祓い屋の家の娘はイケメンたちに愛されています

うづきなな

文字の大きさ
21 / 145
3章

王子様の秘密 5

しおりを挟む
 遥さんに会ったことを透さんにメールで伝えると、探しているともいないとも言わなかったけれど今からうちに来て話を聞いてくれると、すぐに返事をくれた。

この話に興味はあるみたいだ。うちの住所をメールで送信する。

「今からって……急だな」
「やっぱり心配だったんじゃないかな」
「お茶でも飲みながらお待ちしましょう」

 そんな会話をしているうちに40分ほど経ち、インターホンが鳴った。

モニターには透さんが映っていたから、玄関まで私が迎えに出る。

「お呼び立てして申し訳ありません」
「こっちこそ、いきなり押しかけてすまんな」

 いつもの飄々とした透さんだった。彼は薄い微笑を浮かべて片手を挙げた。

「初めまして」

 いつの間にか私の背後に誠史郎さんが立っていた。微笑んでいるのだけど目が笑っていないように見えてしまう。

「こちらこそ」
「西山誠史郎と申します。以後お見知り置きを」

 そう言って誠史郎さんは長い指で眼鏡の位置を直した。

「真壁透です。よろしゅう」

 何だか不穏な空気が立ち込めているように感じる。ふたりの間でおろおろしていると淳くんが来てくれた。それだけで周囲が穏やかになって、私も息ができる。

「どうぞ、中にお入りください」
「どーも。お邪魔します」

 みんなでリビングへ移動して、私がキッチンで飲み物の用意をしていると眞澄くんが手伝いに来てくれた。
  ちょっと疲れたような顔をしている。

「どうかしたの?」
「いきなり誠史郎とあいつの腹の探り合いが凄くてさ……。淳も裕翔もあの中でニコニコしてられるのがすげーよ」

 早々にこちらへ来ていて良かったと思ったもに、すぐにお茶の準備はできてしまった。

眞澄くんが運んで、テーブルを囲むようにソファーに座っているみんなに配ってくれた。

「みさきちゃん、遥に会ったんやて?」
「あ、はい」

 私が素直に返答したせいか、すぐに誠史郎さんが割って入った。

「そのお話をする前に、折り入ってお願いがあります。しばらく貴方の力をお借りしたい」
「何で?」

「みさきさんを守るためです。貴方と同じく、私たちのような眷属の存在を快く思っていない吸血種に狙われています」

「別に俺は眷属のコト悪やなんて思ってないで。能力持ちでもなかなか真堂さんとこみたいに何人も囲ってるのは滅多におらんからちょっと興味あったんや。普通は一生にひとり出会えるかどうかやからな。俺は吸血鬼に血ィ吸われるん嫌やから眷属は作らんけど」

 私は透さんが『白』の血を持っていると聞き、お祖父ちゃん以外の『白』の血を持つ人に初めて会ったと少し感動してしまった。

「みさきちゃんは忙しいなあ。インキュバスに狙われ、今度は吸血鬼。みさきちゃんのお祖父ちゃんがあんたら遺したんは、ホンマのところは他の退魔士とかからみさきちゃんを守るためなんやろうけど」

 私と裕翔くんはわけが解らなくてきょとんとして、眞澄くんと淳くん、誠史郎さんは何も答えない。

「同業者から守るってどういうこと?」

 裕翔くんの質問に口を開いてくれたのは透さんだった。私も知りたいと思って彼を見た。

「俺の勝手な推測やけどな」

 そう前置きしてからチラリと誠史郎さんを見る。

「続けていただいて結構ですよ」

 誠史郎さんの顔はにっこりと笑ったけれど雰囲気が笑っていない。
  透さんも真意を測りかねるのか、片頬だけで笑った。

「俺と遥も『白』の能力持ちやから、同業者からの縁談とかハニートラップが仰山あるんや。子供が絶対に能力者で産まれてくるとも限らんのにな。みさきちゃんには真堂周っていう稀代の術者のおじーちゃんがおった時は手ェ出されへんかったけど、『白』の血を可愛らしい女の子が持ってたらそれだけでいやらしいおっさんどもから狙われる。実際、悲惨な目に遭ってる子は表に出んだけでおるんや。相手にしてるんは吸血鬼だけやない。せやから少しでも手が欲しいっちゅうことでええんかな?」

「場合によっては、貴方のお兄さんと戦うこともありえますが」
「遥と?」

 にっこりと微笑んだままの誠史郎さんの言葉に透さんが怪訝な表情になる。

「吸血種と一緒にい……」

 裕翔くんの口を慌てて眞澄くんが手で塞いだときには遅かった。
  透さんは背もたれに身体を預けるようにして額を押さえる。

「あのアホ……。連絡もよこさんとフラフラしてると思ったら……」
「みさきと裕翔の話だと、人見知りの吸血種と一緒にいるらしいです」

 淳くんが困ったような微笑みを浮かべて言う。透さんは大きなため息をひとつ吐いて、私たちを見回した。

「……で、あんたらとおったら遥と会えるってことか」
「ついでに俺たちを狙ってる吸血種ともご対面だ」

 眞澄くんが皮肉っぽい笑みを見せると、透さんはこめかみの辺りに人差し指を当てた。

「遥が狙ってるんはその吸血鬼なんか?」
「多分ね。オレたち放って追いかけて行ったから」

「ちなみに、俺もここに住ませてもらえるの?」

 透さんが今日1番の良い笑顔になったわ。

「なっ……!」

「申し訳ありませんが、部屋に空きがありません。失礼ながら、真壁家ならこちらに別邸もお持ちなのでは?」
「毎日顔出すにはちょーっと遠いなー」

「嘘つけ!1時間かからずに来ただろ!お前みたいな危険人物……」
「それやったら交渉決裂かなー」

 透さんが意地悪な笑い方をする。

「僕の部屋に布団を敷くので良ければ構わないですよ」

 淳くんがいつもの優しい微笑みと口調でそう言うと、透さんの顔から毒気がみるみる抜けていった。

「……うん、ありがとう。気が向いたら泊まらせてもらうわ……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

男女比バグった世界で美女チート無双〜それでも私は冒険がしたい!〜

具なっしー
恋愛
日本で暮らしていた23歳喪女だった女の子が交通事故で死んで、神様にチートを貰い、獣人の世界に転生させられた!!気づいたらそこは森の中で体は15歳くらいの女の子だった!ステータスを開いてみるとなんと白鳥兎獣人という幻の種族で、白いふわふわのウサ耳と、神秘的な白鳥の羽が生えていた。そしてなんとなんと、そこは男女比が10:1の偏った世界で、一妻多夫が普通の世界!そんな世界で、せっかく転生したんだし、旅をする!と決意した主人公は絶世の美女で…だんだん彼女を囲う男達が増えていく話。 主人公は見た目に反してめちゃくちゃ強いand地球の知識があるのでチートしまくります。 みたいなはなし ※表紙はAIです

処理中です...