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3章
王子様の秘密 5
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遥さんに会ったことを透さんにメールで伝えると、探しているともいないとも言わなかったけれど今からうちに来て話を聞いてくれると、すぐに返事をくれた。
この話に興味はあるみたいだ。うちの住所をメールで送信する。
「今からって……急だな」
「やっぱり心配だったんじゃないかな」
「お茶でも飲みながらお待ちしましょう」
そんな会話をしているうちに40分ほど経ち、インターホンが鳴った。
モニターには透さんが映っていたから、玄関まで私が迎えに出る。
「お呼び立てして申し訳ありません」
「こっちこそ、いきなり押しかけてすまんな」
いつもの飄々とした透さんだった。彼は薄い微笑を浮かべて片手を挙げた。
「初めまして」
いつの間にか私の背後に誠史郎さんが立っていた。微笑んでいるのだけど目が笑っていないように見えてしまう。
「こちらこそ」
「西山誠史郎と申します。以後お見知り置きを」
そう言って誠史郎さんは長い指で眼鏡の位置を直した。
「真壁透です。よろしゅう」
何だか不穏な空気が立ち込めているように感じる。ふたりの間でおろおろしていると淳くんが来てくれた。それだけで周囲が穏やかになって、私も息ができる。
「どうぞ、中にお入りください」
「どーも。お邪魔します」
みんなでリビングへ移動して、私がキッチンで飲み物の用意をしていると眞澄くんが手伝いに来てくれた。
ちょっと疲れたような顔をしている。
「どうかしたの?」
「いきなり誠史郎とあいつの腹の探り合いが凄くてさ……。淳も裕翔もあの中でニコニコしてられるのがすげーよ」
早々にこちらへ来ていて良かったと思ったもに、すぐにお茶の準備はできてしまった。
眞澄くんが運んで、テーブルを囲むようにソファーに座っているみんなに配ってくれた。
「みさきちゃん、遥に会ったんやて?」
「あ、はい」
私が素直に返答したせいか、すぐに誠史郎さんが割って入った。
「そのお話をする前に、折り入ってお願いがあります。しばらく貴方の力をお借りしたい」
「何で?」
「みさきさんを守るためです。貴方と同じく、私たちのような眷属の存在を快く思っていない吸血種に狙われています」
「別に俺は眷属のコト悪やなんて思ってないで。能力持ちでもなかなか真堂さんとこみたいに何人も囲ってるのは滅多におらんからちょっと興味あったんや。普通は一生にひとり出会えるかどうかやからな。俺は吸血鬼に血ィ吸われるん嫌やから眷属は作らんけど」
私は透さんが『白』の血を持っていると聞き、お祖父ちゃん以外の『白』の血を持つ人に初めて会ったと少し感動してしまった。
「みさきちゃんは忙しいなあ。インキュバスに狙われ、今度は吸血鬼。みさきちゃんのお祖父ちゃんがあんたら遺したんは、ホンマのところは他の退魔士とかからみさきちゃんを守るためなんやろうけど」
私と裕翔くんはわけが解らなくてきょとんとして、眞澄くんと淳くん、誠史郎さんは何も答えない。
「同業者から守るってどういうこと?」
裕翔くんの質問に口を開いてくれたのは透さんだった。私も知りたいと思って彼を見た。
「俺の勝手な推測やけどな」
そう前置きしてからチラリと誠史郎さんを見る。
「続けていただいて結構ですよ」
誠史郎さんの顔はにっこりと笑ったけれど雰囲気が笑っていない。
透さんも真意を測りかねるのか、片頬だけで笑った。
