81 / 145
誠史郎ルート 1章
甘い毒 2
しおりを挟む
雨に濡れてしまったシャツを着替えた誠史郎さんがリビングに戻って来た。
長袖のTシャツにラフなパンツに変わっていて、新鮮な感じがする。
うちにいる時だって寝る前は楽な服装をしているのに、なぜか誠史郎さんのおうちだと私しか知らない彼を見た気がして嬉しくなって口元が緩む。
隣に座った整った横顔を見ていると、視線に気づいたのか誠史郎さんがこちらへ振り向く。
「どうしましたか?」
いたずらを見とがめられた子供のような気持ちになって、隠れたいけれどそうする場所がない。
とっさにクッションで顔を隠すと、誠史郎さんはくすくすと笑いながら丁寧に私からそれを取り上げた。
目が合うと、一瞬時間が止まる。
キスされると思ってぎゅっと両眼と唇を閉じて待った。身体中に変な力が入って、自分でもぎこちないと思う。
しばらくそうしていたけれど、何も起こらない。あれ、と思って目を開いたとたんに誠史郎さんの薄い微笑みの浮かんだ顔が近づいてきた。
「みさきさんは本当に可愛らしいですね」
妖艶な声音が鼓膜をくすぐる。抱きすくめられ、誠史郎さんの唇が目尻に触れた。
私は奇妙な間のせいでふと現実に返ってしまった。
「だっ、だめです……」
「誘ったのはみさきさんですよ?」
誠史郎さんは意地悪な響きを含んで耳朶を食む。
「私、絶対、学校で隠せないです……っ!」
誠史郎さんは保健室の先生で、私は生徒だ。
個人的な繋がりがあることだって知られないようにしていたのに、それ以上の気持ちがあると周りに気づかれてしまったら誠史郎さんに迷惑がかかる。
離れようと胸板を押したけれど、誠史郎さんは解放してくれない。
「隠さなくて構いません」
「そういう訳には……」
長い指が私の手を掬い上げ、指の背にキスをする。
「皆さん、みさきさんの気持ちは察しても、私の感情までは読み取れないでしょうから」
それはそうかもしれないけれど、私はやっぱり不安だ。
なのに誠史郎さんの体温で早くも気持ちは揺らいでいる。
「貴方を諦めるくらいなら、教職は手放しても構いません」
確かに先生を辞めたからと言って、本当はいけないことらしいのだけど真堂家での収入があるので生活に困ることはない。
高校を辞めればこのマンションは引き払ってうちに住めばいい話だ。
だけど誠史郎さんと学校で会うことはなくなってしまう。そう思うとなんだか寂しい。白衣を纏って凛と立つ誠史郎さんは素敵だ。
「……そんなこと言わないでください。誠史郎さんの先生姿、私は好きです」
少ししょんぼりして思いを伝えると、誠史郎さんは意地悪で華やかな微笑みを唇の端にひらめかせる。
「では、先ほどの発言は撤回していただけますね?」
迷いがないと言えば嘘になるけれど、私にはうなずくことしかできなかった。
それを見届けた誠史郎さんは柔らかく双眸を細めてから、私の頭を胸の辺りに引き寄せる。
「みさきさんの声で聞かせていただけませんか?」
「先生、辞めないでください」
「いえ、そこではなく」
小さく苦笑しながら大きな手が耳の後ろをすっと撫でた。とっさに身体をきゅっと縮めてしまう。
「私に何をしてほしいのか、私のことをどう思っているのか」
切れ長の、深い色をした両眼は私の心の奥を見透かすように凝視してくる。
誠史郎さんに触れられた感覚が蘇って、脳はその甘美さをもう一度欲していた。
どうして彼はこんなに私の思考を見通してしまうのだろう。
「……さ、触ってください」
とんでもないことを言い出している自覚はあった。もっと他に、上手い言葉の選択ができなかったのだろうかと後悔して頬が熱くなる。
「どのように触れましょうか?」
恥ずかしさからうつむいたあごを捕らえられて、強引に顔を上げさせられた。
誠史郎さんは意地悪だ。
「キス……してください」
羞恥から目が合わないようにしようと思うと、伏し目がちになってしまう。
「仰せのままに」
とろけるように甘くささやいた誠史郎さんは、私の髪を一房、形の良い指に絡めるとそっと口づけた。
心臓の音が目の前の麗しい男性に聞こえてしまいそうなほど大きい。
