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第一章 イニティウム王国
第29話 魔銃士、領主の暗殺未遂事件に巻き込まれる・9
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夜は長い。呼吸を整えルチアのアドバイス通り、細胞の隅々までマナが行き渡るようイメージをして心を無にしていく。夜の静寂に何か音があろうとも、俺は気にもとめずに瞑想に没頭する。何か動きがあればルチアが把握してくれる。俺はこの世界にもっと馴染めるよう努めていく。前の世界では狙撃で暗殺することもあった。ベストのタイミングを計って身動きをせず、ひたすらターゲットを狙う。そんなこともしていたから集中力は元々ある。
――そろそろ夜明けだよ。初日なんだからあまり無理しなくても。
ルチアの念話に集中力が失せた。途端に戻ってくる聴覚が騒がしくなってくる活気を捉える。朝市が開いたらしく、通りを行き交う人々の声が心地良い。
みんなが朝食を済ませ、冒険者ギルドへ向かう。クエストは早い者勝ちだ、自分たちの懐具合とクエストの難易度と相談の上、毎朝掲示板をチェックする。昨日のクエストはかなり高額の報酬を貰えたので、しばらくはクエストを受けなくても平気だとエドは朝食の席で言っていたが。
「エイミーが口を割ったかどうか、気になるわね」
「ギルド職員が犯罪を犯したんだから、拷問も辞さないだろうね」
アガサとエドの会話を聞きながら、俺は肩をすくめる。暗殺者時代、俺も捕らえた人間を拷問に掛けたことがあるが、痛みに耐える訓練を受けた人間でもいずれは屈する。冒険者ギルドの威信にかけて、その手の尋問に手慣れた人員が一晩中エイミーを責め苛んでいても不思議じゃない。口を割ったとしても、ギルド上層部がその情報をどう判断するか……冒険者の俺たちには手出しが出来ない。
「おはようございます、銀の翼の皆様はこちらに」
なんか昨日と同じ光景が。今日のブライアンは受付業務をしていない。代わりに冒険者を引退したのであろう老齢の男性がカウンターの奥に立って、クエストの受注を捌いている。ブライアンに連れられ、ギルドマスターの部屋へ。そこには難しい顔のギルドマスターことウォーレンが、腕組みをして立っている。随分と難しい顔をしているな、エイミーの尋問に手を焼いているのか?
「すまないな、朝の大事な時期に」
「いえ。それよりもギルドマスター、わたしたちを呼んだのはどのような用件で?」
「まぁまずは掛けてくれ」
俺たちは木製の長椅子に腰掛ける。全員が着席したことを確認するとウォーレンは小さく息を吐いて、室内に念入りに遮音の結界を重ねがけした。こっそりルチアも協力して結界を張ったので、上級冒険者といえど神獣の結界を敗れる猛者などいるはずもなく、密談に相応しい部屋が誕生した。
「今朝やっとエイミーが口を割った」
苦々しい口調と表情から察するに、彼女が吐いた情報はギルドにとって不都合なものなんだろう。
「ここ最近、都に出没する泥棒の案件に地下水道に現れた魔物の襲撃。そして近辺にアジトを設けた山賊団。それらは全てケルアイユ辺境伯を暗殺するための下準備だったそうだ」
――ソーが以前に言っていたことが現実になったね。市街戦の兆候だって。
――まさか魔物も一枚噛んでいるとは思わなかったがな。さて黒幕は誰だろう、ケルアイユ辺境伯の政敵か、または隣国か……。
俺が推察できるんだ、冒険者ギルドのマスターであるウォーレンがその程度のことに気付かないはずがない。彼の苦悩に満ちた顔は俺の推測が当たっていることを物語っている。
「この事実をすぐさま辺境伯に報せると、信頼が置けて腕の立つパーティを護衛の一員として派遣して欲しいと要請があった。そこで事情を知っており、俺とブライアンの意見も合致したので君たち銀の翼をケルアイユ辺境伯の護衛に付いて欲しい」
