136 / 271
第二章 マレビト
034-2
しおりを挟む
「僕の余計なひと言で、大変なことになりそうです、ごめんなさい……」
ノエルさんとクリフさんがダンジョンから戻って来て、ご機嫌なパフィは何処かに出かけて行った。
用意しておいた朝食を四人で食べながら、ノエルさんとクリフさんに謝る。
「いや、あそこからあの発想は普通にはならんだろ……」
ラズロさんが僕を慰めてくれる。
「ごめん。最初から話してもらって良い?」
クリフさんも頷いていた。
とりあえず謝らなくちゃ、と思って謝ったけど、パフィとの間にどんなやりとりがあったのかまでは話せてない。
「大方、ダンジョンに入り込んだ奴らに同情して、高い所から命令だけしてる奴らに腹が立ったんだろう。
それで、奴らも同じ目に遭えば目が覚めるんじゃないか、ってアシュリーが言った事に魔女が反応してな」
「珍しいね、アシュリーがはっきりと怒るなんて」
「あんまり、そう言ったことは口にしないようにしてるんですけど、うっかりしてて……」
反省してます……。
「反撃ではなく、最初から撃って出る、と言う事か?」
クリフさんの質問に、ラズロさんが頷く。
「多分な。元々受け身体質じゃないだろ、魔女はよ。
それに可愛がってるアシュリーが危険な目に遭うって事も気に食わなかったんだと思うぜ?」
ノエルさんが眉間に皺を寄せる。
どうしよう、パフィが動いたら絶対大事になる。
きっとノエルさんもトキア様も騎士団長も、大きな話にしないで片付けようとしていたと思うのに。
「良いんじゃないか?」
クリフさんから予想もしなかった反応が返ってきた。ノエルさんとラズロさんがびっくりした顔でクリフさんを見た。僕も思いもしなかった言葉にびっくりしてる。
「むしろパシュパフィッツェ殿が動いてくれた方が禍根を残さないのではないか」
「どう言う事?」
クリフさんの言葉にノエルさんが反応する。
「この国は今、過渡期にある。貴族と平民の関係性は変わりつつあるだろう。ギド殿下もその母親である妃殿下も、青い血を好む傾向にある」
ギド殿下は、第二王子の名前だったよね、確か。
「ギド殿下が王位に就けば、陛下が時間をかけて進めてきたこの国の改革は逆行する。逆行だけでは済まんだろう。そうなればおまえもティールも無事では済まない」
ノエルさんもティール様も平民出身だ。そのことを言ってるんだと思う。青い血は貴族のことを言うんだって。
クリフさんの言葉にノエルさんの眉間の皺は更に深くなっていく。
「隣国を見ていても分かる筈だ。貴族制度も時と場合によっては使いようがあるが、不満を生み出しやすい構造でもある。だがな、急激な変革は良薬にはならない」
ノエルさんは目を閉じて、少しの間何も言わなかった。みんなも何も言わない。
それから少しして目を開けたノエルさんは深いため息を吐いた。
「隣国は共和国とは名乗っているけれど、結局の所従来と似たような身分制度を生み出したものね」
そうだ、とクリフさんは答える。
「いずれ隣国国内の不満は高まる。そんな時にこの国が貴族制度により平民を抑圧していたなら、彼らは平民の開放を掲げて攻めてくるだろうね」
ラズロさんがバリバリと頭を掻き毟る。
「なんだってそんな身勝手な事ばかり考えやがんだよ!」
「王位継承を巡る争いは禍根を残すのが常だ。だからこそ、我らの及びもつかない絶対的な力が働いた方が、この国にとっては好都合だろう」
「でも、それだと、パシュパフィッツェ様が悪者になってしまう」
自分が悪者と呼ばれても、パフィなら気にも止めないだろうけど。でも、それは僕も嫌だな。
パフィが帰って来たら、話をしよう。
ノエルさんとクリフさんがダンジョンから戻って来て、ご機嫌なパフィは何処かに出かけて行った。
用意しておいた朝食を四人で食べながら、ノエルさんとクリフさんに謝る。
「いや、あそこからあの発想は普通にはならんだろ……」
ラズロさんが僕を慰めてくれる。
「ごめん。最初から話してもらって良い?」
クリフさんも頷いていた。
とりあえず謝らなくちゃ、と思って謝ったけど、パフィとの間にどんなやりとりがあったのかまでは話せてない。
「大方、ダンジョンに入り込んだ奴らに同情して、高い所から命令だけしてる奴らに腹が立ったんだろう。
それで、奴らも同じ目に遭えば目が覚めるんじゃないか、ってアシュリーが言った事に魔女が反応してな」
「珍しいね、アシュリーがはっきりと怒るなんて」
「あんまり、そう言ったことは口にしないようにしてるんですけど、うっかりしてて……」
反省してます……。
「反撃ではなく、最初から撃って出る、と言う事か?」
クリフさんの質問に、ラズロさんが頷く。
「多分な。元々受け身体質じゃないだろ、魔女はよ。
それに可愛がってるアシュリーが危険な目に遭うって事も気に食わなかったんだと思うぜ?」
ノエルさんが眉間に皺を寄せる。
どうしよう、パフィが動いたら絶対大事になる。
きっとノエルさんもトキア様も騎士団長も、大きな話にしないで片付けようとしていたと思うのに。
「良いんじゃないか?」
クリフさんから予想もしなかった反応が返ってきた。ノエルさんとラズロさんがびっくりした顔でクリフさんを見た。僕も思いもしなかった言葉にびっくりしてる。
「むしろパシュパフィッツェ殿が動いてくれた方が禍根を残さないのではないか」
「どう言う事?」
クリフさんの言葉にノエルさんが反応する。
「この国は今、過渡期にある。貴族と平民の関係性は変わりつつあるだろう。ギド殿下もその母親である妃殿下も、青い血を好む傾向にある」
ギド殿下は、第二王子の名前だったよね、確か。
「ギド殿下が王位に就けば、陛下が時間をかけて進めてきたこの国の改革は逆行する。逆行だけでは済まんだろう。そうなればおまえもティールも無事では済まない」
ノエルさんもティール様も平民出身だ。そのことを言ってるんだと思う。青い血は貴族のことを言うんだって。
クリフさんの言葉にノエルさんの眉間の皺は更に深くなっていく。
「隣国を見ていても分かる筈だ。貴族制度も時と場合によっては使いようがあるが、不満を生み出しやすい構造でもある。だがな、急激な変革は良薬にはならない」
ノエルさんは目を閉じて、少しの間何も言わなかった。みんなも何も言わない。
それから少しして目を開けたノエルさんは深いため息を吐いた。
「隣国は共和国とは名乗っているけれど、結局の所従来と似たような身分制度を生み出したものね」
そうだ、とクリフさんは答える。
「いずれ隣国国内の不満は高まる。そんな時にこの国が貴族制度により平民を抑圧していたなら、彼らは平民の開放を掲げて攻めてくるだろうね」
ラズロさんがバリバリと頭を掻き毟る。
「なんだってそんな身勝手な事ばかり考えやがんだよ!」
「王位継承を巡る争いは禍根を残すのが常だ。だからこそ、我らの及びもつかない絶対的な力が働いた方が、この国にとっては好都合だろう」
「でも、それだと、パシュパフィッツェ様が悪者になってしまう」
自分が悪者と呼ばれても、パフィなら気にも止めないだろうけど。でも、それは僕も嫌だな。
パフィが帰って来たら、話をしよう。
17
あなたにおすすめの小説
あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方
tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。
しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。
追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが?
どうなる俺の田舎でのスローライフ???
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる