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透ルート 2章
籠の鳥 3
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透さんに言われたことを電話で伝えると、彰太くんをうちに泊めることに同意を得られた。
再び透さんに自動車を運転してもらい、家に連れて帰ってもらう。
透さんが私と彰太くんだけを連れていったのは、彰太くんの寝床を確保しなければいけなくなった場合にこの展開に持ち込むためだったのかもしれない。
運転席の飄々とした横顔を見るけれど、私には彼の真意は図りかねた。
明日は真ん中のお兄さんがこちらへ迎えに来てくれると、彰太くんは食事のときに話してくれた。こちらまで来てくれるそうだ。
真ん中の兄貴、と彰太くんが言った時、透さんが微妙な表情になった。知り合いなのだろうか。
私たちは学校があるから、帰って来るまで待ってると言われた。
そこまで気を使ってもらわなくて大丈夫だと伝えたのだけど、彰太くんではなくて、お兄さんが挨拶したいと言っているそうだ。
それを聞いた透さんは意味ありげに片頬だけで笑った。
「透、あいつの兄ちゃんのこと知ってるのか?」
彰太くんがお風呂に入っている隙に眞澄くんが訪ねた。私と同じく、透さんの表情を見ていたみたいだ。
「片手でたりるぐらいしか会うたことないけどな。弟が世話になった挨拶とか言いながら、みさきちゃんに何しでかすかわからん」
ダイニングチェアに長い足を組んで座っていた透さんはテーブルに肘をつく。
「ショータには悪いけど、あの男は信用できへん」
透さんの双眸が鋭く細められる。誰かのことをこんな風に評するのは珍しい。眞澄くんも小さくため息を吐いた。
「透が婚約者ってハッタリに頼らないといけないのかよ」
「ハッタリちゃうけどな」
透さんがムッとした様子で告げる。
「……真壁さんがそう仰るなら、彼のご家族には僕たちだけで」
「そうしたいけどな、みさきちゃんに会わんと引き下がらんと思う」
「でしょうね……」
誠史郎さんが指先で眼鏡の位置を直す。誠史郎さんも知っている人みたいだ。
「ま、何があってもみさきちゃんは俺が守るけどな」
透さんが上手なウインクをこちらへ投げ掛けた。
「彩音さんの件で懲りてくれへんかったんやなぁ」
呆れた表情の透さんは頭の後ろで手を組む。
「闘志に火を点けてしまったのでしょうね。みさきさんを真宮家に渡す気がないのは真堂家だけではないということに気づけないほど」
眼鏡の奥の切れ長の瞳が酷薄に微笑んだ。私は状況が把握できなくてきょとんとしてしまう。
誠史郎さんが何を言っているのか理解するために、先日のことを順を追って思い出してみる。
遥さんがみんなと一緒に、透さんと私を探して真壁一門の元保養所までやって来た。彩音さんの生き霊は私を真宮家に連れていくのが目的だろうからと言っていた。
透さんは遥さんが誰かに依頼されて、私の保護と彩音さんの救出の手伝いをしていた、と――――。
そこではっと気がつく。遥さんは誰に頼まれたのだろう。真堂家でも、真壁一門でもない第三者から受けた仕事だ。私たちは誰も彩音さんの存在を知らなかった。
「依頼人が誰かによっても話変わってくるけど、遥に仕事寄越すんは――――」
みんな、多分同じ人を想像した。だけどそれを口にする前に廊下から物音が聞こえた。
「ありがと……」
お風呂上がりの彰太くんがリビングに顔を出した。裕翔くんが貸してくれたスウェットを着た彼は、全員の顔を見渡して首を傾げる。
「どうかした?」
それぞれ目配せをして誰が口火を切るか探り合う。
「ショータはどんくらい知っとるんや?」
この中で一番なつかれている透さんがその役を買って出てくれた。
「何を?」
透さんに質問されたことが嬉しかったみたいで、彰太くんは笑顔で歩み寄る。
「真堂家とのイロイロ」