あー、やっぱりそうくるか。他にも適任なパーティはいるだろうけど、山賊にも遭遇し魔物も退治した。何よりエイミーの件に深く関わった俺たちが情報漏洩を防ぐ意味でもでも適任だろう。ま、判断するのはエドだ。返事は予想できるけど。
――そろそろ夜明けだよ。初日なんだからあまり無理しなくても。
ルチアの念話に集中力が失せた。途端に戻ってくる聴覚が騒がしくなってくる活気を捉える。朝市が開いたらしく、通りを行き交う人々の声が心地良い。
みんなが朝食を済ませ、冒険者ギルドへ向かう。クエストは早い者勝ちだ、自分たちの懐具合とクエストの難易度と相談の上、毎朝掲示板をチェックする。昨日のクエストはかなり高額の報酬を貰えたので、しばらくはクエストを受けなくても平気だとエドは朝食の席で言っていたが。
「エイミーが口を割ったかどうか、気になるわね」
「ギルド職員が犯罪を犯したんだから、拷問も辞さないだろうね」
アガサとエドの会話を聞きながら、俺は肩をすくめる。暗殺者時代、俺も捕らえた人間を拷問に掛けたことがあるが、痛みに耐える訓練を受けた人間でもいずれは屈する。冒険者ギルドの威信にかけて、その手の尋問に手慣れた人員が一晩中エイミーを責め苛んでいても不思議じゃない。口を割ったとしても、ギルド上層部がその情報をどう判断するか……冒険者の俺たちには手出しが出来ない。
「おはようございます、銀の翼の皆様はこちらに」
なんか昨日と同じ光景が。今日のブライアンは受付業務をしていない。代わりに冒険者を引退したのであろう老齢の男性がカウンターの奥に立って、クエストの受注を捌いている。ブライアンに連れられ、ギルドマスターの部屋へ。そこには難しい顔のギルドマスターことウォーレンが、腕組みをして立っている。随分と難しい顔をしているな、エイミーの尋問に手を焼いているのか?
「すまないな、朝の大事な時期に」
「いえ。それよりもギルドマスター、わたしたちを呼んだのはどのような用件で?」
「まぁまずは掛けてくれ」
俺たちは木製の長椅子に腰掛ける。全員が着席したことを確認するとウォーレンは小さく息を吐いて、室内に念入りに遮音の結界を重ねがけした。こっそりルチアも協力して結界を張ったので、上級冒険者といえど神獣の結界を敗れる猛者などいるはずもなく、密談に相応しい部屋が誕生した。
「今朝やっとエイミーが口を割った」
苦々しい口調と表情から察するに、彼女が吐いた情報はギルドにとって不都合なものなんだろう。
「ここ最近、都に出没する泥棒の案件に地下水道に現れた魔物の襲撃。そして近辺にアジトを設けた山賊団。それらは全てケルアイユ辺境伯を暗殺するための下準備だったそうだ」
――ソーが以前に言っていたことが現実になったね。市街戦の兆候だって。
――まさか魔物も一枚噛んでいるとは思わなかったがな。さて黒幕は誰だろう、ケルアイユ辺境伯の政敵か、または隣国か……。
俺が推察できるんだ、冒険者ギルドのマスターであるウォーレンがその程度のことに気付かないはずがない。彼の苦悩に満ちた顔は俺の推測が当たっていることを物語っている。
「この事実をすぐさま辺境伯に報せると、信頼が置けて腕の立つパーティを護衛の一員として派遣して欲しいと要請があった。そこで事情を知っており、俺とブライアンの意見も合致したので君たち銀の翼をケルアイユ辺境伯の護衛に付いて欲しい」
あー、やっぱりそうくるか。他にも適任なパーティはいるだろうけど、山賊にも遭遇し魔物も退治した。何よりエイミーの件に深く関わった俺たちが情報漏洩を防ぐ意味でもでも適任だろう。ま、判断するのはエドだ。返事は予想できるけど。
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