「俺と遥も『白』の能力持ちやから、同業者からの縁談とかハニートラップが仰山あるんや。子供が絶対に能力者で産まれてくるとも限らんのにな。みさきちゃんには真堂周っていう稀代の術者のおじーちゃんがおった時は手ェ出されへんかったけど、『白』の血を可愛らしい女の子が持ってたらそれだけでいやらしいおっさんどもから狙われる。実際、悲惨な目に遭ってる子は表に出んだけでおるんや。相手にしてるんは吸血鬼だけやない。せやから少しでも手が欲しいっちゅうことでええんかな?」
「場合によっては、貴方のお兄さんと戦うこともありえますが」
「遥と?」
にっこりと微笑んだままの誠史郎さんの言葉に透さんが怪訝な表情になる。
「吸血種と一緒にい……」
裕翔くんの口を慌てて眞澄くんが手で塞いだときには遅かった。
透さんは背もたれに身体を預けるようにして額を押さえる。
「あのアホ……。連絡もよこさんとフラフラしてると思ったら……」
「みさきと裕翔の話だと、人見知りの吸血種と一緒にいるらしいです」
淳くんが困ったような微笑みを浮かべて言う。透さんは大きなため息をひとつ吐いて、私たちを見回した。
「……で、あんたらとおったら遥と会えるってことか」
「ついでに俺たちを狙ってる吸血種ともご対面だ」
眞澄くんが皮肉っぽい笑みを見せると、透さんはこめかみの辺りに人差し指を当てた。
「遥が狙ってるんはその吸血鬼なんか?」
「多分ね。オレたち放って追いかけて行ったから」
「ちなみに、俺もここに住ませてもらえるの?」
透さんが今日1番の良い笑顔になったわ。
「なっ……!」
「申し訳ありませんが、部屋に空きがありません。失礼ながら、真壁家ならこちらに別邸もお持ちなのでは?」
「毎日顔出すにはちょーっと遠いなー」
「嘘つけ!1時間かからずに来ただろ!お前みたいな危険人物……」
「それやったら交渉決裂かなー」
透さんが意地悪な笑い方をする。
「僕の部屋に布団を敷くので良ければ構わないですよ」
淳くんがいつもの優しい微笑みと口調でそう言うと、透さんの顔から毒気がみるみる抜けていった。
「……うん、ありがとう。気が向いたら泊まらせてもらうわ……」
この話に興味はあるみたいだ。うちの住所をメールで送信する。
「今からって……急だな」
「やっぱり心配だったんじゃないかな」
「お茶でも飲みながらお待ちしましょう」
そんな会話をしているうちに40分ほど経ち、インターホンが鳴った。
モニターには透さんが映っていたから、玄関まで私が迎えに出る。
「お呼び立てして申し訳ありません」
「こっちこそ、いきなり押しかけてすまんな」
いつもの飄々とした透さんだった。彼は薄い微笑を浮かべて片手を挙げた。
「初めまして」
いつの間にか私の背後に誠史郎さんが立っていた。微笑んでいるのだけど目が笑っていないように見えてしまう。
「こちらこそ」
「西山誠史郎と申します。以後お見知り置きを」
そう言って誠史郎さんは長い指で眼鏡の位置を直した。
「真壁透です。よろしゅう」
何だか不穏な空気が立ち込めているように感じる。ふたりの間でおろおろしていると淳くんが来てくれた。それだけで周囲が穏やかになって、私も息ができる。
「どうぞ、中にお入りください」
「どーも。お邪魔します」
みんなでリビングへ移動して、私がキッチンで飲み物の用意をしていると眞澄くんが手伝いに来てくれた。
ちょっと疲れたような顔をしている。
「どうかしたの?」
「いきなり誠史郎とあいつの腹の探り合いが凄くてさ……。淳も裕翔もあの中でニコニコしてられるのがすげーよ」
早々にこちらへ来ていて良かったと思ったもに、すぐにお茶の準備はできてしまった。
眞澄くんが運んで、テーブルを囲むようにソファーに座っているみんなに配ってくれた。
「みさきちゃん、遥に会ったんやて?」
「あ、はい」
私が素直に返答したせいか、すぐに誠史郎さんが割って入った。