透さんはにっこりと笑って見せたけれど、気の強そうな少年は寂しそうな表情になる。
「……オレはそんなに知らない」
何度も首を横に振って一歩退いた。
「知ってることだけ教えてくれたらええ」
一瞬迷ったような顔になった彰太くんは、うつむいて気が重そうに口を開く。
「オヤジと兄貴たちは、『白』の血を持ってるひとと結婚して……『白』の血を持った子供がほしいみたい」
彩音さんも似たようなことを言っていた。
『白』の血を持っているからと言って、その子供が必ず同じ能力を持って生まれるとは限らない。現に、お祖父ちゃんは『白』の血の力を持っていたけれど、私のお父さんにこの力はなかった。お母さんにもない。
「どうしてそこまで……?」
単純に疑問に思った。だけどこぼしてしまった言葉が彰太くんに失礼だったと口元を押さえる。
「ごめんなさい」
「ううん。あんたは能力者だから、わからなくて当然だよ」
年下の男の子に苦笑いされてしまった。彰太くんの寂しげな瞳にチクリと胸が痛む。
結局、無い物ねだりなんだと思う。私も透さんも、『白』の血の能力者でなければこんな騒動に巻き込まれることはなかった。
もちろん、嫌なことばかりじゃない。この力があったから、眞澄くん、淳くん、誠史郎さん、裕翔くんに出会うことができた。
もちろん、透さんも。
「オヤジたちは、あんたさえ手に入れば真宮家にかつての栄光が戻ってくるって思ってる。かつての栄光ってのはオヤジが言ってるだけでよくわからないけど……。要は最近、真壁一門ばっかり注目されてるからおもしろくないんだ」
彰太くんが透さんをちらりと見る。視線を向けられた透さんは左側の口角だけをニヒルに上げた。
確かに透さんも遥さんも、祓い屋業界で一目置かれるのも納得のすごい力の持ち主だ。
「売上上げたいんやったら、もっと他に力注ぐことがあるやろうに」
透さんの呆れたような声に、彰太くんは肩を落とした。
「オヤジと夏生兄貴以外、大した霊力を持ってなくて」
「ナツオさん?」
私が尋ねると、彰太くんはうなずいた。
「明日こっちに来る、真ん中の兄貴」
再び透さんに自動車を運転してもらい、家に連れて帰ってもらう。
透さんが私と彰太くんだけを連れていったのは、彰太くんの寝床を確保しなければいけなくなった場合にこの展開に持ち込むためだったのかもしれない。
運転席の飄々とした横顔を見るけれど、私には彼の真意は図りかねた。
明日は真ん中のお兄さんがこちらへ迎えに来てくれると、彰太くんは食事のときに話してくれた。こちらまで来てくれるそうだ。
真ん中の兄貴、と彰太くんが言った時、透さんが微妙な表情になった。知り合いなのだろうか。
私たちは学校があるから、帰って来るまで待ってると言われた。
そこまで気を使ってもらわなくて大丈夫だと伝えたのだけど、彰太くんではなくて、お兄さんが挨拶したいと言っているそうだ。
それを聞いた透さんは意味ありげに片頬だけで笑った。
「透、あいつの兄ちゃんのこと知ってるのか?」
彰太くんがお風呂に入っている隙に眞澄くんが訪ねた。私と同じく、透さんの表情を見ていたみたいだ。
「片手でたりるぐらいしか会うたことないけどな。弟が世話になった挨拶とか言いながら、みさきちゃんに何しでかすかわからん」
ダイニングチェアに長い足を組んで座っていた透さんはテーブルに肘をつく。
「ショータには悪いけど、あの男は信用できへん」
透さんの双眸が鋭く細められる。誰かのことをこんな風に評するのは珍しい。眞澄くんも小さくため息を吐いた。
「透が婚約者ってハッタリに頼らないといけないのかよ」
「ハッタリちゃうけどな」
透さんがムッとした様子で告げる。
「……真壁さんがそう仰るなら、彼のご家族には僕たちだけで」
「そうしたいけどな、みさきちゃんに会わんと引き下がらんと思う」
「でしょうね……」
誠史郎さんが指先で眼鏡の位置を直す。誠史郎さんも知っている人みたいだ。
