前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第一章 新しい生活の始まり

018-4

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 中に入ると、すごい熱気だった。
 あちこちで何かを焼いている音がして、匂いが混じっている。でも不思議と嫌な匂いじゃない。むしろ良い匂いでおなかが刺激される。
 しかも人がいっぱいいる! 外は全然人通りがないのに。

 お店はギルド内の壁を背にするようにして並んでいて、真ん中にはいくつもの席が用意されている。もしかして、座って食べれるようにかな?
 あちこちからワハハハハハ、という笑い声がする。楽しそうな雰囲気と室内の暖かさと良い匂いに、僕のおなかがぐぅ、と鳴った。

「準備万端だな!」

 ラズロさんが笑った。ちょっと恥ずかしい。

 顔の広いラズロさんと歩いていると、あちこちから声をかけられる。

「おぅ、ラズロ。肉どうだ、肉」

「美味そうだな、二つくれ」

「まいどっ」

 店員さんが串に刺さった肉をラズロさんに渡した。1本をもらう。

「アシュリーは直ぐに腹がいっぱいになっちまうからな、半分食ったら残りはフルールにくれてやれ」

 それは、と思ったけど、フルールが鼻をひくひくさせて見上げているのを見たら、反対出来なかった。ラズロさんの大きな手が僕の頭をぽんぽん、と軽く叩く。

「色んな美味いモンを食うのも、料理人には大事だぞ。さ、熱いうちに食え」

「はい、ラズロさん」

 串に刺さった肉に噛り付く。口の中に肉汁が広がる。柔らかい肉を二つ食べたところでフルールに渡す。もっと食べたいけど、最初から沢山食べると、ラズロさんが言うようにすぐおなかがいっぱいになっちゃうから、我慢。
 いつものようにフルールは串ごとポリポリと食べ始め、肉を頬張る。草食のウサギが肉を食べてるのはちょっと不思議な感じ。フルールの頰が肉で膨れて、可愛い。
 ペロリと平らげたフルールにラズロさんが自分の食べ終えた串を渡すと、それも美味しそうな音をさせて食べる。

「美味そうに食うから、食べ終えた串を渡してんのに、良い事をした気持ちになるよな」

 ラズロさんの言葉に笑ってしまうけど、フルールを見てると本当そう思う。

「肉を食ったから、次は違うもんが良いな」

 お店を見回すラズロさん。

「次はアレだ」

 見たことのない食べ物を器によそってる。細長い糸みたいなのが沢山。

「アシュリーは麺は初めてか?」

「メン?」

「サキナ国ではよく食べられているものなんだがな、粉をまとめて細長く切ったものだ。乾燥させれば保存も効く。具も沢山必要としないからな、冬でもこうして食えるし、汁があるから温まるしな、冬に人気の料理だ」

 そう言ってラズロさんは二つ頼んでくれた。
 渡されたのは木の器に入った料理と、フォーク。

「これはフルールには食わせにくいかもな。器は返却するから」

 確かに毎回木の器を捨てるのは無駄だもんね。

 ちょうど空いた椅子に腰かけ、ラズロさんに倣って食べ始める。
 フォークで持ち上げようとすると、つるりと滑って器の中に落ちてしまう。
 上手く持ち上げられない僕を見てラズロさんが笑う。

「こうやんだよ、アシュリー」

 ラズロさんはフォークをメンに刺し、くるくると器の中で回転させた。持ち上げたフォークにはメンが絡まっていた。
 なるほど、あぁやるのか。

 同じようにフォークを何度か回転させるうちに、メンをフォークに絡ませることが出来て、口に入れられた。
 つるんとして、沢山かまなくても飲み込めた。
 メンに味がしみてるのか、美味しい。

「汁も美味いぞ」

 スープをひと口飲む。透明なのに、魚の味がした。しかも魚の臭みもしない。凄い!
 魚のスープなんて初めて飲んだ!

「とっても美味しいです!」

「メンは他にも色々あるんだってよ。ここじゃこの味が一般的だけどな」

「へぇーっ!」

 メンをじっと見る。
 これ、僕も作れるかな?

「いつかな」

 僕の考えてることが分かったみたいで、ラズロさんは頭を撫でてくれた。
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