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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

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 パフィは速度を早めるかと言って、僕に第三層と第四層を作らせた。
 僕のいた村側の山に似せて作ったから、第三層はなんだか懐かしい感じがする。
 第四層は雪深い山を作るのかと思っていたら海だった。
 パフィが言うには、冬の海で獲れる魚が一番美味しいんだって。

 一度に作らせたのは、アマーリアーナ様が来た事が関係あるのかな。
 って思ったりもしたんだけど、冬の海から獲れた魚を美味だ美味だと言って喜んでる姿を見ると、食べたかっただけなのかも知れない……。
 第三層で獲れるキノコにも喜んでいたし……。
 もしかしたら香辛料が手に入って我慢出来なくなったのかも知れない……。

 ギルドに作った漁場ダンジョンと薬草ダンジョンは、魔力を持ってる人の魔力だったり、魔術師から買うことで魔力が補われる。
 でも、裏庭のダンジョンだけはそうじゃない。
 自然に生まれた魔素の集まりの魔力で保たれてる。
 アマーリアーナ様がヴィヴィアンナ様の為に必要としている魔力水晶を作るには、エーテルの混じらない魔力が必要だから、色んな所にある魔力を集めてる。

『おまえも、ダンジョンメーカーのスキルに慣れてきたようだ』

「作る方はね」

 ダンジョンを閉じることも出来るらしいけど、まだそれはやったことがない。

『あれは、最下層から潰していく必要があるからな、おまえ一人では行かせられん。魔法使いと騎士に護衛を頼め』

 クリフさんとノエルさんなら、間違いないんだろうけど、二人とも忙しいし、クリフさんは殿下の護衛もしている筈だし……。

『案ずるな。セルリアンのお守りはしてやる』

 お出かけが面倒なんだって、僕は分かってますよ。

『今夜は魚とキノコを蒸した奴にしろ』

「……太るよ?」

 しっぽで十発以上叩かれた。本気だったのか痛い。

『明日、第五層を作っておけ。
結晶はすぐに出来るものではないからな』

「分かった」

 魔力水晶。
 どんなものなんだろう。

「いやぁ、大漁大漁!」

 ラズロさんが金タライを抱えて笑顔でやって来た。
 冬の層で釣った魚だ。ただ、ラズロさん自身は釣りの才能がないらしく、釣っているのは別の人。

「なかなかに、楽しいな」

 騎士団長が立派な釣竿を手に食堂に戻って来た。
 トキア様も考え事をしたい時に釣りをする。
 殿下もやりたいらしいんだけど、冬の海なだけあって寒いから、入らせてもらえない。入れないように設定もしました。
 釣った魚はありがたく食堂で使わせてもらってる。なるべく食費をかからないようにして、その分の予算を他に回してもらってる。
 持って帰らないのかと尋ねたら、魚はギルドのを買うのだと言ってた。少しでも平民に金が回るようになんだろう。
 野菜や肉は市場で買う。

「今夜は塩焼きにしようぜ!」

『駄目だ。キノコと酒蒸しにする』

「いや、塩焼きだろう」

 ラズロさんとパフィが言い争いをしているのを、騎士団長が呆れ顔で見る。

「いつもやっておるな、あのやりとり」

「仲が良いんです」

 そうさな、と言って団長は僕の頭を撫でると、「酒蒸し、良いではないか」と言った。

「そんな、騎士団長!」

 悲鳴のような声をあげるラズロさんを見て、パフィが笑った。
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