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明らかになった真実(1)
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高校を卒業して7年。杏夏は大学を卒業し、社会人として充実した日々を送っていた。
「お疲れさまでした」
1日の仕事を終えた杏夏は、電車に乗って家に帰っていた。高校を卒業して7年、誠一と話さなくなって8年。彼が今、どこで、何をしているのか、杏夏は知らない。正確には知ろうとしなかった。彩花と浩を介して誠一の話を聞くことができたものの、もう婚約者と結婚しているかもしれない、と思うと聞く気になれなかったのだ。誠一を想い続けている彼女は、彼の結婚報告を聞いたら立ち直れない、と思ったのだ。
「待ってて、って言ってくれたのにな。でも、いい加減ケリつけないと。いつか婚約者さんと結婚するんだから。その時、おめでとうって言えるようにならないと」
そう思っていると、大学時代の友人から久しぶりに連絡がきた。
一方誠一は20歳で起業し、現在は日本でも有数の大企業の社長となっていた。そして誠一は、再び婚約破棄を父親に願い出ていた。
「父さん、話があります。婚約破棄してください」
「……」
「僕は社長となりました。もうあなたの会社の駒ではありません。この結婚があなたの会社の利益となることはないはずです。また、勘当して構いません。もう自分の力で生きていけます。また、彼女の御父上のことは問題ありませんから。ご存じだと思いますが、先日僕の会社に引き抜きました。とても優秀な方ですし、僕の会社で働いてみたいとおっしゃったので」
「……」
「婚約破棄をしていただきたい」
「……。誠一、そのことでお前に謝らなければならないことがある」
そう言った誠一の父親は、今まで隠していたことを包み隠さず誠一に話したのだった。
「お疲れさまでした」
1日の仕事を終えた杏夏は、電車に乗って家に帰っていた。高校を卒業して7年、誠一と話さなくなって8年。彼が今、どこで、何をしているのか、杏夏は知らない。正確には知ろうとしなかった。彩花と浩を介して誠一の話を聞くことができたものの、もう婚約者と結婚しているかもしれない、と思うと聞く気になれなかったのだ。誠一を想い続けている彼女は、彼の結婚報告を聞いたら立ち直れない、と思ったのだ。
「待ってて、って言ってくれたのにな。でも、いい加減ケリつけないと。いつか婚約者さんと結婚するんだから。その時、おめでとうって言えるようにならないと」
そう思っていると、大学時代の友人から久しぶりに連絡がきた。
一方誠一は20歳で起業し、現在は日本でも有数の大企業の社長となっていた。そして誠一は、再び婚約破棄を父親に願い出ていた。
「父さん、話があります。婚約破棄してください」
「……」
「僕は社長となりました。もうあなたの会社の駒ではありません。この結婚があなたの会社の利益となることはないはずです。また、勘当して構いません。もう自分の力で生きていけます。また、彼女の御父上のことは問題ありませんから。ご存じだと思いますが、先日僕の会社に引き抜きました。とても優秀な方ですし、僕の会社で働いてみたいとおっしゃったので」
「……」
「婚約破棄をしていただきたい」
「……。誠一、そのことでお前に謝らなければならないことがある」
そう言った誠一の父親は、今まで隠していたことを包み隠さず誠一に話したのだった。
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