「ま、何があってもみさきちゃんは俺が守るけどな」
透さんが上手なウインクをこちらへ投げ掛けた。
「彩音さんの件で懲りてくれへんかったんやなぁ」
呆れた表情の透さんは頭の後ろで手を組む。
「闘志に火を点けてしまったのでしょうね。みさきさんを真宮家に渡す気がないのは真堂家だけではないということに気づけないほど」
眼鏡の奥の切れ長の瞳が酷薄に微笑んだ。私は状況が把握できなくてきょとんとしてしまう。
誠史郎さんが何を言っているのか理解するために、先日のことを順を追って思い出してみる。
遥さんがみんなと一緒に、透さんと私を探して真壁一門の元保養所までやって来た。彩音さんの生き霊は私を真宮家に連れていくのが目的だろうからと言っていた。
透さんは遥さんが誰かに依頼されて、私の保護と彩音さんの救出の手伝いをしていた、と――――。
そこではっと気がつく。遥さんは誰に頼まれたのだろう。真堂家でも、真壁一門でもない第三者から受けた仕事だ。私たちは誰も彩音さんの存在を知らなかった。
「依頼人が誰かによっても話変わってくるけど、遥に仕事寄越すんは――――」
みんな、多分同じ人を想像した。だけどそれを口にする前に廊下から物音が聞こえた。
「ありがと……」
お風呂上がりの彰太くんがリビングに顔を出した。裕翔くんが貸してくれたスウェットを着た彼は、全員の顔を見渡して首を傾げる。
「どうかした?」
それぞれ目配せをして誰が口火を切るか探り合う。
「ショータはどんくらい知っとるんや?」
この中で一番なつかれている透さんがその役を買って出てくれた。
「何を?」
透さんに質問されたことが嬉しかったみたいで、彰太くんは笑顔で歩み寄る。
「真堂家とのイロイロ」
透さんはにっこりと笑って見せたけれど、気の強そうな少年は寂しそうな表情になる。
「……オレはそんなに知らない」
何度も首を横に振って一歩退いた。
「知ってることだけ教えてくれたらええ」
一瞬迷ったような顔になった彰太くんは、うつむいて気が重そうに口を開く。
「オヤジと兄貴たちは、『白』の血を持ってるひとと結婚して……『白』の血を持った子供がほしいみたい」
彩音さんも似たようなことを言っていた。
『白』の血を持っているからと言って、その子供が必ず同じ能力を持って生まれるとは限らない。現に、お祖父ちゃんは『白』の血の力を持っていたけれど、私のお父さんにこの力はなかった。お母さんにもない。
「どうしてそこまで……?」
単純に疑問に思った。だけどこぼしてしまった言葉が彰太くんに失礼だったと口元を押さえる。
「ごめんなさい」
「ううん。あんたは能力者だから、わからなくて当然だよ」
年下の男の子に苦笑いされてしまった。彰太くんの寂しげな瞳にチクリと胸が痛む。
結局、無い物ねだりなんだと思う。私も透さんも、『白』の血の能力者でなければこんな騒動に巻き込まれることはなかった。
もちろん、嫌なことばかりじゃない。この力があったから、眞澄くん、淳くん、誠史郎さん、裕翔くんに出会うことができた。
もちろん、透さんも。
「オヤジたちは、あんたさえ手に入れば真宮家にかつての栄光が戻ってくるって思ってる。かつての栄光ってのはオヤジが言ってるだけでよくわからないけど……。要は最近、真壁一門ばっかり注目されてるからおもしろくないんだ」
彰太くんが透さんをちらりと見る。視線を向けられた透さんは左側の口角だけをニヒルに上げた。
確かに透さんも遥さんも、祓い屋業界で一目置かれるのも納得のすごい力の持ち主だ。
「売上上げたいんやったら、もっと他に力注ぐことがあるやろうに」
透さんの呆れたような声に、彰太くんは肩を落とした。
「オヤジと夏生兄貴以外、大した霊力を持ってなくて」
「ナツオさん?」
私が尋ねると、彰太くんはうなずいた。
「明日こっちに来る、真ん中の兄貴」
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