魔銃士(ガンナー)とフェンリル ~最強殺し屋が異世界転移して冒険者ライフを満喫します~

三田村優希

文字の大きさ
26 / 38
第一章 イニティウム王国

第26話 魔銃士、領主の暗殺未遂事件に巻き込まれる・6

しおりを挟む
 地下牢の住人が入れ替わる。

 エイミーはスキルと魔力を封じる手枷足枷を嵌められ、カーミラが入っていた牢の隣にぶち込まれる。顔面の爛れは完治していないから、痛みに呻きながら彼女は項垂れている。解放されたカーミラは手足の自由を取り戻し、安堵の息を漏らした。

「あの……ソーさん、わたくしの疑いを晴らしてくださりありがとうございます。それと、山賊に襲われた怪我も治して下さって。わたくし、きちんとお礼を言わないまま銀の翼を脱退してしまったから」
「礼を言うのは俺じゃなく、ここにいるみんなに、だな」

 カーミラの無実を信じていたのはエドたちだ。彼らが信じていたからこそ、俺もお節介を焼いただけだ。

「わたくし、傲慢でしたわね」

 神妙な表情のまま、エドたちに向き直ると深く頭を下げている。うんうん、謙虚で素直な態度じゃないか。最初からこうであれば、俺に嫉妬することなく銀の翼に所属していられたのにな。

「思い上がっていましたわ。トレースの都を守る聖女候補に上っただけで、結局は選ばれなかった。ちっぽけなプライドにすがって、山賊には真っ先に襲われて……恥ずかしいですわ」
「反省できているだけ、変わったよカーミラは。おれたちはもう別のパーティに属しているけれど、カーミラは獅子王の瞳で頑張ってほしい」
「エド……そしてみんな、わたくしの無実を信じてくれてありがとう」

 うっすらと涙を滲ませてカーミラは、深々と頭を下げた。最後に彼女は銀の翼に未練を残しつつも、新しい所属先である獅子王の瞳へと戻っていく。獅子王の瞳のメンバーはカーミラが拘束されたことを知ってはいたが、別段救助に動くわけでなく静観していた。無実が証明され解放されても態度は変わらず、カーミラを受け入れている。

「おれたちもクエストを探さないとな」

 今日のクエストはカーミラ関連で潰されてしまった。協力したからギルドから特別報酬が金貨で払われたが、前回の護衛クエスト失敗の穴を埋めるにはまだ足りない。

「今日は仕方ない、初心に戻って金にならないクエストをしよう。――地下水道に出没する大ネズミ退治クエストに着手しようか」

 暗い、汚い、臭いの三拍子が揃っているので誰もやりたがらないクエストだけが、掲示板に残っている。どのパーティも引き受けてくれないので報奨金は日に日に上がっている。これを成功させれば護衛クエストを成功させたときに貰えた報酬が手に入る。補填するためには、背に腹は代えられない。

「仕方ないわね。地下水道は生活水でもあるんだから、清潔にしないとね」

 アガサが意を決したように言うと、ハミルも頷いた。俺は別に何でも構わない。彼らには内緒にしているが、ルチアからの好意で懐が暖かいからな。別にパーティーを組んだからって俺個人の金を彼らに提供する義理もない。え、ケチ? 何とでも言え、前の世界で命を張って金を得ていたんだ。金を得たければ自分で何とかしろの精神を骨の髄まで叩き込まれたんだよ。

「よし、それじゃあクエストを受けよう」

 掲示板から依頼書を剥がし、受付に戻ってきたブライアンに渡す。ギルドの方も持て余していた案件がようやく動くことが嬉しいらしく、本来なら冒険者たちが個人的に用意しないといけない魔力回復薬や毒消し草をくれた。水に濡れても炎が消えない魔法の松明もブライアンは渡そうとしたが、それは俺が断った。

「灯りの供給は俺が担当する。ルチアがいれば魔力切れは起こさないからな。それに松明を持てば片手が塞がるだろう? 万が一に備えて、両手は自由にしておいた方がいい」

 素早さが命のハミルやアガサは特にだ。みんなは俺とルチアに礼を述べると、早速被害が拡大し始めているという中央広場へと向かう。ここの地下は地下水の源泉ともいえる場所らしく、大ネズミの巣があるのもここらしい。早く退治して源泉自体を浄化しないとな。

 点検用のマンホールから俺たちは中に入る。魔銃の光魔法を発動させ、地下水道全体を隅々まで明るく照らす。

「す、すげぇ。地上と殆ど変わらない明るさじゃねぇか」
「こんなに広範囲を一度に照らせるなんて……ソーの魔力はどれだけ豊富なんだ」

 いや感心してるとこ悪いけど、これルチアから魔力供給されていないと半径一メートルしか照らせないからね? 俺の貧弱なマナからの魔力じゃ無理無理。鉄製のはしごを全員が降りると、悪臭が鼻をつく。ついでに甲高い耳障りな声も。柴犬サイズに縮んだルチアが臭い臭いと訴えてくる。人間ですら鼻が曲がりそうなんだ、嗅覚が鋭いルチアには耐えられないだろう。

 俺の可愛い大事な相棒を泣かせるんじゃねぇ腐れドブネズミども。殲滅してやる!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界国盗り物語 ~戦国日本のサムライ達が剣と魔法の世界で無双する~

和田真尚
ファンタジー
 戦国大名の若君・斎藤新九郎は大地震にあって崖から転落――――気付いた時には、剣と魔法が物を言い、魔物がはびこる異世界に飛ばされていた。 「これは神隠しか?」  戸惑いつつも日本へ帰る方法を探そうとする新九郎  ところが、今度は自分を追うように領地までが異世界転移してしまう。  家臣や領民を守るため、新九郎は異世界での生き残りを目指すが周囲は問題だらけ。  領地は魔物溢れる荒れ地のど真ん中に転移。  唯一頼れた貴族はお家騒動で没落寸前。  敵対勢力は圧倒的な戦力。  果たして苦境を脱する術はあるのか?  かつて、日本から様々なものが異世界転移した。  侍 = 刀一本で無双した。  自衛隊 = 現代兵器で無双した。  日本国 = 国力をあげて無双した。  では、戦国大名が家臣を引き連れ、領地丸ごと、剣と魔法の異世界へ転移したら――――? 【新九郎の解答】  国を盗って生き残るしかない!(必死) 【ちなみに異世界の人々の感想】  何なのこの狂戦士!? もう帰れよ!  戦国日本の侍達が生き残りを掛けて本気で戦った時、剣と魔法の異世界は勝てるのか?  これは、その疑問に答える物語。  異世界よ、戦国武士の本気を思い知れ――――。 ※「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも投稿しています。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

ラストダンジョンをクリアしたら異世界転移! バグもそのままのゲームの世界は僕に優しいようだ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はランカ。 女の子と言われてしまう程可愛い少年。 アルステードオンラインというVRゲームにはまってラストダンジョンをクリア。 仲間たちはみんな現実世界に帰るけれど、僕は嫌いな現実には帰りたくなかった。 そんな時、アルステードオンラインの神、アルステードが僕の前に現れた 願っても叶わない異世界転移をすることになるとは思わなかったな~

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...