祓い屋の家の娘はイケメンたちに愛されています

うづきなな

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3章

王子様の秘密 4

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「気付かれているとは思わなかったなぁ。さすがだね」

 笑顔でのんびりとそう言われて、私は拍子抜けしそうになったわ。

「真壁……さん?」
「あれ? みさきちゃんは僕のことを知ってるの?」
「あ、いえ……。初めまして」

 だけど、どう見ても透さんの血縁者。目元が特によく似ている。

「初めまして。ああ、透を知っているのかな? 良く目が似てるって言われるんだ」

 透さんはとても鋭い雰囲気だけど、彼はふんわりとした明るい空気を纏っていてとても人当たりが良
さそうだ。
    にっこりと笑って挨拶をしてくれた。

「母が君のお祖父さんの大ファンだから一方的に僕も知っていたんだけどね。だけど……そうか。君は眠り姫なんだね」

 ひとりでうんうんと納得している彼の言っていることの意味がわからない。私はぽかんとして彼を眺めた。

「オレは裕翔。おにーさんは?」
「ああ! ごめんね。名乗るのを忘れていて。僕ははるか。真壁遥だよ。透の兄だ。よろしく、みさきちゃん、裕翔くん」

 爽やかに遙さんは自己紹介してくれる。
    行方不明だと誠史郎さんは言っていたけれど、とても元気そう。それから透さんと違って関西弁で話さない。

「あいつはよろしくしたくないみたいだけど?」

 こちらに来ようとしない遥さんの連れを裕翔くんは見る。

「悪いね。シキは人見知りで」
「吸血種だよね、あいつ」

「そうだよ。悩み多き青年なものでね」
「この結界は遥さんが……?」

 私の質問に遥さんは無言で曖昧に微笑んだ。

   これは彼の仕業だと確信する。遥さんはすごい術者だ。
   だけど、どうして吸血種と行動しているのだろう。血を吸われたりしないのかしら。

「遥」

 少し苛ついた声音でシキさんが呼ぶ。若い男性の声だった。

「ごめんね。そろそろ行かないと」

 遥さんは申し訳ないという気持ちがとても伝わってくる苦笑を浮かべた。

「またいつか」

 笑顔でひらひらと手を振って踵を返す。そしてシキさんとふたりで去って行き、結界も解かれた。

 私と裕翔くんは顔を見合わせる。

「……帰ろっか」

 彼の言葉に私はこくりと頷いた。


「ただいまー」

 裕翔くんの声が玄関に響くと、淳くんが出迎えに来てくれた。

「お帰り」
「ヒスイに会ったよ」

 靴を脱ぎながらさらりと裕翔くんが言うので、淳くんはそれを優しい笑顔で聞いていて、ややあってから琥珀色の瞳を大きく見開いた。

「……え!?」
「あと、遥にも」
「ちょっ、ちょっと待って裕翔。話が見えない……」

 珍しく淳くんが狼狽えている。

「うーんとね、ヒスイがオレ達と戦おうとしたんだけど仲間が連れて帰って、遥が出てきた」
「遥って、誰だい? だけど仲間が翡翠を連れ戻すって……」
「透さんのお兄さんです。すごい術者みたいなんですけど、シキさんっていう吸血種と一緒にいて」
 淳くんは眩暈を感じたように額のあたりを押さえたわ。

「とにかく、みさきと裕翔は無事だったんだね?」
「うん。オレはヒスイと戦ってみたかったんだけどなー」
 裕翔くんが好戦的な微笑みを唇の端に浮かべた。
「コハクを返せって言われたよ。淳ってコハクだったの?」
 裕翔くんは悪気なくズバズバ言ってしまうので、横で聞いている私の方がハラハラしてしまうわ。
「……琥珀はもういないよ」
 淳くんの琥珀色の瞳に真っ直ぐな強い光が灯る。
「何そんなとこで話してんだ?」
 リビングにいた眞澄くんもこちらに顔を出したの。
「翡翠が現れたみたい。誠史郎に連絡するよ。誠史郎もひとりでは危ないかもしれないから」
 いつもの穏やかな淳くんに戻ってリビングへ入って行く。私たちもそれに続いた。


 誠史郎さんを眞澄くんと裕翔くんで途中まで迎えに行って、3人で帰ってきたわ。翡翠くんには仲間もいたので、暗い時間はできるだけひとりにはならないようにみんな気を付けようと言うことになったの。
 みんなでリビングに集まって、それぞれソファーや床に座ったわ。
 私と裕翔くんで、透さんのお兄さんに会ったことを話したの。
「……なるほど。それは真壁さんとの交渉に使えるかもしれませんね」
「交渉?」
「こちらの知らぬ間に三つ巴の状態になっているようですし、翡翠に手を引いてもらうために戦力は少しでも多い方が良いです。もっとも、真壁さんがお兄さんの状況を知っていたり、探していなければ交渉材料にはならないのですが」

 確かに行方不明というのは誇張されて伝わっただけで、実はお家を出て暮らしているだけだったら探していないかもしれない。だけど、術者が吸血鬼と共に行動しているというのは通常ではなかなかあり得ない事態よ。どんな事情があるのかしら。
「みさきさん、真壁さんに連絡をお願いします」
「は、はい」
 どう伝えれば良いのか悩みながら携帯電話を握りしめて画面を眺める。責任重大な気がするわ。
 何も思いつかなくてテーブルに突っ伏して唸っていると、淳くんがぽんぽんと私の頭を撫でてくれた。
「一緒に考えよう」
 淳くんの言葉に安心して自然に頬が緩む。
「ありがとう」

「眷属でない吸血鬼と人間が共に行動できるものなんでしょうかね?」
 誠史郎さんは顎の辺りに手をやって考えている。
「まあ、普通は無理だよな」
「シキは悩み多き青年なんだって。後ね、遥はみさきのこと眠り姫なんだねって言ってた」
 裕翔くんの発言で、そう言えば私はそんなことを言われたと思い出したわ。
「眠り姫……?」
 眞澄くんが首を傾げた。
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