「……誠史郎さん」
上目遣いの切れ長の瞳が妖艶過ぎて目が離せない。全て誠史郎さんのペースだ。私に抗う術はない。
だけどそれすら心地好く感じてしまう。
「私を誠史郎さんの恋人にしてください」
大胆なことを言ってしまったと恥ずかしくて俯こうとした私の唇に、優しいキスをしてくれる。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
額を重ねて柔らかく口元を綻ばせる誠史郎さんを見て、私も自然に頬が緩む。
胸の奥が温かい。
「……好きです」
自分から誠史郎さんの胸に潜り込み、縋りつく。
それに応えるように大きな手が私を抱き締めてくれた。彼の体温と心臓の音を感じる。
「愛しています、みさきさん」
少し冷たい掌がよしよしと私の髪を撫でてくれる。
ずっとこうしてもらえるなら、誠史郎さんの飼い猫になりたい。そう思いながら胸板に頬を預けていた。
「……ご自宅へお送りします」
頭上にポツリと落ちてきた言葉に、私は顔を上げた。切れ長の涼しげな目元が柔和に細められている。
「みさきさんに覚悟があるならお泊めしますが」
意味深な声音の意図を汲み取って、ぼっと火がついたように顔が熱くなった。
「え、ええと……その」
「大丈夫ですよ。少しずつ馴らしていきましょう」
額に、瞼に、誠史郎さんの唇がそっと触れる。思わず身を縮こまらせてしまうけれど、彼はそっと微笑んで唇にキスをした。
「あまり気の長い方ではないので、待ち続ける保証はできかねますが」
柔らかい光が誠史郎さんの双眸に揺らめき、親指が頬をくすぐる。私は曖昧な笑顔でうなずいた。
立ち上がろうとした時に目が合った。
別れを惜しむように自然に唇が重なる。
強く抱き締められた。唇を吸われ、舌が絡まると震えるほど甘く身体がしびれる。
誠史郎さんに本気で求められたら拒めないと予感がする。
「せい、しろう……さん……」
うっとりと秀麗な面を見上げると、優しい微笑みで応えてくれる。
唇から深く誠史郎さんに侵食されることに、喜びと快感を覚えていた。
長袖のTシャツにラフなパンツに変わっていて、新鮮な感じがする。
うちにいる時だって寝る前は楽な服装をしているのに、なぜか誠史郎さんのおうちだと私しか知らない彼を見た気がして嬉しくなって口元が緩む。
隣に座った整った横顔を見ていると、視線に気づいたのか誠史郎さんがこちらへ振り向く。
「どうしましたか?」
いたずらを見とがめられた子供のような気持ちになって、隠れたいけれどそうする場所がない。
とっさにクッションで顔を隠すと、誠史郎さんはくすくすと笑いながら丁寧に私からそれを取り上げた。
目が合うと、一瞬時間が止まる。
キスされると思ってぎゅっと両眼と唇を閉じて待った。身体中に変な力が入って、自分でもぎこちないと思う。
しばらくそうしていたけれど、何も起こらない。あれ、と思って目を開いたとたんに誠史郎さんの薄い微笑みの浮かんだ顔が近づいてきた。
「みさきさんは本当に可愛らしいですね」
妖艶な声音が鼓膜をくすぐる。抱きすくめられ、誠史郎さんの唇が目尻に触れた。
私は奇妙な間のせいでふと現実に返ってしまった。
「だっ、だめです……」
「誘ったのはみさきさんですよ?」
誠史郎さんは意地悪な響きを含んで耳朶を食む。
「私、絶対、学校で隠せないです……っ!」
誠史郎さんは保健室の先生で、私は生徒だ。
個人的な繋がりがあることだって知られないようにしていたのに、それ以上の気持ちがあると周りに気づかれてしまったら誠史郎さんに迷惑がかかる。
離れようと胸板を押したけれど、誠史郎さんは解放してくれない。
「隠さなくて構いません」
「そういう訳には……」
長い指が私の手を掬い上げ、指の背にキスをする。
「皆さん、みさきさんの気持ちは察しても、私の感情までは読み取れないでしょうから」
それはそうかもしれないけれど、私はやっぱり不安だ。
なのに誠史郎さんの体温で早くも気持ちは揺らいでいる。
「貴方を諦めるくらいなら、教職は手放しても構いません」
確かに先生を辞めたからと言って、本当はいけないことらしいのだけど真堂家での収入があるので生活に困ることはない。
