前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

文字の大きさ
171 / 271
第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

042-1

しおりを挟む
 パフィは速度を早めるかと言って、僕に第三層と第四層を作らせた。
 僕のいた村側の山に似せて作ったから、第三層はなんだか懐かしい感じがする。
 第四層は雪深い山を作るのかと思っていたら海だった。
 パフィが言うには、冬の海で獲れる魚が一番美味しいんだって。

 一度に作らせたのは、アマーリアーナ様が来た事が関係あるのかな。
 って思ったりもしたんだけど、冬の海から獲れた魚を美味だ美味だと言って喜んでる姿を見ると、食べたかっただけなのかも知れない……。
 第三層で獲れるキノコにも喜んでいたし……。
 もしかしたら香辛料が手に入って我慢出来なくなったのかも知れない……。

 ギルドに作った漁場ダンジョンと薬草ダンジョンは、魔力を持ってる人の魔力だったり、魔術師から買うことで魔力が補われる。
 でも、裏庭のダンジョンだけはそうじゃない。
 自然に生まれた魔素の集まりの魔力で保たれてる。
 アマーリアーナ様がヴィヴィアンナ様の為に必要としている魔力水晶を作るには、エーテルの混じらない魔力が必要だから、色んな所にある魔力を集めてる。

『おまえも、ダンジョンメーカーのスキルに慣れてきたようだ』

「作る方はね」

 ダンジョンを閉じることも出来るらしいけど、まだそれはやったことがない。

『あれは、最下層から潰していく必要があるからな、おまえ一人では行かせられん。魔法使いと騎士に護衛を頼め』

 クリフさんとノエルさんなら、間違いないんだろうけど、二人とも忙しいし、クリフさんは殿下の護衛もしている筈だし……。

『案ずるな。セルリアンのお守りはしてやる』

 お出かけが面倒なんだって、僕は分かってますよ。

『今夜は魚とキノコを蒸した奴にしろ』

「……太るよ?」

 しっぽで十発以上叩かれた。本気だったのか痛い。

『明日、第五層を作っておけ。
結晶はすぐに出来るものではないからな』

「分かった」

 魔力水晶。
 どんなものなんだろう。

「いやぁ、大漁大漁!」

 ラズロさんが金タライを抱えて笑顔でやって来た。
 冬の層で釣った魚だ。ただ、ラズロさん自身は釣りの才能がないらしく、釣っているのは別の人。

「なかなかに、楽しいな」

 騎士団長が立派な釣竿を手に食堂に戻って来た。
 トキア様も考え事をしたい時に釣りをする。
 殿下もやりたいらしいんだけど、冬の海なだけあって寒いから、入らせてもらえない。入れないように設定もしました。
 釣った魚はありがたく食堂で使わせてもらってる。なるべく食費をかからないようにして、その分の予算を他に回してもらってる。
 持って帰らないのかと尋ねたら、魚はギルドのを買うのだと言ってた。少しでも平民に金が回るようになんだろう。
 野菜や肉は市場で買う。

「今夜は塩焼きにしようぜ!」

『駄目だ。キノコと酒蒸しにする』

「いや、塩焼きだろう」

 ラズロさんとパフィが言い争いをしているのを、騎士団長が呆れ顔で見る。

「いつもやっておるな、あのやりとり」

「仲が良いんです」

 そうさな、と言って団長は僕の頭を撫でると、「酒蒸し、良いではないか」と言った。

「そんな、騎士団長!」

 悲鳴のような声をあげるラズロさんを見て、パフィが笑った。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方

tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。 しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。 追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが? どうなる俺の田舎でのスローライフ???

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...