前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

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「衣装や小物なんかを発注すれば仕事も増える、仕事も増える、娯楽も増える。良いと思うぜ」

 楽しみが増えて、仕事も増えるのなら、良いことだらけな気がする。

 ナインさんは美味しそうにヨウルトを食べる。
 酸っぱいのも好きみたいで、蜂蜜は入れずに食べる。

「美味しい」

「おかわりもらって良い?」

 ノエルさんから差し出された器にヨウルトを入れる。

「おまえも牛と同じで胃がいくつもあるんじゃないだろうな?」

「多分ないと思うよ。確かめた事がないから分からないけど」

 あの細い身体のどこに入っていくんだろう、本当に。



 チーズ作りで出てきた液体を鍋に移して、端肉の煮汁を加えて火にかけて混ぜ、なじませる。
 その中に皮をむいて十字の切れ目を入れたタマネギをそっと入れて煮込む。
 ある程度煮込んだら火を止めて、中まで味が染み込むようにしないとな。

「さっきの話なんですけど」

「演劇か?」

 そうです、と答える。

「ラズロさんもノエルさんもナインさんも、皆知ってるんですね」

「昔旅をした事があったって言っただろう?」

 旅をして、海を見たって言ってたな。
 色んなものを見たり、聞いたり、感じたり。
 なんだか羨ましい。

「そん時にな、観たんだよ。ノエルもそうだろうが、ナインのはクロウリーとかいう奴の記憶だろうな。
オレが演劇を見たのは北の国だったから」

「北の国にもそういったものがあるんですね」

 僕の中で北の国はあんまり良い印象がない。
 だからちょっと、意外。
 民を喜ばせる為の演劇をやるなんて。

「貴族の為の娯楽が異様なまでに進んだ国だったけれな、平民向けの劇もあったんだよ」

 ……やっぱりそうなんだ。思っていた通りで、それはそれでがっかりしてしまう。
 あ、でも平民向けのがあるんだから、まだ良いのかな?

「ノエルは家が家だしな、他国に行った事も何度もあるだろうし、知っていてもなんら不思議じゃねぇな」

 ノエルさんのお家はとっても大きな家だって言ってたし、元は別の国から来たとも言ってたから、知ってても不思議はないかな。

「楽しみですね」

「楽しめるもんが増えるのは大歓迎だよな」

 頷いて、最後のタマネギを鍋に入れて蓋をする。

 劇、難しいかな?
 僕みたいな子供でも楽しめるものだと良いな。

「劇って同じものをやり続けるんですか?」

「そんな事ねぇよ。半年ごとに演じる話を変えてたぜ」

「へぇーっ」

「女が好みそうな恋物語。男の浪漫、英雄譚」

「僕のような子供でも分かりますか?」

「分かんない所は教えてやるよ」

「ありがとうございます。楽しみですね!」

 おぅ、と答えてラズロさんは笑った。
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