「そのお話をする前に、折り入ってお願いがあります。しばらく貴方の力をお借りしたい」
「何で?」
「みさきさんを守るためです。貴方と同じく、私たちのような眷属の存在を快く思っていない吸血種に狙われています」
「別に俺は眷属のコト悪やなんて思ってないで。能力持ちでもなかなか真堂さんとこみたいに何人も囲ってるのは滅多におらんからちょっと興味あったんや。普通は一生にひとり出会えるかどうかやからな。俺は吸血鬼に血ィ吸われるん嫌やから眷属は作らんけど」
私は透さんが『白』の血を持っていると聞き、お祖父ちゃん以外の『白』の血を持つ人に初めて会ったと少し感動してしまった。
「みさきちゃんは忙しいなあ。インキュバスに狙われ、今度は吸血鬼。みさきちゃんのお祖父ちゃんがあんたら遺したんは、ホンマのところは他の退魔士とかからみさきちゃんを守るためなんやろうけど」
私と裕翔くんはわけが解らなくてきょとんとして、眞澄くんと淳くん、誠史郎さんは何も答えない。
「同業者から守るってどういうこと?」
裕翔くんの質問に口を開いてくれたのは透さんだった。私も知りたいと思って彼を見た。
「俺の勝手な推測やけどな」
そう前置きしてからチラリと誠史郎さんを見る。
「続けていただいて結構ですよ」
誠史郎さんの顔はにっこりと笑ったけれど雰囲気が笑っていない。
透さんも真意を測りかねるのか、片頬だけで笑った。
「俺と遥も『白』の能力持ちやから、同業者からの縁談とかハニートラップが仰山あるんや。子供が絶対に能力者で産まれてくるとも限らんのにな。みさきちゃんには真堂周っていう稀代の術者のおじーちゃんがおった時は手ェ出されへんかったけど、『白』の血を可愛らしい女の子が持ってたらそれだけでいやらしいおっさんどもから狙われる。実際、悲惨な目に遭ってる子は表に出んだけでおるんや。相手にしてるんは吸血鬼だけやない。せやから少しでも手が欲しいっちゅうことでええんかな?」
「場合によっては、貴方のお兄さんと戦うこともありえますが」
「遥と?」
にっこりと微笑んだままの誠史郎さんの言葉に透さんが怪訝な表情になる。
「吸血種と一緒にい……」
裕翔くんの口を慌てて眞澄くんが手で塞いだときには遅かった。
透さんは背もたれに身体を預けるようにして額を押さえる。
「あのアホ……。連絡もよこさんとフラフラしてると思ったら……」
「みさきと裕翔の話だと、人見知りの吸血種と一緒にいるらしいです」
淳くんが困ったような微笑みを浮かべて言う。透さんは大きなため息をひとつ吐いて、私たちを見回した。
「……で、あんたらとおったら遥と会えるってことか」
「ついでに俺たちを狙ってる吸血種ともご対面だ」
眞澄くんが皮肉っぽい笑みを見せると、透さんはこめかみの辺りに人差し指を当てた。
「遥が狙ってるんはその吸血鬼なんか?」
「多分ね。オレたち放って追いかけて行ったから」
「ちなみに、俺もここに住ませてもらえるの?」
透さんが今日1番の良い笑顔になったわ。
「なっ……!」
「申し訳ありませんが、部屋に空きがありません。失礼ながら、真壁家ならこちらに別邸もお持ちなのでは?」
「毎日顔出すにはちょーっと遠いなー」
「嘘つけ!1時間かからずに来ただろ!お前みたいな危険人物……」
「それやったら交渉決裂かなー」
透さんが意地悪な笑い方をする。
「僕の部屋に布団を敷くので良ければ構わないですよ」
淳くんがいつもの優しい微笑みと口調でそう言うと、透さんの顔から毒気がみるみる抜けていった。
「……うん、ありがとう。気が向いたら泊まらせてもらうわ……」
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