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第一章 イニティウム王国
第38話 魔銃士、初めてのダンジョン踏破に挑む・2
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予想通り俺たちは銀の翼、獅子王の瞳とそれぞれのパーティに別れて行動する。初めは一本道の下り坂で出没する敵も、植物系の魔物だった。ツル植物が魔物化したもので触手がちょっと厄介だったがな。ヴィゴさんは斧で攻撃、エドがファイアーボールを放つと二体現れた奴らは霧散した。
「最初はこんなもんじゃ、もう少し進むと階段がある区域に出る。そこから三つの階段を選ぶことになるんじゃが……右と左はワシの仲間が進み、罠にかかった」
となると、残りのひとつに入るしかない訳か。ただダンジョンマスターはどうも性格が悪いらしいから、前回と同じルートに罠を張っておくのかという疑問が湧いた。今回は人数が多いし、ダンジョンマスターは全てに罠を張っているかもしれない。
「あのさ、まさかと思うけど今回はすべてのルートに罠があるってことは」
「ンだとテメェ、師匠の探索に文句があんのかよ? アア゛?」
うっせーなダミアン、どこの輩だよ。あ、北方出身の蛮族だっけか。なら習性なんだな、動物は躾してやらないと。俺がそう思い拳を固めた刹那、ヴィゴさんの小柄な体躯が俊敏に動きダミアンの鳩尾に拳をめり込ませていた。手加減していたとはいえかなり効いたらしく、顔色が悪い。
「ええ加減にせんかダミアン。異世界渡りどの――えっとソーどの、かな? 彼の意見ももっともじゃ。同じ罠がいつまでもあるとは限らん」
渋々ではあったがダミアンが謝罪し、俺たちは相変わらず出没する植物系の魔物を排除しつつ、件の階段がある区域に来た。そこは広場になっていて正面と左右に穴が開いており、本来ならいるであろう守護者がいない。
「以前に来たときも、階層を守る守護者がいなかったんじゃ。さて、今回はどうなることか」
「罠の有無を調べるなら、あたしの出番ね」
盗賊であるアガサが前に出る。彼女の職業は罠破りのスキルに長けているからな、最適なんだが大丈夫だろうか。俺の心配を読んだルチアが、そっと物理と魔法に対する防御のバフをかけてくれた。アガサは腰の道具袋から一見なんの変哲もない金属棒を取り出し、穴の前にそれぞれ置いた。そして彼女は集中してからスキルを発動させた。
「探索」
すると罠が仕掛けられていたであろう中央と左の穴前に置いた金属棒が赤く光り、やがてどろどろに溶けてしまった。
「おれ、真ん中に行こうと決めていたのに……突っ込まなくて良かった」
引きつった顔でマティアスが呟いている。なるほど、盗賊や上位職のトレジャーハンターがいなければ、こういった罠に引っかかって全滅する可能性が高いのか。俺たちにはアガサがいたから良かったけれど、獅子王の瞳だけだったら悲惨なことになりかねない。
「まだ右の穴に行かないで。二重に罠が仕掛けられているかもしれないから」
「そうじゃな、慎重になりすぎてちょうどええじゃろう」
「アガサ、気をつけて」
「判っているわ、エド」
俺たちの方に微笑みを見せてから彼女は、今度は巻物を取り出し右の穴の中に放り込む。そして小さく息を吐いてから
「解除」
と告げる。
青白い光が穴の中から出てきて、みなが一斉にアガサを見た。
「やっぱり何かあったみたいね。あの巻物は罠を強制解除する効果があるの。これで少なくとも右側の安全は確保できたと思う」
「ありがとうアガサ」
「最初の罠を破っただけよ。今後もさまざまな罠があると思うの、お礼は心の中で充分よ」
みなからお礼を言われても、彼女はクールな態度を崩さない。だがほんのり耳が赤くなっているところが、まだ十代の女の子らしいところだ。安全が確保されたルートを、ヴィゴさんが先頭になって進む。相変わらず明るくて、地下へ進んでいることを忘れそうになるくらいだ。
「最初はこんなもんじゃ、もう少し進むと階段がある区域に出る。そこから三つの階段を選ぶことになるんじゃが……右と左はワシの仲間が進み、罠にかかった」
となると、残りのひとつに入るしかない訳か。ただダンジョンマスターはどうも性格が悪いらしいから、前回と同じルートに罠を張っておくのかという疑問が湧いた。今回は人数が多いし、ダンジョンマスターは全てに罠を張っているかもしれない。
「あのさ、まさかと思うけど今回はすべてのルートに罠があるってことは」
「ンだとテメェ、師匠の探索に文句があんのかよ? アア゛?」
うっせーなダミアン、どこの輩だよ。あ、北方出身の蛮族だっけか。なら習性なんだな、動物は躾してやらないと。俺がそう思い拳を固めた刹那、ヴィゴさんの小柄な体躯が俊敏に動きダミアンの鳩尾に拳をめり込ませていた。手加減していたとはいえかなり効いたらしく、顔色が悪い。
「ええ加減にせんかダミアン。異世界渡りどの――えっとソーどの、かな? 彼の意見ももっともじゃ。同じ罠がいつまでもあるとは限らん」
渋々ではあったがダミアンが謝罪し、俺たちは相変わらず出没する植物系の魔物を排除しつつ、件の階段がある区域に来た。そこは広場になっていて正面と左右に穴が開いており、本来ならいるであろう守護者がいない。
「以前に来たときも、階層を守る守護者がいなかったんじゃ。さて、今回はどうなることか」
「罠の有無を調べるなら、あたしの出番ね」
盗賊であるアガサが前に出る。彼女の職業は罠破りのスキルに長けているからな、最適なんだが大丈夫だろうか。俺の心配を読んだルチアが、そっと物理と魔法に対する防御のバフをかけてくれた。アガサは腰の道具袋から一見なんの変哲もない金属棒を取り出し、穴の前にそれぞれ置いた。そして彼女は集中してからスキルを発動させた。
「探索」
すると罠が仕掛けられていたであろう中央と左の穴前に置いた金属棒が赤く光り、やがてどろどろに溶けてしまった。
「おれ、真ん中に行こうと決めていたのに……突っ込まなくて良かった」
引きつった顔でマティアスが呟いている。なるほど、盗賊や上位職のトレジャーハンターがいなければ、こういった罠に引っかかって全滅する可能性が高いのか。俺たちにはアガサがいたから良かったけれど、獅子王の瞳だけだったら悲惨なことになりかねない。
「まだ右の穴に行かないで。二重に罠が仕掛けられているかもしれないから」
「そうじゃな、慎重になりすぎてちょうどええじゃろう」
「アガサ、気をつけて」
「判っているわ、エド」
俺たちの方に微笑みを見せてから彼女は、今度は巻物を取り出し右の穴の中に放り込む。そして小さく息を吐いてから
「解除」
と告げる。
青白い光が穴の中から出てきて、みなが一斉にアガサを見た。
「やっぱり何かあったみたいね。あの巻物は罠を強制解除する効果があるの。これで少なくとも右側の安全は確保できたと思う」
「ありがとうアガサ」
「最初の罠を破っただけよ。今後もさまざまな罠があると思うの、お礼は心の中で充分よ」
みなからお礼を言われても、彼女はクールな態度を崩さない。だがほんのり耳が赤くなっているところが、まだ十代の女の子らしいところだ。安全が確保されたルートを、ヴィゴさんが先頭になって進む。相変わらず明るくて、地下へ進んでいることを忘れそうになるくらいだ。
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