高校を辞めればこのマンションは引き払ってうちに住めばいい話だ。
だけど誠史郎さんと学校で会うことはなくなってしまう。そう思うとなんだか寂しい。白衣を纏って凛と立つ誠史郎さんは素敵だ。
「……そんなこと言わないでください。誠史郎さんの先生姿、私は好きです」
少ししょんぼりして思いを伝えると、誠史郎さんは意地悪で華やかな微笑みを唇の端にひらめかせる。
「では、先ほどの発言は撤回していただけますね?」
迷いがないと言えば嘘になるけれど、私にはうなずくことしかできなかった。
それを見届けた誠史郎さんは柔らかく双眸を細めてから、私の頭を胸の辺りに引き寄せる。
「みさきさんの声で聞かせていただけませんか?」
「先生、辞めないでください」
「いえ、そこではなく」
小さく苦笑しながら大きな手が耳の後ろをすっと撫でた。とっさに身体をきゅっと縮めてしまう。
「私に何をしてほしいのか、私のことをどう思っているのか」
切れ長の、深い色をした両眼は私の心の奥を見透かすように凝視してくる。
誠史郎さんに触れられた感覚が蘇って、脳はその甘美さをもう一度欲していた。
どうして彼はこんなに私の思考を見通してしまうのだろう。
「……さ、触ってください」
とんでもないことを言い出している自覚はあった。もっと他に、上手い言葉の選択ができなかったのだろうかと後悔して頬が熱くなる。
「どのように触れましょうか?」
恥ずかしさからうつむいたあごを捕らえられて、強引に顔を上げさせられた。
誠史郎さんは意地悪だ。
「キス……してください」
羞恥から目が合わないようにしようと思うと、伏し目がちになってしまう。
「仰せのままに」
とろけるように甘くささやいた誠史郎さんは、私の髪を一房、形の良い指に絡めるとそっと口づけた。
心臓の音が目の前の麗しい男性に聞こえてしまいそうなほど大きい。
「……誠史郎さん」
上目遣いの切れ長の瞳が妖艶過ぎて目が離せない。全て誠史郎さんのペースだ。私に抗う術はない。
だけどそれすら心地好く感じてしまう。
「私を誠史郎さんの恋人にしてください」
大胆なことを言ってしまったと恥ずかしくて俯こうとした私の唇に、優しいキスをしてくれる。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
額を重ねて柔らかく口元を綻ばせる誠史郎さんを見て、私も自然に頬が緩む。
胸の奥が温かい。
「……好きです」
自分から誠史郎さんの胸に潜り込み、縋りつく。
それに応えるように大きな手が私を抱き締めてくれた。彼の体温と心臓の音を感じる。
「愛しています、みさきさん」
少し冷たい掌がよしよしと私の髪を撫でてくれる。
ずっとこうしてもらえるなら、誠史郎さんの飼い猫になりたい。そう思いながら胸板に頬を預けていた。
「……ご自宅へお送りします」
頭上にポツリと落ちてきた言葉に、私は顔を上げた。切れ長の涼しげな目元が柔和に細められている。
「みさきさんに覚悟があるならお泊めしますが」
意味深な声音の意図を汲み取って、ぼっと火がついたように顔が熱くなった。
「え、ええと……その」
「大丈夫ですよ。少しずつ馴らしていきましょう」
額に、瞼に、誠史郎さんの唇がそっと触れる。思わず身を縮こまらせてしまうけれど、彼はそっと微笑んで唇にキスをした。
「あまり気の長い方ではないので、待ち続ける保証はできかねますが」
柔らかい光が誠史郎さんの双眸に揺らめき、親指が頬をくすぐる。私は曖昧な笑顔でうなずいた。
立ち上がろうとした時に目が合った。
別れを惜しむように自然に唇が重なる。
強く抱き締められた。唇を吸われ、舌が絡まると震えるほど甘く身体がしびれる。
誠史郎さんに本気で求められたら拒めないと予感がする。
「せい、しろう……さん……」
うっとりと秀麗な面を見上げると、優しい微笑みで応えてくれる。
唇から深く誠史郎さんに侵食されることに、喜びと快感を覚えていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる