発揮してゼリンダを喘がせまくった。さらに寝室で抱きつぶした。
 そして今朝、抱きつぶされたせいでアンニュイな表情で目覚めた一糸纏わぬゼリンダにカイとシエルがまた欲情した。ふたりは寝起きから彼女の最奥で射精して、すっきりつやつやしている。昨晩あれだけ精液をゼリンダへ注いだのに、一晩寝ただけでこれほど回復しているのはゼリンダのせいだと思っている。ゼリンダとの交わりは魔法石の浄化だけではなく、精力増強の作用もあるのではないかとシエルは疑っている。
「ばかぁ……」
 少し掠れた声でゼリンダが珍しく悪態をつく。声帯が弱っているのはさんざん喘がされたせいだ。
 カイとシエルの亀頭に子宮口へのキスをされすぎて、下腹部がじんじん痛くてだる重い。まだほんのりオーガズムの余韻が脳に残っている感じがする。
「カイとシエルのばか。えっち」
「でもえっちな男が好きなんだろ?」
 いたずらっぽく微笑んで意地の悪いことを言うカイに、ゼリンダは唇をとがらせる。
「カイとシエルだから好きなんだもん」
 照れて伏し目がちになって頬を染めるゼリンダはカイとシエルの大好物だった。
「そうやってかわいい顔でかわいいことを言うから、俺たちに襲われるんだよ?」
 色っぽい微笑を形の良い唇に浮かべて、シエルはゼリンダの頬を撫でる。
「今はもう、痛くてむりぃ……」
「今じゃなければ良いの?」
 シエルの指摘にどきりとして、ゼリンダはシーツに顔を隠す。ゼリンダが耳まで真っ赤になっていることにシエルは気づいてゆったりと微笑んだ。シエルの表情に気づかないゼリンダは顔を埋めたまま、こくんと小さくうなずいた。
「本当にかわいいね」
 ゼリンダの髪の香りで肺を満たしながらキスをする。同じシャンプーなのに香りが違う気がして、シエルはふと気づいた。
「気づかなくてごめん。俺たちと同じものを使わせちゃってたけど、ゼリンダのお気に入りのシャンプーってあるよね?」
「そんなにこだわりないから、大丈夫だよ」
 蜂蜜のようなとろりとした甘やかな笑顔を見せるゼリンダに、シエルは胸を高鳴らせる。
 他愛のない会話をしていると、コツコツ窓ガラスを何かがつつく音がした。ゼリンダは顔を上げてそちらを見る。赤と緑の美しい小鳥が窓辺にいた。
 実家からの連絡だと悟ったカイが歩み寄って窓を開けると、小鳥の片足に手紙が巻かれていた。カイが丁寧に解いてやると、役目を終えた小鳥はすぐに飛び立っていく。開くとやはり、ローズブレイド家特製の便箋だった。実家がカイに何の用があるのか皆目見当のつかないカイは無言で手紙に視線を落とす。
「姉が来るらしい」
「え?」
 まだ気だるさに身を任せていたゼリンダだが、一気に目が覚めた。
「使用人から、俺とシエルがゼリンダといたのを昨日見かけたって話を聞いて、会いたいってもうこちらに向かってるらしい。兄から」
 カイの姉らしいと、面識のあるシエルは苦笑いを浮かべる。ゼリンダは飛び起きて身支度を始めた。
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